わずか2行のコード追加でIPベースの音声とビデオを搭載可能になるチャットAPI

チャットのAPIで成功したSendBirdは米国時間3月26日、それに音声とビデオを加えたことを発表した。CEOで共同創業者のJohn Kim(ジョン・キム)氏はTechCrunchに「テキストによるメッセージングだけでなく音声通話とビデオの録画を加えて対話機能を拡張したい。それによって、もっと総合的なAPIを利用できるようになる」と語る。

その新しいツールはIPベースの配信システムを使うので電話回線は必要ない。これによって、Twilioのような人気の高い通信APIプラットホームと差別化できるだろう。

キム氏によると、チャットAPIでは今や彼の企業がトップで、毎月1億の対話を提供している。それによって、ライドシェアやフードデリバリーなどのオンデマンドサービスや、オンラインのマーケットプレースとコミュニティが成り立っている。「最近では、デジタルヘルスのアプリケーションが伸びていて、特に今の新型コロナウイルス(COVID-19)の危機の間はテレヘルスのアプリが医療アドバイスをもらう実用的な方法だからますます伸びるだろう」とキム氏は言う。

「音声とビデオを加えればそのぶんサービスを支えるリソースも増えるが、SendBirdはすでにそれらに対応したプラットホームになっている」と同氏。「おそらくSendBirdの差別化要因は、スケール能力だ。だから需要が増えても技術的には何ら問題ない」とのこと。

課金は分単位。それが音声とビデオに関する業界のベストプラクティスだ。SendBirdを使えば、自分のアプリにわずか2行のコードを追加するだけで音声とビデオ機能を加えられる。しかし同じような価値命題を最近MasterCardが買収したPlaidやTwilioやStripeも表明している。でも、高度なAPIを簡単に使えずに自分で音声やビデオ機能を実装するとしたら、それは大変すぎる。

SendBirdは2013年創業で、Y Combinatorの2016年冬季に参加した。今社員は200名あまりで、PitchBookによると1億2000万ドル(約130億円)以上を調達している。同じくPitchBookによると、評価額は昨年5月現在で2億8700万ドル(約312億円)あまりだ。そのとき同社は5000万ドル(約54億円)の拡張シリーズBを発表し、シリーズBの総額は1億200万ドル(約111億円)になった。

関連記事:メッセージングAPIツールのSendBirdが第2次シリーズBで累計約133億円調達

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アプリ内チャット提供のSendBirdがアップデート、モデレーションや全文検索など新機能追加

アプリにチャット機能を提供しているSendBirdがウェブ版、モバイル版の双方でメジャーアップデートを発表した。これには新しいAPIやサービスの新機能が多数含まれる。ユーザーがニーズに合わせてカスタム管理ツールを構築するのが簡単になった。またチャットに対するリアクションや配送確認などを追加する機能も改善された。

SendBirdは韓国のソウルで設立されたスタートアップで、現在世界で9000万人のアクティブユーザーにサービスを提供し、月間約15億のメッセージを処理しているという。SendBird CEOであるJohn Kim(ジョン・キム)氏は、インタビューに対して「我々のサービスはオンデマンドアプリに強く、この分野のユーザーにはGojek、iFood、Delivery Heroなどがある。またCarousell、Paytm、Traveoka、SSGなどのマーケットプレイス、Reddit、Dream 11、(US)Yahoo Fantasy Sportsなどのコミュニティサイト上のビジネスにも適している」と述べた。(情報開示:US Yahooの親会社はTechCrunchと同じくVerizon Media Group)。

またキム氏は「最近は、ヘルスケア分野での医療サービスの提供者と対象者間のチャットや福利厚生ビジネスでのチャットで大きく成長している。ユーザーはデジタルファーストのサービスに多く、Accolde、Livongo、Grand Roundsなどが利用している。 ゲーム、デート、ライブストリーミングの分野にも顧客が多い」と述べた。

今日のアップデートでは、特にサービスのモデレート機能の強化に力を入れているという。画像のモデレートでは不適切な画像を削除できる。また特定の単語を指定してそれらを含むメッセージが出ないようカスタマイズできるRegExフィルターも提供される。新しいGDPR(一般データ保護規則)に準拠したAPIやモデレーションAPIが提供されるため、ユーザーは自社でカスタマイズした機能を組み込んでアプリのオプションを拡張できる。

また何らかの理由でサービスが中断されたときにメッセージをローカルにキャッシュするオフライン同期機能、メッセージの機械翻訳を強化するオンデマンド翻訳機能、プッシュ通知を翻訳する機能も追加された。

機械翻訳への注力には理由がある。SendBirdのユーザーベースはグローバルであり、以前からアジア太平洋地域では強みがあった。しかしキム氏によれば(機械翻訳機能の強化は)ユーザーベースがアジア太平洋地域に加えて、アメリカ、ヨーロッパ、中東、アフリカにも急速に拡大していることに対処するものだという。

もっともユーザーにとっての最も大きな変化は、ユーザーがメッセージにリアクションを追加できるようになったことだろう。これによりSendBirdのサービスはスマートフォンを利用する他のメッセージアプリの機能に追いついた。また配送確認と全文検索機能も追加されている。

インタビューで「なぜアプリ内チャット市場が離陸しつつあると考えたのか?」と質問すると、キム氏は次のように答えた。

「結局、電話やファックスもチャット、メッセージのテクノロジーだった。インターネットで最初に人気を得た使い方もチャットルーム、IRC、ICQなどだった。デスクトップ時代にチャットはモデムへのアクセスが必要だったため、利用は固定回線がある場所に制限されていた。しかしモバイル時代になり3G/4GネットワークとWi-Fiへのアクセスが手軽になると、チャットが民主的なメッセージングサービスとしてグローバルに普及した。スマートフォンが(中国やインドなど)人口の多い国に普及し、こうした地域ではデスクトップのテクノロジーを飛び越してモバイルチャットの時代となった」

キム氏は、チャットの分野はネットワーク効果で市場がごく少数(WhatsApp、WeChat、Facebook Messengerなど)のサービスに集中し、すべてがよく似たものになってきたと考えている。つまりユーザーは、メジャープレイヤーのチャットと同様の機能を備えているサービスでなければ日常利用しようとしない。

「モバイルアプリの提供者はこうしたトレンドに追いつき、チャットという新しい標準的機能をアプリに追加する必要がある。しかしほとんどのアプリ提供者にはこれを実現して競争に役立てる能力やノウハウがない。そこでチャットAPIにニーズが強く集まることになる」とキム氏は述べた。

[原文へ]

滑川海彦@Facebook

メッセージングAPIツールのSendBirdが第2次シリーズBで累計約133億円調達

米国時間5月6日、数行のコードを追加するだけでアプリにメッセージング機能を組み込める技術を開発、販売しているスタートアップのSendBirdが、第2次シリーズBで5000万ドル(約55億3000万円)を調達したことを発表した。同社が2月に調達した5200万ドル(約57億5000万円)に、さらに追加されたことになる。

新たな調達を主導したのはTiger Global Managementで、第1次シリーズBを主導した投資会社のIconiqからも多額の資金を得ている。Crunchbaseのデータによれば、調達した資金は今回までの合計で1億2000万ドル(約133億円)を超える。

これはシリーズBレベルの企業としては巨額の資金調達だ。このように多額の資金が投資される背景には、アプリ内でのユーザー間メッセージングには巨大な需要があり、市場が急速に成長していることがあると考えられる。メッセージング機能をAPIサービスとして提供すれば、開発者はスクラッチからビルドすることなく自分のアプリにその機能を組み込むことができる。これはコミュニケーションにおけるTwilioや支払いにおけるStripeと同様の価値提案だ。

SendBirdのCEOであるJohn Kim氏は2月に実施した最初のシリーズBの際に、同社はアプリ内メッセージングの機能を開発者が簡単に組み込めるようにすることを目指すと語っていた。

とても柔軟で完全にカスタマイズ可能なホワイトラベルのメッセージング機能です。フルマネージドのインフラストラクチャを提供しています。つまり、モバイルアプリやWebサイトにログインすれば、弊社のメッセージング機能を利用できます。

Kim氏は、今回の追加資金調達は同社が市場に進出する戦略を加速するタイミングで実施したものだという。同氏はTechCrunchに対し「マーケティングとセールスからスタートした後、事業における重要な分野のリーダーを雇用し、そのリーダーたちを中心としたチームを構成することで、私たちは市場進出の推進力を得てグローバルなプレゼンスを拡大しています。このプロセスを加速させるために、シリーズBでは私たちがターゲットとする市場に対してこれまで多額の投資をして強い関係を持っている新たな投資家の協力を得ました」と語っている。

