米国証券取引委員会が調査中のEVスタートアップLordstown Motorsを米司法省も調査開始

Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)は迷走し続けている。米国証券取引委員会(SEC)による継続的な調査に加え、苦境に立たされているEVスタートアップに対して、米国司法省(DOJ)も調査を開始したのである。

ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が米国時間7月2日に最初に報じたこの調査は、匿名の情報筋によるとまだ初期段階にあるとのこと。マンハッタン地区連邦検事庁によって行われているという。

同社の広報担当者はTechCrunchに対し「Lordstown Motorsは、規制当局や政府によるあらゆる調査や問い合わせに協力することにコミットしています」と述べている。「当社の新しいリーダーシップと献身的なチーム全体が、最初で最高のフルサイズ全電動ピックアップトラックである『Lordstown Endurance』の生産に専念できるよう、この章を閉じることを待望しています」とも。

今回の調査は、Lordstown Motorsの一連の苦境の中での最新の出来事だ。同社は先日、電動ピックアップトラックのデビューモデルである「Endurance」の生産台数を約2200台から1000台へと半減させたと発表した。この発表からわずか数週間後の6月14日、創業者兼CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏とCFOのJulio Rodriguez(フリオ・ロドリゲス)氏が辞任するという経営陣刷新のニュースが飛び込んできた。バーンズ氏は、以前に同氏が創業したスタートアップであるWorkhorse Groupの子会社としてLordstown Motorsを設立した。

LordstownはGeneral Motors(GE、ゼネラルモーターズ)からの投資により、2019年末に大手自動車メーカーから620万平方フィート(約57.6ヘクタール)の工場を購入し、好調なスタートを切っていた。Lordstownは2020年8月、特別目的買収会社(SPAC)との合併による株式公開を発表し、ポジティブな見出しを作った。この取引により同社は約6億7500万ドル(約749億円)の総収入を得て、時価総額は16億ドル(約1776億円)にまで急上昇した。しかし、それから1年も経たないうちに、Lordstownは米国証券取引委員会(SEC)に対し、Enduranceを製造するための十分な資本がないことを報告した。

さらに2021年3月にはショートセラー会社のHindenburg Researchが、Lordstownの電動ピックアップトラックの予約注文が10万台に達したという同社の主張に異議を唱えるレポートを発表した。レポートには「広範な調査の結果、同社の注文はほとんどが架空のものであり、資本調達と正当性の付与のための小道具として使われているようだ」と書かれている。これらの告発を受けて、SECは調査を開始した。

WSJの記事ではDOJ調査の範囲は不明で、同社は詳細の説明を拒否している。TechCrunchがさらに情報を得られた場合、記事を更新していく。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Lordstown Motors米国証券取引委員会(SEC)電気自動車米国司法省(DOJ)

画像クレジット:Lordstown Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】スタートアップの株式報酬を透明化するために米証券取引委員会はもっと努力するべきだ

編集注:本稿の著者Yifat Aran(イファット・アラン)博士はイスラエル工科大学の客員研究員で、ハイファ大学法学部の次期助教授。スタンフォード大学ロースクールでJSDを取得したが、そこではシリコンバレーのスタートアップにおける株式報酬に焦点を当てた論文を書いている。

ーーー

あなたが夢見ていた会社に就職が決まったとしよう。契約の交渉を始め、1つのことを除けばすべてが順調に進んでいる。その1つとは、その雇用主はあなたの給料が何の通貨で支払われるのかを明言しないことだ。米ドルかユーロか、あるいは日本円かもしれないが、あなたはとりあえず大丈夫だと信じ、正当な報酬が払われることを願うことになる。不条理に聞こえるかもしれないが、これが現在のスタートアップ企業の株式報酬市場の仕組みだ。

典型的なシナリオは、雇用主がオファーレターの一部としていくつかのストックオプションや譲渡制限付き株式ユニット(RSU)を提供するが、会社の総株式数については言及しないというものである。この情報がなければ、従業員は自分が付与された株式が0.1%なのか、0.01%なのか、あるいはその他の割合なのかを知ることができない。従業員はこの情報の提供を求めることができるが、雇用主には提供する義務がないため、多くのスタートアップ企業では提供していない。

しかし、それだけではない。適切な情報開示がなされていないため、従業員は、スタートアップ企業の評価情報の中でも最も重要な形式である、会社の資本政策表や残余財産分配優先権総額(会社が売却された場合に、従業員が支払いを受ける前に投資家に支払われる金額を決定するもの)をまったく知らないのだ。従業員はベンチャーキャピタルによる資金調達の負債性を考慮していないため、自分が付与された株式の価値を過大評価する傾向がある。これは、特にユニコーン企業の従業員に関係している。なぜなら、後期の資金調達でよく見られるタイプの条件は、会社の普通株式の価値に劇的な、そしてしばしば誤解を招くような影響を与えるからだ。

この問題を解決するために、規制当局は何をしてきたか?あまり多くのことはしていない。現行の規制では、大半のスタートアップ企業は、オプションプランのコピー以外の情報を従業員に提供することを免除されている。ただし、1年間に1000万ドル(約10億8885万円)以上の有価証券を従業員に発行するスタートアップ企業のごく一部は、最新の財務諸表(2年分の連結貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー、株主資本等変動計算書)を含む追加情報の提供が義務付けられている。これらの開示には、スタートアップ企業の機密情報が含まれている可能性が高いが、従業員が答えを求める評価の問題にはほとんど関係がない。会社の直近の公正な市場評価と、さまざまなエグジットシナリオにおける従業員の予想支払額の説明があれば、はるかに有益な情報を伝えることができるはずだ。

