スマートニュースが12億円を追加で資金調達、米国での人材採用を積極化

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すでに本家TechCrunchでも報道されているが、ニュースアプリ「SmartNews」を手がけるスマートニュースが1000万ドル(約12億円)の資金調達を実施したことが明らかになった。評価額はプレ(調達前)で3億2000万ドル(約384億円)、出資したのは既存投資家のグリー、グロービス・キャピタル・パートナーズ、Atomico、ミクシィ、Social Venture Partnersとなっている。

スマートニュース ヴァイス・プレジデント 財務担当の堅田航平氏曰く、今回の調達はいわゆるブリッジファイナンス(独立した資金調達ラウンドではなく、次のラウンドまでのつなぎの資金調達)で、2014年10月にリリースしたSmartNews米国版や2015年2月にリリースしたインターナショナル版の順調な成長を受けたもの。この資金をもとに米国拠点の人材を強化。米国サンフランシスコの拠点において、マシンラーニングや自然言語処理に長けたエンジニアを積極採用していく。日本のスタッフや役員も出張ベースで積極的に米国とコミュニケーションを取るとしている。

スマートニュース代表取締役の鈴木健氏によると、SmartNewsのMAU(月間アクティブユーザー)は日本で400万人、米国では100万人。提携メディア数も当初の10社から75社まで拡大。日米ともに「数字は順調に伸びている」(鈴木氏)のだそうだ。米国でニュースアグリケーションアプリと言えば、Flipboardが圧倒的なダウンロード数を誇っているようだが(直近の数字は公開していないが、Google Playでは世界で1〜5億ダウンロードとなっている)、スマートニュース代表取締役の浜本階生氏曰く、「ランキングに基づいて言えば、あまり突き抜けている(競合)アプリはない」とのこと。

また米国のアプリストアについて、「CNNやBuzzFeedなど1媒体を閲覧するアプリがランキングの上位を占めている。日本でも3年ほど前はそんな状況だったが、今ではアグリゲーターが上位を占めている。今後はそういった傾向が出てくるのではないか」と語った。

2014年12月に国内で本格的に広告ビジネスをスタートしたスマートニュースだが、米国でのマネタイズはまだまだこれからのようだ。「国内でもMAUが400万人を超えてやっと広告を始めた。米国でも同じように成長していく必要がある」(浜本氏)

日本を見てみれば、競合サービス「Gunosy」を手がけるGunosyに上場承認が下りたばかり。鈴木氏にイグジット戦略について聞いたところ「今のところ時期などは考えていない。まずは米国を頑張るというところ」ということだった。

SmartNewsは自社の炎上記事も他の記事と等しく掲載する

スマートニュースは3月11日、ニュースアプリ「SmartNews」上で、川崎市男子生徒殺害事件の被疑者として逮捕された少年の実名と顔写真とされる内容が含まれた記事を表示していたと発表した。すでに自社の判断で表示を停止している。

SmartNewsでは、ソーシャルメディアをはじめとしてインターネット上で話題になっている記事を収集し、独自のアルゴリズムで選定・表示している。同社はそれを説明した上で「当社の運用基準に抵触すると判断した場合は、自主的に表示を停止している。また、そのような事象を未然に防ぐよう、アルゴリズムの改善を継続的に行っている」とし、「人的およびシステムによる監視体制の強化と精度の向上に取り組むと」と今後の対応を説明した。

毎日新聞が報じたところによると、スマートニュースは「コンテンツは自社で作ったものではないが、掲載した社会的責任はある」「(少年法61条との兼ね合いについて)個別案件について見解は答えられない」とのコメントをしている。

問題になった記事は、いわゆる「2chまとめ」系ブログのもの。実名および顔写真とされる内容を掲載したメディアの記事を引用して作成していた。毎日新聞が記事上に掲載したSmartNewsのスクリーンショットに掲載された内容(一部はぼかされ、人名や写真が分からなくなっている)を検索すると、当該人物らしき実名や顔写真が掲載されたサイトがすぐ見つかる。

自社の「炎上記事」でもニュースとして表示

あらためてスマートニュースに問い合わせたところ、少年法に関わる点は「一部報道にあるとおり」と歯切れの悪い回答ではあったものの、同社の記事の表示・非表示に関する方針を聞くことができた(一部は3月12日に同社の発表に追記された)。

SmartNewsでは、公序良俗に反する内容の記事について、人力およびアルゴリズムで表示をしないようにしているのだそうだ。それに加えて、“事実が更新された記事”についても表示しないようにしているという。どういうことかというと、ある選挙の結果が出た際、以前に表示されていた「(落選した)特定の候補者が有利」といった記事を消すというように、情報のアップデートを図っているのだという。

