スコットランドの宇宙開発スタートアップSkyroraがロケットの準軌道打ち上げに成功

先週末は、SpaceX(スペースX)やRocket Lab(ロケットラボ)といった民間のロケット打ち上げ事業者を目指すスタートアップを含め、打ち上げミッションで忙しい週末だった。エディンバラに拠点を置くSkyrora(スカイローラ)は、米国時間6月13日土曜日にスコットランド沖の島からSkylark Nanoロケットの打ち上げに成功し、その計画の重要なマイルストーンを達成した。

Skyroraは小型ペイロードのための手頃な輸送手段を提供することを目標として、ロケットを開発している。同社は2018年の初ミッションを含めてSkylark Nanoを2回打ち上げているが、スコットランドで計画されている3つの商業用スペースポートのうちの1つであるシェットランド島からの打ち上げは今回が初めてだ。

Skylark Nanoは、Skylark-LとSkyrora XLという商用打ち上げロケットと並行開発されているロケットだ。Skylark Nanoは高度約6kmと宇宙には到達していないが、同社の推進技術を実証するのに役立つだけでなく、サブオービタル(準軌道)打ち上げ用のSkylark Lや、軌道打ち上げ用のSkyrora XLの開発に役立つ重要な情報を収集する。

Skylark Lは現在開発中で、先日にはロケットの完全なスタティックファイアテストに成功した。現時点では、早ければ2022年にもイギリスを拠点とするスペースポートから、商業的打ち上げを開始する計画だ。

またSkyroraのアプローチは、機体の構造に3Dプリント(Additive Manufacturing)を採用し、従来のロケット燃料よりも排出量が少ないと主張する廃棄プラスチックから製造されたケロシン(液体燃料)を使用する点でもユニークだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ロケット打ち上げスタートアップのSkyroraは消毒液とマスクの生産に注力

Skyroraは、実際にペイロードを軌道上に運ぶ稀有な民間打ち上げスタートアップの仲間入りを目指している新しい企業の1つだ。しかし今、英国内の製造能力のすべてを、COVID-19対応に集中させることにした。スコットランドのエジンバラに拠点を置くSkyroraは、英国政府やNHS(英国民医療サービス)からの製造業者への呼びかけに応じて、できる限りのことをすることにした。新型コロナウイルス危機と最前線で戦っている人たちのために、切望されている医療用品を供給するのだ。

Skyroraryによれば、英国にある事業全体つまりすべての人的資源と運転資金を現在はCOVID-19対応に向けているという。同社は2017年に設立され、最初の宇宙船の試験飛行に向けて活動していた。この2月にはより環境にやさしい実験的なロケット燃料を使った初期のエンジンテストに成功したばかりだった。

しかし現時点、Skyroraは手指消毒液の製造に注力することにした。これが同社としてCOVID-19対応をサポートする初の仕事となる。すでにWHOのガイドラインと要件に沿って最初のバッチを生産している。現在、1週間あたり250mlボトルで1万本以上を製造できるよう生産活動拡大を目指している。

実際のところ、ロケット工学と手指消毒液の間にはかなり密接な関係がある。消毒液の基本的な殺菌成分はエタノールだ。これはアルコールの一種で、初期のロケット燃料に使用されていた。ただしSkyroraの「Ecosene」燃料は灯油の一種で、現在の航空機やロケットの燃料としてかなり一般的に使われているものとなる。

Skyroraは消毒液だけでなく3Dプリンターで作った保護用フェイスマスクが、医療従事者の安全確保に貢献できる可能性についてスコットランド政府と協議している。現在、初期のプロトタイプのテスト中だ。効果が確認できれば、この保護器具を大量生産することを検討している。

多くの企業が、自社の生産ラインと製造能力を最も需要のある領域にシフトするなど、可能な範囲で努力している。今は間違いなく「総動員」が求められる時期だ。とはいえ、注力する分野をここまで大きく変更した企業に、今回のような緊急事態が過ぎたとき、いったい何が起こるのかという疑問もある。特に新しい分野の若いスタートアップにとっては、深刻な問題だろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

3Dプリンタでロケットエンジンを作り廃プラ燃料で噴射に成功したSkyrora

ロケットの打ち上げ事業を展開している英国エディンバラ拠点のSkyroraは、小さな人工衛星用の新しい打ち上げロケットを開発中だ。同社はこのほどその新型ロケットエンジンの地上静止噴射に成功し、実際の打ち上げに向かって大きく前進した。

Skyroraのロケットエンジンは3Dプリンタを使ってる点で新しいだけでなく、その燃料が廃プラスチックから作られている点にも注目だ。その新種の燃料は「Ecosene」と呼ばれ、同社によると競合製品よりもグリーンで、エコロジー的にも健全だそうだ。

Skyroraがテスト中のロケットエンジンは、最終的に全長22mの打ち上げロケットであるSkyrora XLの最後のステージで力を発揮する。Rocket Labの全長17mのElectronに近く、SpaceXのFalcon 9の全長70mにはおよばない。しかし、複数のペイロードを地上から最大500kmまでの複数の軌道へ配達できる。これは小型の衛星ペイロードでよく使われる低地球軌道だ。Skyroraは、廃プラから独自の方法で得られたケロシンであるEcoseneと、通常のロケット燃料であるRP-1ケロシンの両方で噴射して燃料としての性能を比較した。

Skyroraによると、1000kgの廃プラからおよそ600kgのケロシンを作ることができ、温室効果ガスの排出量は競合製品よりも約45%少ないという。Ecoseneには冷凍保存をしなくていいという利点もあり、長期間タンクに入れておける。同社によるとこの性質は、同社が実用打ち上げを予定している彼らの母国であるスコットランドの宇宙船基地の条件に合っているそうだ。

今回の試験噴射だけで新燃料の可用性が決まるわけではないが、その結果は今後のさまざまなテストに向けて励みになる。そしてSkyrora XLロケットの英国からの最初の打ち上げは、2022年を予定している。

【編集部注】TechCrunchは、米国ロサンゼルスで6月25日に開催する「2020 – TechCrunch Sessions: Space」で初めて宇宙テクノロジー専門のイベントを企画している。チケットは、今からでも買える

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa