Skyland Venturesのインキュベーション・プログラム「WAVE」、第2期参加の3社を発表

25歳以下の起業家への投資をメインに行うSkyland Ventures。7月25日、同社が運営するインキュベーションプログラム「WAVE by Skyland Ventures(以下、WAVE)」の参加企業が発表された。今回が第2期目のプログラムとなる。

写真中央がSkyland Ventures代表パートナーの木下慶彦氏

プログラムに採択された合計3社の概要は以下の通り:

Glit

Caratが提供するGlitは、スマートフォン向けの転職サポートアプリ。同アプリでは、ユーザーのプロフィールや経歴などをもとに1日10件の求人をリコメンドする。GlitのUIはデーティングアプリのTinderに似ている。リコメンドされた画面を左右にスワイプしていくことで興味のアリ/ナシを分けていく仕組みだ。

ジコナラ

ST Bookingが提供するジコナラは、トラブルにあったときに参照する総合情報ポータルサイト。ただ、現状はトラブルにまつわる記事を掲載するメディアに近い。今後、同社はトラブルの種類ごとにユーザーと弁護士をマッチングするプラットフォームとして事業展開していく予定だという。

Aidemy

アイデミーが提供するAidemyは人工知能の領域に特化したオンライン学習サービス。日本のプログラミング学習サービスにはprogateCODEPREPなどがあるが、Aidemyは人工知能に関する知識・技能だけを効率的に習得できるサービスを目指すという。教材教材で使用する言語はPython3とMySQLで、ライブラリはおもにscikit-learnを利用する。サービスの利用料金はまだ検討中だという。

3ヶ月でリリースとファイナンスのアウトライン構築目指す

Skyland Venturesは2012年8月設立。総額14億円を運用する同ファンドは現在、日本国内を中心に約40社に投資を行っている。同ファンドの投資理念や手法はこちらの記事を参考にしてほしい

彼らが運営するWAVEは、年2回実施する3ヶ月のインキュベーションプログラムと、その成果を発表する年4回デモデイで構成されている。Infinity Ventures Summit(IVS)とのコラボレーション・イベントとして開催した第1回デモデイには「cluster.」や「Smooz」などが参加した。なお、このイベントはIVSでのシード権をかけたピッチコンテストとしての意味合いもあった。

WAVEのインキュベーション・プログラムに参加する企業は、Skyland Venturesから500〜1500万円のシード資金を得ることができる。そのほかにも、クリエイティブ・エージェンシーのPARKからブランドやコンセプト作りのサポートを、そして、UIデザインに強みのあるSTANDARDからはUIの開発サポートを受けることができる。

2017年4月に開催されたデモデイの様子

WAVEは合計3ヶ月のいわば短期集中的なプログラム。その期間中にプロダクトリリースとファイナンスのアウトラインを構築することを目標としている。木下氏は「あえて3ヶ月で区切りをつけ、プログラム終了後の追加ファイナンスへの視野をもっている企業を採択した。それがなければスタートアップ的な事業成長はしないと思う」と語る。

今回のプログラムに参加したスタートアップは、2017年9月上旬に予定されているデモデイでプログラムの成果を発表することになる。

TechCrunch Tokyoで若手独立系ベンチャーキャピタリスト2人にスタートアップの「今」を聞く

新聞やビジネス誌でも「ベンチャーブームの再来」なんて文字が踊るようになって久しい。たしかに数年前に始まったインキュベーションプログラムは成熟度が増して、そこから優秀なスタートアップが生まれつつある。10月末に開催されたのIncubate Campなども、僕は行けなかったのだけれども審査員やメディアからはサービスやプレゼンのレベルの高さについて聞くことも少なくなかった。またIPO市場を見ても、最近話題となった弁護士ドットコムとクラウドワークスのマザーズ上場を始めとして活況を呈している。もちろん上場までの期間を考えると、直近に創業した会社ばかりというわけでもないのだけれど。

佐俣アンリ氏

だが果たしてこれはブーム、つまり一過性のものなのだろうか。僕はそう思っていないし、そうならないためにできることはやっていきたいと思っている。僕たちがまず出来るのは、新しいプロダクト、サービスを生み出す人たちを取材して正しく伝えることだし、ベンチャー、スタートアップという東京の渋谷や六本木周辺を中心にしたコミュニティの”業界ごと”を“世の中ごと”にすることなんじゃないか。TechCrunchの編集部にジョインなんて記事で華々しくデビューしてしまった(させてもらった)者としてそう考えている。

僕が一過性だと思わない理由はスタートアップを取り巻くエコシステムの拡大だ。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家、インキュベーター、士業、監査法人、さらには大企業の新規事業担当者など、スタートアップを取り巻く環境はここ数年で大きくなり、正直取材をするだけでもひと苦労になっている。もちろん少なくないプレーヤーが失敗してはいるのだけれど、全体としてはより大きなものに成長している。投資額だってそれに合わせて大きくなっている。CrunchBaseにある地域ごとの投資マップ(こちらは2014年10月分)を見ても毎月の投資額がそれなりに大きいことが分かるし、CB Insightsの記事によると、東京での資金調達額も過去2年(2012年11月〜2013年10月と2013年11月〜2014年10月)を比較して約2割増だそうだ。

木下慶彦氏

さて、11月18日〜19日に開催するTechCrunch Tokyo 2014では、そのエコシステムの中から若手の独立系ベンチャーキャピタルにスポットを当てて、スタートアップを取り巻く環境について聞いてみたいと思う。11月18日夕方のセッション「独立系ベンチャーキャピタリストが語る投資の今とこれから」には、ANRI General Partnerの佐俣アンリ氏、Skyland Ventures 代表パートナーの木下慶彦氏に登壇頂く予定だ。2人はそれぞれ20代にして自らの手でベンチャーキャピタルを立ち上げ、投資を行ってきた。

ANRIは前述のクラウドワークスのほか、DeNAが買収したペロリなど、すでに投資先のイグジットの実績があるし、Skyland Venturesも投資先の八面六臂が7月にリクルートなどから4.5億円の調達。トランスリミットは対戦型脳トレアプリ「BrainWars」が現在世界500万ダウンロードを達成し、さらにLINEなどから3億円を調達。それぞれサービスの拡大を進めているところだ。

このセッションではそんな2人に、どうして自らベンチャーキャピタルを立ち上げるという選択肢を選んだのか、今どういった視点で投資を行っているのか、さらにはスタートアップを取り巻く環境の今とこれからについて聞いてみたいと思っている。開催まで間もないが是非とも2人の話を聞きにきて欲しい。

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Skyland Venturesの新シードプログラム「Morning Sprint」は起業家重視の常時開催型

Y Combinatorの成功を受けて、世界各地でいわゆるシードアクセラレータープログラムが雨後のタケノコのように大量に立ち上がりブームとなっている。すでに米国では失速気味とも言われていたりするが(The Startup Accelerator Trend Is Finally Slowing Down)、日本ではまだまだ黎明期といっていいかもしれない。

シードアクセラレーターといえば、たいていは「バッチ」とか「○期生」と呼ぶ単位で一度に複数のスタートアップに少額ずつ投資するスタイルが一般的だ。1年に2度とか3度、スタートアップを募集する。そこで選ばれ、同時期に投資を受けたスタートアップのメンバーたちはメンタリングを受けたり互いに切磋琢磨したりする。

こうした一般的なスタイルと、ちょっと様子の異なるプログラムを東京に拠点を置くSkyland Venturesが開始すると、今日発表した。応募時期を年2回などと区切らずに、常に起業家に門戸を開いている常時開催型のシードアクセラレータープログラム「Morning Sprint」だ。

名前が示す通り、Morning Sprintは朝に行われる。月、火、木と週に3度、朝7時から8時までシードステージの起業家4名ほどがプロダクトのデモを中心としたピッチを行うという場だ。Morning Sprintの場にはメンター起業家として、MOVIDA JAPANの孫泰蔵氏、East Venturesの松山太河氏、インブルーの大冨智弘氏などが参加して、コミュニティ構築をしていくといい、こうした中で育った起業家に投資して支援してく狙い。Skyland Venturesの木下慶彦氏といえば、これまで同様の朝の集まり「Morning Pitch」を継続して開催してきた中心人物としても知られている。これまでSkylandが投資してきた八面六臂ナナメウエイベントレジストgamba!などは、Morning Pitch出身だ。

今回新たにプログラムを開始するにあたって木下氏は「起業家ファンドを作りたい」と話す。資金を運用するファンドは、出資者と起業家の間に立っているわけだが、そのいずれに重点を置くかという話だ。「ECのアナロジーでいえば、Amazonが顧客ファーストと言うように、われわれは起業家に集中したいのです。だから、事業シナジーは作りません、レポーティングもしませんと最初から明言しています」(木下氏)。ECには売り手と買い手がいて、仲介者であるECサイトは両方の顔を見ながらバランスを取るのが一般的。しかし、Amazonは徹底した買い手優先で知られている。同様に、VCは出資者とベンチャー企業の両方とコミュケーションするわけだが、そうであるにしても徹底して起業家と向き合いたい、というのがSkyland Venturesが出すメッセージということだそうだ。

事業会社が作るファンド、いわゆるCVCでは事業シナジーを求められることがあるし、早期マネタイズの圧力もあってグループ会社と提携することも少なくない。それはスタートアップ企業にとって大きなメリットとなることもあれば、足かせとなることもある。目線を高く起業したはずが、大企業の下請けのような提携プロジェクトばかりこなしていては、コアの事業に集中できないということもあり得るからだ。木下氏は過去の経験から、出資側の思惑やメリットを最大化する施策をスタートアップ企業に押し付けたくないと考えてMorning Sprintというプログラムを始めた面もあるのだという。

ちなみに「朝」にこだわるのは、朝の早いうちに投資家など外部とのコミュケーションを済ませれば、起業家は午前も午後も事業に集中できるからだそう。Skyland Venturesの投資も大方は朝に決まるそうで、額は数百万円から3000万円程度。「決まるときは15分で決まる」(木下氏)という。Skyland Venturesは2012年8月設立で、1号ファンドの総額は約5億円。スマホ分野のプロダクト持つエンジニアや起業家、及びその予備軍を応募していて、ファンドのうち2億円をスマホ投資枠としている


社内日報共有サービスのgamba、Skyland Venturesから2000万円を調達

社内の日報共有を効率化するためのサービス「gamba!」を提供するgambaがSkyland Venturesから2,000万円の資金を調達した。gambaは昨年12月にβ版を公開し、これまでに1,500社が登録しているという。

日報は今でも手書きで紙に書いて提出していたり、社内のメールで情報を共有していたりする企業も多いそうだ。書いても部署内で情報が共有しきれずに、ムダになってしまうこともあり、単に面倒な作業と感じている方も居る。

gamba!はこのような問題を解決するためにソーシャルネットワークベースの社内日報共有サービスを提供している。サービス内では同じグループ内のユーザーが書いた日報などがタイムライン形式で表示され、それぞれにコメントをしてフィードバックすることもできる。

ユーザーの職種としては営業が一番多いそうだが、エンジニアの数も多くの割合を占めている。というのも、GitHubやBitbucketといったサービスと連携して、レポジトリのコミット履歴を1クリックで日報に読み込むといったエンジニア向けの機能なんかも備えられているからだ。この他、Googleカレンダーからの予定取り込みなども用意されている。

gamba!のような、いわゆるソーシャルエンタープライズと呼ばれる分野では昨年6月にMicrosoftが企業内版TwitterのYammerを12億ドルで買収したことが記憶に新しい(Yammerは2008年のTechCrunch50カンファレンスでデビュー)。

アメリカでFacebookが誕生したのは2004年、Twitterは2006年で、Yammerは2008年だ。日本でもここ数年の間にさらにソーシャルネットワークのユーザーが増えた。ソーシャルエンタープライズのサービスのインターフェイスはこれらと似ている。森田氏によれば、今のタイミングなら多くの人がこういったサービスのインターフェイスに慣れているから、初期の段階でも迷わずに使えるのではないかという。