今回の一件で人力、システム両面での監視を強化するとしたスマートニュースだが、前述のような記事のアップデートを除いては、人力で特定の記事の露出を増やす、というような編成機能を持つことはしない。ただし、「(公序良俗に反するなどとして)特定の記事を取り下げた場合、その内容を学習することでアルゴリズムをさらに改善していく」のだそうだ。

自社の「炎上記事」でもニュースとして表示

3月11日のスマートニュースの対応には、評価されるべき点もあるんじゃないかと僕は思っている。取材に対して「サービスの社会的な意義」について語り、毎日新聞の「スマートニュースが少年の実名と顔写真を含む記事を表示していた」というニュースもSmartNews上で掲載しているからだ。

僕はこれまで、広告主のネガティブニュースを掲載しないように(主にビジネスサイドから)編集サイドに働きかけるというような残念な話を何度か聞いたことがある。広告でメシを食うメディアのジレンマだ。

だがスマートニュースはそういったことはしないと語る。「ビジネスと編集の分離という考え方は持っている。過去にSmartNewsのサービスが炎上したときも、(アルゴリズムで選ばれれば)表示していた」——メディアとして考えれば当たり前な話ではあるかもしれないが、この方針を明言したことの意味は大きいのではないだろうか。


スマニューのMAUは400万人、DAUは200万人–10媒体以上に1000万PVを誘導

ニュースアプリ「スマートニュース(SmartNews)」を毎月1回以上起動する月間アクティブユーザー(MAU)は400万人、毎日起動するデイリーアクティブユーザー(DAU)は200万人――。ダウンロード数では600万を超えるスマートニュースだが、12月1日に開催された自社イベント「SmartNews Compass 2014」で初めてアクティブユーザー数が明らかにされた。

ニュースアプリは各社、テレビCMをはじめとするキャンペーンでユーザー数が拡大しているが、アクティブユーザー数を公表するのは異例。代表取締役の鈴木健さんは、「ダウンロード数は急速に伸びているが、実際に使われなければ意味がない」と話す。さらに、ニールセンの調査を引き合いに出し、「スマートニュースはニュースアプリのMAUでナンバーワンなだけでなく、月間利用時間でも2〜4位のアプリを合計した時間を超えている」とアピールした。

鈴木さんはこのほか、特定の媒体の記事を表示する「チャンネルプラス」には60以上のメディアが参加していて、このうち10以上の媒体に月間1000万PVを誘導していることも明かした。


「資金はすべて米国にぶっこむ。日本には残さない」–メルカリとスマニュー、海外でどう戦うか

これまで多くのスタートアップが海外展開に挑戦してきたものの、そのほとんどは失敗に終わっている。しかし今年はスマートニュース米App Storeで1位を獲得するなど明るいニュースもあった。

先日のイベント「TechCrunch Tokyo 2014」では、そのスマートニュースに加え、日本で600万ダウンロードを超えたフリマアプリ「メルカリ」、すでに海外ユーザーを多く抱える対戦脳トレアプリ「BrainWars」からキーパーソンを集め、「世界で勝負できるプロダクトの作り方とは?」と題しディスカッションした。

モデレーターを務めたのはTechCrunch Japan編集部の増田覚。冒頭で、「そろそろメジャーリーグで日本人選手の先駆けとなった野茂英雄のような存在が、日本のスタートアップ業界にも必要なのではないか?」と問いかけた。果たして、この3社が野茂となるだろうか。まずはそれぞれの海外展開の現状について整理しよう。

米国で10月リリース、いきなり1位になったスマニュー

スマートニュースについて紹介したのは、共同創業者で代表取締役を務める鈴木健氏。同アプリは2年前にリリースされた。機械学習と人工知能でネット上の情報を集めてきて、快適に読んでもらおうというアプリだ。

リリースから25カ月で500万ダウンロードを突破した。UIに多少の変更を加えて10月に米国でリリース。米国のAppStoreのニュース部門では見事1位を獲得した。多くのメディアに取り上げられ、レビューも好評とのことだ。

メルカリ、来年は欧州市場も

メルカリはスマホから簡単に出品・購入ができるフリマアプリで、去年の7月にリリース。取締役の小泉文明氏によれば、ダウンロード数は600万を突破し、月間数十億の売買が発生しているという。出品数は1日10万品目に上る。テレビCMも効果が出ているそうだ。

今年3月に14.5億円を調達してサンフランシスコにオフィスを開設した。米国では今年9月にアプリをローンチ。カテゴリでひと桁台の順位につけているという。「来年はヨーロッパにも進出したい」と小泉氏は語る。

BrainWarsは驚異の海外比率95%!

トランスリミットは1月に設立したばかり。1つ目の製品が「BrainWars」という対戦型脳トレゲームアプリだ。友達と対戦しながら頭を使うゲーム遊ぶと、自分の得意・不得意分野が分析される。現在、16種類のゲームが用意されており、アップデートごとに2〜3のゲームが追加される。米App Storeのゲーム部門で1位を獲得し、アプリは700万ダウンロードを突破している。友人間のクチコミで伸びており、ここまで広告費を一切払ったことがないそうだ。

もう1つの特徴は海外比率の大きさだ。国内のユーザーはわずか4.6%にすぎない。残りの95.4%が海外からのアクセスで、米国と中国が多いものの、「その他」が22.7%とかなり細分化されている。合計150カ国以上で使われているという。代表取締役の高場大樹氏は「ゲームをしていると普通に外国人とあたる。言葉の壁がなく遊べる。同じ脳トレをやっているので頭脳のオリンピックみたいになる」と語った。

海外展開に向けてUIは変更「日本向けはごちゃっとしている」

リリース時から海外を意識し、すでに海外ユーザーが多いBrainWarsは別として、スマートニュースとメルカリは米国に進出する際に、何らかのUIを調整した模様だ。「グローバルに通用するのはどんなUIなのか」というお題に対して、それぞれ興味深い答えが帰ってきた。

スマートニュースの鈴木氏は、「もともと海外を意識しており、普遍性のあるアプリに仕立てていた」と言う。ただし、言語やUIは日本向けに作っていた。例えば日本人向けに少々ごちゃっとしたデザインにしていたが、米国でユーザビリティテストした結果、変更する必要性に気づいたそうだ。「米Flipboardのデザイナーがアドバイザーになってくれて、どういうデザインにしたらいいか議論してリリースした。まずまずUSのユーザーにとっても使いやすいと評判のものに仕上がった」と振り返った。

メルカリの小泉氏もほぼ同じようなことを語った。「UIについては初期のメルカリはすごくごてごてしていて、日本ぽく、東アジアっぽかった。それが日本にウケていたけど、9月に米国でローンチするにあたって、ちょっとださいと感じた。かなり大胆に米国に適応させ、日本を無視したデザインにした」という。すでに日本版も米国版と同じUIになっている。日本人ユーザーが離れていかないか心配だが、「普段、TwitterとかFacebookとかInstagramとか米国製アプリが日本で使われているので付いてこれると思っている」とのことだ。

小泉氏はさらに、「実はGoogleやAppleがアドバイスしてくれる。ここは直した方がいいよって。それを参考にした」とも打ち明けた。意外と細やかなサポートがあるようだ。

米国は世界への近道、初めに押さえないと勝てない

そもそも、なんで最初に米国なのだろうか。アジアという選択肢はないのか? それに対する小泉氏の答えは以下のようなものだ。

「メルカリはC to Cのプラットフォームなので、1社しか独占できない。必ず“Winner takes all”になる。英語圏で他社にシェアを取られたら、そこで終わり。もう勝てない。だから米国に行った。SonyやHONDAも米国で認識されてグローバル企業になった。ヤフオクとeBayを見ても、米国の方が数倍規模が大きい。日本を捨ててでも米国を取るべき。英語圏をとったら世界で勝てる、逆にそこを取れないと厳しい」。

一方で鈴木氏は個人的に米国に行きたかったそうだ。「向こうに行くとテンションが上がる(笑)」と嬉しそうに話す。「十何年か前に行ったときは感激した。いつか米国市場に挑戦したいと思っていた。でも気持ちだけでは会社を動かせない。グローバルに進出するときに米国を通るのは、難しいけど近道。ニュース分野では基本的に世界中の人が米国のニュースを見ている。米国のパブリッシャーとユーザーに愛されるものを作ろうと、会社で説明して、幸運にもうまくいった」。

それぞれ根本の動機は違うものの、世界で勝つには米国市場を押さえなければいけない、という意見は一致している。

ゲームの最高ランクを「神」にしたら大問題に

日米でユーザーの反応に違いはあるのか。BrainWarsの場合は興味深い差異が見られたという。2人で対戦する前と後にスタンプでコミュニケーションをとれるようになっているが、その使い方に違いがある。

「日本人は負けた時、涙マークとかのスタンプだけど、欧米人はグッジョブ!みたいなスタンプを送る。日本は対戦前に笑顔マークを使うが、米国の人はハートマークとか」と高場氏は説明した。

また同氏が、海外展開を試みて初めて直面した意外な問題点もあった。「ゲームの中に『グレード』という称号がある。ヒヨコ、うさぎ、亀とランクが上がっていく。そして最後は神。日本人はAKBに神セブンと名づけたり、神技という言葉があったり、『すごい』っという意味で使う。そうしたらヨーロッパのユーザーから『神への冒涜だ!』と叱られて即刻、取り下げた(笑) 世界の事情をちゃんと知らないといけない。何もかも準備するのは難しいので、問題が起きたらすぐ対処できるようにしている」(高場氏)

米国でオフラインモードはいる? いらない?

