SPACがすべてゴミとは限らない、そしてチームワークの力

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

こんにちは!今回は2つのトピックを取り上げる。1つ目は、いつもの取材範囲にすっぽり収まるものだ。2つ目はそうでもない。では始めよう!

すべてのSPACがゴミというわけではない

2021年のSPACラッシュの中で、Alight Solutions(アライト・ソリューションズ)の公開を見逃していた。この会社は、シカゴ郊外に拠点を置き、米国内の数千万人の従業員をサポートするビジネス・プロセス・アウトソーシング企業だ。2021年初めにSPAC経由で上場する意向を表明した後、2021年7月に白紙委任のFoley Trasimene(フォーリー・トラジメン)と統合した。

今週は決算発表もあり、その後にCEOのStephan Schol(ステファン・ショル)氏と対談した。Alightのレポートには重要な点が3つあるので、一緒に眺めていきたい。以下のようなものだ。

  • すべてのSPACが滅茶苦茶なわけではない: 現在Alight Solutionsは約47億ドル(約5431億円)の価値があり、統合前の1株あたり10ドルをわずかに上回る水準で取引されている。つまり、この会社のSPAC取引はかなり高く評価され、この手法で会社を上場させても、その後の数週間、数カ月、数四半期のうちに、ダメージを受けずに済ませることが可能だということだ。これまでは、失速しなかったSPACコンボの代表例はSoFiだったが、そこにまた新たな名前を加えることができる。
  • いくつかのSPACの予測がそれを裏づけている:Alightは、1月の合併発表時の投資家向けデッキで、2021年のBPaaSの収益は億6300万ドル(約419億5000万円)になるとの見通しだったと語っている。BPaaSはBusiness Process as a Service(サービスとしてのビジネスプロセス)の略で、同社のSaaS的なサービスの中でも、最も急速に収益が伸びているセグメントだ。しかし実際には、2021年のBPaaSの売上は3億9000万ドル(約450億7000万円)に達していた。重要な指標で予想を上回った!それこそが、会社をまだ水面上にとどめているのだと思う。
  • 利益ある成長という考え方:ハイテク企業が配当を開始すると、なぜ一部の業界では悪い知らせと見なされるのか?その理由の1つは、定期的な支出を通じて株主に現金を還元するという選択は、企業が資金を投入する場所がないことを示しており、将来の成長が鈍化することを意味しているからだ。そのような理由から、私たちは巨人ではないハイテク企業が、利益を犠牲にしてでも、がむしゃらに成長する様を目にすることが多くなる。Alightは両極端の間に位置し、ショル氏がTechCrunchに語ったように、利益の出る成長に焦点を合わせているようだ。これによって、彼の会社は特定の努力に対して「過剰な回転」をすることはなく。BPaaS戦略にすべてを賭けることもしない。もし長期的にうまくいかなくても、会社は生き延びるだろうと彼は説明した。なおAlightは利益を出しているので、彼の発言は黒字の立場からなされていることは念頭に置いて欲しい。それでも、ソフトウェアの移行を経験しているテクノロジ企業と多くの点で共通している点が多い一方で、成長と利益のバランスを取るアプローチが非常に異なる企業と話をするのは興味深いことだった。本当におもしろい。

さて次は少し毛色の変わった話だ。

チームワーク

毎週のことだが私はこの原稿を金曜日(米国時間2月25日)の午後に書いている。Daily Crunchを少しばかり補足するこの原稿を書き、週末を迎える。

だが、今週の金曜日はグッタリしている。不透明な経済、パンデミック、ウクライナ侵攻などの理由だけでなく、Chris Gates(クリス・ゲイツ)がTechCrunchを辞めて別の場所で新しい仕事をすることになったからだ。これまで彼の名前をあまり取り上げてこなかったので、クリスのことは多分ご存知ないだろう。

