履歴書や面接ではわからない候補者の潜在的な強みや弱みがわかるSearchlightの人材採用ツール

学歴や職歴は、山積みになっている他の履歴書と同じようなものかもしれない。だが、Searchlight(サーチライト)という会社は、企業が個人のソフトスキルを測定する方法を改善することで、差別化要因を提供するだけでなく、その人が最終的に組織にどれだけ適合するかを示せるようにすることも目指している。

Kerry Wang(ケリー・ワン)氏と彼女の双子の姉妹であるAnna Wang(アンナ・ワン)氏は、同じ仕事に応募する際に自分たちを差別化しようとして、この問題に直面した。面接の過程では、自分たちがどう違うのかを十分にアピールする時間がないと感じることが多かったと、ケリー・ワン氏はTechCrunchに語った。

「企業が採用した全人材の半数近くが18カ月以内に辞めてしまうことからも、私たちを同一人物と決めつける現在の人材ソフトウェアを変えたいと思いつきました」と、ケリー・ワン氏はいう。「今、この『大退職時代』を考えると、人材獲得競争に勝つためには、早く採用するだけではなく、うまく採用しなければなりません。人材の質を測る方法に食い違いがある場合、これは難しくなります」。

彼女たちは2018年にSearchlightを起ち上げ、行動参照データとプリスクリプティブ分析を用いて、履歴書や面接時には現れない、候補者の潜在的な強みや弱みを、雇用者が360度見渡せるようにする技術を開発した。

Searchlightの新機能をベータ版として使用した企業は、過去12カ月間に数千人の候補者を採用しており、多くの場合、プロセスが迅速化され、偏りが少なく、定着率が向上したと、ワン氏は述べている。実際、ユーザー企業では、他の方法で採用した場合と比べて、定着率が45%向上し、採用までの時間が40%短縮され、採用した社員は平均で72%長く在籍しているという。

米国時間12月20日、SearchlightはシリーズAとして1700万ドル(約19億3000万円)の資金調達を発表した。同社はこの資金を活用し、提供するサービスを拡大していく。その中には、ワンクリックで作成できる推薦状、15分以内にできる候補者評価、今後の採用を改善するための可視性を高める採用品質ダッシュボード、採用前に収集した行動データを従業員の成果に結びつけることで、採用のベストプラクティスを示し、優秀者のプロファイルを強調する「ピープルサイエンスエンジン」などがある。

今回の資金調達は、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)が主導し、Accel(アクセル)、Shasta(シャスタ)、Kapor Capital(ケイパー・キャピタル)、Operator Collective(オペレーター・コレクティブ)の他、Coda(コーダ)、Confluent(コンフルエント)、Plaid(プレイド)などの企業の幹部を含むエンジェル投資家グループが参加した。これにより、同社が今まで調達した資金は、2019年に実施した250万ドル(約2億8000万円)のシードラウンドも含め、総額2000万ドル(約22億7000万円)となった。

人材にはさまざまな形や大きさがある。Searchlightはそのアプローチが、ベンチャーキャピタルに支援された最新の企業だ。他にも、最近資金調達を発表したリクルートテクノロジー企業には、フラクショナルワーカー(フルタイムではない人材)のマーケットプレイスであるContinuum(コンティニュアム)、Sense(センス)、Karat(カラット)などがある。

Searchlightによる行動データの収集(画像クレジット:Searchlight)

Searchlightの独自性として、ワン氏は、ユーザーに提供されるデータやインサイトのレベルが高く、より優れたレコメンデーションが可能であることを挙げている。また、同社は企業が候補者に求めるべき特性を示すこともでき、さらに企業が労働力の構成について抱いている仮定を否定することさえできるという。

「何が成功につながるかを認識する必要があるのですが、それは通常、直感に頼ることが多いものです」と、ワン氏は付け加えた。「当社ではソフトスキルに基づいて、定着率を高めることにつながる成功プロファイルを作成します」。

同社は現在、Udemy(ユーデミー)、Talkdesk(トークデスク)、Zapier(ザピアー)など100社以上の企業と取引しており、従業員は2020年の4人から15人に増えた。顧客数もこの1年で3倍以上に増えている。ワン氏によれば、多くの顧客はSearchlightを使用した後、この製品への投資を倍増させているという。

今回の資金調達により、Searchlightは、2022年に向けてチーム規模を2倍にするための追加雇用や、製品開発およびGo-to-Market戦略への投資が可能になる。

今回の投資の一環として、Founders FundのジェネラルパートナーであるKeith Rabois(キース・ラボイス)氏がSearchlightの取締役に就任した。

ラボイス氏は、テクノロジー企業の設立、資金調達、経営に携わってきた20年のキャリアの中で、共通していたのは優れた人材の必要性であると述べ「あなたが作るチームが、あなたが作る会社である」と語っている。

「Searchlightに共感しました」と、ラボイス氏は付け加えた。「私はこれまで15以上の役員を務めてきましたが、どの会社でも人材の定着と、定着率を高めるために何をすべきかについて話し合っています。常に人材を入れ替えていては、良い会社は作れません。私は常に自分自身を向上させたいと考えていましたし、自分が向上するためのデータやツールを持っています。Searchlightは、そのような採用の判断をするための最高のデータを提供しています」。

画像クレジット:Searchlight / Searchlight co-founders Kerry Wang and Anna Wang

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)