Googleは世界を壊滅状態に追い込むか?

骨太のGoogle論が魅力のSEO Bookが、米国で最近出版され話題になっている本「Who Owns the Future?」をベースにGoogleと世界の関係について書き下ろした熱い記事を。検索エンジンからメール、各種サービスまで、私含め多くの人々が様々な恩恵を受けておりそれなしには生活できない存在になっているGoogleですが、Googleをはじめとするネット技術の革新と普及により失われていったものも数多くあります。「IT技術が人の仕事を奪う」という話は日本でも昔からいわれてきた議論ですが、その現状と未来について改めて考えさせられる内容です。 — SEO Japan

当初は、目立たない存在であった。

街の郊外に一店あるのみであった。大きな、一体型の店舗であった。この店は、主に輸入された製品や委託された製品等、大量の安価な品物を売りさばいた。従業員の給与、そして、納入業者の利鞘は限界まで抑えられていた。

そして、この小売店は数を増やしていった。

規模を拡大するにつれ、この店は大通りの空洞化を招いた。大通りの店舗と巨大な店舗との力の差は歴然としていた。巨大な店舗が市場に与える影響には、歯が立たなかった。巨大店舗が持つ莫大なデータを分析することで得られる独自の情報には、太刀打ち出来なかったのだ。

ご想像通り、この巨大な店とは、ウォルマートである。

好き嫌いは別にして、ウォルマートは、人々が求めるものを与えた。しかし、そのために、アメリカの中流階級に大きな打撃を与えた。多くの小売店が廃業に追い込まれ、メインストリートの店が姿を消していった。中流階級に安定した収入を与えていた、小規模な家族経営の小売店が消えていった。

どこに行ってしまったのだろうか?

数を減らしたのは、小規模な個人営業の小売店や町工場のメーカーだけではない。この効果はその他の分野にも波及していった。このような中小企業が利用していた地域の会計士、弁護士、広告会社、金融会社、そして、中流階級の経済を調整していたサービスプロバイダーに対する需要が減った。

その結果、やはり彼らも姿を消すことになった。

ウォルマートで仕事を見つけた人もいるだろう。無職になった人もいるはずだ。事業を閉鎖し、早く退職した人もいる。仕事を変えた人もいれば、顧客が多い土地への引っ越しを余儀なくされた人もいるのではないだろうか。

それがインターネットとどのような関係があるのだろうか?

インターネットでも同じ現象が起きているのだ。

零細企業を経営しており、インターネット版の大通りと言える場所に事業を展開している、または、零細企業のビジネスのオーナーに収益が左右されるなら、この記事を読み進めていってもらいたい。

テクノロジーはミドルクラスを壊滅状態に追い込むのか?

ジャラン・ラニエ氏が綴った本「Who Owns The Future」をたった今読み終えた。この本を読むと、インターネットを利用しているなら – そして、少しでも中流階級に該当するなら、自分達の現在および未来について切実な疑問が脳裏をよぎるはずだ。

次の指摘について考えてもらいたい。

写真用品会社のコダックは、全盛期に14万人もの従業員を抱え、280億ドルの価値があると言われていた。コダックは初めてデジタルカメラを販売した企業でもある。しかし、コダックは破産した。そして、現在、デジタル写真の分野において頭角を現しているのがインスタグラムである。フェイスブックに10億ドルで売却された際、このサービスを運営しているのは、たった13名であった。

インスタグラムにとっては最高の状況だが、コダック、そして、コダックの元従業員にとっては、最悪の結果であった。しかし、進化には代償が付きものだと主張する人もいるだろう。コダックのビジネスモデルは廃れ、テクノロジーに飲み込まれてしまったのだ。

これは真実である。そして、進歩である。あらゆる行動が結果をもたらすと言う主張も的を射ている。ラニエ氏によると、革新的なテクロノジーが現れ、大きなテクノロジー企業が価値の多くを保有する場合、中流階級を破壊する結果をもたらす可能性があるようだ。

ラニエ氏は、テクノロジーの進歩は、奪う仕事の数ほど新たな仕事を生むわけではなく、また、仕事を失う人の中では、ミドルクラスに属する人達が増えつつあると指摘している。

(多分)政治とは無関係

この記事では政治を巻き込みたくない。ただし、全ての変化には、本質的に政治が絡んでいる。それでも、政治的な側面には触れないつもりだ。この問題は、政治の範囲を超えている。テクノロジーがもたらす空想的なアイデアやメリットには異論はなく、また、技術革新を反対する時間もない。

しかし、テクノロジーによってもたらされる富と力においてシフトチェンジが行われた結果、そして、インターネットの価値連鎖の中にいる人達が、労力に対して十分な価値を得ているかどうかは、熟慮に値する。

資本主義の本質とは異なり、価値が全体に流れなくなると、一部の人達しか利益を得られなくなる。以前よりも家の中で過ごす子供達は長生きしているだろうか?同じ仕事量をこなすため、以前よりも長い時間働いているだろうか?価値連鎖は壊れてしまったのだろうか?修復するには何をすればいいのだろうか?とラニエ氏は問いかけている。

インスタグラムは本当に10億ドルに値するのか

ラニエ氏は、インスタグラムは10億ドルに値しないと指摘している。なぜなら、非常に優秀なスタッフが素晴らしい仕事をしているためだ。

インスタグラムの価値はネットワーク効果によって算定されたものだ。

インスタグラムを利用する大勢のユーザーがインスタグラムのネットワークの価値となっている。このユーザーベースがなければ、インスタグラムは単なる写真アプリに過ぎない。

最終的に誰が得をするのだろうか?ネットワークに価値を与えるユーザー達ではない。上でネットワークをまとめるほんの一握りの人達 – 「サイレンサーバー」を所有する人達だ:

権力は、ラニエ氏が「サイレンサーバー」と呼ぶ – ユーザー達が無償で提供し、また、一部の飛び抜けた裕福な人達によって、金銭的なメリットとして、許可なく利用されている、生活に関する情報を保有する巨大な企業のレポジトリに存在する。

価値は、ネットワークを構成する全ての人達によって作られるものの、その多くはデジタル処理ツールと言う形で価値のひとかけらを受けるだけである。メリットを得るためには、自分でサイレンサーバーを所有するか、あるいは、サイレンサーバーとの距離を縮める必要がある。

同様に、グーグルの価値の大半もユーザーのネットワークによって生み出されている。グーグルのユーザーは、単純にグーグルを利用することで価値を与え、その結果、グーグルにコンスタントにデータを提供しているのだ。これがグーグルの価値を高める仕組みである。提供するサービスにおいてはグーグルとビングの間に大きな差があるわけではないが、オーディエンスのサイズの差によって、価値に大きな違いが生じする。Orkutよりもフェイスブックの価値が高い理由も同じである。

価値を与えているのはユーザー

グーグルはユーザーからデータを得ている。ウェブパブリッシャーは、無償でグーグルに作品を提供し、グーグルのネットワークに価値を与えている。その後、グーグルは収集した情報のそばに広告を掲載するために、スポンサーに広告料金を請求する。

なぜパブリッシャーはこんなことをするのだろうか?

パブリッシャーは、トラフィックを得られると期待し、このトラフィックからメリットを享受するため、作品をグーグルに提供している。一部のパブリッシャーは実際に収益を得ており、住宅、食べ物、洋服等、現実世界の経費を賄っている。しかし、大半のインターネットパブリッシャーは、この非公式の取引から収益を得ていない。一部のパブリッシャーは大儲けしている。インターネットパブリッシングにおいて、ロングテールは非常に長い。富と権力の大半は、ヘッドに集中している。

同様に、グーグルのユーザーは、個人情報をグーグルに贈呈している。

グーグルを利用する度に、ユーザーはグーグルに価値のある個人情報を提供している。検索クエリ、閲覧パターン、eメールでのやり取り、連絡先のネットワーク。この情報をまとめて、パターンの分析を行い、パッケージに詰めて、その後、グーグルは広告スポンサーに販売する。

グーグルはユーザーにどんな見返りを与えているのだろうか?

ウェブサービスだ。

価値をフェアに取引していると言えるのだろうか?

ラニエ氏はフェアではないと指摘している。グーグル等の企業が籍を置くエコシステム – ミドルクラスの仕事量、そして、支出の選択肢 – そのものを破壊する可能性があるほど、不釣り合いな価値の交換が行われている。パブリッシャーが妥当な生活費を稼ぐことが出来ないなら、配信される作品の質は下がる、あるいは、作品自体が姿を消すことになるだろう。

オフラインを含め、その他の方法で収益を得ることは可能である。しかし、ウェブが既に多くのオフラインのビジネスに影響を与えている点を忘れないでもらいたい。音楽業界は、10年前と比べてみても、かつての盛況ぶりが嘘のように衰えている。音楽業界での中流階級の仕事は大幅に減っている。小規模な小売店は、オンラインストアに負けている。そのため、小売店の仕事の数も激減している。報道業界はほとんど収益を上げていない。出版社にも同じことが言える。オンラインアグリゲータが価値連鎖を断ち切ったため、上述した業界は苦戦を強いられているのだ。

次に、こういった業界を支える業界を考慮してほしい。 そして、健康、図書館、学習等、近いうちに影響を受ける業界についても考えてもらいたい。ミドリクラスを主に採用している会社は廃業、縮小、あるいは、価値の多くをインターネットに奪われてしまう。

当然ながら、中流階級の生活を破壊することがグーグルの目的ではない。私は反グーグルを訴えているわけではなく、単純に行動と結果に注目しているだけである。テクノロジー、特に、大きなウェブ企業はどのような影響をもたらしているのだろうか?その多くは、密かな、私有の場所にユーザーを出来るだけ閉じ込めておく行為に取りつかれているように見える。

グーグルの目的は、世界中の情報をインデックスし、公開することである。素晴らしい目標だ。便利であり、無料で利用することが出来る。しかし、ラニエ氏は、中流階級の骨抜きは再コンテキスト化の副作用であり、その結果、情報の価値が低下すると主張している。情報は無料の方が好ましいかもしれないが、情報を作成する人達は報酬を貰えないことになる。報酬を得ている人達の多くは、組織が弱く、事業の運営を維持するために、作品の質を落とすことを厭わない可能性がある。既に吟味されていなプレスリリースをメジャーなニュースサイトが配信している。今後の展開が気になる。

「共有」- つまり「贈呈」- を促すメッセージが至る所で見られるが、共有は大きなテクノロジー企業自体には及んでいないようだ。

クリックごとに料金を請求している。

robots.txt

グーグル、または検索エンジン全般を嫌いなら、検索エンジンをrobots.txtを使ってブロックするべきだと言う意見がある。これは、都会が嫌いなら、山の中に引っ越せと言っているようなものだ。実際に引っ越すことは可能だが、都会をもう少し住みやすい場所に変え、活気を与え、その中で成功したいのが本音である。

グーグルは便利なツールを提供している。私はiPhoneを利用するようにグーグルを利用している。取引の内容を理解しているし、情報を提供する代わりに利便性を手に入れている。しかし、この取引は、基本的にグーグルによって決められたものだ。ラニエ氏は、個人、そして、零細企業だけでなく、大きな情報サービス自体にもメリットを与える解決策を提案している。

循環するマネー

テクノロジーの改善は、成功をもたらし、強固な中流階級を生み出した。しかし、現在のテクノロジーの改善においては、商品化されているものが情報そのものであり、これが違いをもたらしている。 情報に対するインターフェースとして動作するソフトウェアによる管理が進む世界では、情報を商品化すると、その他の全ても商品化されることになる。

情報を作る人達が報酬を得られない場合、質が下がる、もしくは、量が減少する現象が起きるだろう。現実の世界で購入するものが減り、その結果、グーグルやフェイスブックの広告スポンサーにとって、アピールするオーディエンスが少なくなることを意味する。

ある社会的な概念から全てが始まった。21世紀の代わり目にグーグルのセルゲイ・ブリン氏によって、全ての情報サービスを提供し、その一方で広告から報酬を得ることで、情報を無料で公開しつつ、資本を流通させることが出来ると言う考えが生まれたのであった。しかし、通常の経済の決まりごとを守っていないと言う問題点が存在する。また、非常に範囲が狭いため、参加することで自滅する資本主義とも言える。勝者が全てを獲得する資本主義であり、これでは長続きするはずがない。

確かに長期的に維持することは出来ないだろう。一人の勝者が全てを得るシステムでは、富と力を頂上にいる一部が握りしめ、その他の人達はロングテールに群がる。グーグルは、AP、AFP、そして、その他の欧州の報道機関等の大型のパブリッシャーと手を組んでいるが、この契約は小規模なパブリッシャーには適用されていない。スポーツの世界にも同じことが言える。トップの選手はとんでもない大金を得ているものの、少しレベルが下がると、スズメの涙ほどの収入しか貰えず、家賃さえ支払うことが出来ない。

それでも、テクノロジーによって新たな仕事の機会が生まれているのではないだろうか?コダックを解雇された人達は、別の職を探せばいいのではないだろうか?

