グロースハック支援ツール提供のシロク、今度はディープリンクサービスを開始

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URL経由で、ウェブやアプリのトップ画面ではなく、特定のページやコンテンツに直接アクセスできる「ディープリンク」。最近ではスマートフォンでブラウザからアプリ、アプリから別のアプリに遷移することも多いが、その遷移の際にアプリのトップ画面が表示されるのではなく、直接目的のコンテンツが表示されたというような経験はないだろうか? あれもディープリンクによるものだ。通常のリンクよりダイレクトにユーザーの求めるコンテンツを提供することができるため、アプリの価値向上に有効だ。

以前TechCrunchでも紹介したフクロウラボの「Circuit」のようなプロダクトも登場し、国産アプリでも徐々に導入が進みつつあるディープリンクだが、サイバーエージェントの連結子会社であるシロクもその領域に参入した。同社は6月23日、「国内で最も多機能なディープリンクサービス」をうたう新サービス、「Growth Link」の提供を開始した。

Growth Linkは、ウェブサイトやアプリ上でのディープリンクを手軽に設定できるツールだ。通常ディープリンクに対応するには、OSをはじめとしたさまざまな環境に合わせた設定が必要になるが、Growth Linkでは、アプリにSDKを組み込み、リンク先の設定をするだけでだけ対応可能だという。

シロクではグロースハック系のツールを「Growthbeat」という1つのSDKにまとめて展開しており、これまでに同SDKで利用できるGrowth Push(プッシュ通知配信ASP)、Growth Message(アプリ内ポップアップツール)、Growth Analytics(解析ツール)の3つのツールを提供しているが、Growth Linkはその4つ目のツールとなる。

競合製品と比較してユニークだとうたう機能は、アプリインストール前のユーザーに対する施策だ。通常、ユーザーが当該アプリを未インストールの状態でそのアプリに遷移するディープリンクにアクセスした場合、アプリストアに誘導することしかできない(ダウンロード後にアプリを起動するとトップ画面が表示される)。だがGrowth Linkではアプリストア経由後もディープリンクを保持するため、アプリストアをアプリをインストールして初回起動した際に、意図したディープリンク先を表示できるという。これによって、アプリ未インストールユーザーの継続率を向上することができるという(詳細は割愛するが、ブラウザのcookieを利用してこれを実現しているそうだ)。

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またA/Bテストにも対応しており、1つのURLから複数のアプリ内リンクを作成し、ユーザーをランダムに飛ばすことが出来る。その後のユーザーアクションを記録することでどのリンクが最も有効か計測可能だ。

さらに、同社の他ツールと連携させることで更に踏み込んだ訴求が可能と訴える。例えばGrowth Linkで作成したディープリンクを活用して、グルメサイトからのユーザー、旅行サイトからのユーザーといったようにユーザーをセグメント化。そしてGrowth Pushのセグメント機能を使い、セグメントごとに異なる内容のプッシュ通知を配信する、といった応用が考えられる。

Growthbeatは現在6500アプリに導入されているが、シロク代表取締役の飯塚勇太氏は2015年中に1万アプリへの導入を目指すとしている。今後はGrowthbeatのプラットフォーム展開も視野に入れており、自社で機能追加するだけでなく、サードパーティが開発した機能をGrowthbeatに取り込む事も検討している。

グロースハック向けツールを提供するシロク、今度は解析サービス「Growth Analytics」を提供

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プッシュ通知・解析サービスの「Growth Push」、行動記録・分析サービスの「Growth Replay」、メッセージ配信・分析サービス の「Growth Message」と、スマートフォンアプリのグロースハック向けのツールを立て続けにリリースしてきたシロク。今度はそれらのツールとも連携するアプリの解析サービス「Growth Analytics」の提供を開始する。

Growth Analyticsでは、スマートフォンアプリの運用に必要なデータの取得・解析や、改善施策の効果検証を行うことができる解析サービスだ。Google Analyticsなど各種解析サービスで取得したデータを取り込むことも可能だそう。

シロク代表取締役の飯塚勇太氏は、「データを貯める点ではなく、データを活用する点に主眼を置いているサービス。多くの企業は分析サービスでデータを取得しているが、そのデータを本当に活用できているということは少ない。別サービスで取得しているデータも取り込んで、より詳細な分析やサービス運営に活用することができる」と説明する。

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シロクではこれまでサイバーエージェントグループのアプリにてサービスの試験運用を続けており、そこで得た知見をノウハウを蓄積してきたそう。例えばサイバーエージェントでは、カレンダー形式でサービスの運用スケジュールから数値目標の管理までを行う「運用カレンダー」というものがあるそうなのだが、これも機能の1つとして取り込んでいる。

シロクがこれまで提供してきたグロースハック系サービスとSDKを共通化しているそうで、アプリに1つのSDKを導入すれば、Growth Pushをはじめとした同社の各種グロースハック系サービスが利用できる。料金はサービスの規模によるが、月額70万〜120万円程度になる。これに初期費用30万円がかかる。

シロクではGrowth Analyticsの提供とあわせて、データサイエンティストが改善施策を提案する「クラウドデータサイエンティストサービス」もあわせて展開していくとしている。

プッシュ通知の配信解析サービス「Growth Push」が海外へ–配信対象は5000万デバイスに

サイバーエージェントの内定者チームで制作した写真共有アプリ「my365」がきっかけになって、新卒で同社の子会社を立ち上げることになったシロク。同社は現在グロースハック向けツールを複数提供しているが、その中でも主力サービスになっているスマートフォンプッシュ通知配信・解析サービスの「Growth Push」を海外向けに提供する。

Growth Pushは、iOS、Androidのスマートフォン端末に対して、プッシュ通知を送ることができるアプリ開発者向けのプッシュ通知配信・解析サービスだ。適切なタイミングでプッシュ通知を行うことで、ユーザーのサービス継続率や再帰率を高める。クローズドベータの段階でも、プッシュ通知の最適化によって翌日継続率(アプリを2日継続して起動する割合)が10%増加、1週間後の継続率でも5%増加に繋がったそうだ。

プッシュの自動配信のほか、配信対象を限定したセグメント配信、A/Bテストによる配信の効果測定などが可能で、プッシュ通知に対するユーザーの動向を解析して、プッシュの最適化を図ることができる。サービスは2013年7月にローンチしたが、これまで1700アプリ、累計5000万デバイスにプッシュ通知を行った実績があるという。プッシュ通知を提供する競合サービスは他にもあるが、「規模としては我々が一番多いのではないか」(シロク代表取締役の飯塚勇太氏)

シロクでは同日より、欧米向けにインターフェースをカスタマイズした英語版「Growth Push」を展開する。米国をメインターゲットに、2015年9月末までに配信数5億デバイスを目指すとしている。また、海外版の提供に合わせて、これまでトライアルとして5万リクエストまで無料にしていたが、これを100万リクエストまでに大幅拡大している。「例え個人であっても、5万リクエストだとすぐに超えてしまい、有料になってしまっていた。今は法人ユーザーが多いので、個人の開発者にももっと使って欲しい」(飯塚氏)。来月には、グロースハック向けサービスの共通基盤も公開する予定だという。