Shazamのデータを活用したチャートがApple Musicに登場

Apple(アップル)は、2018年に4億ドル(約425億円)で買収した音楽認識アプリのShazamを活用している。今月前半にアップルが公式に開始した「Apple Music for Artists」ダッシュボードには、Shazamのデータに基づく分析が使われている。米国時間8月20日には、Shazamのデータを利用したApple Musicの新しいチャート「Shazamディスカバリー Top 50」を公開した。

このチャートには毎週、世界中のShazamのデータをもとに、注目アーティストのヒットしつつある曲、トップ50がフィーチャーされる。

Shazamアプリはこれまでに10億回ダウンロードされ、鳴っている曲が何かを調べるために世界中のユーザーが1日に2000万回、ボタンをタップしている。このデータを使って、ブレイクしそうな曲が選ばれる。

これは、これまでの音楽チャートとは異なる指標だ。ダウンロード、購入、ストリーミングの数を参照するのではなく、これから来そうなアーティストを見つけ出そうとしている。

ただし、このチャートに含まれる曲が、その曲のライフサイクルのどの時点にあるかは、おそらくまちまちだ。大半は新しいアーティストだろうが、すでに大ヒットした曲が何らかの理由で含まれるかもしれない。このチャートにランクインする曲は、Shazamのチャートで動きが速いパターンである、急激に伸びている、着実に伸びている、ある地域で伸びているなどの特徴を示していると思われる。あるいは、これらのすべてに当てはまるかもしれない。

この新しいチャートには、米国をはじめとする10数カ国の傾向に基づいて曲が選ばれる。

Shazamが音楽チャートに進出するのはこれが初めてではない。現在、Shazamのサイトでは、米国やその他の一部の国のディスカバリーチャート10曲に加え、米国や日本など、そして世界のトップ200も公開されている。

Apple Musicの「ディスカバリー Top 50」は、今のところShazamのサイトのディスカバリーチャートとは一致していない。これは更新のタイミングによるのかもしれない。

この新しいチャートから、アップルがShazamを社内に取り込んだ理由がうかがえる。曲を認識するテクニックではなく、音楽のトレンドを知るためのデータを取得したかったのだろう。これはアップルがSpotifyと戦うための新たな手段になる。Spotifyは2017年にベータ版として独自のアーティストダッシュボードを公開し、アーティストやミュージシャンに有益な考察を提供して他社と差をつけていた。

Apple MusicのShazamのチャートは「見つける」タブに表示されていることもあるが、「Shazam」で検索して見つけることもできる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ShazamのAndroid版でヘッドホン再生中の楽曲認識が可能に

Apple(アップル)が所有するShazam(シャザム)は、周囲で再生されている音楽を識別でき、さらにAndroidスマートフォンやタブレットを使っていればヘッドホンにて再生している楽曲が認識できるようになった。

昨年アップルにより4億ドル(約430億円)で買収されたShazamは、Android版アプリに「Pop-Up Shazam」という機能を導入した。これを有効にすると、他のAndroidアプリによりスマートフォン内部、あるいは外部にて再生されている楽曲を追跡・認識できる。

この機能は、多くのユーザー長年求めていたものだ。これまでは、ユーザーがYouTubeの動画などで楽曲を見つけた場合、Shazamでは2つの不便の方法しか利用できなかった。ヘッドホンを取り外して内蔵スピーカーで音楽を再生するか、あるいはヘッドホンをスマートフォンのマイク近くに持っていくかだ。

この新機能により、Shazamは他のアプリからの楽曲を追跡することができ、それにより周囲の音やスマートフォンのスピーカーに完全に依存する必要がなくなる。まるでFacebook Messengerのように浮遊しドラッグできる通知をタップすることで、この機能が利用できる。

TechCrunchのテストでは、この機能は有線、無線イヤホンの両方(さらにAirPodsでも)で、InstagramやTiktok、YouTubeなどのアプリにて宣伝どおりに動作した。AppleのモバイルOSではこの通知がサポートされていないため、iPhoneユーザーが同じ機能を利用したいと思っても辛抱強く待つ必要があるだろう。アップルは2014年にShazamをSiriに統合しており、いつの日かなんらかの方法で、iPhoneにおける楽曲の認識機能が拡張される可能性はある。

GoogleはPixel 3シリーズのスマートフォンに「Now Playing」機能を導入して以来、楽曲認識に近年注力している。これは、周囲の楽曲を自動で検索し、認識してログに残すという機能だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Appleが曲名判別アプリのShazamを買収か?