小泉氏は基本的に、初期の日本人ユーザーの動きと違いはないと分析した。ただし、ひとつ変わっていたのが「招待インセンティブ」への態度だという。友だちを招待したら◯◯ポイントをプレゼントするというものだが、米国人はこれが思いのほか好きなのだとか。「普通にTwitterとかFacebookとかで紹介してくれる。ユーザー獲得のところは良い意味で驚きが多かった」と振り返る。

鈴木氏も「思ったより反応が良かった」とポジティブな感想を持っている。「米国は車社会だからオフラインモードとかいらないのでは? それよりラジオみたいな音声読み上げじゃないの? とかいろいろ言われていた。でもやっぱり米国はネット回線の環境が悪いのでオフラインモードは受け入れられた」と語る。

ニュースをめぐる環境に違いがあるとすれば、米国の方が「ニュースソースに対するブランド感が強い」ということだそうだ。「だから米国はニュースアグリゲーションよりもCNNなどのパブリッシャーの方が強い。しかしパブリッシャーは日本よりも寛容。米国ではFlipBoardがすでに切り拓いていた。僕らはパブリッシャーフレンドリーなサービスで、スマートモードで発生する収益はすべてメディアに渡す。『まじで?すごいな!』となった」(鈴木氏)

「でも日本ではリリース当初、怒られていましたよね」と増田記者が突っ込むと、鈴木氏も認めた。「2年前にアプリを出した時、僕と浜本だけで、まともにパブリッシャーと話ができていなかった。そこで元アイティメディアの会長・藤村さんに入ってもらって、スマートニュースについて説明してもらって、どんどんいい関係を作っていけた」

海外展開の際は「最初の1人をどう選ぶか」が大事

組織の話になってきた。海外展開に向けて、各社とも組織づくりで意識したことはあったのだろうか。

小泉氏は「最初の1人をどう選ぶか」にかなりこだわったという。「時間はかかるが、最初の数人を間違わないで選ぶこと。いきなり100人とかとるわけじゃない。1人目が重要。それによって次の人も決まる。メルカリは米国でかなり知名度がある人にアドバイザーになってもらった。人づてで会ってもらい、プロダクトを見せると、『クールだ。ぜひ一緒にやりたい』と言ってもらった。いま20人以上にまでなった」

ちなみに現在メルカリの米国オフィスを率いるのは取締役の石塚亮氏。中学時代から米国に留学し、大学卒業後そのままRockYouというソーシャルアプリ会社をシリコンバレーで創業した経験を持つ。創業者の山田進太郎氏が、米国進出を見据えて誘った人物だ。その彼が半ば片道切符で米国を開拓しているという。

「銀河系軍団」を目指すスマニュー、空中分解しないための工夫

スマートニュースはチーム作りのロールモデルが2つあると、鈴木氏は言う。1つはGoogle。そこはなんとなく想像できるが、もう1つはスペインリーグのサッカーチーム「FCバルセロナ」だそうだ。どういうことだろうか?

「僕らのチームつくりのテーマは“日本代表から世界選抜へ”。世界で戦うにあたっては世界選抜が必要で、世界トップの人材を集めたい。あらゆる分野でそういう人材を入れたい。米国は現在サンフランシスコが4人、ニューヨークが2人だが、もっと拡張してグローバルのヘッドクオーターを米国に作る」(鈴木氏)。

“米国における藤村氏”も見つかったという。要はパブリッシャーとの交渉役である。「春に出張したときにRich Jaroslovskyさんと会った。彼はもともとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)で政治記者だった。レーガン大統領とともに来日して昭和天皇に会ったこともある。WSJのマルチメディアの立ち上げにも関わった。そんな彼が米スマートニュースでパブリッシャー担当となっている」と胸を張った。

「でも、銀河系軍団は失敗しがちじゃないですか?」という問いに対して、鈴木氏は自信を持って答えた。「採用を決めたら、日本に2週間くらい滞在してもらう。すごく仲良くなる。あと面接のフローも僕らは相当長い。しっかりとコミュニケーションを取っているので、離職率はいまのところゼロ%です」