高度なテクノロジーのイノベーションが立て続けに起きているものの、過去の技術の進歩ほど多くの仕事が生まれているわけではない。フェイスブック等の象徴的なベンチャー企業は、例えば、ゼネラルモーターズのような大企業と比べ、採用する人数が圧倒的に少ない。 要するに、物々交換と評判で構成される非公式な経済に一般人の生産力の大半を導き、その一方で、抽出した富を自分達で独占しているのだ。デジタルネットワーク上で行われる全てのアクティビティは鞘取りの対象となり、ある意味、リスクはコンピュータの利用が少ない人達に向かう。

このような環境で力を発揮することが出来る人達は、グーグル等、ビッグデータを保有する企業に雇用される可能性がある。あるいは、起業および適応する能力を持ち、データを持つ企業 – ウォルマート、グーグル、フェイスブック、あるいは、大きな金融企業 – に貢献する、または利用することが出来る可能性がある。しかし、ラニエ氏は、このような企業が生まれた仕組みで社会を維持するためには、単純に仕事の数が少なすぎると指摘している。

ラニエ氏は、この状況は、あまりに多くの人々から、あまにりも早く生活の権利を奪ってしまうと主張している。この現象が起きると、ネットワークを保有する成功を収めたオーナーを含む、あらゆる人々にとばっちりが及ぶ。必要とされる情報の活性化を可能にする価値への見返りを渋ることで、貧窮していくのだ。ごく一部の人しか利益を得られない状況では、購入意欲が鈍るのは致し方ない。

検索エンジンであれ、ソーシャルネットワークであれ、保険会社であれ、あるいは、投資信託であれ、ネットワークは情報を使って、力を集中させている。ラニエ氏は、こういった企業は同じ仕組みで動いており、全て似た者同士だと指摘している。このような企業はネットワーク効果を利用して、ビッグデータを掘り出し、分析を行い、その結果、小規模な競合者、そして、その周りに存在する経済を犠牲にして、成長していく。

意図が何かは関係ない。テクノロジーは中流階級の繁栄を妨げる可能性があり、この現象が起きると、最終的に全体が損をすることになる。

どのような解決策が考えられるのか?

数日前、グーグルのスパム対策を統括するマット・カッツ氏が、動画で今後のグーグルの変更についてサイトのオーナーに情報を提供していた

グーグルは、ペンギン 2.0と呼ばれるウェブスパムの変更を行うと発表した。ペンギン 2.0は、アドバトリアル、記事広告に“目を光らせる”と言われており、このタイプの配信形式に対して“強硬な措置”を取るようだ。また、リンクスパムの効果を弱めるため、“上流に上る”とグーグルは指摘している。 

当然、グーグルがこのような動画をリリースすると、ウェブマスターのコミュニティは激震する。グーグルは変更を加え、この変更によって、ウェブマスター達は得をする、または、ピンチに追い込まれることになる。

この点に関して最も興味深いのは、力の関係だと私は思う。グーグルの検索結果で上位にランク付けしてもらいたいなら、交渉する余地はない。グーグルの命令に従わなければ、大負けするためだ。グーグルの言いなりになったものの、負けを見ることもある。富と力はパブリッシャーに分配されるのだろうか?

その答えはノーだ。

最近、グーグルは、リンクネットワークを再び葬った

その後、カッツ氏はさらに同様のネットワークを追うと警告している。富と力はリンクの買い手や売り手にもたらされるのだろうか?

答えはやはりノーである。

検索エンジンの価値を下げると感じたサイトを削除、または、低く評価する方針自体は間違えていない。グーグルは検索の仕組みを確立した。しかし、検索は、トピックが外れたジャンクを使って結果を容易に操作されるようになった12年前に終わっている。この問題の解決策の利益がグーグルに流れこむようになったのだ。

グーグルのような企業に余りにも多くの富が流れこむことで、グーグル自身の経済の大半を破壊してしまうのではないかと言う疑問が存在する。グーグルは、単なるプレイヤーではなく、非常に影響力が強いため、中心として計画を立てている。 マット・カッツ氏は製品の品質管理を行っているが、顧客はパブリッシャーではなく、スポンサーである。

また、グーグルの動画が指摘していない点に注目してもらいたい。カッツ氏が登場する動画は、ビジネスがより大きな成功を収める方法を紹介するものではない。グーグルがより大きな成功を収めるために、グーグルの望み通りにパブリッシャーを動かそうとする魂胆が丸見えである。意見が合う、合わないは問題ではない。なぜならグーグルに逆らうことは出来ないためだ。

これが取引である。

ウォルマートの懸念材料が町の小さな子売り店ではないように、グーグルの懸念は、ウェブマスターではない。グーグルが重視しているのは、企業の目標を達成し、株主に対する価値を強化することである。影響はグーグルやウォルマートのせいではない – グーグル、そして、ウォルマート自体が影響なのだ。

グーグルが目標を達成しようとする影響は、パブリッシングの価値をえぐり出し、その結果、多くの中流階級の価値をくり抜く。グーグルの自動運転する自動車のプロジェクトは、- グーグルが焦点を絞る傾向が見られる – テクノロジーの観点では確かに魅力的に映るが、少なくとも公の場では、このテクノロジーの導入によって影響を受ける人達、具体的に名前を上げると、タクシードライバーや配送業者のドライバーの身に何が起きるのかを全く考えない人達にとっては、さらに魅力的に映るのかもしれない。通常、移民がこの層に当たる。貧しいものの、将来性が豊かな人達だ。

この社会的な影響はグーグルには気にならないようだ。

それでは誰が懸念を持つべきなのだろうか?

やはりグーグルが重視するべき問題である。なぜなら、長期的な視点でみると、グーグルにプラスに働くためだ:

現在、ギターメーカーはグーグルを介して広告を行っている。しかし、ギターのデザインが3Dプリンターで行えるようになり、ギターのデザインが“無料”になったら、誰も広告を買わなくなる。しかし、グーグルにとって、無料で提供するこの情報は生命線である。この情報をグーグルのサーバーは整理している。長期的な視点で考えると、現在のグーグルのビジネスモデルには落とし穴があると言わざるを得ない。

ラニエ氏は、マイクロペイメントを介して、全ての関係者に報酬を分配し、ウェブパブリッシャーに価値に対する見返りを与えるべきだと主張している。コードであれ、写真であれ、音楽であれ、あるいは、記事であれ、自分が所有する作品を保有している限り、支払いは継続される。

例えば、ブログで記事を作成し、誰かが記事の一部を引用した場合、小額の支払いを受ける。引用される回数が増えれば増えるほど、適切な存在と見られるようになり、その結果、より多くの報酬を受け取るようになる。検索エンジンにページをインデックスされると、見返りが与えられる。誰かがページを閲覧すると、マイクロペイメントを受け取る。同様に、誰かの作品を見たら、料金を支払う。検索を行う場合、グーグルのコードを利用することになるため、グーグルに対価を支払う。支払いは、一つ一つを見ればごく僅かだが、塵も積もれば山となる。

このシステムを作る上では大きな技術的な問題が存在するが、ヘッドからテールに金銭を流す効果は見込める。他人が作った無料のコンテンツで帝国を築くのは難しくなるだろう。つまり、コンテンツの作者にお金を返すのだ。

また、こうすることで海賊版の問題も解決される。コンテンツのプロデューサーは、より多くの人々にコピーしてもらい、リミックシしてもらい、再配信してもらいたいはずだ。それだけ支払われる金額が増えるためだ。また、ラニエ氏が提案する双方向のリンクメカニズムを導入することで、所有権とクレジットを記録し、誰がコンテンツを利用しているのかを把握することが可能になる。

情報は無料ではなくなる。しかし、広義において、手頃な価格で得ることが出来る。また、製作に対する見返りを与えるメカニズム、そして、最も適切な情報に最も多くの見返りを与えるメカニズムも存在する。インターネットへの貢献度が高ければ高いほど、コンテンツを利用する人が多ければ多いほど、より多くの収益を得られる。僅かな金額の支払いだが、徐々に増加し、継続的に行われる。

興味深い疑問

今回紹介した疑問が気になったのなら、ジャレン・ラニエ氏が執筆した「Who Owns The Future」を読んでもらいたい。時折、まとまりのない主張が続き – 良い意味で – 脱線することもあるが – 良い意味で – それでも、とても知的で、思慮深い人物である点は十分に伝わってくるはずだ。ラニエ氏は、とても重大で、適切な質問を投げ掛けている。そして、その答えは粗く、異議、主張、議論の対象となるべきであり、そして、詳しく説明してもらいたい。

大きなテクノロジー会社が、世界を変えるような難問に立ち向かうためには、全ての知力、富、そして、力を、奪い去るよりも早いペースで、エコシステムを豊かにするために活用する必要がある。


この記事は、SEO Bookに掲載された「GoogleMart」を翻訳した内容です。

軽く感想を書くのもおこがましい重くハードなテーマですが、今日世界で台頭してきた世界を代表する巨大ネット企業、従来企業と比較して時価総額や売り上げと比較して雇用の数が少ないのは確かです。さらに彼らが提供する世界や技術革新で仕事を奪われた、今後奪われるであろう人々の行先は?Googleクラスの存在になればそこまで考える責任も、社会的にもまた自らが成長し続けるためにも、また出てくるのでしょうか。

ウェブマーケティングの世界一つとっても、かつて人が行っていた作業の多くがプログラムやツールに置き換わられていますよね。企業にとっては効率的であり経済的であり今日の世界で勝ち残るためには必要なことではありますが、そこで仕事を奪われてしまう人も一定数いるのもまた事実です。以前、日本の無駄な仕事の仕方や仕組みについて雑談していた時に、「日本はこんな狭い国に億を超える人が住んでいるんだから、無駄な仕事を適度に作らないと皆が生きていけないんだ」と話した人がいてナルホドと思ったことを思い出しました。日本もグローバル競争の中で既に一億総中流の幻想は完全に消え去っているわけですが、さて今後も進化し続けるであろうIT、ネット社会の行く末は私たちのどれだけに幸せな未来を提供してくれるのでしょうか? — SEO Japan [G+]

データドリブンな未来のSEOを実践するための11の指標

パンダ・ペンギンアップデートに代表されるGoogleの進化とソーシャルメディアの普及に伴うユーザーの変化のダブルパンチで、SEOもこれまでのもう一段階、いや二段階位の進化を求められています。SEOにもコンテンツマーケティングを活用すべきとの話もありますが(コンテンツマーケティングに注力してSEOはそっちに取り込んでいくべき、でも別にいいです)、今回は最近IT業界でバズワード化しているビッグデータのSEO、ならびに検索マーケティングに活用する可能性について考えた記事を。 — SEO Japan

マーケティング業界に参入するには、今が最高のタイミングであり、スリルを味わえる。顧客のデータを集める、新しいデータ主導型のアプローチとインフラは、マーケティングの戦局を大幅に変えており、データがもたらす新たな見解を基に行動を起こすことが出来る人達にとって、大きなチャンスが到来している – マーク・ジェフリー ケイログ経営大学院

ジェフリー氏の指摘は正しいと私は思う – マーケティング業界に参入するには、今が最高のタイミングであり、スリルを味わうことが出来る。

現在、マーケティングのパフォーマンスを計測するコストは低く抑えることが可能であり、また、容易に計測することが出来るため、マーケティングの機会を見つけ、つかみ取るべきである。適切なデータを集めて、分析することが出来れば、より秀でた決断を下し、成功の確率を高められるだろう。

グーグルが、強引な手法を使ってシステムの操作を難しくしているため、次世代のマーケティングは、顧客維持、チャーン、収益性、顧客生涯価値等の従来のマーケティングの計測基準と緊密に統合させるべきである。ビジターの獲得に高額なコストがかかる場合、当該のビジターが、獲得する価値があるビジターである点、そして、ビジターのポストクリックを引き込めば引き込むほど、グーグルに対して、より適切なサイトであるように見える点を確認しなければならない。

それでは、測定し、行動を起こす上で重要なメトリクスを幾つか見ていく。

しかし、その前に….