ともあれ、彼はEquity podcastの立ち上げメンバーであり、今日が最終日となった。この記事が読まれるころには、彼はもういない。私たちは約5年間一緒に仕事をし、何百もの番組を収録し、失敗に苦しみ、勝利を祝い、総じてチームとして番組を成功させてきた。ホスト役の交代、親会社の売却など、さまざまなことがあったが、彼はいつもそこにいて、落ち着いていて、温かく、準備万端だった。もちろん、EquityはGrace(グレース)、Mary Ann(メアリー・アン)、Natasha(ナターシャ)のおかげでもあり、ときおりDanny(ダニー)、Kate(ケイト)、Matthew(マシュー)、Katie(ケイティ)、Connie(コニー)にも参加してもらえる喜びもあった。グループプロジェクトとしての意味合いが強いのだ。

クリスと一緒に仕事ができなくなるのは、とても寂しい。しかし、彼の退任は、チームワークという人間力の掛け算を思い起こさせる。

その人物、その逸話、その微笑み。これはクリスが退社を発表したときにSlackに投稿したものなので、ここで晒しても文句は言われないだろう。彼は毎日エネルギーを持ち込んでくれた。

たとえばこのニュースレターは、私自身が書いている。そして、Annie (アニー)かRichard(リチャード)に読んでもらう。Henry(ヘンリー)もよく覗いてくれる。彼は数年前、私と一緒に企画を練りこの誕生をサポートしてくれた人物だ。最後に、セールスチームが適切な広告要素を取り込むために準備しているスロットへ、メールを使って原稿を送る。その後、読者の受信トレイに配信され、サイトに掲載されるのだが、それを可能にしているのは、私たちの技術陣だ。私の名前が一番上に出ているのは、中の言葉を書いたからだ。しかし、この記事は、重要な一連のチームワークの結果なのだ。

チームに関しては、身に余る幸運に恵まれている。私がこれまで一緒に仕事をしてきた人たちは、ごく少数の例外を除いて、私の人生の中でも普通に愛せるひとたちだった。クリスと私は、結婚式や子どもの誕生、引っ越しなどを挟みつつ、一緒にEquityに取り組んだ。私たちは一緒に人生を歩んできたのだ。

そして、The Exchangeが所属しているTechCrunch+のチームはエース級であることもお伝えしておきたい。Walter (ウォルター)、アニー、Ram(ラム)、Anna(アンナ)をはじめとするチームのメンバーはすばらしい人たちばかりで、一緒に仕事をできることは本当に幸運だ。一緒に仕事をしているからこそ、私はできることがたくさんあるのだ。そして、その恩返しができればと思っている。

チームワーク。それこそが最高のものだ。だからこそ仕事の別れがより一層辛くなる。

クリス、君の次の冒険のために、幸運を祈ろう。君が次に生み出すものが何であれ、君の1番のファンでいられることを楽しみにしている。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

暗号資産企業Circle、SPACとの取引見直しで評価額が2倍の約1兆350億円に

暗号資産企業のCircle(サークル)は、上場している特別買収目的会社(SPAC)のConcord Acquisition Corp.とのこれまでの契約を解消したことを発表した。同時に、Concord Acquisition Corp.と新たな合併に向けた契約を締結した。この取引が成立すれば、Circleは90億ドル(約1兆350億円)の評価額で上場企業となる。

もともと2021年7月に発表されたこの合併は、2021年第4四半期に完了することになっていた。そして、Circleは45億ドル(約5180億円)で評価された最初の取引に満足していなかったようだ。同社は2022年4月3日の終了日を待たずに契約を破棄し、新たな契約を交わした。

CircleはCoinbase(コインベース)とともにCentreコンソーシアムの創設メンバーの1社としてよく知られている。このコンソーシアムは、人気のステーブルコインのUSDコイン(USDC)の管理を担当している。どの時点でも、1USDCは常に1米ドルの価値がある。

その裏付け資産は、現金、現金同等物、短期米国債のみだ。それらの準備金は、監査法人によって定期的にチェックされている。この方法では、暗号資産の変動にさらされることはないが、コードを使用して1つのウォレットから別のウォレットにお金を送ったり受け取ったりすることができる。それは通常の暗号資産取引のように機能する。

USDCはいくつかの異なるブロックチェーンで利用可能だ。各ブロックチェーンは、手数料、スピード、利便性に関してあなたが探しているものに応じて、異なる利点と欠点を提供する。USDCは現在、Ethereum、Algorand、Solana、Stellar、Tron、Hedera、Avalanche、Flowで利用できる。

