GoogleがモバイルVRの計算負荷を減らすツールSeuratをオープンソース化

今日(米国時間5/4)はGoogleが2017年のI/Oで行った、VRに関する多くの約束を果たす日だ。さきほど同社は、モバイルの高忠実度なVRから計算の複雑さを減らし、パフォーマンスを大幅に向上するツール、Seuratをオープンソースにする、と発表した。

このローンチは、Mirage Soloのリリースと平行している。こちらは同社のVRプラットホームDaydreamの初めてのヘッドセットで、それはGoogleの位置追跡システムWorldSenseを使っている。このヘッドセットはスタンドアローンで、〔クラウドなどではなく〕モバイルのチップセットで動くから、ゲーム用PCに接続されるヘッドセットよりもリソースの制約が厳しい。

Seuratは、ポリゴン(多角形)の数を減らすことをねらったソフトウェアツールだ。Seuratが基本的にやるのは、VRのユーザーが、さまざまな動きの中で持つすべての視点から、実際には見れない/行けない領域を取り除くことだ〔前面に物がある、など〕。たとえばSeuratは、そこに恒久的にあるオブジェクトを取り除く。仮想現実の中で見えない部分は、実際に存在しないと見なしてもよい。だからそこは、ポリゴンの計算をしない。

上のBlade Runnerの例では、ひとつのシーンに4660万個の三角形があるが、Seuratはそれらを30万7000に減らした。高性能なハードウェアから描画能力に制約のあるモバイルのVRハードウェアへ移植するときは、このような省略能力がデベロッパーにとって助かる。

このツールのソースコードとドキュメンテーションは、GitHub上にある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleからVR用レンダリングツール、Seurat――モバイルでローグワンの世界に

マウンテンビューのショアサイドアンフィシアター野外劇場で開催されたGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスの2日目はVR/ARテクノロジーの紹介が中心となった。Googleはモバイルデバイスのような非力なマシンでも極めて高精細度な描画による没入的VRを可能にする新しいレンダリング・ツール、Seurat〔スーラ〕を発表した。GoogleはSeuratの能力を実証するため、ILMxLABの協力を得てスターウォーズの世界を対話的モバイルVR環境でデモした。このレンダリングは劇場映画の画質で参加者を驚かせた。

上にエンベッドしたのはキーノート中で上映されたILMxLAB(Industrial Light And Magic Experience Lab )制作のビデオで、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』をベースにした場面が含まれている。質感、照明、アニメーションなどすべてのディテールが信じがたいほどリアルに描写されている。ビデオ中で説明されているとおり、Googleのツールを利用することにより、ILMは劇場版映画の画質でモバイルVRをレンダリングすることが可能なったという。

デベロッパーはSeuratを用いてターゲットとなるシーンを特定の視点に制限し、極めて高い比率で圧縮することができる。ユーザーが動き回れる範囲は制限されるが、その内部では非常にリアルなレンダリングが行われる。開発の過程で、バーチャルオブジェクトはまず制限された視点からの何枚かの3Dスナップショットとして高精細度でレンダリングされる。このスナップショットから軽量版VRが再コンパイルされる仕組みだ。しかしヘッドセットを通してユーザーが体験する際にはオリジナルと変わらない精細度に感じられる。VRのレンダリングではモバイルデバイスの能力が大きなネックとなってたが、Seuratはこのハードルを大幅に低くするはずだ。

GoogleはキーノートではSeuratの詳細には踏み込まなかったが、今年中にさらに詳しい情報を公開し、デベロッパーが利用できるようにすることを約束した。GoogleのVRシステム、Daydreamはスマートフォンやスタンドアローン・ヘッドセットなどパソコン接続版に比べて能力が低いモバイルVRハードウェア市場で大きな存在になるだろう。ローパワーのデバイスでハイパワーのレンダリングができることはこの市場における優位性を確保するためのカギになることは間違いない。

〔日本版〕Seuratはフランスの新印象派の画家で点描手法で有名なジョルジュ・スーラから命名された。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+