データドリブンの現状

たとえ一部の検索マーケッターが異なるアプローチを選んでいたとしても、全ての検索マーケッターが、データドリブン(註:データ志向・データ重視的意味ですが、ニュアンスを無くさないよう本記事ではデータドリブンで通します)の考え方を把握しておくべき理由はもう一つある。

それは、グーグルがデータを基に動く企業だからだ。

グーグルの次の一手を読むには、グーグルのように考える必要がある。
グーグルの従業員は、- データ – を考慮し、- データ – に基づいて行動を取る。

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グーグルの元デザイナー、ダグラス・バウマン氏は、ビジュアルデザインの決定において、直観よりもデータにあまりにも頼り過ぎていると感じたため、グーグルを去った。

グーグルのチームは、2本の青い線のどちらが良いのか決めることが出来ない。そのため、2種類の青の間の41の色調を試し、どの青のパフォーマンスが高いのか確認する。最近は、ボーダーの幅は3ピクセルがいいのか、4ピクセルがいいのか、あるいは、5ピクセルがいいのかで意見が割れ、また、自分の主張の正しさを証明しろと言われた。これでは仕事にならない。このような些細なデザインの決定について議論することに嫌気が差した。もっと刺激的なデザインの問題がこの世の中にはあるはずだ。

データを基に行動を取るのであれ、直観に頼るのであれ、データドリブンの考え方、そして、その考え方がもたらす会社のカルチャーを関連付けることが出来るなら、グーグルをより深く理解することが出来るようになる。検索エンジンのユーザーの満足度は、グーグルのレーダーにハッキリ現れ、グーグルは時間の経過とともにさらに改善し、さらに精度を増していく。

パンダアップデートは、ユーザーエンゲージメントの問題を重要視していた。ユーザーを引き込むことが出来ないサイトが、上位にランク付けされる確率は低い。

インターネットマーケッターのジム・ボイキン氏は、グーグルは「ロングクリック」に興味を持っていると指摘している:

最も基本的なレベルにおいて、グーグルはユーザーの満足度を把握することが出来る。トルストイの言葉を借りるなら、「幸せなユーザーは同じ反応を示す」と言うことだ。ユーザーの幸福感を最も顕著に示すのが、「ロングクリック」である。これはユーザーが検索結果に向かい、理想的には上位の結果をクリックし、戻ってこないケースである。つまり、グーグルはクエリを全うしたことになる。一方、不満を持つユーザーは異なる反応を示す。最も分かりやすいのは、「ショートクリック」であり、リンクに従ったものの、すぐに検索をやり直す行動である。「ユーザーが何かを入力して、すぐにクエリを変更する場合、満足することが出来なかったことを意味する。結果の次のページに進んだ場合も、不満の表れである。グーグルのサービスに対するユーザーの不満を意味する、このような兆候を活用して、調査を行うことで、検索を改善することが出来る。」と(アミット)パテル氏は指摘している。

ブランドに関しては、知名度が高ければ高いほど、トラフィックの一部が事前に認められるようになる。ブランドアウェアネスは、直帰率を下げ、その結果、エンゲージメントのシグナルは改善される

あらゆるサイトが、意図的なブランド関連のトラフィック、そして、一般的な検索のトラフィックを得る。サイトが多くのブランド関連の検索を得ている場合、このタイプの検索は前向きなエンゲージメントの目安となり、サイト全体を押し上げる効果がある。次の表はあくまでも概念を表したものだが、要点を理解する上で役に立つはずだ。ブランドトラフィックが増えるに従い、総合的なエンゲージメントのレベルは上がっていく。

サイトおよび企業のメトリクスが、ビジターの満足度において良好なら – つまり、ビジターが製品を買う/記事を読んでいる/友達に薦めている – グーグルが、関連性のシグナルを高く評価している可能性は高い。ユーザーはサイトに到達し、戻るをクリックしているのではない。サイトに没頭し、時間を割き、サイトについて語り、そして、再びサイトを訪問している。

サイトへの繰り返しの訪問、とりわけ、グーグルにログインしたクレジットカードを登録しているユーザーの訪問もまた、ユーザーが製品を気に入り、求め、そして、高く評価しているシグナルとして、グーグルは注目している。

パンダアップデート以降、SEOでは、ビジターのポストクリックの行動が最も重要視されるようになった。ビジターの満足度を最適化するためには、ポストクリックの行動を計測し、オファーを調整しなければならない。パンダアップデート以降の環境下で、私がうまくいくことに気づいたモデルがデータドリブンのアプローチであり、このアプローチはPPCで主に利用されている。現在もリンクを構築し、有益なページを配信する必要はあるものの、ビジターがサイトにアクセスした後の行動に焦点を絞る必要がある。そのため、私達は行動のデータを集めて、分析し、配信戦略に反映させるようにしている。ビジターが求めるものを確実に提供するためだ。

データドリブンマーケティングとは?

データドリブンマーケティングとは、文字通りデータを集めて、分析を行い、マーケティング戦略に明晰な見解をもたらす取り組みである。

ビジターにとってどれだけ適切なのかを計測する手段であり、適切であればあるほど、エンゲージメントのメトリクスは上向きになる。過去のビジターの行動を基にサイトを常に調整し、さらに適切なサイトに変えていくことが出来る。

そうすれば、誰でも成功することが出来る。

データドリブンマーケティングは、3つの段階を経て行われる。ビジターの行動を計測し、分析するフレームワークを設定し、ビジターのデータを使って仮定をテストし、そして、コンテンツ、チャンネル、および、オファーを最適化し、最大限の見返りを得る。このプロセスは、PPCで多用されている。

ウェブが登場する以前は、このタイプのデータを得るには多額の投資が必要であった。大企業は、調査の実施、フォーカスグループの決定、そして、フィールドワークの実行をマーケットの市場調査員に任せていた。

最近では、消費者からデータを集め、キャンペーンを調整する取り組みは、分析ソフトを起動させ、行動を観察するプロセスを作って、結果を基にアプローチを修正するだけで済む。貴重なデータの分析およびマーケティングが、少ない予算で実施することが出来るようになったのだ。

にも関わらず、多くの企業がデータドリブンマーケティングをいまだに実施していない。

また、実際に実施ている企業の多くは、適切なデータを計測しているとは言い難い。適切なデータを獲得し、分析することで、競合者の大半よりも優位な状況に身を置くことが出来る。

マーク・ジェフリー氏は著書「データドリブンマーケティング」の中で、フォーチュン 500でパフォーマンスが低い企業は、平均的で予算の4%をマーケティングに割り当て、一方、パフォーマンスの高い企業は、平均で20%以上をマーケティングに割り当てていると指摘している。パフォーマンスの低い企業は、需要の生成 – セールス、クーポン、イベント – 等に力を入れ、一方のパフォーマンスの優れた企業は、ブランドおよびマーケティングのインフラに焦点を絞っている。インフラには、マーケティングのデータを手に入れ、分析する上で必要なプロセスとソフトウェアが含まれる。

そのため、より大きな成功を収めている会社は、パフォーマンスの低調な企業よりも、ツールとプロセスに資金を投じているのだ。

中小企業に関しては、必要なツールの多くは既に揃っている。適切なデータの取得および分析においては、プロセス、そして、適切な質問を尋ねる取り組みが鍵を握る。

適切な問いとは?

ビジターの満足度を計測し、最適化する上で役に立つ一連のメトリクスが必要である。

ジェフリー氏は、マーケッターの15のデータ分析の領域を特定している。この領域の一部は、検索マーケティングに直接関係しているが、関係していない領域もある。しかし、関係がなくても、少なくとも認識しておく価値はあるだろう。なぜなら、従来のマーケティングマネージャーは、このタイプのメトリクスを利用しているため、検索マーケティングと従来のマーケティングが交差する場所について考える上でインスピレーションを得られるかのもしれないからだ。データドリブンマーケティングを短期で集中的に学び、マーケティング担当者の考えを深く理解したいなら、データドリブンマーケティングを読むことを薦める。

  • ブランドアウェアネス
  • テストドライブ
  • チャーン
  • 顧客満足度
  • テイク率(興味を示したものの、実際には行動を起こさなかったビジターの割合)
  • 収益
  • 正味現在価値
  • 内部収益率
  • 資本回収
  • 顧客の生涯価値
  • コスト・パー・クリック
  • トランザクションコンバージョン率
  • 広告利益
  • 直帰率
  • 口コミ(ソーシャルメディアの接触範囲)

このリストを再定義し、ビジターのエンゲージメントおよび満足度に関して、サイトおよびオファーを最適化する取り組みにおいて、現実的に利用することが可能な一部のメトリクスに絞って、話を進めていく。この取り組みを実行に移すことで、おまけとして、グーグルが求めており、上位にランクインする際に役立つ、適切な関連性(相応しさ)のシグナルも得られる。因みに、メトリクスの大半は、PPCをベースとしている。

まずは、…ダッシュボードが必要である。ダッシュボードとは、一目で、時間の経過とともに計測された進捗状況を見ることが出来る場所を指す。第三者のツールから選ぶことも、あるいは、自分で作ることも出来るが、重要なのは、ダッシュボードを手に入れ、利用することである。ビジターのエンゲージメントに関して、現状、そして、今後の方向性を計測する手段が必要である。

1. トラフィック Vs リード

トラフィックは、ディスプレイおよびブランディングにおいては、有効である。サイトが、サイトのビューの数に応じて収益を上げている場合、トラフィックを計測することになる。

その他のサイトにおいては、トラフィックとリードを組み合わせることで、重要な情報を得ることが出来る。トラフィックが増加しているものの、リード – もしくは理想的な行動の測定値(ここでは総称してリードと呼ぶ)が変化していないなら、そのトラフィックは価値があると言えるだろうか?リードが完了した数を記録すると、トラフィックの価値を把握することが出来る。トラフィックが高いものの、エンゲージメントが低いなら、ビジターは戻るをクリックしている。これはグーグルにとって望ましいシグナルとは言えない。

また、このデータは、オファーおよびコピーの調整とテストのベースとなる。エンゲージメントは、コピー/オファーを調整した後、増加/減少しただろうか?

2. 検索チャンネル Vs その他のチャンネル

検索トラフィックは、例えば、ソーシャルメディアのトラフィックよりも、より多くのリードをもたらしているだろうか?その他のチャンネルよりも多くのリードを与えているだろうか?多くのリードをもたらしているなら、その他のチャンネルよりも検索マーケティングへの予算を増やす正当な理由になる。

比較/対比することが出来るように、マーケティングチャンネルを分離しよう。

3. チャンネルの成長

SEMのチャンネルは成長しているだろうか、変わっていないだろうか、それとも、その他のチャンネルと比べ、衰退しているだろうか?

ターゲットおよび段階的な目標を定めるべきである。コピーとオファーを調節し、成果を計測するプロセスを作ろう。求める行動へのコンバージョンが高くなればなるほど、関連性のシグナルも高まる可能性があり、より多くの見返りを得られるようになるだろう。

このメトリクスをさらに細かく設定することも出来る。特定のページが、キーワードのクリックの結果として、他のページよりも多くのリードを生成しているなら、チャンネル全体のパフォーマンスを改善するため、どのキーワードの領域を拡大し、活用すればいいのか分かる。ビジターがページからページへとスキップしているかどうかを区別するのは難しいが、サイトのパフォーマンスに貢献しているエントリのページおよびキーワードの目安を得る効果はある。

4. 有料 Vs 自然

検索キャンペーンがPPCとSEOの双方を用いているなら、2つのソースを分ける必要がある。SEOがより多くのリードをもたらしているなら、ブログの投稿、記事、リンク戦略等への投資を増やす方針を正当化することが出来る。

PPCの方が多くのリードを獲得しているなら、PPCのトラフィックに投じる資金を増やし、オファーとランディングページを最適化し、A/Bテストを実施した方が無難である。当然だが、ここで得られた情報をSEOに反映させることが可能である。PPCでコンテンツがうまくいっているなら、少なくとも、エンゲージメントに関しては、SEOでもうまくいく。

5. コール・トゥ・アクション

どうすれば、コール・トゥ・アクションが効果を上げているかどうかを把握することが出来るのだろうか?コール・トゥ・アクションの文言を変えるべきだろうか?どのコール・トゥ・アクションが、最も望ましい成果を上げるのだろうか?どの位置が良いのだろうか?リンクの色は結果に影響を与えるだろうか?

このタイプのテストはPPCでは浸透しているが、SEOではあまり行われていない。SEOのページがこのような方針で最適化されているなら、エンゲージメントのレベルを高めつつ、クリックバックを減らすことが出来るだろう。

6. 再訪

ビジター全員が初めてサイトを訪問し、二度と戻って来てくれないなら、関連性のシグナルは低い。

だからと言って、サイトが妥当であるとグーグルに見なしてもらうために、必ずしも全てのサイトが多くのリターンビジターを必要としているわけではない – 単発の販売サイトはリターンビジターが少なく、ブログは多い。しかし、当該のサイトが、リターンビジターを得ているサイトのグループに属している場合、比較されてしまう可能性がある。

リターンビジターと初めてのビジターを計測しよう。とりわけ競合者のリターンビジターの比率が高いと思われる場合、ビジターに戻って来てもらえる方法を考えるべきである。

7. コスト・パー・クリック/トランザクションコンバージョン率/広告利益

PPCのマーケッターはこの手のメトリクスには慣れている。クリックごとに料金を支払い(CPC)、ビジターが理想の行動にコンバートすることを祈る。この測定基準とトランザクションコンバージョン率(TCR)および広告利益(Return on Ado Dollars Spent:ROA)とを組み合わせることで、キーワードマーケティングの効果を把握することが可能になる。TCR = トランザクションコンバージョン率とは、ウェブサイトにクリックしてアクセスした後、購入した顧客の確率であり、ROAとは支払った広告投資に対する利益を意味する。

この3つの測定基準は、とりわけSEOへの投資がその他のチャンネルに関連している場合、SEOにとっても、貴重な情報を得る上で役に立つ。コスト・パー・クリックに関しては、キーワードの価値を実証したいなら、アドワーズの相場を用いて、自然のキーワードに割り当てることを薦める。遥かに低いクリック単価でビジターを獲得しているなら、SEOのチャンネルは効果的である。SEOにおけるコスト・パー・クリックは、また、クリック数で分割されたSEOキャンペーンのコストの総額とも言える。

8. 直帰率

パンダ以降、直帰率は、重要な測定領域になると推測する人達が多い。パンダに関係なく、明らかに直帰率を低く抑えておきたいところだ。

上位にランク付けされているものの、直帰率が高い場合、ページのコンテンツが適切ではない可能性がある。アルゴリズムが見る限り、適切なのかもしれないが、ビジターの意図とは一致していないと思われる。このようなページは、時間の経過とともにランキングを徐々に下げる可能性があり、ビジネスにとってプラスに働くことはない。

9. 口コミ(ソーシャルメディアの接触範囲/ブランド)

他の人達の話題に上がっているだろうか?会社名を繰り返し取り上げてもらっているだろうか?頻繁に話題にしてもらっているだろうか?企業名をベースに大勢の人にグーグルで検索してもらうことが出来れば、そのワードを“自分のもの”にすることが出来る。すると、グーグルは当該のサイトを結果で返さなければならなくなる。さもなければ、ユーザーから不十分と見なされてしまうためだ。

以前、口コミを計測する取り組みは難しかったが、最近は、ソーシャルメディア、そして、様々な情報収集ツールのおかげで、遥かに容易に計測することが可能になった。アーロン・ウォールは、SEOにおけるブランドの影響について多くの記事を投稿しているので、この分野に明るくないなら、ブランドの台頭ビッグブランド、そして、パンダを考慮した潜在的なブランドシグナルに目を通しておくことを薦める。

10. 収益

収益が全てである。

収益にプラスの影響を与える点を証明することが出来れば、その検索マーケッターは、慰留され、予算を増額してもらえる可能性は高くなる。これは、ビジネスの収益が増えれば、ビジターが満足している確率が高くなる点を除いて、パンダの最適化とは、直接関係があるわけではない。

利益 = 収入 – 経費。検索マーケティングキャンペーンは、経費よりも多くの収入を得ているだろうか?どのようにこの点を計測し、証明することが出来るのだろうか?検索マーケティングキャンペーンが焦点を絞っているのは、収益性の高い製品だろうか、それとも、低い製品だろうか?どの製品が会社にとって最も利益をもたらすのか理解しているだろうか?顧客は製品にどのような価値を見出しているのだろうか?

このような領域をまとめて計測する手段はない。そのため、測定基準を考慮し、測定する方法を考案し、ダッシュボードに加えていく必要がある。

11. 顧客の生涯価値

重要度の高い顧客もいれば、低い顧客もいる。一部の顧客は、利益につながらない製品やサービスを購入し、二度と戻ってこない。その一方で、最も収益性の高い製品やサービスを買い、何度も何度も戻って来る顧客もいる。

その検索キャンペーンがサイトに迎えているのは前者のタイプだろうか、それとも後者のタイプだろうか?顧客の生涯価値を計算するのは困難であり、検索マーケッターがアクセスすることが出来ない社内のシステムが必要になる可能性がある。しかし、既に会社がこの情報を得ているなら、検索マーケティングキャンペーンのコストの妥当性を検証し、最も見返りの多いキーワードの領域にキャンペーンを絞る上で役に立つ。

一部のメトリクスは、ランキングとは関係なく、マーケティングの価値に着目している。しかし、従来のマーケティングの測定対象、そして、検索マーケティングの測定対象の説明には、共通する点が幾つかある。今回紹介したメトリクスは、利用可能な多くのメトリクスの一部に過ぎない。そこで、皆さんが利用している他のメトリクス、そして、その利用方法を、是非、教えてもらいたい。

ビジターの経験を考慮した最適化

上述した測定基準をテストし、コンテンツおよびオファーを分析 & 最適化すると、収益が増えるだけでなく、ビジターに対する“相応しさ”に関して、ビジターが取るクリック後の行動のおかげで、グーグルの目に、好ましく映るだろう。

この取り組みを適切に行っていれば、ビジターはサイトに没頭する。戻るボタンをクリックするのではなく、サイト上のリンクをクリックし、その他のページに目を通し、フォームに記入し、ページをブックマークし、ソーシャルメディアで他の人達に伝えてくれるだろう。これは全てエンゲージメントのシグナリであり、エンゲージメントのレベルが高ければ高いほど、通常は、より相応しいページだと考えられる。

これは、たとえ検索チャンネルにこだわり、SEOを前面に押し出していたとしても、SEO主導のマーケティングのアプローチよりも深い領域に達する(SEO主体のアプローチは、最近までは確かに有効であった)。データドリブンのマーケティングでは、新しいユーザーおよび初めての訪問だけでなく、リターニングビジターおよびその後のエンゲージメントのレベルを重要視している。検索エンジン経由のビジターは、初めてのクリックおよび閲覧を遥かに超える価値を持っている。

データドリブンのコンテンツおよびオファーの最適化は、今後のSEOのあるべき姿と言えるだろう。


この記事は、SEO Bookに掲載された「Post Panda: Data Driven Search Marketing」を翻訳した内容です。


しかしこの記事を読んでいると、ますますSEOの範疇がわからなくなってきますね 汗 Googleがクリック後のユーザー行動をある程度監視しており検索結果にも影響を与えているであろうことは以前からいわれていましたが(どれ位はともかく)、これこそ正にビッグデータの本格活用。ウェブマスターとしては少なくとも自身のサイトのユーザー行動をきちんと分析して、それをサイト改善・ユーザー行動のさらなる喚起に活かしていくことがウェブサイト成功の王道でもあり、そしてSEOの成功にもつながるようです。

これはこれで真実と思いますが、しかしこういう記事を読んでいると私も意見しておいてなんですが、最近色々いわれている***マーケティングとかどうでもいいというか全部まとめてもう一回ウェブマーケティング一言でリセットしなおしても良いんじゃないかという気もしてくる私でした。なんて、最近はオフラインマーケとかも増えているので面倒ですが。。。ま、言葉の定義考える暇があれば戦略立案と実行、後は改善サイクルの繰り返しに時間をかけたい私です。 — SEO Japan [G+]

SEO戦略の組み立て方(便利なテンプレート付き!)

SEOで大きな成果を上げるにはテクニカルな知識や各手法を理解しているだけでは不十分。サイトの全体像を把握し、いかにビジネスを向上させていけるかという戦略的なマーケティングプランに落とし込み実践していけるかが重要です。とはいえ、MBAを持っているわけでもなく、戦略にはイマイチ自信がない、、そんなあなたのためになぞっていくだけですぐに実行可能なSEO戦略の組み立てガイドをプレゼント。ともすれば、ディテールにこだわりすぎ・細部しか見えていない、と批判されがちなSEO専門家ですが、これを読んで大局観を持ったSEOを実践したい。 — SEO Japan

会社の経営者とSEOコンサルタントが共に大きなメリットを得ることが出来るものがあるとすれば、それは、戦略計画のテンプレートである。マーケティングにおいて、戦略ベースのアプローチが、手法ありきのアプローチに勝ることは周知の事実である。難しいのは、事業を成功に導く戦略を考案する取り組みである。今までこのような戦略を策定したことがない会社にとっては、尚更、難易度は高い。

SEO戦略のテンプレート

SEO戦略のテンプレートとは、道路標識のように従い、マーケティングビジネスに対する、独自の戦略企画書が出来あがるまで、適応、修正、カスタマイズすることが可能な「ルール」(と言うよりもガイドラインに近い)のセットである。

これは容易に繰り返し、再現することが可能なプロセスだが、SEO業界で、SEO戦略を進化させるアプローチとして、誰も実施していないのが不思議である。

それでは、簡単に従うことが可能であり、且つ強力なプロセスを基に会社の戦略を形成したい方のために、これから、SOSTACモデルをベースとした計画テンプレートを作る方法を伝授していく。

SOSTAC計画モデル

1990年代、総合的且つ柔軟であり、様々な顧客のニーズに合わせることが可能なマーケティングシムテムを計画する上で支援するため、PR Smith社によって、SOSTAC戦略フレームワークが提唱された。

SOSTACは、以下の用語の頭文字を取っている:

  • Situation – 現状
  • Objectives – 今後の目標
  • Strategy – 目標を達成する方法
  • Tactics – 計画を実行に移す方法
  • Actions – 担当者は誰か、いつ実施するべきか
  • Control – 計測および記録を行い、目標を達成したかどうかを確認する

優れたマーケティング戦略を描くための、この体系的なアプローチは、シンプルな上にエレガントであり、また、強力且つ効果が高い。そして、SEO戦略を計画するテンプレートのフレームワークとして利用することが可能である。

それでは、SOSTACを詳しく説明していく。

1. Situation / 状況分析 – 現状

マーケティングの取り組みを始める前に、現状を把握しなければならない。SEOの観点では、以下のポイントに注目する:

  • サイトのパフォーマンス
  • 獲得している検索エンジン経由のトラフィックの量
  • コンバージョン率が最も高い、最も優れたキーワード
  • 競合者との比較

実績を評価することで、今後の取り組みの生産性が上がる。適切な問いかけを行い、答えを出す – まずまずの滑り出しと言えるだろう。

a. ビジネスは好調か?経営のプロ、ピーター・ドラッカーは、「ビジネスの調子はどうですか?」と言うセリフからコンサルティングに入る。ウェブトラフィック、セールスの量、収益、資産、負債、キャッシュフロー、経費を調査しよう。ビジネスは軌道に乗っているだろうか?芳しくない場合は、理由を挙げていこう。

b. 長所は何か?業界、または、マーケットの同分野の競合者との違いは何だろうか?なぜ顧客から求められたのだろうか?競合者との差別化をどのように行っているのだろうか?

c. マーケティング戦略を策定しているだろうか?現在のマーケティングキャンペーンとSEOの取り組みに注目しよう。期待通りの効果を上げているだろうか?どのアクティビティの効果が高いだろうか?そのアクティビティは会社にどのような影響を与えているだろうか?

d. 目標は明確に決められているだろうか?ターゲットのオーディエンスは、明確に定義されているだろうか?最高のキーワードを把握しているだろうか?お得意様(および上位のキーワード)の総収益における割合が少ない場合、その点に気づいているだろうか?より一層の支援を行うことに力を入れているだろうか?

e. 弱点はどこか?最もコスト効率が高く、インパクトが強いマーケティングのチャンネルおよびSEOの取り組みを採用しているだろうか?効率を良くするためには、どうすればいいのだろうか?

f. 危機への対策を講じているか?テクノロジーの革新や現状のディスラプトテクノロジーは、事業に悪影響を与える、または事業を閉鎖に追い込むだろうか?あるいは、業界の激しい変化を利用するための対策を練っているだろうか?競合者に、力、多様性、そして、創造性の面で劣っているだろうか?

2. Objectives / 目標設定 – どこに向かうのか?

現状を把握したら、目標と目的を決める必要がある。

a. 最大の目標は何だろうか?なぜ、その会社、またはウェブサイトは存在するのだろうか?綱領を明確に規定しているだろうか?簡潔な「ポジショニング宣誓書」に言い換えることが出来るだろうか?ポジショニング宣誓書では、なぜ事業を運営しているのか、そして、誰にサービスを提供するのかを明記する必要がある。

b. 何を達成するために取り組みを行うのだろうか?利益の獲得が主なモチベーションだろうか?それとも、別の何かを達成したいのだろうか?マーケットに貢献する計画をどのように策定しているのだろうか?

c. どのマーケティングのメソッドに力を入れていくのだろうか?SEO計画のどの要素が、より多くのクライアントをもたらし、セールスへのコンバージョンを改善し、その結果、リピート客の獲得および推薦をもたらすのだろうか?

d. マーケティングでどのような取り組みを実施するのだろうか?リードや条件を事前に満たした真剣な顧客候補を増やそうとしているのだろうか、より多くの直接的な売り上げを成立させようとしているのだろうか、推薦を促そうとしているのだろううか、それとも、ビジネスパートナーを求めているのだろうか?大きな成功を収めたいなら、それぞれの目的に応じて、具体的にメッセージを調整する必要がある。

明確に目標を定義したら、SMARTテストにかけて、最高・最善のターゲットであることを確認しよう。

S – Specific(具体性)。目標は明確であり、具体的だろうか?
M – Measured(計測)。目標は測定することが出来るだろうか?
A – Actions(行動)。どのような行動が、目標を達成させるのだろうか?
R – Realistic(現実性)。目標は実現可能だろうか?
T – Time(時間)。期限内に目標を達成することが出来るだろうか?