スマートニュースの知名度は米国ではまだ低い。なぜ採れるのか? と不思議に思えてくるが、鈴木氏によれば、「米国人は知名度だけで選ばない。プロダクトとビジョンとチームにどれだけ惹かれるか」だそうだ。プロダクトに惚れさせれば、意外な大物を一本釣りできる可能性もあるらしい。

一方でトランスリミットは他の2社とは違い、海外拠点を作らない方針だ。高場氏は「アプリデベロッパーとして世界展開するので、日本1カ国を拠点として多国籍のチームを作りたい。米国で拠点を作らないのかと聞かれるが、まだ日本に7人のチーム。いま米国に作って、管理工数を取られ、マネージメントとかでスピードが落ちるより、日本で地盤を作って海外にはマーケティング機能を置く方がいい」と語る。

アングリーバードなどは1つの国で作ったものをマーケティングで世界に広げた好例だという。「不可能ではないと思ってやっている」と高場氏。

米国は大きなチャンス、「すべてをぶっこむ」

最後の質問は「ぶっちゃけ海外にどれだけ使いました?」というもの。

小泉氏の答えはとても明確だ。「(10月に)調達した24億円は基本的に米国版を立ち上げるための資金。日本でもCMとかでお金は使っていますけど、基本的にはすべて米国にぶっこもうと思っています。日本に残す必要はない。米国を制することができなければメルカリはもう無理だという気持ちで、全部使う」と話した。

12月以降にようやく収益が上がりはじめるスマートニュースも、それらの投下先はグローバル市場だという。鈴木氏は「世界人口の半分がスマホを使う。新聞読む人は減っていき、『初めてニュースを読むのはスマホ』という人が数十億人規模で生まれる。そこに全力で挑戦して、世界中の人たちに使ってもらえるサービスを作りたい」と展望を語った。


TC Tokyoにメルカリ、スマニュー、BrainWarsが登場! 世界で勝負できるプロダクトの作り方とは?

photo by
Steve Cadman


左からトランスリミット高場大樹さん、メルカリ小泉文明さん、スマートニュース鈴木健さん

600万ダウンロードを超えたフリマアプリ「メルカリ」、500万ダウンロードに達したニュースアプリ「スマートニュース」やリアルタイム対戦型脳トレアプリ「BrainWars」――。3つのプロダクトに共通している点がある。いずれも海外市場を戦いの舞台としていることだ。これらのプロダクトを手がける3社が、「TechCrunch Tokyo 2014」2日目の11月19日に登場することが決まったので、お知らせしたい。

これまで、いくつものスタートアップが海外展開に挑戦してきたものの、そのほとんどは失敗に終わっている。そんな中、TechCrunchでも伝えたように、スマートニュースは10月にリリースした英語版が米App Storeのニュースカテゴリーの1位を獲得。米メディア界に豊富な人脈を持つメンバーを次々に採用するなど、人材面でも海外展開を加速していることが伺える。

BrainWarsはリアルタイムでのオンライン対戦が可能な脳トレゲームアプリ。友人や世界中のユーザーとリアルタイムのマッチングを行い、各種脳トレゲームの対戦スコアを競い合える。公開から5カ月で500万ダウンロードを突破し、海外ユーザー比率はなんと95%。米App Storeのゲームカテゴリで1位を獲得している。

BrainWarsを手がけるトランスリミット代表取締役の高場大樹さんは、創業当初のインタビューで「脳トレは非言語コミュニケーション。どこの国の人でも共通の土台で戦える。年齢も子どもから大人までカバーできるので提供範囲も広い」と語っていたが、その狙い通りに海外展開が進んでいるようだ。

10月にはLINEの投資ファンドなどから総額3億円を調達。LINE執行役員の舛田淳さんが「世界のポテンシャルをもっとも感じさせてくれるスタートアップ」と評価するように、海外市場を狙える数少ない日本のプロダクトの1つと言えそうだ。

国内のフリマアプリ市場で存在感を示すメルカリは、今年3月にサンフランシスコに子会社を設立。9月に米国でのサービスを開始した。メルカリ代表取締役社長の山田進太郎さんは、「何から何まで日本と事情が違う」と驚きつつも、1日の出品数が数千件に上るなど、順調な滑り出しを見せている。立て続けに実施した大型資金調達を受け、米国でのマーケティングを本格化していくそうだ。

TechCrunch Tokyo 2014では、スマートニュース代表取締役の鈴木健さん、トランスリミット代表取締役の高場大樹さん、メルカリ取締役の小泉文明さんにご登壇いただき、世界市場で戦えるスタートアップに必要なものは何なのか、といった話を伺う予定だ。

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スマートニュースが米App Storeニュース部門で1位獲得、その要因は?