現行の規制の問題点は、単に従業員への情報提供が多すぎる、あるいは少なすぎるということではなく、その両方であり、それ以上の話なのだ。Johnny Mathis(ジョニー・マティス)とDeniece Williams(デニース・ウィリアムス)の歌の歌詞にあるように「多すぎ、少なすぎ、遅すぎ」なのである。この規制が義務づけるのは、あまりに多くの無関係で潜在的に有害な情報の開示と、あまりに少ない重要な情報の開示であり、情報は従業員が効率的に意思決定できない時期(従業員が会社に入社してから)に開示されている。

このような状況は、従業員自身にとってだけでなく、ハイテク産業の労働市場全体にとっても不健全である。人材は、あらゆる規模の企業が依存する希少資源だ。情報が不足していると、競争が妨げられ、従業員がより良い有望な機会を得るのが遅くなる。長い目で見れば、従業員の情報面での不利益は、エクイティインセンティブの価値を低下させ、スタートアップ企業にとっての人材獲得競争がますます厳しいものとなるのだ。

Columbia Business Law Review(コロンビアビジネス法レビュー)に掲載した記事「Making Disclosure Work for Startup Employees(スタートアップ企業の従業員のための情報開示)」で、私はこれらの問題は比較的簡単に解決できると主張した。100人以上の従業員に株式クラス(クラスは問わない)のうちの10%以上を発行するスタートアップ企業に対しては、エグジットのウォーターフォール分析に従って従業員の個別の支払いを開示することを義務付けるべきである。

ウォーターフォール分析は、キャッシュフロー分配の取り決めの内訳を説明するものだ。スタートアップ企業の資金調達の場合、この分析では、企業の株式が売却されたと仮定して、その収益を、普通株主が最終的に残余請求権(存在する場合)を受け取るまで、それぞれの清算優先順位に従って異なる持分クラスの株式に「滝」のように配分する。モデルに含まれる情報は非常に複雑だが、結果はそれほど複雑ではない。ウォーターフォールモデルでは、X軸に記入された各可能性のある「エグジット評価」に対して、従業員の個別の「支払い」がY軸に示されたグラフを作成することができる。この作成は資本政策表管理プラットフォームを使えば、マウスを数回クリックするだけで簡単にできる。

このように視覚的に表現することで、従業員は、背景にある数学や法律の専門用語がわからなくても、さまざまな範囲のエグジットの価値においてどれだけの利益を得ることができるかを理解することができる。このような情報があれば、従業員はルール701で義務づけられている従来の形式の開示を必要とせず、スタートアップ企業は財務諸表に含まれる情報が悪人の手に渡るリスクの心配をしなくて済む。重要なのは、従業員はエクイティ型報酬を含む仕事の機会を受け入れるかどうかを選択する前に、オファーレターの一部としてこの情報を受け取るべきだということだ。

2021年の初め、SEC(米証券取引委員会)はルール701の改訂案を発表した。この提案には多くの進歩が見られ、財務諸表の開示に代わるものも導入されている。従業員に1000万ドル(約10億8885万円)以上の有価証券を発行するスタートアップ企業に対しては、財務諸表の開示か、有価証券の公正な市場価値に関する独立した評価報告書の提供のどちらかを選択できるようにしている。本案によると、後者は、内国歳入法第409A条に基づく規則や規定に従っている独立した評価によって決定される必要がある。

これは正しい方向へ進む第一歩だ。公正な市場評価は、会社の財務諸表よりも従業員にとってはるかに有用なのだ。しかし、409A評価の開示はそれだけでは十分ではない。409A評価が非常に不正確であることは、シリコンバレーではよく知られていることだ。鑑定企業は依頼者である企業との長期的なビジネス関係を維持したいと考えており、また、評価は経営陣から提供された情報に基づくものであり、取締役会の承認が必要であることから、スタートアップ企業は評価結果をほぼ完全にコントロールすることができる。したがって、企業の409A評価は、結果を出すために使用されたウォーターフォール分析が含まれている場合にのみ、情報的な価値を持つ。さらに、SECの提案では、大多数のスタートアップ企業は(1000万ドル、約10億8885万円という基準を回避しさえすれば)意味のある情報開示を行わずに株式交付を行うことが可能だ。

30年以上にわたり、SECはスタートアップ企業の株式報酬の規制をほぼ完全に緩和し、人材獲得競争において株式に依存するスタートアップ企業のニーズの高まりに対応してきた。しかしSECは、雇用の仕組みの相手側、つまり株式報酬の価値に関する情報を求める従業員のニーズには、これまでも、そして今も、ほとんど注意を払っていない。今こそ、投資家としての立場にある従業員の保護を、証券規制体制の下で再検討する時期に来ているのではないだろうか。

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タグ:SEC株式報酬コラム透明性エグジット

画像クレジット:BreakingTheWalls / Getty Images

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(文:Yifat Aran、翻訳:Dragonfly)

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが新会社「メルコイン」の設立を4月下旬に設立します。メルカリの子会社として、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行い、暗号資産交換業者の新規登録も行います。