現状を把握し、主要な目標を掲げたら、次のステージに進み – 戦略を固めていく。

3. Strategy / 戦略の策定 – 目標を達成するには

戦略は、SEOの取り組みに対するハイレベルな設計図である。ローカルSEO、ブランド構築等に焦点を絞る可能性がある。これは「全体像」を描く段階であり、詳細を決める必要はない。しかし、SEO戦略の特質を明白且つ堅実に描く必要がある。

まずは、焦点の絞り込みを行い、他社よりも良いサービスを提供することが可能なオーディエンスの具体的なグループを決める。このグループの大きさは、会社の規模および範囲に左右される。ただし、ターゲットのマーケットを明確に定義することで、非戦略的なマーケッターが落ちる大きな落とし穴、- 理想の顧客候補は、消費者全員だと言う誤った考え – を回避することが出来る。

顧客候補の検討がついたなら、さらに詳しく把握するステップに進む。買い手の心理を学び、何を求めているのか、そして、いつ求めているのかを正確に解明することで、競争においてアドバンテージを獲得し、また、巨額の利益をもたらす原動力を得ることが出来るだろう。また、このオーディエンスにアピールするためのマーケットのターゲティングを行う取り組みには、楽にコンバージョンを大幅に高める効果が見込まれる。

この知識を基に、ポジショニングを調整し、マーケットでの受け止められ方をコントロールすることが出来るようになる。

4. Tactics / 手法 – 計画を実行に移す方法

全体の強度は、最も弱い部分に左右される。つまり、戦略の強さは、戦略を実行するために用いるアクションによって決まる。

この段階では、実行するステップ、そして、理想の結果を描く。SEOの成果を正確に推測するのは難しいが、合理的な推測を行うのは可能なはずであり、この推測がSEOキャンペーンの道路標識の役割を果たすようになる。

a. どのツールを利用するのか?(SEOを含む)あらゆるタイプのマーケティングの分野に対して、様々なツールが開発されている。しかし、利用するツールの数を絞り、効果的に、そして、巧みに利用するべきである。

b. 取り組みの計画を行う。様々な異なる成果をもたらすために、同じツールを用いることが出来る。適切な理由で適切な取り組みを一つ選ぶことで、成果におけるシナジー効果が期待できる。

c. メッセージを送る。理想の顧客候補に標準を絞ろう。余計な文言は省き、オーディエンスの最大の望みまたはニーズに直接訴えかける必要がある。混乱した顧客候補は、購入を控える傾向がある点を忘れないでもらいたい。

d. 一貫性を保つ。ブランディング、そして、直接的な販売は、反復することでより有益な効果をもたらす。

e. 予算を獲得する。戦略的にマーケティングを行おうとすると、初期の段階でコストが嵩む可能性がある。マーケティングの計画に必要なリソースと資金を、取り組みを実際に始める前に割り当てておこう。さもなければ、失速し、勢いと資金を失ってしまうだろう。

5. Actions / 行動 – 誰が担当しているのか?

戦略と手法の計画を策定したら、次のステップ – 役割の割り振りと期限の設定 – に進む。

役割、そして、タスクを完了する期限を明確に設定していない場合、マーケティングの取り組みはやがて沈滞し、失速する。この段階では、肝心な日々の活動 – 何をするべきか、誰が実行するのか、そして、いつまでに終わらせるのか – を決めていく。週ごとにまとめるのであれ、あるいは、別の時間枠を設けるのであれ、誰もがアクセスし、理解することが可能な素案を提供する必要がある。

a. リーダーを選ぶ。SEOのアクティビティの具体的な要素を担当する個人を選ぶ。

b. 期限を決める。マーケティングカレンダーを策定し、各アクションのステップに対する期限を決める。

c. 実行可能かどうか?能力、スキル、または、資格ではなく、経歴に基づいてタスクを割り当てる方針は、大きな誤りである。

d. 進捗状況を測定する。追跡する基準を決定する。タスクが終わりに近づくと、その点が分かる仕組みになっているか?容易に測定することが出来るのか?どのぐらいの頻度で記録するのか?

e. 結果を文書にまとめる。キャンペーンの進捗状況に関する視覚的なフィードバック、そして、成果を共有することで、チームに活力を与え、協力体制を改善する効果が見込める。現代の複雑なSEOの世界では、協力的なチームの取り組みを行っているかどうかが、成功の鍵を握る。

6. Control / 管理 – 観察 & 測定

SEOプロジェクトのウェブ分析では、進捗状況を確認し、初期の状況分析に照らして見直しを行う。SEO戦略が、時間の経過とともに成長し、進化していく中、フィードバックを行って、戦略の変更および調整を行い、穴を埋め、そして、戦略をより強固なものにする必要がある。

a. 適切に計測を行う。検索ランキングの上昇は確かに重要だが、ビジネスの収益への主なインパクトを計測する方が重要度は高い。

b. 誰が計測を行うのか?スクリプトとソフトウェアの記録のデータが計測を実行する。しかし、データをまとめて、チームのメンバーに提示する取り組みを行うスタッフが必要である。早い段階でトレンドを見つけることが出来れば、アクションを修正し、より優れた成果を上げることが出来るようになる。

c. どのぐらいの頻度でデータを計測するのか? 情報の収集および分析は、一度実行したらそれで終わりではない。理想のスケジュールを立て、予定通りに計測を行うよう努力するべきである。

d. どのようなツールおよびリソースを必要としているのか?計測システムの難易度とコストは、事業の範囲と規模、そして、SEOの取り組みの多様性によって決まる。

e. データをどのように解釈するのか?SEO戦略の分析にどのようなインパクトを与えるのだろうか?計画テンプレートには、事前にこの点を明記しておく必要がある。

f. どのようなバックアッププランを用意しているのか?期待通りに事が運ばなかった場合、どのように態勢を立てなおすのだろうか?計画の変更を誰が決めるのだろうか?いつ変更するのだろうか?あらゆる不測の事態に備えることは不可能だが、幾つか選択肢を用意しておくと便利である。条件が全て平等な場合、最も多くの選択肢を持つ者が勝利を収める点を忘れないでもらいたい。

このように、強力なSOSTACのフレームワークをベースとした手順に従うことで、SEO戦略計画用テンプレートを堅実に組み立てることが出来る。

計画テンプレートを策定することで、収益および利益の増加、主要な事業目標の達成、目標達成の早さの改善、そして、コストの軽減と言う大きなメリットがもたらされる点を覚えておこう。このようなステップを踏むことで、闇雲にSEOのツールを使ったり、標準的なSEOのチェックリストを利用して、最高の結果を願う方針を圧倒的に上回る結果を得られるはずだ。

戦略的な取り組みは、徹底した努力が求められる。初期のコストは嵩むだろう。そして、実を結ぶまでに時間がかかるかもしれない。しかし、実際に効力を発揮すると、競合者を圧倒する成果をもたらし – さらに素晴らしい結果を出すようになるだろう。 

これは、SEO戦略の価値、そして、計画テンプレートを作成する意味そのものである。

全ての道はローマに通ずと言う諺がある。計画テンプレートを基に優れたSEO戦略に到達する多くのルートを見出すことが出来るだろう。私は、SEO業界およびデジタルマーケティング業界に10年以上関わっているが、今回詳しく説明したアプローチの効果は証明済みである。だからこそ、SEO戦略を用意する重要性を理解するものの、どのように戦略を策定すればいいのか分からないその他の会社の経営者、そして、SEOコンサルタントの皆さんにこの方法を伝授することで、手を貸し、モチベーションを与えたかったのだ。

最後に、SOSTACモデルをSEO戦略に適用するため、このモデルを進化させ、計画テンプレートを作成するさらに優れた(または異なる)をご存知の方がいたら、是非、教えてもらいたい。 私は出来るだけ疑問に答え、私なりの方法で支援するつもりである。そこで、コメント、質問、または、提案をコメント欄に投稿するか、あるいは、コンタクトフォームを使って、直接私に連絡を取ってもらいたい。このSEO戦略の重要なトピックに関して、活気ある議論を重ねたい。

Trond Lyngboは、Metronet NorgeのシニアSEOストラテジストであり、10年以上の経験を持つ。Trondは、「Importance of SEO for Your Online Business」と「Power Social Media Marketing」の著者でもある。ツイッターで@TrondLyngboをフォローしよう。


この記事は、SEO Bookに掲載された「How To Devise Your SEO Strategy The Easy Way – With a Planning Template」を翻訳した内容です。

SOSTACモデル、実は私も初めて聞きましたが、日本ではほぼ知られていないようですね。米国でもモデルとしてはマイナーのようですが、至極当たり前のことを整理しただけともいえる(好意的理解です)、分かりやすく実践的な内容、誰でもすぐに参考にできそうです。単純にこのテンプレートに沿って戦略を立て実践していくだけでも、SEO成功の確率は相当上がると思いますね。SEO以外にもあらゆるマーケティング戦略の策定に使えそうですし、戦術はあるが戦略が足りないと揶揄されがちなウェブマーケティング業界、是非多くのマーケッターに活用してほしい内容でした。 — SEO Japan [G+]

【2013年版】成功するSEO会社の立ち上げ方

営業力勝負でてっとりばやくネットビジネスで起業したい人が選んだ多くの道がSEO会社。もちろん事業としてきちんと軌道に乗せられるか、長きに渡って運営できるサステイナブルな会社にできるかは経営者次第なわけですし、最近のSEOの難易度アップにより、これまで以上のSEOビジネスで一旗揚げるのは難しくなっています。そんな今だからこそ?アメリカ検索業界でも独特の存在感で多くの人に一目置かれるSEO Bookが成功するSEO会社の作り方について語った記事を。 — SEO Japan

Start your own business

今の仕事にうんざりしているだろうか?

「出世競争を卒業して、自分で仕事を始める」と毎年、新年の始めに誓いを立てている人達がいる。この記事では、自ら検索マーケティングビジネスを立ち上げる際のプロセス、得られる可能性がある機会、そして、回避するべき危険について詳しく説明する。

その前に、まずは、SEOから距離を置く人達が増え始めている理由を考えてみよう。

SEOは終わったのか?

グーグルは、明らかにSEO業界を苦しめている。パンダ、上半分に広告が多いサイトへのペナルティ、ペンギン、著作権違反、EMD、そして、今後行われるアップデートやフィルターによって、SEOの仕事の難易度は、瞬く間に上がっている。

このような難問に直面し、多くのSEO業者は降参し、新しい道に進んでいる。確かに理由としては説得力がある

事実、以前と比べ、SEOの難易度は高くなっている。以前は、「タイトルタグを組み込み、このキーワードをページに挿入し、何度か繰り返し、リンクを獲得し、さらに、アンカーテキストにキーワードが使われたリンクを獲得し、このプロセスが終わったら、再び、キーワードがアンカーテキストに用いられたリンクを増やす取り組みを行う」と言う台本に従っていればよかった。

そうすれば、トップ10にランクインすることが出来る確率は高かった。

今年この台本に従っても、同じ結果は得られない。

グーグルが定めたルールに従ったものの、上位にランクインすることが出来ないサイトは無数に存在する。

しかし、上位にランク付けしてもらえる方法を編み出したと仮定して話を進める。トップ10入りは価値が高いため、そのスキルもまた価値が高いことになる。 グーグルがSEOの成功を阻む取り組みを続けることで、参入のハードルが高くなると言うボーナスがもたらされる。SEOのHow To本を買ったばかりの新人からのプレッシャーは減る。

スキルを持っている人達にとっては、今後の見通しは引き続き良好だと言えるだろう。

SEO業界では、スキルを持った人材が不足していると言う報告が多く上がっている:

「辞職した従業員の後釜を探すのに苦労している。とりわけ、SEOのスキルを持つ人材はなかなか見つからない。」とテンペでTerraleverを経営するクリス・ジョンソン氏は述べている

SEOおよびマーケティング業界のコンサルタントの求人数は、ここ数年間で、大幅に増加している。昨年の10月、CNNMoneyとPayScale.comが、米国内での給与の増加および業界の成長に基づいて、マーケティングコンサルタントをランク付けした調査では、SEOのスペシャリストは2位にランクインしていた。この調査は、過去10年間で41.2%以上の成長率を記録している28万2000以上の仕事を対象としていた。

SEMPOの 2012年のレポートは、SEO業界は、2011年の229億ドルと比べ、2013年には268億ドルの規模に達すると予測している。

従って、需要は増え、SEO/SEMの仕事は難しくなり、その一方で、降参する人達が増加している。

SEOの特性は変化している。 2013のトレンド – SEMPOレポートで強調されている – は、リードの生成およびトラフィックの獲得は今でも求められているが、ブランドの認識度の増加や評判管理等を期待する声も増えている:

調査結果では、トラフィックを増加すると言う分かりやすい目標は、勢いを失いつつあるものの、検索エンジン最適化(SEO)において今も重要な目標の一つに留まっている。それよりも興味深いのは、ブランド/評判を目標に挙げているエージェンシーの数が、2011年の5%から今年の調査では11%に増えている点である。

この分野は参入してみる価値がありそうだ。

小規模な会社が廃業(日本語)に追い込まれるケースが目立つ。かつて、SEOは、大きなブランドに小規模な会社が打ち勝つ手段であったが、残念ながら、この構図は成立しなくなってきた。

この傾向から何を学ぶことが出来るのだろうか?

大企業向けのSEOが台頭しつつある。検索結果ページでの規模および評判管理の利点を軽視するべきではない。

小規模なビジネスに対するSEOのアプローチは、SEOだけでは成り立たず、SEM化を進め – リンク先の記事で紹介した運命を辿らないように、M(マーケティング)に重点を置く必要がありそうだ。大きなブランドの名前が検索結果に表示されていない場合、グーグルは体裁が悪いが、小規模な、一般的なサイトがインデックスから漏れても、同じような知名度の低いサイトが穴埋めするため、気づく人達はほとんどいない。

当然ながら、アルゴリズムにはギャップが存在する。アグレッシブなSEO業者はこのギャップを狙っているものの、すぐに見切りをつけて、新たなサイトを始めることが出来ない正当なサイトに対して、このアプローチを適用するのが難しくなりつつある。

最近のSEOは、SEOが以前から提供してきた価値 – 顧客候補の数、リード、買い手の認知度 – について考える必要がある。技術的な取り組みを、より包括的なマーケティングの観点からアプローチする必要があるのかもしれない。

検索業界に留まる理由

検索は、今も尚非常に興味深いビジネスである。

19世紀後半の百貨店王、ジョン・ワナメーカーは、「広告に費やした資金の半分は無駄であった。問題は、どっちの半分が無駄だったのか分からないことだ」と言う名言を残している。ワナメーカーが生きていたら、検索マーケティングビジネスを気に入っていたはずだ。なぜなら、顧客の心の中に入り込み、提供する商品に関心を持つ人のみに語りかけ、次に起こす行動を記録することが出来るためだ。

検索を利用すると、予算の使い道を100%把握することが出来る。適切にターゲットを絞っていれば、予算が無駄遣いに終わることはない。検索マーケティングはターゲティングを得意にしている。消費者が欲しがっているものを探し、その欲しがっているものを提供するページにマッチさせ、競合者に打ち勝つ取り組みにやりがいを感じるなら、検索マーケティングをお薦めする。SEO、PPC、ソーシャルメディアのいずれかを利用するにせよ、もしくは、その組み合わせを利用するにせよ、条件付きのビジターに対する需要は常に存在する。

次に、他の人のため働くのか、あるいは一人で働くのかを判断する必要がある。どちらの選択肢にもメリットとデメリットがあるので、比較していく。

雇用 or 独立

とりわけ上司のレベルが低い場合、他の人のために働き、運命を自分で切り開くことが出来ない点にストレスを感じる人達がいる。しかし、雇用される際の決まった仕事と見通しがつきやすい点に魅力を感じる人達もいる。また、その一方で、従業員と良い関係を育み、リスペクトしている優れた雇用者に恵まれている人達もいる。

皆さんはどのタイプに当てはまるだろうか?

通常の決まった作業、通常の勤務時間、タスクの専門部署への振り分けに満足しているなら、定着している検索マーケティング企業でSEMの仕事を探すルートが最適だ。制約を受けず、様々な仕事をこなし、そして、全ての見返りが自分に返ってくると言う考えが好きなら、独立して、起業することを薦める。

雇用されるか、または、独立するかを決める前に、自分自身、今持っているスキル、そして、好きな取り組みについて時間を割いて見直す価値はある。

また、目標を設定するべきである。

具体的な目標を定めてもらいたい。見返りが金銭なら、例えば、初年度にXドル/月を稼ぎ、2年目にはXドル/月を稼ぎ、3年目にはXドル/月を稼ぐ – のように測定可能な目標を設定してほしい。測定可能な目標を具体的に決めることで、実現可能な事業計画を策定する上で大いに役に立つからだ。この点に関しては、後ほど説明する。

金銭を目標に掲げる必要はない。仕事や会社から得られる最高の見返りは金銭ではなく、仕事のやりがいだと言えるかもしれない。

独立するなら、好きな時間に好きな場所で仕事をする自由を謳歌せずにはいられないだろう。これもメリットである。例えば、一定した収益や一定したスケジュール等、仕事のスタイルにより関連する目標を立てているなら、雇用者の存在する会社に就職した方が無難である。自主性を重んじているなら、自分でビジネスを切り盛りする方が向いているかもしれない。

目標を短期、中期、そして、長期に振り分けよう。5年後、自分は何をしているのだろうか?来年の今頃は何をしているのだろうか?検索マーケティング業界の場合、5年後にこの業界自体が存続しているかどうかも、そして、存続しているとしても、どのような形式で残っているのか、予測が難しい。

1年目の目標は、SEOに重点を置いているとしても、5年間の計画においては、トラフィックのソースがどのような形式を取っているにせよ、現在、SEOが顧客に提供しているメリットと同じメリット – 条件付きのビジターのトラフィック – を提供する取り組みに力を入れることになるだろう。また、顧客に対する価値提案もほとんど変わらないのではないだろうか。従って、5年計画には、一般的なマーケティングのコンセプトを学び、新しいデジタルマーケティングのチャンネルが台頭する度に学習する取り組みを組み込むべきである。

自分の好きな取り組み、そして、目標を明確に把握することで、就職するのか、もしくは、起業するかの判断が大幅に楽になるはずだ。

また、まずは検索マーケティングをパートタイムで実行する手もある。既に職に就いているなら、副業として多くの収益を手にすることが出来る可能性がある。独立して会社を運営する上では常にリスクが付きまとうが、安定した収入を得ることで、このリスクを著しく軽減することが出来る。また、最初はスローペースで始め、定期的なノルマを達成するプレッシャーを感じることなく、徐々に足場を固めるメリットもある。ただし、SEMに費やす時間が少なく、また、2つの仕事を行うことで、疲れが抜けず、どちらも失敗する可能性がある。また、顧客が必要としている営業時間内に連絡を取ることが出来ないと言うデメリットも考えられる。

当然だが、現在務めている会社と競合しないことを確認し、契約書に競業禁止条項が設けられているかどうかチェックするべきである。

現金を持っているものの、時間に限りがあるなら、とりわけ、多くのSEOが白旗を上げているため、既存のSEO業者を買ってしまう手もある。既存の契約および顧客のリスト、数名の腕の立つ従業員も併せて買うことも出来る。会社の買収はそれ自体が大きなテーマであり、この記事の範囲を超えているが、とりわけ、資金を多く抱えているものの、時間がない場合、検討する価値がある。ゼロから事業をスタートさせるプレッシャーはなく、また、既存の従業員が現場で仕事に励み、日中に顧客に対応してくれるため、会社をパートタイムで経営することが出来るかもしれない。

 

事業計画

現実の世界は常に動いているため、事業計画は、現実の世界の影響を確実に受ける。

ただし、だからと言って、計画の策定を諦める必要はない。

旅行の目的地に辿りつくために、道順が必要とされるように、計画は必要である。地図を持たずに適当に進み、それでも、目的地に辿りつくこともあるが、その可能性は低いはずだ。迷子になる確率が高い。事業計画は、現状を評価し、これから進む方向性を思い出す上で役に立つ。

とは言ったものの、事業計画は常に変更される可能性がある。現実の世界に遭遇すると – マーケットは急激に変動することがある – 頭の中で漠然と計画を思い描いていた頃には考えていなかった機会や危険が姿を現し始める。事業計画は、厳格な骨組みに固定するのではなく、ビジネスと共に変化するべきである。随時更新される文書と同じである。

事業計画に関するHow To本が出版されているほど、この分野は奥が深いが、銀行の融資を求めている場合、もしくは、外部のエージェンシーに正式に事業計画を発表する場合を除き、事業計画は、手短に、明確に、そして、完結にまとめておくべきである。

また、事業計画を策定をすることで、評価を行う上での厳しさが生まれ、アイデアを試行錯誤する上で効果が見込める。事業計画を策定する際、様々な疑問が浮かぶはずだ。収益の目標を達成するには、顧客は何社必要だろうか?この目標に基づき、何名の従業員を雇用することが出来るだろうか?全ての時間を既存の顧客に割り当てる場合、新しい顧客の獲得にどのように時間を割けばいいのだろうか?新しい顧客を獲得するためのマーケティングの予算を計上しているだろうか?

このような疑問は、事業計画で取り上げることが出来る。

典型的な事業計画は、次のポイントを網羅している:

  • 事業のコンセプト – どのような事業を実施するのかを説明し、検索マーケティング業界を説明し、そして、どのように事業を軌道に乗せるかを描く。
  • マーケット – 適した顧客、そして、競合者を特定する。どのようにして当該の顧客を獲得するのか、そして、競合者に勝つのかを説明する。
  • 財務 – 実行する予定の取り組みにかかるコスト、そして、その取り組みで得る予定の収益を記載する。

次のようにセクションを区切って、事業計画を策定していこう:

1. 導入部

現在の立場を特定する必要がある。どのような経緯で事業を始めるのか?何のために事業を行うのか?どのような長所を持っているのか?競合者は誰か?競合者の短所をどのようにつき、長所にどのように対処するのか?能力および生産力をどのように高めていくのか?どのように事業を成長させていくのか?

次に検索マーケティング業界を説明する。トレンドを把握していないなら、SEMPOMarket Research.com、そして、ニールセン等の業界レポートを参考にしよう。

ターゲットのマーケットを特定し、どのように接触するのかを説明する。その検索マーケティングサービスの取り組みを表現し、競合者に明らかに勝る点を強調する。

2. 事業戦略

ターゲットにするマーケットを特定する。どれぐらいの規模のマーケットなのだろうか?成長の見通しはどれぐらいあるだろうか?マーケットのポテンシャルはどれぐらいあるだろうか?事業は当該のマーケットにどのようにフィットするのだろうか?どのような売り上げの目標を掲げているのだろうか?独自のセールスポイントは何だろうか?

目的と目標を具体的に決める必要がある。例えば、「黒字を出す」のではなく、「初年度でXドルの利益を出す」と言う目標を設定してもらいたい。成果を把握することが出来るように、測定可能な目標を掲げる必要がある。

価格決定戦略を解説する。このページには、価格の引き下げ合戦に加わることなく、価格設定を行う方法に関するアイデアが提供されている。どのように製品を販売していくのか説明する。どのようなタイプの広告およびマーケティングを利用するのだろうか?コアとなる価値を描写する。何を信じているのだろうか?どのような主義を掲げているのだろうか?成功する上で一番重要な要素を説明する。成功するためには、何をしなければいけないのか?

3.マーケティング

簡潔なSWOT分析を用意する。複雑なプロセスのように聞えるかもしれないが、SWOTとは、マーケティングにおける、Strength(強み)、Weakness(弱点)、Opportunities(機会)、そして、Threats(脅威)を分析するだけである。

既に実施したマーケットリサーチを組み込むべきである。配信チャンネルを描写し、戦略パートナーを挙げ、プロモーション計画を説明し、そして、マーケティングの予算を用意しよう。ターゲットのマーケットの視点で、皆さんの会社は、どの程度信憑性があるように見えるだろうか?