10月2日にリリースされた「SmartNews 2.0」が米App Storeのニュースカテゴリで1位を獲得した。日本ではネットで話題のニュースを自動収集するアプリは乱立状態だが、米App Storeのランキングでは、ニュースサイト単体のアプリが大半を占めている。あらゆるニュースサイトを網羅する、日本発のニュースアプリは米国でどこまで戦えるのか。

SmartNews 2.0は設定画面で日本版と米国版を切り替えられるようになっていて、米国版では専用の欧文フォントを搭載する。TechCrunchのほか、CNETやEngadget、Huffington Post、Mashable、Re/Codeといった著名なメディアとも協業。特定メディアの記事を配信する「チャンネルプラス」には、スタート時点で15メディアが登録されている。

チャンネルプラスは、日本で累計1000万人(複数購読者は重複してカウント)が購読している。スマートニュースが「日本での成功要因のひとつ」と位置づける取り組みを、米国でも取り入れたかたちだ。日本と同様に、メディアパートナーとの関係性を深めていくのだという。

メディアパートナーの開拓にあたっては、米メディア界に豊富な人脈を持つ人材を採用したことが奏功した。7月には、ウォール・ストリート・ジャーナル電子版の創刊に携わったリッチ・ジャロスロフスキー氏を招へい。9月には、ロイターでプロジェクトマネージャーを務めたバーニー・デイヴィス氏を迎えている。

App StoreではSmartモードを称賛する声

米国で好調な滑り出しを見せた要因は何だったのか? 前ハフィントン・ポスト日本版編集長で、9月にスマートニュースに移籍した松浦茂樹は、「現時点で分析といえるものはない…」と前置きした上で、「著名メディアと協業したことで、米国内で話題のニュースを実績あるメディアの記事を通じて閲覧できることが影響しているかもしれない」と言う。

10月7日時点ではニュースカテゴリ2位となったが、App Storeには56件のレーティングが投稿され、評価は平均☆4つ。レビューの内容も好意的で、特に記事ページの中からテキストと画像を簡易的に表示する「Smartモード」が称賛されている印象だ。日本と比べて回線速度の遅い地域が多い米国だからこそ受けている、とも言えそうだ。(アプリ改善を望むレビューでも、Smartモードをデフォルトにしてほしいという声がいくつかある)。

日本で競合とされるGunosyは5月に米国版をリリースしているが、アプリ調査会社のApp Annieによれば、ニュースカテゴリでの最高位は117位どまり。日本でのダウンロード数は約600万のグノシーが、約500万のスマートニュースを先行するが、現時点での海外の反応はスマートニュースに軍配が上がっている。


スマートニュース、元ハフィントンポスト編集長の松浦氏を招聘

スマートニュースは9月19日、ハフィントンポスト日本版の編集長だった松浦茂樹氏が同社のメディアコミュニケーション ディレクターに就任したことを発表した。

松浦氏はライブドア(現LINE)、コンデナスト・デジタル(現コンデナスト・ジャパン)、グリーでメディアの立ち上げに関わったのち、2013年3月にハフィントンポスト日本版の初代編集長に就任した。ハフィントンポストは開始から1年で月間1300万UUのサイトに成長した。同氏は2014年9月に編集長を退任。同月中にスマートニュースに移籍したかたちとなる。

スマートニュースは8月にAtomicoやグリーなどから36億円の資金調達を実施したばかり。人材面を強化しており、9月には元米コンデナストで事業開発担当ディレクターを務めていたバーニー・デイヴィス氏をパートナー担当ディレクターに、元Williamson-Dickie Japan 合同会社副社長の松岡洋平氏をマーケティング担当ディレクターにそれぞれ招聘している。

また資金調達にあわせて大々的なテレビCMも展開している。ただ、当初放映した力士がニュースキャスターを演じるCMは、「反響がイマイチ」(広告業界関係者)だったようで、クリエイティブを刷新する予定があるようだ。

松浦氏にスマートニュースに参画した理由を聞いたところ、「退任発表のブログにあるとおりだが、端的にいえば次の新しいチャレンジをしたいと思った。その新しいチャレンジがスマートニュースにあったから。日本発で世界にチャレンジできるところが一番の魅力」とのことだった。念のために開示しておくが、ハフィントンポスト日本版を運営するザ・ハフィントンポスト・ジャパンは朝日新聞社とAOLの合弁会社。TechCrunchはAOLグループなので、ハフィントンポストとはオフィスも人材面でも遠くない距離にある(オフィスは隣だったりする)。

松浦氏は今後、ニュースリーダーアプリ「SmartNews」のコンテンツ企画面での強化と、ユーザの満足度向上、ユーザー規模の拡大に向けた施策に注力するという。ニュースリーダーアプリはグノシーの「Gunosy」をはじめとしてその覇権争いが激化しているが、これに対して松浦氏は「スマートフォンという世界でニュースの競合とか言っている場合ではない」と語る。「SmartNewsの拡大で多くのメディアとともに成長できればと考えている。これは前職より意識してきたし、それは変わらない」(松浦氏)。ただ、独自に編集部を持ってSmartNews上で独自コンテンツを配信するといった予定はないと前述の資金調達時にスマートニュースから聞いている。


ミクシィとスマートニュースがネイティブ広告ネットワークで提携、mixiの広告枠を独占提供へ

既報の通り、スマートニュースが総額36億円の資金調達を実施した。出資元の1社であるミクシィの森田仁基社長は8日、決算説明会でスマートニュースと広告分野で業務提携を締結したと発表。スマートニュースが2014年12月に開始するネイティブ広告ネットワーク「スマートアド(仮称)」に対して、SNS「mixi」内に配信するネイティブ広告枠を独占提供することを明らかにした。これによりスマートニュースがスマートアドで獲得した広告主の広告が、mixi内のネイティブ広告枠に配信されることになる。

また、同社取締役の川崎裕一氏が8月11日付けで、スマートニュースのシニア・ヴァイス・プレジデント/執行役員広告事業開発担当に就任し、スマートアドの事業開発を担当することも発表された。川崎氏はスマートアドの広告配信先となる媒体の獲得や、mixiとのサービスのつなぎ込みを手がけていくという。スマートアドはミクシィの新規事業としての位置付けでもあり、mixi以外の媒体に配信するスマートアド経由の広告の売り上げは、両社でシェアすることとなる。


スマートニュースがグリー、Atomico、ミクシィなどから約36億円の資金調達

ニュースリーダーアプリ「SmartNews」を手がけるスマートニュースは8月8日、グリー、外資系ベンチャーキャピタルのAtomicoをリードインベスターとした総額約36億円の資金調達を実施したことを明らかにした。出資比率などは非公開。引受先はグリーとAtomicoのほか、ミクシィ、グロービス・キャピタル・パートナーズ、エンジェル投資家のWilliam Lohse氏(米Ziff-Davis Publishing元President)、川田尚吾氏(ディー・エヌ・エー共同創業者)、その他となっている。

ニュースリーダーアプリと言えば、「Gunosy」を提供するグノシーが、直近(3月、6月)にKDDIなどから合計24億円の資金調達を実施したことを明らかにしており、テレビCMを含めた大々的なマーケティングを展開。テレビCMによると、現在450万ダウンロードを突破しているという。またグライダーアソシエイツの「Antenna」もテレビCMや交通広告を展開している。それ以外にも、LINEの「LINE NEWS」やユーザベースの「NewsPicks」、JX通信社の「Vingow」などさまざまなサービスが提供されており、その覇権争いも激化している。

スマートニュースも7月末に400万ダウンロードという実績を発表しており、8月からはテレビCMを展開している。広告代理店関係者から6月に「資金調達すればすぐにもテレビCMを作成することになるだろう」といった話を聞いていたし、7月には複数の関係者から「すでに一部の資金が着金して、テレビCMの制作に入った」という噂も聞くことがあった。スマートニュースはバリュエーション(評価額)を公開していないが、200億円超のバリュエーションで資金調達を進めていたとの噂もある。

AtomicoはSkype創業者であるニクラス・ゼンストロームが手がけるベンチャーキャピタル。日本拠点では、元Skype日本代表の岩田真一氏が投資や投資先のビジネスマッチングなどを手がけている。ソフトバンクとガンホー・オンライン・エンターテイメントによるフィンランドのゲーム開発会社Supercellの買収のアレンジなども手がけている。この出資をきっかけに世界進出を進める。またグリーとはゲーム等の事業で、ミクシィとはネイティブ広告ネットワーク分野での業務提携を行うとしている。かつては国産SNSの競合とも言われたグリーとミクシィが1社に出資するのは、芸者東京エンターテインメント以来となるはずだ。

なお、スマートニュース創業メンバーであり、取締役を務めていた鈴木健氏が6月18日付けで共同代表に就任している。TechCrunchではこのあと鈴木氏らスマートニュースのメンバーに取材をする予定だ。


