OpenStackの第13リリースMitakaは大企業のプロダクションユースの増加に対応して管理性とユーザー体験に注力

dsc09941-1

OpenStack Foundationが今日(米国時間4/7)、そのオープンソースのエンタープライズクラウドプラットホームの13回目のリリース、Mitakaをローンチした。

多くの点でこの新しいリリースは、2010年にRackspaceとNASAから孵化したこのプロジェクトの、さらなる成長ぶりを見せている。重要な機能を新たにたくさん加えることよりも(今回も多いことは多いが)、焦点はこのプラットホームをクラウドの運用者にとって管理しやすくすることと、全体的なユーザー体験の改良に置かれている。

“焦点の置きどころを変えたのは、ほぼ2年前ぐらいから、大企業や大きな組織がOpenStackを彼らのITの最前線で使い始めているからだ”、とOpenStack FoundationのCOO Mark Collierは語る。

そういう大型ユーザー、AT&TやComcast、SAP、Time Warnerなどは、デプロイが容易であることを強く求める。どう転んでもOpenStackが相当複雑なプロジェクトであることに変わりはないから、ユーザーはまず、デプロイに関してさまざまな意思決定を迫られる。そう強調するCollierによると、そのため今では、このプラットホームのコアなコンポーネントはなるべくデフォルトの設定で行けるようにして、ユーザー元におけるセットアップや構成の努力を省力化している。それらのデフォルトは、OpenStackの大型ユーザーの多くが開発してきたベストプラクティスに基づいている。そのひとつの例であるOpenStackの”Keystone“アイデンティティサービスは、アドミニストレーターがActive Directoryなどのアイデンティティサービスを統合でき、またセットアップのプロセスを単純化している。

さらにCollierによると、この新しいリリースはユーザー体験の改良にも力を入れ、デベロッパーがOpenStack用のより良質なアプリケーションを書けるようにしている。たとえばデベロッパーは、これからはOpenStackの統一化クライアントを利用できるので、ワンセットの呼び出しでプラットホーム上にさまざまなリソースを作ることができる。今回のMitakaリリースはSDKもアップデートし、デベロッパーがOpenStackの”Neutron”ネットワーキングスタックをずっと容易に使えるようにしている(その一部はまだ開発途上ではあるが)。

ここ数年の動きの中でCollierにとってとくに意外だったのは、多くの通信企業が今では、ネットワーク機能のソフトウェアによる仮想化を採用するためのデファクトの方法としてOpenStackを利用し、これまでのようにプロプライエタリで高度に専用機化されているハードウェアを使わずに、情報のルーティングを行っていることだ。とくに彼が注目したのは、たとえば今のAT&Tの顧客は、電話をかけるたびに、なんらかの形でOpenStackに触(さわ)っている可能性が高いことだ。AT&T以外にも、Deutsche Telekom, Telefonica, (AOLとTechCrunchの親会社)Verizonなどの著名企業が、今やOpenStackのユーザーだ。

Collierがもうひとつ強調するのは、OpenStackに対する関心の多くが、これまでは、それをプライベートクラウドの構築に利用している企業に由来していたが、しかし今では、とくにアジアとヨーロッパで、OpenStackをパブリッククラウドのデプロイに使用している企業もたくさんあることだ。ただし合衆国は、まだそこまで行っていない。DreamHostやRackspaceなど、OpenStackによるパブリッククラウドに力を入れているところも少なくはないが、ユーザー数で言えばAWSが圧倒的に大きいのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

企業のローカルネットワーク(LAN)をクラウド上に作れるPertino–もうハードウェアは要らない

Pertino

Pertinoが今日立ち上げたサービスを利用すると、中小企業などが自社のローカルネットワークを、ハードウェアもケーブルもいっさい使わず、完全にクラウド上に構築できる。

PertinoはAmazon Web Service(AWS)を使ってそのサービスを提供し、ユーザである企業はその上にセキュアなネットワークを大小を問わず作ることができる。かつて、そのようなネットワークを作るためには、高価なネットワーク機器に一財産を投じなければならなかった。今ではPertinoが、世界中にあるAWSのデータセンターでソフトウェアを動かすことによって、それを提供する。

Pertinoのサービスにログインした顧客は、適正なネットワークを構成するデータプレーンに接続することになる。それにより顧客企業は、社内的なネットワークをセットアップしてもよいし、あるいは契約企業や契約技術者たちとの一時的なネットワークを作ってもよい。そのネットワークの上では、ファイルの共有やリモートデスクトップサービスなども提供できる。ネットワークの規模の拡大〜縮小や高速化などの維持管理業務は、“software defined networking (SDN)”(ソフトウェア定義ネットワーク)によって行われる。

pertinoexplanation

SDNはいわば、ハードウェア上に構築されるネットワークのもろもろの機能をラップして抽象化するソフトウェアの層だ。ユーザはもはやハードウェアを操作せず、そのソフトウェアをネットワーキング装置として利用し操作する。SDNは、エンタプライズ市場に今起きていることを象徴している。ソフトウェアがハードウェアをリプレースして、新しいサービスを、顧客がハードウェアを直接購入していたときよりも安価に、かつよりベターに提供するのだ。今はどの業界にも、この変化が起きつつある。たとえば消費者はもはや、自分で店へ行ってビデオを借りない。自分でDVR機器を持たない。ビデオはすべて、Netflixがストリーミングしてくれる。消費者のところでディスクが陳腐化するように、企業がCisco、Juniperといった企業から買っていた高価なネットワーキング機器も陳腐化する。

pertinoexaplanation2

Pertinoは今非公開ベータだが、すでにそのソフトウェアを世界中のデータセンターにインストールしている。まだデータセンターの世界的な遍在という状況がなかった3年前には、同社のようなサービスは不可能だっただろう。最近の2年間でAWSは、シドニー、東京、サンパウロ、北米北西部地域などにデータセンターを開いてきた。そのデータセンターネットワークは、今ではほとんどグローバルだ。アフリカが、まだ弱い。そこでPertinoは、AWSで間に合わない部分をほかのデータセンターで補うつもりだ。

Pertinoは、今雨後の筍し始めているSDN企業の一翼だ。Big Switch NetworksやVMwareが買収したNiciraなどは、それまでCitrixやCiscoなどのベンダが支配していたエンタプライズ市場を、徐々に横取りし始めている。しかし今現在は、SDN企業の多くが顧客企業のデータセンターを利用してSDNのインフラストラクチャを構築している。Pertinoは、それをすべてクラウドでやろうとする…主なターゲットはネットワーキングに大金を投じられない小企業だ。その料金は、人員3名/使用機器3台までが無料、その後利用者が一人増えるたびに10ドルが課金される。Aerohive や、Ciscoが買収したMerakiもクラウドネットワーキングを提供しているが、それらはWiFiのアクセスポイントとコントローラを使う。

ただし、今のPertinoには制約があって、対応ユーザ機器はWindows 7搭載機のみ、モバイルのサポートはない。今年の終わりごろまでには、互換機をもっと広げるそうだ。

Pertinoは、ソフトウェアがハードウェアをリプレースするというディスラプトの好例で、これからの中小企業は、Ciscoなどから高価な機械装置を買わなくても堅牢なネットワークを構築できるのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))