4. 管理構造

誰が参加し、その人物はどのようなスキルを持っているのだろうか?さらにスタッフを増やすつもりだろうか?どの節目で雇用するのだろうか?トレーニングおよび慰留に関して、どのような計画を持っているのだろうか?この問題を社内で解決する必要はない。必要に応じて、請負業者を利用する手もある。

誰がアドバイザーを務めているのだろうか?会計士、弁護士、メンター、ファイナンシャルプランナー等。このセクションは、資金調達を求めている場合、特に重要である。なぜなら、銀行は、プロの助言を得て、事業を運営している点を把握することを望んでいるためだ。

導入を検討しているスタッフの管理システムを紹介する。

5. 資金予算と予測

出来る限り、次のポイントをこのセクションで網羅しておきたいところだ:


推測するのは難しいかもしれない。そのため、最良のシナリオ、最悪のシナリオ、その中間のシナリオを想定しよう。こうすることで、推測する上で、また、実際にこのような状況が発生した際の対処方法を考える上で、ある程度、枠を得ることが出来る。

キャッシュフローは、圧倒的に最も重要な検討事項である。多くの顧客を獲得し、製品を購入し、さらに注文してもらったとしても、出ていく金額の方が多いなら、やがて会社は廃業に追い込まれるだろう。キャッシュフローを維持するために、どのようなタイプのクレジットが必要なのか考えてもらいたい。

6. まとめ

計画の主要な部分を再び述べ、現状と今後の方向性を強調する。事業計画は常に見直す必要があるため、次回見直しを行う日付を明記しておこう。

事業計画は、面倒であり、苦労してまで策定する価値はないと考える人もいるかもしれない。しかし、事業が思い通りに進んでいないことが分かると、時間、労力、そして、資金を大幅に節約することが出来る。また、実際に資金を投じる前に、紙で事業をシュミレーションする価値はある。この時点では、まだリスクが発生しないためだ。また、事業計画書から、収益を手に入れ、成長するチャンスがあるかどうかが見えてくる。計画でつじつまが合わないなら、実際に事業を行っても、同じ結果に終わるだろう。

ブランディング

良いネーミングが必要だ。

会社が最後を迎えるまで付きまとうため、優れたネーミングに時間、そして、お金を費やす価値はあるはずだ。

会社について考えてもらう時、何をイメージしてもらいたいだろうか?すぐにイメージが湧く名前が必要である。

検索マーケティング等、競争の激しい業界では、一般的な、説明的な名前は全く目立たない。「検索マーケティングエージェンシー」は、サービスを正しく描写しているかもしれないが、このような名前は、他社との差別化が難しい。一方、「RedFrog」のような変わった名前は印象には残るものの、提供するサービスの内容が全く見えてこないと言うデメリットがある。

また、他社の商標登録された社名と重複する名前は避けなければならない。訴訟問題に発展する可能性があるためだ。完全に一致するドメインを利用することが出来るかどうかも、判断材料の一つになるだろう。なかなか名案が出ないなら、ブランディングのエキスパートに相談してみる手がある。ただし、高額な料金を請求されるだろう。

ユニークなブランド名を利用すると、容易に上位にランクインすることが出来る点に留意しておこう。変わった名前の場合、覚えてもらえる確率は高い。従って、競争の激しい業界では、個人的には、一般的で説明的な名前よりも、ユニークなネーミングを薦める。また、名前にタグラインを加えて、不安を取り除くことも可能である。

優れたロゴも必要だ。99designsをチェックしておこう。ロゴは、画面上だけでなく、モノトーンの紙の上でも、見栄えが良いことを確かめる必要がある。

検索ビジネスモデル

事業の土台として採用することが可能な検索マーケティングのモデルが、幾つか存在するので説明していく。

コンサルタント

すぐに思いつく検索マーケティングモデルは、検索マーケティングの取り組みを介して、他の会社を支援するコンサルタンティング業務である。外部のコンサルタントの需要、そして、その需要がどこで発生しているのかについて考えてもらいたい。

大企業は大きなエージェンシーの採用を好む傾向が見られる。大企業は、組織内に検索チームを抱えている可能性がある。外部のコンサルタントを雇うよりも、フルタイムのスタッフを雇った方が安くなるポイントがある。このポイントとは、フルタイムの給与と採用にかかるコストを足した金額である。

しかし、大企業が、自分が提供しているサービスを必要としており、他の会社からはなかなか得られない場合、一匹狼、または、少数名のコンサルタンティング会社を雇うことがある。この隙間を埋めることが出来る検索マーケティングコンサルタントは多くはないが、内部の検索チームにトレーニングを行い、助言を与えるために採用されることがある。

外部のコンサルタントに対する需要の多くは、社内に検索のスペシャリストが存在せず、また、検索マーケティングを多用しているわけではないため、損益の面で辻褄が合わない小規模な会社で発生している。

他の人達がどのように事業を運営しているのかを見る権利がある点は、コンサルティングモデルの長所の一つと言えるだろう。

アフィリエイト/ディスプレイアドバタイザー

アフィリエイトは、サイトをSERPのトップ10に導き、リードとトラフィックを稼ぎ、その後、第三者に売る。ディスプレイアドバイタイザーは、広告を掲載するためのスペースを提供するため、コンテンツを配信し、クリックスリー率で利益を得ることが多い。

収益が見込めるニッチには既に大勢の競合者が存在している可能性が高く、競争が激しいことを覚悟しておこう。また、グーグルは、ここ数年、薄っぺらいアフィリエイトサイト – つまり、独自の、有益なコンテンツを多く提供することが出来ないアフィリエイト – を叩くことに執念を燃やしており、グーグルに狙われている点に留意しておく必要がある。

短所は、多様化しなければ、グーグルの攻撃を受けた次の日には収益が枯渇してしまう点である。また、本格的に多様化を実施するためには、マーケットおよび戦略の面で多様化を行う必要がある。この取り組みを実行しない場合、いつかゼロから出直さなければいけなくなるだろう。アルゴリズムの変更は、変更によって、コンサルティングサービスに対する新たな需要が生まれるため、顧客と深いレベルで関係を構築しているコンサルタントには有利に働く。一方、多くの顧客に利益の少ないコンサルティングを実施している会社にとっては、アルゴリズムのアップデートは、アフィリエイトよりも大きなダメージを受ける可能性がある。なぜなら、突然、大勢の顧客から非難されるためだ。また、幾つかの主要なプロジェクトを優先しているアフィリエイトとは異なり、問題が発生した際に多くの顧客を無視する行為は現実的とは言えない。全ての顧客にとって、自分のプロジェクトこそが最も重要なのだ。そして、この主張は的を射ている。

一部の検索マーケッターは、リスクを分散させるため、アフィリエイトとコンサルティングを組み合わせ、サービスを多様化し、多くのコンサルティングベースのビジネスモデルには付きものの閑散期に対処している。

ツールベンダー

検索のプロのコミュニティは非常に大きい。そのため、ソフトウェアツール、データ、アドバイス、その他のサービスが求められている。SEOBookはこのモデルを組み合わせている。私達(SEOBook)は、有料ツールを提供する一方で、コミュニティフォーラムを介して、コンサルティングも実施している。時間を大切にしない人達には向いていないが、時間の価値を重んじているなら、その他の多くのフォーラムに溢れるノイズがない状態で、コミュニティから短時間で多くの情報を得ることが出来るだろう。参加する際にハードルが設けられているため、メンバーがa)既に成功しているb)SEOの価値をよく分かっているかのいずれかであり、公開する情報のレベルが高くなる。

現在の検索マーケティングの仕組みにおいて苦労している領域を探してみよう。恐らく、他の人達も同じような悩みを抱えているはずである。この苦労を軽減することが出来るなら、資金を投じる価値はあると言える。検索コミュニティは、本当に役に立つツールやサービスが登場した場合、惜しみなく口コミで宣伝する傾向がある。ただし、同分野に参入するサービスプロバイダーが増加すると、機能面での有利性を維持することが難しくなると言うデメリットがある。実際にこの状況に追い込まれた場合、マーケティング戦略の差別化に焦点を絞る必要がある。

統合モデル

多くのSEO/SEMは複数のビジネスモデルを組み合わせている。

PPCとSEOは、相性が良い。どちらも検索のトラフィックである。キーワードの選択およびパフォーマンスの測定においては、技術面での取り組みに違いが見られるが、基本的に似たようなスキルが求められる。

アフィリエイトとディスプレイ広告は、顧客の仕事においてバランスが良く、様々なソースから収益を得ることで、リスクを軽減することが出来る。

統合モデルの大きなメリットは、様々な分野を見る機会に恵まれている点である。検索業界の人達は雄弁だが、販売することが目的の場合、実際の実力はたかが知れている。従って、自分のサイトを持ち、そのパフォマーンスに応じて、成功/失敗しているなら、売ることに固執する人達とは、異なるレベルでアルゴリズムを理解することが出来るだろう。ただし、あまりにも多くのプロジェクトに手を出すと、何もマスターすることが出来なくなってしまう。

明確に分野を特定する

このようなアプローチを採用する場合、出来れば急速に成長している分野を探し出すべきである。SEOコンサルタンティングのマーケットは、参入のハードルが低いために、混沌としているが、その地域のSEOプロバイダーのマーケットは、たいして混雑していないのではないだろうか。

フルタイムでSEOを実施することが出来ないものの、クライアントにSEOサービスの提供を望むウェブデザインの会社があってもおかしくはない。このようなエージェンシーを3つ、または、4つ「顧客」として獲得すれば、フルタイムの仕事になるはずだ。営業が好きではないなら、または、営業を行う時間が限られているなら、恐らく、このモデルはフィットするだろう。デザイン会社が実際の営業を行ってくれる点だけでなく、既に営業する顧客ベースが存在する点もプラスに働く。

デザインエージェンシーは、新たにスタッフを雇用するためにコストをかけることなく、さらにサービスを加えることが出来るため、この構造を好むことが多い。他の会社に薦めてもらえる可能性もある。また、エージェンシーに請求することになるため、請求のプロセスが簡素化されるメリットもある。

具体的にニッチを選ぶべきである。誰のためにサービスを提供するのだろうか?具体的に何をするのだろうか?「検索マーケティング」では、範囲が広過ぎる傾向が最近見られるため、旅行業界限定の検索マーケティングを実施してみてはいかがだろうか?

あらゆる人達にあらゆるサービスを提供しようとしたところで、うまくいくはずがない。とりわけ小さい会社では無理がある。事実、小さい会社を運営するメリットは、多額の経費を支払っている大きなマーケティング会社には割に合わない、特定の分野に的を絞ることが出来る点である。自分の興味と趣味を考え、フィットする分野があるかどうか探してみよう。興味がある分野で検索マーケティングを行っている会社は、満足のいくサービスを提供しているだろうか?その答えがNoなら、既に当該の分野のことを熟知しているため、宣伝する上で、大きなアドバンテージを持っていることになる。

顧客を強く意識するべきである。顧客は是が非でも解決する必要がある問題は、どのような問題だろうか?レストランは、ウェブサイトを上位にランク付けさせる必要はないかもしれないが、電話をかけてもらい、予約してもらう必要はあるはずだ。そこで、SEOとPPCを使ってリードをもたらし、顧客に各レストランのメニューを提供する、レストランの予約サイトを運営する手が考えられる。この場合、掲載、または、リードの数に応じてレストランに料金を請求することが可能である。

同じようなアイデアを基に会社を立ち上げたのが、トリップアドバイザーである。

商談

通常の仕事と、自分で会社を運営するスタイルの最大の違いは、とりわけ営業部門で働いたことがない場合、自分で交渉を行わなければならない点だ。 特に技術者として9時から17時まで働いている場合、少なくとも、顧客候補や供給業者と直接交渉を行う機会は少ない。

商談はゲームだ。買い手は、出来るだけ価格を下げようと試み、売り手はより多くの契約を勝ち取ろうとする。

商談において一番大事なことは、例えば、どちらかが「騙された」気になるのではなく、双方が何かしらメリットを得るような、両者が得をする商談を成立させる必要がある点だ。検索マーケティングのコンサルティングにおいては、一定の期間、協力関係を築き、変更を行うために味方になってもらう必要があるため、特にこの点は重要である。

買い手が断然に有利だと考えがちだが、その考えは誤っている。買い手から声がかかると言うことは、提供しているサービスを求めていることは明白である。買い手のビジネスにプラスの影響を与える何かを持っているのだ。

しかし、商談をうまくまとめるために、相対的な地位を理解する必要がある。一般的な検索マーケティングサービスを提供し、同じサービスを提供する10社が入札している場合、気に入られているなら話は別だが、恐らく、弱い立場にいる。個人的には、気に入られていない場合、他社と競合する状況を避けるようにしている。

ここで、ニッチの特定が重要になってくる。競合する会社が少ない分野で、ニッチを明確に特定している場合、ユニークなセールスポイントを得ていることになる。また、買い手が何を望んでいるのかを把握している場合、交渉を有利に進めることが出来る。だからこそ、事業計画でこの領域を明確に記述しておくことが重要なのだ。この取り組みを怠ると、同じようなサービスを提供する競合者と戦う場合、価格を下げるしか手はなくなるため、価格交渉の面で譲歩せざるをえなくなる。