Spotifyが上場に向けてゆっくりとした歩みを続ける中で、Appleは音楽サービスビジネスを強化するための独自の動きを見せている。複数の情報源によれば、同社は程なくShazamを買収するらしい。Shazamとはオーディオクリップを聞かせたり(広告の)ビジュアルの一部を見せることで、テレビ番組、映画、短いコマーシャルなどで流れている曲が何かを判定し、ユーザーがその対象にアクセスできるようにするアプリである。

私たちは、この取引が今週行われるという情報を掴んでおり、発表は月曜日に行われるらしい(とはいえこの手の予定は常に変動し得るが)。

ある情報源によれば、買収額は9桁(億ドル台)に達すると言われ、また他の情報源によれば、それは3億ポンド(4億100万どるドル)になると言われている。私たちは引き続き情報を探っている。しかし注目すべき点は、この数字は同社が2015年に資金調達ラウンドを行った際に耳にした、(PitchBookによる)評価額10億2000万ドルよりは低いということだ。

これまでのところ、Shazamは合計で、Kleiner Perkins、ロンドンのDN Capital、IVP、Sony Music、Universal Music、そしてAccess Industries(Warner Musicを所有)といった投資家たちから、合計1億4350万ドルを調達している。なおKleiner PerkinsはShazamのライバルであるSoundHoundにも投資している

Shazamは、2016年の9月にはアプリが1億ダウンロードを上回ったことを発表しているので、現在はそれ以上になっているものと思われる。

しかし、アプリの世界では、ダウンロード数の多さが必ずしも高収益につながるわけではない。2017年の9月には、Shazamは2016年会計年度に4030万ポンド(5400万ドル)の収益があったことを発表した。これは会計年度2014から2015にかけての落ち込みを、建て直すことができた結果だ。2016年の法定税引前損失としては400万ポンド(530万ドル)を計上している。損失は続いているものの、その額は2015年会計年度の1600万ポンド(2120万ドル)に比べれば、大幅に減少している。

とはいえ、今年の初めには同社のCEOのRich Rileyが、Shazamの成長が続いているため、利益が出ることが期待できると述べている。そして、その結果、同社が買収の対象となる可能性が高いことも示唆していた。

Shazamはアプリ時代のはるか前、1999年にSMSコードによって利用できるサービスとして登場した、そもそも当時の名前は2580であった。これは英国内で、サービスにアクセスするためにタイプする必要のあった番号から来たものだ。

そうしたごく初期のころから、同社は多くの関連サービスを立ち上げてきた。Shazamでアーティストたちにアクセスすることで、有名人たちをフォローすることが可能になり、彼らがどんな音楽を日々「Shazamしている」のかを知ることができる。

その拡張現実ブランドマーケティングサービスでは、アプリで撮影した写真に基づいてコンテンツを発見することができる。「音楽を始めとして、McDonaldのカラオケや、MTN Dew VR Racing、その他の体験がお待ちしています」というのが会社の売り文句だ。

またそれは、SnapchatやAppleのSiriなどの他のアプリも取り込んでいる。そして現在は、SpotifyやApple Musicなどの他の音楽アプリに多くのトラフィックを送り込んでいて、その先で購入が行われた場合に収益となるようになっている。

買収後にどのようになっていくのかは明らかではない。またどの部分が(どのように)Apple自身のビジネスに組み込まれていくのかもはっきりしていない。しかし、Shazamか行っていることの大部分は、Appleが既に行っていることの間にシナジー効果を生み出す筈だ。ARやその他の機能がより多くのユーザーをApple Musicプラットフォームに引きつけることだろう。

アップルはこれまで数十もの買収を行ってきた。その中で最大のものは音楽分野で行われている。それは2014年に30億ドルで行われたBeatsの買収で、現在のApple Musicの基礎となっている。このサービスには、今年の9月時点で約3000万人のユーザーがいる。比較として挙げるなら、Spotifyの総会員数は1億4000万人であり、そのうち6000万人以上が有料会員である。

現在私たちはShazamとAppleにコメントを求めている。より詳細が判明したらこの記事を更新する。

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(翻訳:sako)