発表によると、メルカリグループは「メルコイン」を「メルカリ」「メルペイ」に続く事業の柱に育てる方針。今後は売上金のビットコインでの受け取り機能の提供や、メルペイで決済・送金・与信・資産運用・暗号資産を1つのウォレットで管理できる機能を提供します。

また、価値交換を実現するブロックチェーン技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)等、これまでのモノ・金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形の創出を目指すといいます。

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

暗号資産をめぐっては、米国の決済サービス大手「ペイパル」が自社ウォレットでの取り扱い開始を発表したほか、テスラが自社製品の購入代金にビットコインを利用可能とするなど、各社の参入が相次いでいます。

2020年末からの価格高騰を受けて、暗号資産全体の時価総額は200兆円を超え、金の時価総額(1200兆円)の6分の1に迫っています。また、直近では米フィデリティがビットコインETFの承認申請をSEC(米証券取引委員会)に行ったことでも話題を集めています。

発表の全文は下記の通りです。

株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うことを目的に、メルカリの子会社として2021年4月下旬(予定)に株式会社メルコイン(以下、新会社)を設立することを決定いたしましたので、お知らせいたします。
※メルコインは、今後、暗号資産交換業者の新規登録申請を行う予定です。

暗号資産は、現在、暗号資産全体の時価総額が200兆円※1を超え、これまで採掘された金の時価総額約1200兆円[※2]の6分の1の規模に迫るなど、大きな存在になりつつあります。国内の暗号資産やブロックチェーンの領域においては、2017年4月に「資金決済に関する法律」が改正され、以降、様々な事業者が暗号資産交換業に参入、資産運用を中心に活用が広がっています。一方、グローバルな環境においては、資産運用に加え、決済や送金での利用等、様々なシーンで暗号資産やブロックチェーンの活用が広がっており、国内においてもこれまでに無い新たな顧客体験を提供できる可能性があると考えています。

新会社を設立し、暗号資産事業に取り組むことで、「メルカリ」においては、売上金のビットコインでの受取り機能の提供や、「メルペイ」においても決済・送金機能の提供に留まらず、与信、暗号資産・資産運用の機能を一つのウォレットで提供していく等、より簡単に金融サービスを利用できる環境を構築していきます。

また、価値交換を実現するブロックチェーンの技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)[※3]等、これまでのモノ・お金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形を創出し、さらなる顧客体験の向上や顧客基盤の拡大に繋げていきたい考えです。メルカリは、メルコインにおける新たな挑戦を通じて、メルカリグループの新たな柱となりうる事業の企画・開発を目指してまいります。

※1:CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/ja/)2021年3月30日時点
※2:出典(グラム単価:https://www.kitco.com/kitco-gold-index.html、金の採掘量:https://www.gold.org/about-gold/gold-supply/gold-mining/how-much-gold)2021年3月30日時点
※3:NFT(Non-fungible token)とは、ブロックチェーン上に記録されるNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことで、デジタル資産や権利などの所有や譲渡を記録するものです。

【メルコイン概要】
会社名:株式会社メルコイン / Mercoin, Inc.
設立日:2021年4月下旬(予定)
資本金:5,000万円(株式会社メルカリ100%子会社)
事業内容:暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発
代表者名:青柳直樹
主要役員:
取締役CISO 曾川景介
取締役 伏見慎剛
監査役 栃木真由美
所在地:〒106-6118 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー

(Source:メルカリEngadget日本版より転載)

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異なるブロックチェーンやアプリ間でNFTを相互利用するための共通仕様「Oct-Pass」を策定開始

カテゴリー:フィンテック
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)SEC / 米証券取引委員会(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)中央銀行デジタル通貨(CBDC)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)Paypal(企業)メルカリ / Mercari(企業)メルペイ(製品・サービス)日本(国・地域)

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが新会社「メルコイン」の設立を4月下旬に設立します。メルカリの子会社として、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行い、暗号資産交換業者の新規登録も行います。

発表によると、メルカリグループは「メルコイン」を「メルカリ」「メルペイ」に続く事業の柱に育てる方針。今後は売上金のビットコインでの受け取り機能の提供や、メルペイで決済・送金・与信・資産運用・暗号資産を1つのウォレットで管理できる機能を提供します。

また、価値交換を実現するブロックチェーン技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)等、これまでのモノ・金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形の創出を目指すといいます。

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

暗号資産をめぐっては、米国の決済サービス大手「ペイパル」が自社ウォレットでの取り扱い開始を発表したほか、テスラが自社製品の購入代金にビットコインを利用可能とするなど、各社の参入が相次いでいます。

2020年末からの価格高騰を受けて、暗号資産全体の時価総額は200兆円を超え、金の時価総額(1200兆円)の6分の1に迫っています。また、直近では米フィデリティがビットコインETFの承認申請をSEC(米証券取引委員会)に行ったことでも話題を集めています。

発表の全文は下記の通りです。

株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うことを目的に、メルカリの子会社として2021年4月下旬(予定)に株式会社メルコイン(以下、新会社)を設立することを決定いたしましたので、お知らせいたします。
※メルコインは、今後、暗号資産交換業者の新規登録申請を行う予定です。

暗号資産は、現在、暗号資産全体の時価総額が200兆円※1を超え、これまで採掘された金の時価総額約1200兆円[※2]の6分の1の規模に迫るなど、大きな存在になりつつあります。国内の暗号資産やブロックチェーンの領域においては、2017年4月に「資金決済に関する法律」が改正され、以降、様々な事業者が暗号資産交換業に参入、資産運用を中心に活用が広がっています。一方、グローバルな環境においては、資産運用に加え、決済や送金での利用等、様々なシーンで暗号資産やブロックチェーンの活用が広がっており、国内においてもこれまでに無い新たな顧客体験を提供できる可能性があると考えています。

新会社を設立し、暗号資産事業に取り組むことで、「メルカリ」においては、売上金のビットコインでの受取り機能の提供や、「メルペイ」においても決済・送金機能の提供に留まらず、与信、暗号資産・資産運用の機能を一つのウォレットで提供していく等、より簡単に金融サービスを利用できる環境を構築していきます。

また、価値交換を実現するブロックチェーンの技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)[※3]等、これまでのモノ・お金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形を創出し、さらなる顧客体験の向上や顧客基盤の拡大に繋げていきたい考えです。メルカリは、メルコインにおける新たな挑戦を通じて、メルカリグループの新たな柱となりうる事業の企画・開発を目指してまいります。

※1:CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/ja/)2021年3月30日時点
※2:出典(グラム単価:https://www.kitco.com/kitco-gold-index.html、金の採掘量:https://www.gold.org/about-gold/gold-supply/gold-mining/how-much-gold)2021年3月30日時点
※3:NFT(Non-fungible token)とは、ブロックチェーン上に記録されるNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことで、デジタル資産や権利などの所有や譲渡を記録するものです。

【メルコイン概要】
会社名:株式会社メルコイン / Mercoin, Inc.
設立日:2021年4月下旬(予定)
資本金:5,000万円(株式会社メルカリ100%子会社)
事業内容:暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発
代表者名:青柳直樹
主要役員:
取締役CISO 曾川景介
取締役 伏見慎剛
監査役 栃木真由美
所在地:〒106-6118 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー

(Source:メルカリEngadget日本版より転載)

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異なるブロックチェーンやアプリ間でNFTを相互利用するための共通仕様「Oct-Pass」を策定開始

カテゴリー:フィンテック
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)SEC / 米証券取引委員会(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)中央銀行デジタル通貨(CBDC)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)Paypal(企業)メルカリ / Mercari(企業)メルペイ(製品・サービス)日本(国・地域)

「気まぐれな」ツイートを続けるイーロン・マスク氏とそれを監視できないテスラ取締役会を同社株主が提訴

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏のツイートが、またしても訴訟の対象となっている。

マスク氏が、米国証券取引委員会(SEC)との間で交わされた和解案に違反する「気まぐれなツイート」を投稿し続けているとして、テスラの投資家の1人がマスク氏とテスラの取締役会を訴えている。この和解案では、同社の取締役会がマスク氏のソーシャルメディア活動を監視しなければならないことになっていた。Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたこの訴訟は、マスク氏が規制当局から罰金や罰則を科せられる可能性に会社をさらしており、株価を下落させるおそれがあると主張。取締役会はマスク氏の行動を制御できておらず、会社を危険にさらしていると指摘している。

投資家のChase Gharrity(チェイス・ガリティ)氏によるこの訴訟は、米国時間3月8日にデラウェア州の衡平法裁判所に提出され、3月12日に開示された。コメントを求められたテスラは返答していない。

テスラおよびマスク氏とSECは、先の裁判所命令に違反したとして侮辱罪に問われることなく、マスクCEOに一定の制限範囲内でTwitter(ツイッター)を使える自由を与えることで、2019年4月に合意に達した。この合意により、特定の出来事や財務上のマイルストーンに関する内容を除き、マスク氏は好きなようにツイートすることができるようになった。上記のような内容を含むツイートをする場合、マスク氏は証券弁護士から事前に承認を得なければならないと、マンハッタンの連邦裁判所に提出された契約書にある。

2019年4月の合意は、マスク氏とSECとの数年にわたる法廷闘争の成果だ。両者の戦いは、2018年8月7日にマスク氏が1株420ドル(約4万6000円)でテスラを株非公開化するための「資金を確保した」と述べた悪名高いツイートから始まった。この時、SECはマスク氏が証券詐欺を行ったとする訴状を提出している

マスク氏とテスラは不正行為を認めずにSECと和解した。テスラは2000万ドル(約22億円)の罰金を支払うことに合意し、マスク氏はテスラの会長職を辞任して、少なくとも3年間は復職できないことに同意しなければならなかった。テスラは2人の社外取締役を加えることと、マスク氏のTwitterを含む同社に関する公の場での発言を監視する方法を導入するよう求められた。

関連記事:速報:イーロン・マスク、Tesla会長を辞任――SECと和解、CEOには留まる

この争いが再燃したのは、マスクが2019年2月19日に、テスラがその年に「およそ」50万台を生産するというツイートを投稿し、数時間後に訂正して、年内に年産50万台のペースに達するという意味だということを明らかにした時だ。

今回の訴訟では、マスク氏のツイートが2019年4月の判決に違反し、自身と取締役会の善管注意義務に背いていると主張。105ページに及ぶ訴状は、マスク氏のアカウントから投稿された複数のツイートを挙げており、その中にはSECの判決から1年以上経った2020年5月1日の「Tesla stock is too high IMO.(私の意見を言わせてもらうと、テスラの株価は高すぎると思う)」というツイートも含まれている。