SendBirdは2013年に韓国で設立され、現在の従業員数は100人以上、本社はカリフォルニア州サンマテオにある。同社は2016年のY Combinator冬クラスに参加していた。

画像:Tim Robberts / Getty Images

[原文へ]
(翻訳:Kaori Koyama)

どんなアプリにもチャット機能をつけられるSendbirdはデベロッパーの苦労を減らす

customer_beat

John Kimと彼のチームが、ご近所のママたちを結びつけるコミュニティアプリケーションSmile Mom を作ったとき、ある問題にぶつかった。そのアプリにメッセージング機能を持たせようとしたけれど、既製のコンポーネントやサービスには良いのがなかった。

結局自作したのだが、そうするといろんな友だちが、自分のアプリに使いたいと言い出した。そこでKimたちは、消費者アプリからデベロッパーソリューションに看板を変えて、汎用APIのあるメッセージングサービスSendbirdを作った。それは、デベロッパーが自分のサービスに簡単にチャットを加えられるための、SDKだ。彼らは会社を作ってY Combinatorで勉強し、今日(米国時間2/12)公式にローンチした。

Kimはゲーム専門だったから、‘チャット機能があれば…’という問題を、かねてから痛切に感じていた。今ゲームはほとんどモバイルだから、プレーヤーたちのコミュニケーションが重要なニーズになる。とくにゲーム製品の多いスタジオでは、複数のゲームにまたがるコミュニケーションが重要だ。複数のゲームに、連続感が生まれるのだ。AゲームからB ゲームへ、簡単に移行する。プロのゲーマーだったKimは、彼の最後のスタートアップ、ゲームスタジオPaprika Labsを2012年にGREEに売った。

Kimは語る、“ソーシャルゲームを作ってるとき、チャットを二度も作ったことがある。しかしどのゲームでも毎回それを書くのは、たいへんだ。まるで、毎回々々、車輪を再発明してるみたいだからね。チャットはアプリの重要な機能だけど、スタートアップはデベロッパーの数も限られているから、アプリ本体の開発にすべての労力を取られてしまう”。

最初、Sendbirdは中小企業対象と思っていたが、Parseの協同ファウンダーIlya Sukharの話を聞いてからはエンタープライズにも注目するようになった。実は、ケータイにSMSしかないころから、企業はいつも消費者とテキストでコミュニケーションしていたのだ。

エンタープライズを相手にすれば、小さなアプリデベロッパーを相手にするよりも、大きなビジネスができるかもしれない。Sendbirdは有料会員制で、そのチャットサービスのユーザー数に応じて課金される。また、面倒なサポートは有料になる。

Kimの悟り: “技術が消費者製品から企業向けに広がっていくのが、進化の自然な方向だ。だから、今のわれわれは正しい路線に乗ってると思う”。

どこかで聞いたような話だな、と思ったら、2013年にTechCrunch Disruptで優勝したLayerの、2200万ドルの資金調達だ。.Sendbirdと同じような業態だが、チャットの機能はかなり違う、とKimは主張する。たとえば、同じルームでチャットできる人の人数は、Sendbirdでは無制限だ。

Layerにも、月間アクティブユーザー数を無制限にするプランはある。ほかにも、Twilioが同様のサービスをリリースするなど、コンペティターはけっこういる。

Sendbirdは、社員が15名。出身は韓国だ。今はサンフランシスコだが、それは、今後世界展開をしたいためと、B2Bのスタートアップがサンフランシスコに多いからだ。サンフランシスコは“食物連鎖の上の方だからね”、とKimは言う。サブプライム住宅ローンの危機以来、韓国ではスタートアップの立ち上げが難しくなってることもある。

Sendbirdが使われているアプリは、今340ある。その全ユーザーは各月で約200万だ。今同社は、Slackなどのように、ボットの統合化を進めている。つまり、いろんなサードパーティサービスをボットとしてアプリのメッセージング部分にくっつけるのだ。メッセージングから、いろんな機能を呼び出せるようになる(メッセージングを閉じずに)。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa