ShippableとARMとPacketがパートナーしてARMベースのサーバーにCI/CDプラットホームを提供

継続的インテグレーションとデリバリー(CI/CD)の市場は、その大半がハイエンドのx86サーバーにフォーカスしているが、しかしARMベースのサーバーの出現により、ARMサーバーの上でネイティブに動くソリューションへの需要も芽生えてきた。そしてその気運に乗ったCI/CDプラットホームShippableは今日(米国時間7/9)、ベアメタルのホスティングプラットホームPacketおよびARMとパートナーして、まさにそのようなソリューションを提供しようとしている。

そのパートナーたちは、ARMベースのサーバーの採用が増えているのだから、デベロッパーはそれらをネイティブにサポートするCI/CDプラットホームが必要だ、と主張する。“正しいインフラストラクチャの上でテストできることが、楽しめるビルドプロセスと苦痛なプロセスをわける境界だ。エッジやIoTなど今急成長中の分野につきものの、多様なハードウェア環境ではとくにそう言える”、とPacketのCEO Zac Smithは言う。“Shippableは最初からARMをサポートしているので、その速いビルドとシンプルなワークフローの組み合わせは、他に類がないほど強力だ”。

Packetは現在、比較的強力なARMベースのマシンを1時間$0.50(50セント)で提供しているが、競合他社も多くて、たとえばScalewayはメニューがもっと豊富だ。

当然ながらShippableはPacketのARMマシン上に同社がホストするCI/CDプラットホームを提供し、その上でデベロッパーは32ビットおよび64ビットのアプリケーションを構築できる。オープンソースのプロジェクトを動かしているなら、そのワークフローのビルドとテストに無料でアクセスできる。

このようなコラボレーションがここでも再度強調しているのは、Packetのようなセカンドティアの(== あまりメジャーでない)クラウドプロバイダーと、彼らの周辺にあるデベロッパーツールのエコシステムは、パートナーシップを武器としてAWS, Google, Microsoftのようなハイパースケールなクラウドベンダーに対抗する、というパターンだ。たとえばPacketは最近、このほかにPlatform 9やBackblazeなどともパートナーシップを組んだ。今後このような動きが、さらに多くなると予想される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

巨大サーバ/データセンターを廃止し、ユーザ各自がサーバであるインターネットの構造をめざすSandstorm

【抄訳】

インターネットの構造を変えたい、と思っておられる方にとっては、おもしろい時代になってきたようだ。最近本誌TechCrunchが取り上げたMaidSafeというオープンソースのプロジェクトは、サーバを完全に葬り去ったP2P型のインターネットを構築しようとしている。

そしてここでご紹介するもうひとつのオープンソースプロジェクトは、個人が自分のサーバを動かし、自分でコンテンツをサーブすることによって、Webのユーザと彼らを支えるインフラストラクチャとの関係を抜本的に変えようとする。

この、自称“パーソナルクラウドプラットホーム”を名乗る、Sandstormと呼ばれるプロジェクトは、元GoogleのエンジニアでCap’n Protoの作者でもあるKenton Vardaが率いている。

以下はSandstormのミッション声明文だ:

今のWebはあまりにも中央集権的だ。今日(こんにち)あなたが使っている多くの–おそらくすべての–Webアプリケーションは、巨大企業が開発し、そのすべてが彼らのデータセンターで動いている。オープンソースでインディーのWebアプリケーションも存在するが、それは多くの場合、どっかのサーバがすでに動かしているのではなく、利用したい人が自分でサーバを動かす必要があるため、ほとんど使われていない。自分でサーバを動かすことは、人びとの一般的な慣行になっていない。したがって、各人が自分のデータを自分のサーバ上で管理する、いわゆる連邦型ネットワーク(federated networks)は、事実上実現不可能である。

解決策は、誰もがもっと簡単に自分のサーバを持てるようにして、それを自分でコントロールし、自分が動かしたいアプリケーションだけを動かせるようにすることだ。Sandstormは、それを可能にする。

Sandstormは、技術知識のない個人が容易に自分のサーバを動かし、その上にあるものや、その上で動くものを各人がコントロールすることによって、完全に分散型のネットワークを実現しようとする。つまり各ネットワークユーザは小さなインディーの、あるいはオープンソースのアプリケーションを自分のサーバ上で動かすので、それらに対して巨大企業が口出し手出しをすることがない。ネットワークのノードとしての各ユーザは、まったく大企業にコントロールされない。動いているものが、彼らのアプリケーションではなく、自分のアプリケーションだから。

実は各ユーザの自己保有/自己管理サーバは、物理的にはSandstormのサーバファームから提供されるので、なんだ、これもやっぱし旧構造か、と思いがちだ。しかし、個々のユーザサーバの所有権と完全な管理権は法的にもユーザ個人のものになるので、Sandstormにできるのは、それらの運用のヘルプと助言だけだ。またSandstormは、物理サーバ、すなわちサーバマシンを自分で動かしたいというユーザもサポートする。

Verdaは、次のように語る:

“Sandstormはユーザが自分のサーバを保有して動かすことを、きわめて容易にする。これによってユーザはプライバシーと自由を確保し、政府等からの盗聴もなく、アプリケーションが突然消えることもなく、すべてのデータが手元の一箇所にあり、アプリケーションの変更や編成も自由にできるようになる。またこれにより、デベロッパによるアプリケーションのマネタイズも容易になり、サーバのメンテナンス作業が不要になる。とくにインディーでオープンソースのアプリケーションは到達オーディエンスが一挙に拡大し、それと同時に、小さなスタートアップのビジネスモデルが、きわめて単純化される”。

Sandstormは、すでにデモが動いているので、それをここで試せる。そして同時にチームは今、Indiegogoで5万ドルのクラウドファンディングに努めている。

【中略】

Sandstormはまた、企業がSaaSプロバイダのサーバにアクセスしてSaaSを利用するという形から、完全に自己サーバ上から提供される、より安全なSaaSへ移行するためのツールやアプリケーションも準備中だ。たとえばメールサーバも、GoogleのGmailよりは、自己サーバ上のメールサーバの方が、セキュリティやプライバシーの面で安全かもしれない。

このサーバ上ではすべてのアプリケーションがサンドボックス化されて、システムから隔離されるので、本質的なセキュリティがある。またアプリケーション間の通信機能により、コンテンツを複数のアプリケーションが共有することもできる。

Sandstormが各個人のサーバをホスティングする際の費用は月額5ドルを予定しているが、企業のための利用プランはまだこれからだ。すべてのデータをサードパーティSaaSではなく自社内に置きつつITコストを下げるためのツールを、今同社は開発中だ。

Sandstormが提供する自己サーバ上で使えるアプリケーションとしては、現時点で、コラボレーションによるドキュメントエディタEtherpad、メールクライアントMailpile、ブログパブリッシャーGhost、RSSフィードリーダーTiny Tiny RSS、対話型コンピューティング環境IPython Notebookなどがある。

下のビデオでは、VardaがSandstormのシステムの細部とプロジェクトのねらいについて説明している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))