そして、USDCの利用は急速に増えている。2021年7月、Circleは250億ドル(約2兆8760億円)相当のUSDCが流通していると発表した。その数字は、USDCの流通額が525億ドル(約6兆400億円)に達し、2倍以上になっている。

Circleは、準備金関連の収入に加え、複数のAPIや利回り商品を提供している。例えば、簡単なAPIコールで決済を処理し、支払いを促すことができるようサポートしている。カード決済、銀行送金、ACH(電子小切手決済)など、多くの古典的な支払い方法に対応している。

開発者は、それらのサービスを活用して、暗号資産製品の出入り口を作ることができる。そして、それらの「取引と財務サービス」は、Circleの収益の大部分を生み出している。Circleの取引とトレジャリーサービスを使用している企業にはDapper Labs、Compound Labs、FTXなどが含まれる

直近では、CircleはCircle Yieldの提供を開始した。Circle Yieldを利用する企業は、1〜12カ月の短期投資を通じて確定利子を得ることができる。また、Circleは株式クラウドファンディングのプラットフォームであるSeedInvestを所有していることも注目すべき点だ。

Circleがこの新しい取引で最終的に上場するかどうか見てみよう。TechCrunchのAlex Wilhelmが2021年書いたように、Circleは今後まだ成長ポテンシャルがあると考えている。過去の収益に賭けるのではなく、同社は投資家に将来の機会に賭けて欲しいと考えている。

画像クレジット:Chaitanya Tvs / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

垂直農業の米KaleraがSPAC上場を検討

垂直農法(バーチカルファーミング)の企業がまた1つ、SPACを利用してNASDAQに上場する計画を明らかにした。今週、米国フロリダ州に本社を置くKalera(カレラ)が、Agrico Acquisition Corp.(アグリコ・アクイジション・コープ)との合併計画を発表したのだ。この合併により同社の評価額は3億7500万ドル(約433億1000万円)となる。現在、Euronext Growth Oslo(ユーロネクスト・グロース・オスロー)取引所に上場しているKaleraの株価はこの1年下落が目立っていたが、今回の動きは、このカテゴリーに多くの期待が寄せられていることを示している。

Google Finance(グーグル・ファイナンス)のデータによれば、同社の評価額の下落は際立っている。同社の株価はこの52週間の最高値である1株あたり5.99ドルから、直近ではわずか0.91ドルにまで下降しているのだ(ニュースリリースによれば、同社は今回の取引の一環として、現在の取引所からの上場廃止を予定している)。

すでに上場しているのに、なぜSPACを行おうとしているのか?この取引により、同社は現在の4つの農場を10に増やすための資金を得ることができる。2021年12月の投資家向けプレゼンテーションによれば、同社は「2022年の資金調達要件を満たすために、さまざまな資金調達の選択肢を積極的に追求している」と述べている。

その理由を納得することは難しくはない。同社の2021年第3四半期決算報告書によると、2021年の1~9月に営業活動で870万ドル(約10億円)の支出があったが、同時期の投資キャッシュフローはより厳しく、マイナス1億1000万ドル(約127億1000万円)となった。Kaleraは6150万ドル(約71億円)の資金調達により、これらの不足を一部相殺したが、2021年第1四半期の純現金収支は5720万ドル(約66億1000万円)の赤字となった。9月の四半期決算では、5620万ドル(約64億9000万円)相当の現金および現金同等品を保有していた。より簡単に言えば、事業の赤字が深刻で、純利益の黒字化はおろか、キャッシュフローが損益分岐点に到達するのもはるかに遠いため、同社が拡大を続けるためにはさらなる資金が必要だということだ。

Kaleraが合併を予定しているSPACのAgricoは「1億4660万ドル(約169億3000万円)の現金が信託されている」という。これにより、Kaleraは、現在のキャッシュポジションが許すものよりもはるかに長い時間をかけて、業績を改善することができるだろう。

成長する市場

今回の買収は、急成長中のカテゴリーの健全性を示す指標となるだろう。2021年、AeroFarms(エアロファームス)はSpring Valley Acquisition Corp.(スプリング・バレー・アクイジション・コープ)とのSPACを計画していたが、AeroFarmsが最終的に「株主の利益にならない」と発表したことを受けてSPAC取引は中止された

