宇宙飛行の予約エージェントShuttleはこんな会社

Avery Haskellは、NASAJohnson Space Center近くのヒューストンで育ち、物心ついた頃から宇宙飛行士になりたいと思っていた。

スティーブン・ホーキングとカール・セーガンがヒーローだったスタンフォード大学卒の24歳のAveryは、起業家の家庭に育った。インターネットが生まれてすぐの頃、石油・ガス産業で会計士として働く母親と鉄道のIT技術者の父親が“Neighbornet”というスタートアップを立ち上げたーZillowの初期バージョンだ(Zillowは結局スタートしなかった)。

Haskell自身は現在手がけているベンチャーShuttleに落ち着く前は、クラウドファンディングスタートアップの立ち上げに手を出したり、いくつかのモバイルテクノロジー会社にいたりと、スタートアップ業界の中でちょろちょろと動いていた。

Shuttleは今年初めにAlchemist Acceleratorから生まれ、サイバーセキュリティの専門家でWickrの共同創業者であるNico Sellと共同で設立された。ウェブ・モバイルベースの宇宙飛行予約エージェントになることを目指している。

「宇宙は僕の初恋だ」と、母校スタンフォードでスペースイニシアチブの立ち上げに関わったHaskellは語る。「僕はいつだって宇宙飛行士になりたかったし、多くの人が宇宙飛行士になるのを手伝いたいと思っている。より多くの人が宇宙へ行き、そしてより多くの人が宇宙旅行に興味を持つようになればいいと考えていた」。

HaskellはSellにAlchemist Acceleratorで出会った。Sellはそこでは初めに若い起業家のためのメンターを務めた。しかし彼女はすぐに新たなフロンティアマーケットの先端で働くというアイデアに夢中になった。くしくも、SellがShuttleの会長に就くことに合意した日は、イーロン・マスクのSpaceXが2つのブースターロケットをほぼ同時に地球に着陸させた日だった。

「イーロンに続いて宇宙に足を踏み入れる」とSellは語る。「Averyと働き始めたとき、“我々は本当に準備ができているのだろうか?”と尋ねた。その後、彼と働きながら、準備ができていると確信した」。

Shuttleのフライトリストにあるチケットを購入するのは、Kayakで航空券を買うのとは同じではない。それは、あなたが超お金持ちでなければの話だが、価格が不条理に近いほど高いことが主な理由だ。

Shuttleが提供するのは、25万ドル超もするVirgin Galacticでの宇宙旅行から、無重力を体験できるボーイング747の1席5000ドル以下のローエンドパッケージなどだ。

Shuttleは実際、2019年3月にサンフランシスコから打ち上げられる予定の無重力が体験できる初のフライトの予約を受けている。このフライトでは34人が無重力を約8分にわたって体験できる。

「我々のミッションは、誰もが宇宙を楽しむ機会を持てるようにすること」とHaskellは話す。「より多くの人に宇宙に行ってほしい。そうすると価格が下がり、そしてより多くの人が宇宙から地球を眺めることができ、プライベート宇宙飛行士になる」。

ゆくゆくは、多くの宇宙旅行が利用可能になったところで、Shuttleはさらに商品を増やす。「現在、建設中のラグジュアリーな宇宙ホテルもある」とSellは語る。「1泊100万ドルで最低12泊、90分おきに日の出と日の入りを見ることができる。かなり近い将来、ムーンウォークとスペースウォークも商品として提供できるようになる」

Shuttleは、惑星探査に興味があり、これまでに何人かしか行ったことがないような場所に果敢にも行きたいと考えているコンシューマー向けに、1カ所で商品を購入したり情報収集したりできるハブになりたいと考えている。またShuttleは、実際に宇宙に行く費用を払えない人のために、ヴァーチャルスペースツアーも提供する予定だ。

さしあたっては、かなり金持ちの人か、まとまった額の助成金をもらった人だけがこの宇宙旅行に参加できる。Sellは、ビジネス客向けの企業パッケージにも商機があるとみているープロフェッショナルサーファーKelly SlaterのSurf Ranchでのエグゼグティブの静養先としての旅行にたとえた。

Sellは、宇宙に行くのにかかる5万ドルから25万ドルを喜んで払う人が今後10年間で10万人超出てくると見込んでいる。

すでに同社は、4回のVirgin Galacticのフライトと、同じく4回のZero Gravityチャーターで顧客8人から予約金166万ドルを受け取っていて、チケット1枚あたりの平均価格は25万ドルであるフライトの手数料レートは5〜10%だ。

次に来るものとして、Haskellには心に描いているものがある。「我々はおそらく、近い将来、月に基地を作ることができる。2030年までには可能ではないか。私が生きている間に宇宙の他の惑星に行ったり来たりするのはかなり一般的になるだろう」と語った。

Haskellにとって、Shuttleの重要性は地球に住む人間に、共有している青い惑星での我々の存在がはかないものであることを認識してもらうことにある。Haskellは、お気に入りのカール・セーガンの言葉「宇宙が自らを知る方法、それが私たちなんだ」を引用した。そしてもしそれが本当なら、宇宙を旅することは人間にとって自らをより理解することにもなるとHaskellは考えている。

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(翻訳:Mizoguchi)