SmartNewsが1日限定で動画広告をテスト中、自動再生の好感度調査が目的

ふとSmartNews(スマートニュース)を開いてみるとスポーツカテゴリーで突然、ナイキの動画広告が自動再生された。そもそもスマートニュースは広告を入れていなかったはず。いきなりの動画広告の理由を執行役員の藤村厚夫氏に聞いたところ、4日正午から1日限定でテスト配信しているのだという。ユーザーが自動再生に好意を持ってもらえるかを検証するためで、広告配信技術は自社開発したそうだ。正式展開は未定だが、ユーザーのフィードバックを受けて今後の開発につなげたいとしている。

現時点でスマートニュースは、競合となるGunosy(グノシー)のような広告配信をしておらず、売り上げは「ほぼゼロ」(藤村氏)。グノシーはネイティブ広告などが好調で、毎月の売り上げが「数億円規模」とも報じられている。グノシーは24日、配信記事をキャッシュ化してオフライン環境でも閲覧できるようにしたのに伴い、メディア側に広告収益の一部を還元することも発表している

メディア側への広告収益還元という意味では、スマートニュースも動いている。具体的には、メディア向けにXMLに基づく記事書式「SmartFormat(スマートフォーマット)」を6月27日に公開。メディアはこの書式に従って記事を入稿することで、関連記事リンクや広告を自由に付けられるようになる。藤村氏は、スマートフォーマット経由の広告収益は全額メディアに還元するといい、まもなく実現すると話している。


SmartNewsからのPV誘導が月間100万を超えるメディアが66媒体に

スマートフォン・タブレット向けニュース閲覧アプリ「SmartNews(スマートニュース)」が3日、300万ダウンロードを突破した。運営元のスマートニュースによれば、月間アクティブユーザー(MAU)は75%、日毎のアクティブユーザー(DAU)は38%。1月末時点では、66媒体に月間100万超のPVを誘導していることも明らかにし、メディアへのトラフィック誘導でも存在感があることをアピールしている。

SmartNewsは、「経済」や「エンタメ」などのジャンルの中から読みたいトピックの記事を閲覧できるアプリ。Twitterに投稿されるウェブページをリアルタイムに解析し、話題の記事を配信している。特定の媒体の記事を表示する「チャンネルプラス」といった機能もあり、TechCrunchや姉妹誌のEngadget 日本版を含む21社32媒体のチャンネルがある。3日には期間限定で読売新聞社の「ソチ五輪」チャンネルを開設した。

ソチ五輪チャンネル

2013年4月には元アイティメディア代表取締役会長の藤村厚夫氏が執行役員として参画。その後は藤村氏を中心にメディアパートナーとの協業を進め、2月時点では55社102媒体と提携している。このうち、66媒体に月間100万PV以上を誘導していて、「いくつかの媒体からは、スマートフォンのPVはSmartNews経由が一番多いという声を聞く」(藤村氏)など、トラフィック誘導で影響を与えているようだ。

なお、SmartNewsではウェブページのページビューに相当する数字を「Flip」として集計している。これは、ユーザーが記事をタップしたり、チャンネルを変えるなど、アプリ内で画面遷移を伴うアクションの総数で、スマートニュースによれば月間のFlip数は11億に上るのだという。

スマートニュース執行役員の藤村厚夫氏

原則としてスマートニュースと媒体のパートナー提携に金銭は発生しないが、「102媒体のうち数社には記事のライセンス料を支払っている」(藤村氏)のだとか。メディアパートナー契約を結んだ媒体に対しては、SmartNewsのアクセス解析ツールを提供したり、記事を簡易的なレイアウトに変換した上で表示する「Smartモード」で媒体が指定する広告を掲載するための取り組みを進めている。

Smartモードは表示が高速化されるメリットがある反面、媒体の広告が掲載されなくなる。このため、一部では「コンテンツのタダ乗り」が指摘されていた。Smartモードでの広告掲載はこうした指摘に対応するためのもので、現在は媒体が指定するランディングページの掲載、アドサーバーやアドネットワーク経由の広告配信を検証していて、実現した際には広告収益をすべて媒体に還元する。「トラフィックを送るだけでなく、Smartモードを通じてのマネタイズの可能性も見えてきた」(藤村氏)。

媒体の収益拡大に向けたモデルを確立しつつあるスマートニュースだが、自社の収益化はどのように考えているのか? この点について同社取締役の鈴木健氏は、「まずはユーザーの利便性を高めて、メディアの収益化の道筋を作ることを優先する。自社の収益化はさまざまな方法を研究している。何年後という期間ではないが、可能な限り早く我々も収益化していきたい」と話している。