AgricoのCEOであるBrent De Jong(ブレント・デ・ジョン)氏は「Kaleraは、稼働中または建設がほぼ完了している10の施設と、環境制御に特化したシード事業である子会社のVindara(ビンダラ)により、垂直農法業界のリーダーとしての地位をすでに確立しています」と述べている。「提案されているAgricoとの合併によって、Kaleraは葉菜類の垂直農法企業としては初めて、地元に密着しながら、米国内に拠点を持ち全米規模の長期供給契約を確実に結べるようになります」と述べている。

「米国内に拠点を持ち」という表現は興味深い。確かに、AeroFarmsやBowery(バワリー)など、地域的に成功を収めている企業は少なくない。垂直農法は地域密着型の性質を持つので、米国本土に拡大するには多くの農場を建設する必要がある。結局このカテゴリーは、一般的な農場を展開できない都市部でのサービスが大きなセールスポイントとなっている。そうした都市部の中もしくは隣接地に屋内農園を建設すれば、農産物を遠隔地から輸送する際の排気物を十分に削減することができる。

Kaleraは現在、地元オーランドをはじめ、アトランタ、ヒューストンで農場を運営しており、さらにデンバー、シアトル、ホノルル、コロンバス、セントポールでも農場を建設中だ。特に最後の2つは、米国の伝統的な農場地帯である中西部に事業を立ち上げるという点で興味深い。また、Kaleraはミュンヘンとクウェートで海外農場を運営しており、シンガポールには3つ目のファームを建設中だ。

両社は、SPAC取引を2022年の第2四半期中に完了させる予定だ。現在の暫定CEOであるCurtis McWilliams(カーティス・マクウィリアムス)氏は引き続き同社を率いる予定である。

画像クレジット:JohnnyGreig / Getty Images

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(文:Brian Heater、Alex Wilhelm、翻訳:sako)

スマートホームエナジースタートアップの独Tadoが約588億円の評価額でSPAC上場を計画

サーモスタットを専門とし、最近ではロードシフトテクノロジーに基づく柔軟な「使用時間帯別」エネルギー料金体系に移行したドイツのスマートホームスタートアップtado(タド)は現地時間1月17日、企業としての次なるステップを発表した。SPAC(特別買収目的会社)との取引による株式公開だ。

持続可能な技術に特化したドイツのSPAC企業GFJ ESG Acquisitionは、tadoと合併して新会社をフランクフルト証券取引所に上場させると発表した。GFJとtadoは現在、PIPEs(私募増資)に取り組んでおり、完了すればtadoの評価額は4億5000万ユーロ(約588億円)になると予想される。新会社は引き続きtadoとして取引される。

tadoの広報担当者は、予定している上場での調達額や、上場時期についても2022年前半になりそうだということ以外は明らかにしないと述べた。

今回の動きは、tadoにとって2つの大きな進展があった直後のものだ。同社は1月11日、aWATTar(そう、これは社名の呼び方だ……)を買収し、家庭内のエネルギー消費ハードウェアから管理ソフトウェアへと事業を拡大した。このソフトウェアは顧客のエネルギー使用方法と、エネルギーソースの変動(太陽光や風力などの再生可能エネルギーや、より従来型のチャネルも含む)に応じた価格変動に基づくエネルギー消費とコストを管理できるようにするものだ。

また、5月には4600万ドル(約52億円)を調達した。当時、同社はこれが上場前の最後のラウンドになるだろうと述べていたが、それが今、現実のものとなっている。同社はこれまでにAmazon、Siemens、Telefonicaといった豪華な投資家陣から総額1億5900万ドル(約182億円)弱の資金を調達した。PitchBookのデータによると、そうしたプライベートなラウンド時の評価額は2億5500万ドル(約292億円)で、上場時に見込まれる時価総額4億5000万ドルをかなり下回っていた。

今回の合併は、株式公開する大規模なグリーンテックスタートアップとしては欧州初のケースとなるため注目すべきものだ。tadoの大きな目標は、電力網から消費者の家庭まで、エンド・ツー・エンドのシステムでエネルギー使用を管理するサービスを構築することだ。同社はこれまで2回方向転換した。最初はスマートサーモスタットのメーカーとしてスタートし、約200万のデバイスを販売してきた。その後、tadoはエネルギー料金体系を多様化し、使用状況を管理することで、ビッグデータ、予測分析、再生可能エネルギーとエネルギーハードウェアシステムという広範かつ非常に断片的な市場の活用に基づく幅広いビジネスへと発展してきた。

同社は現在、200万台以上のスマートサーモスタットを販売し、エネルギー管理技術によって20カ国にまたがる約40万のビルや家庭をつなげ、7ギガワット以上のエネルギー容量を管理していると話す。OEM900社が提供する約1万8000のシステムと連携しており、同社の負荷分散技術を使用する顧客は年間暖房費を平均22%節約できる、としている。

気候変動への懸念がますます高まり、そして消費者が温室効果ガスの排出を削減するためのサービスをより簡単に、より手頃な価格で利用できるようになるにつれ、グリーンテックやクリーンテックの企業にとって絶好の機会が出現している。今回の上場は、そのような企業の1つが、さらなる成長を目指して株式公開に踏み切るだけの十分な牽引力を感じていることを明確に示している。

tadoのCEOであるToon Bouten(トゥーン・ボウテン)氏は「tadoのチーム全体が GFJと提携することを非常に誇りに思っています」と声明で述べている。「我々は同じ信念を持ち、環境技術への情熱を共有しています。そして、顧客のコスト削減とエコロジカルフットプリントの抑制に共同で貢献することを決意しました。より持続可能なエネルギーの未来を創造するためのすばらしい位置につけています」。

この取引が完了すると、ボウテン氏は代表を退き(現職はオフィスソリューションプロバイダーRoomの社長と記載されている)、Oliver Kaltner(オリバー・カルトナー)氏がCEOに就任する。そしてChristian Deilmann(クリスチャン・デイルマン)氏がCPO、Johannes Schwarz(ヨハネス・シュワルツ)氏がCTOに就く予定だ。Emanuel Eibach(エマニュエル・アイバッハ)氏は引き続きCFOを務める。Gisbert Rühl(ギスバート・リュール)氏は監査役会会長に就任する。また、Josef Brunner(ジョセフ・ブルナー)氏、Petr Míkovec(ピョートル・ミコヴェック)氏、ボウテン氏、Maximilian Mayer(マキシミリアン・メイヤー)氏が監査役に就く。

GFJのCEOであるGisbert Rühl(ギスベルト・リュール)氏は「GFJとtadoはともに、気候変動との戦いにスマートな方法で挑むことを決意しています。tadoはすでにグリーンテック企業のニューウェーブの精神を受け継ぐマーケットリーダーです。EUのエネルギー消費の約21%は、住宅の冷暖房に使用されています。EUとドイツが、2050年までに世界で初めて経済をクライメート・ニュートラルなものにするという約束を果たしたいのであれば、住宅分野の脱炭素化に代わるものはありません」と述べた。

tadoは上場企業として市場に対して新たなレベルの透明性を獲得することになり、広く捉えるとグリーンテック業界全体にとってもプラスだ。今のところ、同社は3年後の2025年までに年5億ユーロ(約653億円)超の収益を上げるようになると予想している。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】離陸間近なeVTOLにまつわる2021年4つのトレンド

数十億ドル(数千億円)の資金と数十件の契約と1件の法廷闘争。2021年はeVTOL(電動垂直離着陸機)にとって忘れがたい1年だった。大手航空セクターが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる落ち込みから徐々に回復するのに忙しい中、スタートアップはスピードを上げている。

以下に、第一線アナリストと投資家に追いつくべく、2021年eVTOLが巻き起こしたトレンドを紹介していく。これらのトレンドは今後数年も影響を与え続ける可能性が高い。

誰がSPACといった?

Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)、Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)、Lilium(リリウム)、Vertical Aerospace(バーチカル・エアロスペース)。eVTOLを開発している、という以外の共通点は何か。4社とも、2021年白地小切手会社との合併を発表あるいは完了した。そしてこの生まれたばかりで、現実離れしているとさえ思えるテクノロジーに、あきれるほど巨額な資金が注入されている。

もし2021年が、eVTOLの世界で何かしら記憶に残る年になるなら、巨額な資金がこの業界に流れ込んだことが主な理由だ。3つのSPAC案件だけで(JobyArcher、およびドイツのデベロッパーLilium)総額25億ドル(約2852億円)以上の資金を獲得し、Jobyの調達額はその半分近い11億ドル(約1255億円)に上る。垂直離着陸機は、SPACを挙って公開市場への乗り物に使った唯一のモビリティテクノロジーではないが、そのおびただしい案件数は、2021年の傑出したトレンドの1つであることに間違いない。

関連記事:eVTOL開発のArcherがユナイテッド航空から受注、SPAC経由で上場も

「現在のeVTOL業界が、以前、例えば1年前と何が違っているかといえばそれは資本の入手です」とMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)の航空宇宙・防衛上級アナリストであるKristine Liwag(クリスティン・リワグ)氏は説明した。

この並外れた資金流入が意味しているのは、これらの企業は自社の飛行機が商業運用に必要な連邦航空局の認可を得るための、長くて徹底したプロセスを通過するための重要な資金を手にしているということだ。それが十分であるかどうかは別問題であり、各企業の進捗と費用効率による。

テクノロジーを商業化するための高いコストが、SPACトレンドへと走らせた可能性は高い。航空産業は資本集約的ビジネスであり、eVTOLの設計から生産、認可までには10億ドル(約1141億円)程度必要だと多くの人は考えている。

「私にとって最大の驚きは、第一線スタートアップの多くが、自社製品を認証完了までもっていくための予算を獲得する方法を見つけたことです」とIDTechExのテクノロジーアナリスト、David Wyatt(デビッド・ワイアット)氏はいう。「今ある数多くのテスト機がプロトタイプ状態から確固たる本格的eVTOLへと飛躍する大きな一歩であると感じています」。

SPAC以外でも、eVTOL企業へのベンチャー投資は少なくなかった。2021年は巨額の調達ラウンドが見られた年でもあった。たとえばBeta Technologies(ベータ・テクノロジーズ)の3億6800万ドル(約420億円)のシリーズAやXpeng(シャオペン)が支援するHT Aero(HTエアロ)の5億ドル(約571億円)のシリーズAなどだ。

関連記事
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「2021年は、『認証はとれるのか?』を質問するだけの年でした」とSMG Consultingのファウンダー・パートナー、Sergio Cecutta(セルジオ・セクッタ)氏がいう。「これからの質問は、認証はいつとれますかです。『本当に飛べるの?認証は取れるの?」という段階は過ぎました。いずれも可能です。あとは、気合を入れと取りかかるだけです」

地上での動き

エアタクシー開発者が力を入れているのは飛行機だけではない。電動飛行機の市場を現実にするためには必要なことがたくさんある。地上インフラ、すなわちバーチポート(垂直離着陸要飛行場)あるいは空港内の専用エリア、および十分な電力を供給するための充電ポイントだ。

この部分でやるべきことは「やまほど」あるが、2021年にeVTOL運用会社らが、商業運用開始に必要な基盤を5年以内に確立するための作業開始に向けてスタートを切ったことは注目に値する。たとえばLiliumとABB E-mobilityは、Lilium Jetのための充電インフラストラクチャ提供で提携し、JobyとArcherは駐車場所有者のREEF Technologyと提携、Verticalとヒースロー空港は、空港運用にeVTOLを組み込む方法を共同で検討している。

Archer、Joby、Volocopter(ボロコプター)の3社もロサンゼルスのUrban Movement Labs(アーバン・ムーブメント・ラボ)と協力して、都市型エアモビリティを既存のインフラや輸送ネットワークに統合する方法を探っている。

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「各空港がこの問題を本気で考え始めていることを私は知っています」とJetBlue Technology VenturesのプレジデントであるAmy Burr(エミー・バー)氏はいう。「空港で何らかのインフラストラクチャー・プロジェクトに携わっている人なら誰でも、バーチポートを置く必要があるかどうかを考えています」。

(不確定な)発注

最後に、2021年に我々は、eVTOL機の大量発注が始まったのを見た。もちろん、United(ユナイテッド航空)がArcher Aviationに10億ドルの発注を行ったというニュースのためだ。その後、Embraer(エンブラエル)が支援するエアタクシーデベロッパーであるEve Urban Air Mobility(イブ・アーバン・エア・モビリティが発注、UPS(ユーピーエス)がBeta Technologiesに発注、そしてVertical Aerospaceが1350台の条件付き先行予約を受けるなど次々と注文が続いた。