このツイートによってテスラの株価は急落。マスク氏の株価ツイートから30分後に下落幅は12%近くに達した。このツイートは、同日に矢継ぎ早に発信された数多くのツイートの1つで、さまざまなトピックを取り上げたこれらのツイートの中には「人々に自由を返せ」という要求や、米国国歌の一節、詩人Dylan Thomas(ディラン・トマス)からの引用、そして自分の所有物をすべて売り払うという主張などがあった。その後、マスクはウォール・ストリート・ジャーナル紙に電子メールで、ふざけていたわけではなく、自分のツイートは事前に吟味されたものではないと語っている。

12日に明らかにされた訴訟では、テスラの取締役会が「マスク氏に汚染されていないアドバイスを提供できる」法務統括責任者の確保にも失敗したと主張している。2019年には3人の法務統括責任者が同社を離脱しており、訴状ではこれを、マスク氏の「望む結果」と異なる自主的なアドバイスを行える者がいなかったことの証拠として指摘している。

マスク氏の「気まぐれな」行動は、数十億ドル(数千億円)の時価総額の損失を含む「実質的な損害」をテスラに与えたと、訴状は述べている。

この訴訟は「Gharrity v. Musk, Del. Ch., No. 2021-0199」となる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Teslaイーロン・マスク裁判TwitterSEC

画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米証券取引委員会がRedditに煽られたGameStopの先週の株価乱高下について声明

米証券取引委員会(SEC)は、先週の株式市場の騒動に関する公式声明を発表した。声明は比較的簡潔なもので、主要なプレーヤー(GameStop、Reddit、Robinhoodなど)については言及されていないものの「株価の極端な変動は、投資家を急速かつ深刻な損失にさらす可能性がある」ことを認め、「市場の信頼を損なう」可能性があるとし、基本的に委員会は注意深く監視していると述べている。

SECの声明では、先の大量の取引にもかかわらず「中核となる市場インフラ」は無傷であるとの見解を示している。これは主に、個人投資家がr/WallStreetBets(デイトレード専用のサブレディット)で組織化して行動したことによって促されたものだ。これらの個人投資家はGME株(その後、映画館チェーンのAMCのような他会社の株も)をまとめて購入して保有することで、ヘッジファンドが大口のショートポジションを持っているのを撃退しようとしたのだ。

個人投資家による大量の取引により、Robinhood、Webull、Public、M1など、これらの個人に自由な取引を提供するプラットフォームはさまざまなアクションを起こした。Robinhoodは当初、制限が課された理由として「ユーザーを保護する」ことを挙げていたが、5億ドルから6億ドル(約520〜630億円)の信用枠を確保し、一晩で10億ドル(約1050億円)の資金調達を行ったため、取引クリアランスをカバーするための資金不足が一時的な措置の原因となった可能性が高いことを後に明らかにした。

SECの声明には、Robinhoodのような企業に向けられたと思われる注意喚起が含まれており、警告と解釈するのが妥当だろう。

加えて、連邦証券法で禁止されている不正または操作的な取引活動が事実上明らかになった場合には、個人投資家を保護するために行動します。市場参加者はそのような行為を避けるように注意しなければなりません。同様に公開企業は、自らの証券の予定された募集または販売について、連邦証券法の遵守を確保しなければなりません。

Robinhoodはすでに、無関係な商習慣について金融規制当局との衝突を経験している。一方、上下両院の議員とNY AGのLetitia James(レティシア・ジェームズ)氏は、イベントとその周辺のすべての活動をレビューする意向を表明した。これには今週のイベントでRobinhoodのようなトレーディングプラットフォームが果たした役割も含まれている可能性が高い。

関連記事:株取引アプリRobinhoodがSECに約67.2億円支払い、過去に「劣悪な価格」で顧客の注文を実行したとの告発で

カテゴリー:その他
タグ:RedditGameStopRobinhood米証券取引委員会

画像クレジット:BRENDAN SMIALOWSKI / Staff / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

米証券取引委員会のリップル訴訟を受けて暗号資産XRPが暴落

世界で最も価値のある暗号資産の1つの価格が暴落している。最近提出された米証券取引委員会(SEC)の訴状が、この急落の原因だ。CoinMarketCapによるとXRPトークンの価値は過去24時間で42%以上も下落し、過去30日間の高値である0.76ドル(約78.7円)から63%以上も下落している。現在はわずか0.25ドル(約25.9円)だ。

XRPの価格変動は、暗号資産の中で最も移り変わりやすいものに匹敵する。2018年1月に3.84ドル(約397.8円)の史上最高値に達して以来、この通貨は数セントに近づくことに過去2年間の大半を費やしてきた。2020年11月には、他の暗号資産の主要な上昇を受け、XRPはここ数年で最大の上昇を果たしたが、それらの利益は、政権の終わりにSECがRipple(リップル)社に大規模な訴訟を起こすことを計画しているという同社のBrad Garlinghouse(ブラッド・ガーリンハウス)CEOの告白によって、今週すべて消え失せてしまった。

SECの根本的な主張(SECサイト)は、XRPを証券と見なし、7年以上前の最初から有価証券登録を行っているべきだったというものだ。この訴訟の被告であるRippleのブラッド・ガーリンハウスCEOとChris Larsen(クリス・ラーセン)会長が、XRPトークンの販売から13億8000万ドル(約1430億円)以上を得たとSECは主張している。

Rippleは最近、2億ドル(約207億円)の資金調達ラウンドを経て100億ドル(約1兆360億円)の評価を受けている。RippleとXRPトークンは厳密にいうと別物だが、Rippleはこの通貨の時価総額のかなりの部分を維持しており、一時はXRPトークン自体が「Ripple」と呼ばれ、同社とロゴを共有していた。

Rippleは、XRPは証券ではなく、実際には金融機関のためのツールであるとしているが、その変動率の高さは、銀行が実際にこのトークンを採用するのを躊躇させてきた。一方で、XRPは多くの暗号資産取引所に上場されており、この事実が訴訟の範囲を拡大し、そこで取引しているさらに多くのプレーヤーに影響を与える可能性がある。

米国時間12月22日、SECの訴訟が提起された直後に公開されたブログ記事(Rippleサイト)で、ガーリンハウス氏はSECの主張が「事実と法律の上で完全に間違っている」と書き、同社は「中立的な事実調査員の前に最終的に勝つだろうと確信している」と述べている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

株取引アプリRobinhoodが過去に「劣悪な価格」で顧客の注文を実行したというSECの告発で約67.2億円支払う

米国時間12月17日、米国の証券監視機関であるSECは、近年急速に成長している(未訳記事)手数料無料の株取引ブローカーのRobinhood(ロビンフッド)が、その歴史的なビジネス慣行の一部に対する告発を解決するために、6500万ドル(約67億2000万円)の罰金(SECサイト)を支払ったと発表した。問題の行動は2015年から2018年の間に発生したもので、SECは同社が「その最大の収益源」をどのように生成するかについて「顧客とのコミュニケーションで誤解を招くような記述や省略をした」と主張している。具体的には「ペイメント・フォー・オーダーフロー」と呼ばれるものについてだ。

SECはまた、この資金力豊富なユニコーンであるロビンフッドが、「2018年10月から2019年6月の間にウェブサイトのFAQで、その実行品質が競合他社と同等または勝っていると虚偽の主張をしていた」と述べている。実際に同社は「手数料を支払わないことによる節約を考慮した上でさえ、顧客から3410万ドル(約35億2000万円)を奪った劣悪な取引価格」で、顧客の取引を実行していたと、SECは主張している。

ロビンフッドはSECの告発を認めも否定もしなかった。

コメントを求められたロビンフッドの最高法務責任者Dan Gallagher(ダン・ギャラガー)氏は、6500万ドルの和解が「今日のロビンフッドを反映していない歴史的な慣行に関することだ」と電子メールで述べた。同社は、やや珍しい記事用発言で「最良の実行プロセスを大幅に改善し、実行品質を向上させるために追加のマーケットメーカーとの関係を確立した」と付け加えた。

ロビンフッドは、最新のペイメント・フォー・オーダーフローの書類で5つの取引企業をリストアップした。

TechCrunchは、最近の四半期にロビンフッドのペイメント・フォー・オーダーフローが、どれだけの利益を生み出したか追ってきた。同社はユーザーベースと取引量の両方を拡大し、顧客の注文をどのように実行するかによって成長する利益を上げてきた。

たとえば(未訳記事)、2020年第2四半期には、ロビンフッドのペイメント・フォー・オーダーフローによる収入は約1億8000万ドル(約186億2000万円)と、2020年第1四半期の約9000万ドル(約93億1000万円)から倍増している。もちろん、これらの数字は、和解の発表に記された時期より数年後のものだ。

【更新】このSECのニュースが発表されたのは、マサチューセッツ州証券部がロビンフッドに対して告訴状を提出してから1日も経っていないことは注目に値する。同州証券部はロビンフッドが「顧客の最善の利益を無視して積極的にマサチューセッツ州の投資家に自らを売り込み、急速に成長する顧客基盤の需要を満たすために必要なインフラと手続きを維持することを怠り、法と規則に違反する行為と慣行に関わった」と主張している。

マサチューセッツ州はロビンフッドの問責、その企業運営の改善とともに、金銭的賠償およびその他の金融罰則を求めている。マサチューセッツ州の訴状はここで読むことができる。

【更新2】ロビンフッドはマサチューセッツ州の状況について、「(同社は)マサチューセッツ州証券部による訴状の申し立てに同意しません。積極的に(同社自身を)守るつもりです」とコメント。同社は投資アドバイスを提供しておらず、「システムの規模を確保するために熱心に取り組み」、この数カ月の間にオプションサービスを改善してきたと付け加えた。

影響

ロビンフッドにはこれまで、特にこの不安定な年には一触即発の出来事があった。重要な市場の瞬間にシステムがダウン(未訳記事)したり、利用者の自殺をきっかけにオプション取引サービスの改革(未訳記事)を余儀なくされた。オーダーフローからの収入による成長が鈍化(未訳記事)しているのも見てきた。

しかし、それらの問題にもかかわらず、同社の2020年の軌道はほとんど印象的といってよい。その急速な収益により、同社は今年、拡大する評価で数億ドル(数百億円)を調達(未訳記事)し、2021年のIPO候補になった。