ウォルマートのようなビジネスモデルを大規模に展開する場合を除き、値下げは、事業を維持する上では理想的な手段とは言えない。

損益の分岐点を明確に設定し、利益を得られないようなら、撤退する必要がある。始めたばかりの頃は、なかなか撤退する勇気が湧いてこないかもしれない。しかし、幾つか顧客を獲得し、推薦してもらうことが目的であり、また、現時点では、特に価格は気にしていない場合は、例外である。このようなケースでは、常に高めに値段を設定するものの、期間限定で特別なディスカウントを行っていると伝える必要がある。この一言を忘れると、顧客にいつも安いと勘違いされてしまう。

商談では、まず、顧客が何を求めているのかを明らかにしてもらうべきである。その後、自分が求めているものを伝えよう。双方が合意すれば、一件落着、どちらも得をする。しかし、現実には、同意する点もあれば、同意できない点もあるはずだ。それで問題ない。納得できる点は後回しにして、同意できない点において、両者が得をする条件を探し出すことに集中しよう。ニーズに見合う契約内容に仕上がるまで、議論を重ねていくべきである。

まとめ

自分で事業を立ち上げる取り組みは、胸が躍り、解放感を味わうことが出来るだろう。しかし、事業を成功に導くためには、検索マーケティングキャンペーンと同じように、厳しく接し、そして、計画性を持ってアプローチしなければならない。多くの上司の役目を、一人の上司が兼任するようなものである。

まずはやってみることを薦める。自分の会社を運営する取り組みは、実際にやってみるまで分からない。そのため、今の仕事を辞めて、独立することを新年の誓いとして掲げたなら、挑戦してみよう。

幸運を祈っている。そして、この記事が役に立つことを願っている :)


この記事は、SEO Bookに掲載された「How To Start Your Own Search Marketing Business」を翻訳した内容です。

起業の教科書的な内容でしたが、簡潔かつ丁寧に書かれた記事で、個人レベルのSEOコンサルタントを超えて会社としてスケールさせたい人には勉強になる点が多い記事だと思います。

しかしSEOスペシャリストの給与が米国で上がりまくっていることは喜ばしいことです。会社レベルで成功できるかはともかく、日本でも確実に人材不足&需要があるはずなのですが、未だSEOを軽視している&代わりがきく仕事に従事(結果、低賃金)している業界人が多いのは何故?と思ったりもする私です。

記事にもあるように大企業・大規模サイト向けのエンタープライズSEOのニーズは特に高いと思うのですが、意外とこの分野のプレイヤーは少ないままですよね。SEOの知識がある人自体は日本でも増えていると思うのですが、そもそもSEOをやっている人はどちらかというと個人や小規模サイトでのSEOでウェブ運営の知識経験がある人が中心で(実際、私もそうですが)、大規模サイト運営の経験が少なさそうなのもエンタープライズSEO市場が開拓されない理由な気がします。さらに大企業・大規模サイトの運営に携わる人は、なんだかんだいっても検索やSEOを軽視している、二の次に人が考えている人がまだまだ多く結果、エンタープライズSEOが普及しない状態になっている面もありそうです。誰かこの分野で一旗揚げてみようと思うチャレンジャーがいれば、この記事を参考に是非。 — SEO Japan [G+]

心理学に学ぶ購買プロセスを最適化する6つの説得技術

サイトの色合いについて心理学に学んだり、究極の交渉術を考えたりしてきたSEO Japanですが、今回はユーザーの購買プロセスを最適化するために必要な「説得の技術」を心理学的に考えてみよう、という中々に興味深い記事をSEO Bookから。 — SEO Japan

説得を最適化する方法は数多くある。

SEO業者は、検索エンジンのアルゴリズムを考慮してサイトを最適化し、ランキングを改善する試みを行う。その結果、トラフィックが増える。他の分野の最適化は、ビジターがページにアクセスした後に効力を発揮する。

その一つが説得の最適化である。

ビジターをページに迎える取り組みを行ったものの、「戻る」をクリックされてしまうようでは、それまでの努力が無駄になる。ビジターにはサイトに留まり、メッセージを読んでもらい、そして、行動を起こしてもらいたいのだ。

説得する方法は多い

アリゾナ州立大学で心理学を教えるロバート・チャルディーニ教授は、一般的な説得の手法の6つのカテゴリを特定している。それは、返報性、一貫性、社会的証明、好み、権威、そして、希少性である。

このような手法を用いて、コンテンツとサイトのデザインを最適化し、ビジターがサイトに留まる確率および理想的な行動を取る確率を高めることが出来る。

ビジターの心理を操っているように見られるかもしれないが、それは、利用方法に左右される。善意で利用するなら、自分の意見を他の人達に訴えかける取り組みの一部になり得る。いずれにせよ、このような手法の存在を知っておくことで、自分達に対して使われた時に容易に見つけ出すことが出来るようになる。

1. 返報性

返報性とは、誰かに何かを与えると、恩を返しをしたくなる心理を意味する。返報性を意識した行動は私達の文化に刷り込まれており、頼みごとをしてもしなくても、もしくは、お互いを知っていてもいなくても起こり得る。

返報性は義務感を生み出す。

製品を確認して、何かしら価値を与えることが出来るかどうか調べてもらいたい。例えば、情報製品のベンダーなら、製品の一部を無償で提供したり、もしくはトライアル期間を延長する手が考えられる。受け取る側は、残りのセクションや製品全体を買うことで、報いるかもしれない。ベンダーが何も与えていないなら、このような行動を取ってもらえる可能性は低い。オーディエンスに何をしてもらうのかよりも、オーディエンスに対して何が出来るのかを考えよう。

譲歩も返報性を利用する方法の一つである。何か小さなことを譲歩すると(ただし分かりやすく)、相手側はもっと大きなことを後ほど譲歩するべきだと感じる可能性がある。

例えば、まずは何か大きな願い事をしてみよう。その願いが断られたら、今度は、前から望んでいた適度な願い事をしよう。2度目のリクエストは、既に譲歩しているため、こちらも譲歩しなければならないと言う感情が生まれ、受け入れてもらえる可能性が高い。

2.約束と一貫性

人は相手に一貫性を求める。

一貫性のない人物は、信頼できない人物、もしくは嘘つきと見られる可能性がある。一貫性があると、難易度は下がる。なぜなら、相手が決定を下す度に評価を繰り返さなくなるためだ。一貫性があるなら、過去の評価、そして、過去の決定を変える必要はない。しかし、行動に変化が生じると、再び評価が行われるようになる。

ウェブサイトにも同じことが言える。

メッセージが矛盾している場所を探してみよう。製品に関するコピーの過ちのような明白なものもあれば、意見のトーンの変化のように目立たないものもある。一貫性のあるトーンおよびデザインを用いて、ページの流れに一貫性を持たせ、また、メッセージの矛盾や脱線を避ける必要がある。

当然ながら例外はある。驚かせようとしているなら、あるいは通常とは違うことをして注目を集めようとしているなら、一貫性に逆行する価値はある。しかし、一貫性に反する行動を取る前に、まずは一貫性を確立する必要がある。

3. 社会的証明

他の人達が価値を認めている証拠がそのサイトには掲載されているだろうか?推薦、レビュー、つながり等が社会的証明に挙げられる。

社会的証明は、既存の信頼関係を活かすことで、手っ取り早く信頼関係を構築する効果がある。サイトで紹介したつながり – 例えば「ニューヨークタイムズでも取り上げられていたように」 – を信頼してもらえるなら、もしくはユーザーが自分の判断よりも大勢の判断を信じるなら、信頼してもらえる可能性は高い。

早く信頼関係を構築する取り組みはオンラインでは非常に重要である。なぜなら、ユーザーは「戻る」をクリックする権利を持っているからだ。そのため、社会的証明は、とても力強い助っ人になり得る。

ただし、怪しいと思われてしまうと瞬く間に信頼関係は崩れる。サイトが提供する社会的証明が有名な人物である場合、オーディエンスが説得に応じる可能性は高い。オーディエンスがよく知り、信頼しているのは誰だろうか?誤って存在感の薄い人の推薦を利用するサイトが一部見受けられる。

4. 好み

誰もが自分の好きな人と仕事をしたいはずだ。

良くも悪くも魅力的な人達は説得力がある。受け手が前向きな特徴を当てはめようとするためだ。身体的に魅力的な男性や女性のモデルは広告業界にとって欠かせない。これは基本である。また、高度なレベルでは、受けては自分と同じような人の言動に反応する。魅力は、類似に基づいているのだ。

ウェブマーケティングにおいては、「好感度」のレベルはオーディエンスに左右される。流行りの洋服を売るサイトは憧れが中心的な役割を担う – 実際のオーディエンスとは似ていなくても、オーディエンスが憧れる魅力的な特徴を提示している。テクノロジーによるソリューションを販売しているサイトは、共感と親近感に力を入れるべきだろう。重いテーマのサイトは知性をクローズアップするのではないだろうか。これは、好きなってもらうために、オーディエンスをそのまま、あるいは、オーディエンスが持つイメージを反映する手法である。

好みの別の領域として、つながりが挙げられる。ビジターが好きな団体や人物に自分を関連付ける手段を考えてもらいたい。一般的に用いられているのは、チャリティ、セレブ、または業界のイベントとの提携である。

5. 権威

権威のある人物に反応する人は多い。

「適切な振る舞い」は権威に左右される。例えばSEO業界での「ホワイトハット/ブラックハット」の位置づけは、権威のある人物、この場合は検索エンジンと検索エンジンの代表者によって決まる。

ウェブサイトでは、シンボル、資格、そして、つながり等を使って、権威を表すことが出来るものの、過去と比べると、現在は権威を軽視する傾向が見られる。オーディエンスは権威の主張を疑って、主張の証拠を提示せよと要求し、与えられた情報が信頼に値する場合、関係の構築を望むようになるだろう。

そのウェブサイトには、主張の証言や証拠が用意されているだろうか?

6. 希少性

私達は豊富なものを過小評価し、希少なものを過大評価する癖がある。

この手法に関しては、とりわけ詐欺の世界で、人為的に希少な状態を作るあからさまな手法が存在する。希少性をアピールするため、場所/製品が~個しか残っていないことを主張するマーケッターを皆さんも見たことがあるはずだ。これは衝動的な行動を期待した手法である。

チャルディーニ氏は、希少性について次のように指摘している:

「心理的な反応の論理により、人々は自由の欠如に反応し、自由をさらに求める。特定の製品やサービスを手に入れる自由もその一つである。動機を与える要因として、心理的な反応は人生のほとんどの場面に存在する。なかでも顕著に現れるのが魔の2歳児(第一反抗期)と10代である。 この期間では、個性が芽生え、抑制、個人の権利、そして、自由等の問題が気になり始める。そのため、この2つの期間を迎えると、人々は制限に特に敏感になる。」

通常は、今までは希少ではなかったものが希少になった時に最も引き付けられ、次に他の人が同じリソースを欲しがっている時に魅力を感じる。ウェブサイトにおいては、この2つのコンセプトを組み合わせることが出来る。期限が近づき、供給が追いつかない状態である。当然ながら、これは社会的証明の形式でもある。

まとめ

カリスママーケッターのセス・ゴーディン氏は、かつて「マーケッターは嘘つきだ」と語ったことがある。

マーケティングには操作およびストーリーテリングの要素が存在する。ウェブマーケティングの大きな失敗例の中に、この要素が関わっていることは疑いようもない。しかし、優れたマーケティングに中にも存在する。また、毎日の生活の中で、場合によっては、知らないうちにこのような手法を誰もが用いている。

ウェブサイトでこういったアイデアを組み合わせるとプラスに働く可能性がある。競合者を今回紹介した6つのカテゴリで評価してみよう。うまく活用しているだろうか?過剰に利用しているだろうか?その後、自分のサイトを調べ、実験を行い、変化を記録しよう。

説得の取り組みを少し強化すると、既に手に入れたトラフィックの価値を活用する上で大きな効果が見込める可能性がある。


この記事は、SEO Bookに掲載された「Persuasion Optimization」を翻訳した内容です。

いきなり「返報性」という専門用語で重たそうな記事だな、、、と思いましたが意外とそうでもなく、読み物としても面白く、勉強にも参考にもなる内容でした。どれも普通に納得できるものでしたが、気になるのはやっぱり最初の「返報性」ですかね。これが例えばネットサービスで、どのように適応できるのか、という点は気になります。例えば無償で何かを提供して、その後に有償サービスへの登録をお願いする、といったギブ・アンド・テイク的手法がわかりやすいのでしょうか。デパートで試食したものを、つい店員に押されて(気兼ねして?)買ってしまう心理は日本人らしくてわからなくもないですが、ネットの場合は対面効果がないですし。。。さり気ない仕掛けや卓越したライティング能力が求められそうです。 — SEO Japan [G+]