今回のニュースがロビンフッドの成長を完全に脱線させるとは想像しにくいが、告発が現在に近い過去の期間を対象とした場合、おそらく影響はより大きいだろう。ロビンフッドの競合他社で、先日6500万ドル(約67億2000万円)を調達したPublic.com(未訳記事)は、今回のニュースを利用することができるかもしれない。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

業務自動化のUiPathが新規上場のための書類を米証取委に非公開で提出

ものすごい勢いで成長しているロボットプロセスオートメーション(RPA)のスタートアップUiPath(ユーアイパス)が、今後予想されているIPOに先立ち、米国時間12月17日米国証券取引委員会(SEC)に非公開で書類を提出した。

同社は声明の中で「UiPath,Inc.は本日、米国証券取引委員会(SEC)にA種普通株式の公開に向けた登録届出書の草案を、非公開で提出したことを発表しました。A種普通株式の売出株式数および公開時の売出価格帯は未定です。UiPathは、SECによる審査プロセスの完了後、市場やその他の条件を勘案して、公募を開始する予定です」と述べている。

同社はこれまでAccel、CapitalG、Sequoiaなどの投資家から、12億ドル(約1240億円)以上の資金を調達している。これまで最大の調達額は70億ドル(約7230億円)という印象的な評価額で2019年4月にCoatueが主導した5億6800万ドル(約586億9000万円)だった(未訳記事)。2020年7月に評価額が102億ドル(約1兆500億円)に急騰した際には、Alkeon Capitalが主導して2億2500万ドル(約233億円)を調達した

7月の増資時には、CEOで共同創業者のDaniel Dines(ダニエル・ダインズ)氏は、IPOの考えを包み隠さず私に話した。

市場の状況を評価している最中ですし、漠然としたことはいいたくないのですが、この日に上場するという日はまだ選んでいません。市場の機が熟したときには自分たちの準備が整っているべきだというのが本心ですが、それがこれから12~18カ月後のことになっても不思議ではありません。

今回の動きは間違いなくその予想された期間の中に入っている。

RPAとは、企業が反復性の高いマニュアルタスクを取り込んで自動化する作業を支援する。たとえば請求書から数字を取り出して、スプレッドシートにその数字を記入し、買掛金としてメールを送信するタスクを、人間が触れることなく行うことができるようにするサービスだ。

企業が既存システム(レガシーシステム)を、崩したりリプレースしたりすることなく、自動化を活用することができるので、現在大きな魅力を持っている技術なのだ。同社は多くの資金を調達し、その評価額が急上昇してきたが、Airbnb、C3.ai、Snowflakeのような企業と同じように、好意的な市場の反応を得られるかどうかは興味深いところだ。

関連記事:評価額1.1兆円超に急増した業務自動化のUIPathがシリーズEで約241億円を追加調達

カテゴリー:ソフトウェア
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(翻訳:sako)

不正会計の中国「ラッキンコーヒー」が罰金186億円支払いで米証取委と和解

多くの問題を抱えた中国のコーヒーデリバリースタートアップであるLuckin Coffee(ラッキンコーヒー)は、売上高や経費、損失を数億ドル(数百億円)水増しした件で1億8000万ドル(約186億円)の罰金を支払うことに同意して米証券取引委員会(SEC)と和解した。

SECが米国時間12月16日夜に発表した(WSJ記事)。Luckinの不正会計は2020年初めに米投資会社のMuddy Waters(マディ・ウォーターズ)が最初に指摘した。疑惑に対し、Luckinは4月に内部調査を立ち上げると話した。6月にはSECがLuckinの上場廃止を検討すると述べ、7月にLuckinは粉飾を認めた(未訳記事)。

一連の騒ぎのわずか1年前にLuckinはNASDAQ上場を通じて6億5100万ドル(約670億円)を調達した(未訳記事)。同社は2017年10月に創業され、スタートアップから最速で上場企業となった企業の1社だった。

Starbucks(スターバックス)の中国におけるかなりのシェアの一部を取り込もうとしていたLuckinは、少なくとも2019年4月から2020年1月にかけて売上高を3億ドル(約309億円)超水増しした疑いがある、とSECは発表した。一部の従業員が、同社の経費を1億9000万ドル(約196億円)超を水増し、「事業データベースを捏造して、虚偽の売上高を反映させるために会計・銀行記録に手を加えた」ことも発覚した。

Luckinは、ニューヨーク州南部地区地方裁判所に提出された訴状にある疑いを肯定も否定もしていない。和解は裁判所の判断次第であり、証券保有者への資金振込は中国当局の承認が必要だ。

Luckinの不正会計の事実が調査で明らかになったことを受け、中国の当局は9月にLuckinと同社の不正に関わった45社に計900万ドル(約9億円)の罰金を科している(Reuters記事)。

詐欺スキャンダルにもかかわらず、Luckinの事業は現在も通常通り展開されている。同社と店舗のオペレーションは現在「安定かつ普通」だと同社は12月17日の発表文で述べた。

「Luckinは引き続き当局に協力し、コンプライアンスを優先します。一方で経営陣と従業員は社の安定経営に努めます」。

空売りを行う投資会社は2020年、米国で上場している中国企業を追いかけ回した。Wolfpack Research(ウルフパック・リサーチ)はレポートでBaidu(バイドゥ)が出資する中国の大手ビデオストリーミングサービスiQiyiが決算を粉飾していると指摘し、SECが調査する事態となった(CNBC記事)。中国のオンライン塾運営会社GSX Techeduも、Citron Researchによる不正会計の指摘を受けて同様にSECの調査を受けた(WSJ記事)。

「外国企業とその役員、ディレクターに米国の企業や役員と同じような責任を持たせることに多くの課題がある一方で、外国企業が連邦証券法に違反したときは投資家を保護するために我々は利用できるあらゆるリソースを今後も活用します」とSECのディレクターであるStephanie Avakian(ステファニー・アヴァキアン)氏はLuckinについての声明文の中で述べている。

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カテゴリー:その他
タグ:Luckin Coffee米証券取引委員会中国

画像クレジット:Luckin

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(翻訳:Mizoguchi

米司法省に脱税で告発された暗号億万長者のジョン・マカフィー氏がスペインで逮捕

サイバーセキュリティー起業家で暗号専門家のJohn McAfee(ジョン・マカフィー)氏は、米国時間10月5日にスペインで逮捕され、脱税と詐欺の罪で米国に強制送還される見込みとなり、波乱の行動に終わりが近づいたようだ。

米証券取引委員会(SEC)はマカフィー氏に対し、複数のICO(新規仮想通貨公開)トークン販売を宣伝するために2310万ドル(約24億4000万円)相当の暗号化資産を受け取りながら、そのことを公表しなかったことを告発した。さらに、米司法省(DOJ)はマカフィー氏を脱税の多数の訴因(米司法省リリース)で告発し、連邦政府に支払うべき所得税の支払いを「意図的に回避しようとした」と主張している。

司法省は逮捕および告発文書を発表した(米司法省リリース)説明で、告発はマカフィー氏個人に向けられたものであり、「彼の名を冠したアンチウイルス会社」との関連は見つからなかったと説明した。

司法省によるマカフィー氏の告発は、簡潔ながらこの起業家に対する10件の訴因が述べられてる。マカフィー氏は脱税による5件の訴因により最大5年の懲役、並びに「意図的な納税申告不履行」の訴因5件で、1件につき最大1年の懲役を科せられる。

SEC報告書はもっと興味深いもの(CourtListenerリリース)で、マカフィー氏が2017年と2018年にかけて多数のICOを偽って宣伝した疑いの捜査内容が55ページにわたって詳しく書かれている。報告書にはマカフィー氏が7件のICOを宣伝した見返りに、1160万ドル(約12億3000万円)相当のBTC(ビットコイン)とETHのトークンを受け取った疑いを指摘している。残念ながら裁判に名前は出てこない。彼は他にも、宣伝したトークンを1150万ドル(約12億2000万円)相当受け取ったと、訴訟は主張している。

本誌はジョン・マカフィー氏に連絡を取りコメントを求めている。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:SEC / 米証券取引委員会DOJ / 米司法省ジョン・マカフィー

画像クレジット:Gage Skidmore / Flickr
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電気自動車メーカーNikolaに対する空売りのクレームを米証券取引委員会が調査中

米証券取引委員会(SEC)は「電気自動車メーカーのNikola(ニコラ)が『複雑な詐欺』に関与している」という情報を調査していると報じられている。これは、GM(ゼネラルモーターズ)がNikolaの株式の11%を取得した数日後の先週、一連の問題の発端となった。

Bloombergは米国時間9月14日、空売り業者であるHindenburg Research(ヒンデンブルグ・リサーチ)の告発の是非を評価するために、米国の機関がNikolaを調査している(Bloomberg記事)と報じた。ブルームバーグの報道は、無名の情報源に基づくもだが、時間外取引でニコラの株価は9%以上も下落した。

TechCrunchに送られてきたニコラの声明では、SECが実際に調査しているかどうかという質問には答えていない。同社は9月11日、ニコラの顧問弁護士がSECの「Hindenburg報告書に関する懸念事項」について「積極的に連絡し、説明した」と述べている。

「Nikolaはこの問題へのSECの関与を歓迎する」と同社は声明の中で付け加えている。TechCrunchは、SECがこの問題を調査していることを確認するために、SECに連絡を取っている。

HindenburgとNikolaの間で先週始まったこの騒動により、ここ数カ月でNikolaの過去の主張の一部に疑問が噴出している。9月10日に発表されたHindenburgの報告書はNikolaの株を下落させ、同社の創業者は懸念を払拭するためにTwitterで説明した。この報告書は、Nikolaの長年にわたる主張の正当性と縁故主義について疑問を提起した。

Nikolaは9月14日に、Hindenburg 報告書を反証するための丁寧な言葉でポイントごとに反論した(未訳記事)。否定したり、説明したりしている各ポイントについて同社は「空売りによるこれらの主張は虚偽であり、誤解を招くものであり、市場を操作してNikolaの株価の下落から利益を得るように設計されています」という声明も発表した。

Nikolaは9月14日に発表した反論の中で「Hindenburgの報告書はNikolaとGMとの提携発表直後にタイミングを見計らって発表され、結果として株価が上昇したことは投資家に誤った印象を与え、Hindenburg自身を含む空売り業者に利益をもたらすための市場操作を目的としたものであると考えています」と述べている。

Nikolaの長い報告書にもかかわらず、同社の以前のプロモーション戦術、特に最初の水素電気セミトラックのプロトタイプであるNikola Oneをめぐる批判が出ている。

画像クレジット:Nikola Motor

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(翻訳:TechCrunch Japan)