はっきりしておく必要があるのは、どの発注も確定ではないことであり、商業製品が未だ実在していないことを考えれば当然である。開発、認証の完了が条件であり、他にも性能面の条件がある可能性が高い。

それでも、たとえ個々の企業にとっては気を抜けない状況であっても、業界にとっては有望な兆候だ。

「これらの飛行機に明確な市場が存在していることは、有望だと思っています。航行許可を得て、飛べるようになりさえすれば、市場は十分な関心を持っている、という確信を与えるものです」。

伝統的メーカーも参入を伺う

2021年で注目すべき最後のトレンドが、活発化する伝統的自動車メーカーの動きだ。ほとんどの見出しはスタートアップが占めていたかもしれないが、古くからいる伝統的企業も電動飛行機の可能性に気づき始めている(中でもBoeing[ボーイング]やAirbus[エアバス]をはじめとする伝統的航空機会社は、eVTOへの強い関心を示している。BoeingはKitty Hawk[キティ・ホーク]とWisk Aero[ウィスク・エアロ]とのジョイントベンチャー、AirbusはCityAirbus NextGenのeVTOLコンセプトを発表している)。

自動車メーカーでは、Hyundai(現代、ヒョンデ)が目立っている。この会社は2020年のCESでeVTOLのコンセプト・デザインを披露し、2021年はSupernal(スーパーナル)の名前で都市型エアモビリティ事業を正式発表した。Honda(ホンダ)はハイブリッドeVTOLの開発計画を正式発表した。同社はこれを、つながるアプリやHondaの自動車を含む「モビリティー・エコシステム」の一環と位置づけていることが注目の理由だ。そして、もちろん、中国の自動車メーカー、Xpeng Motors(シャオペン・モーターズ、小鵬汽車)は10月末、都市型エアモビリティ子会社、HT Aero(HTエアロ)が、eVTOL機コンセプト開発のために5億ドルを調達したと発表した。

関連記事:本田技研工業がeVTOL、アバターロボット、宇宙技術に向けた計画を発表

いずれの動きも注目に値する。なぜなら主要自動車メーカーはeVTOLプロジェクトを進めるために必要な資本と生産基盤の両方を持っているからだ。それは成功を保証するものではもちろんなく、これらの大企業にスタートアップと同じようなプレッシャー(もモチベーション)もないが、今後注目し続けるべきであることは間違いない。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

サイバーセキュリティのスタートアップZeroFoxが約1590億円のSPAC取引で株式公開へ

ソーシャルメディア上で発見されたリスクの検出を支援する企業向け脅威情報サイバーセキュリティのスタートアップ企業ZeroFox(ゼロフォックス)は、白紙委任会社L&F Acquisition(L&Fアクイジション)との合併を通して株式公開企業となる計画を発表した。

この取引の一環として、2013年の創業以来1億5400万ドル(約175億円)以上の資金を調達してきたメリーランド州のZeroFoxは、米国最大のデータ漏洩対応サービスのプロバイダーであると主張する消費者プライバシープラットフォームであるIDXを買収する予定だ。

同社の技術は、詐欺や悪意のあるリンク、アカウントの乗っ取りといった脅威から組織を守ることを目的としたAI搭載サービスの「ZeroFox」プラットフォームと融合し「顧客の外部サイバー脅威とリスクのライフサイクル全般」に対応するサイバーセキュリティプロバイダーとなる予定だ。

「ZeroFoxは2013年の設立以来、『デジタル・エブリシング』の世界への変革によって引き起こされる新たなセキュリティの課題に取り組む企業を支援してきました。この急速なデジタル変革により、企業は攻撃者に狙われやすくなり、業界史上最高の侵害率を記録する結果となりました。境界ファイアウォールと内部エンドポイントエージェントだけでは企業の資産と顧客を守ることができないため、外部サイバーセキュリティは最高情報セキュリティ責任者にとってトップ3の優先事項であり、重要なセキュリティ技術スタックの一部でなければならないと考えています」と、同社の最高経営責任者であるJames Foster(ジェームズ・フォスター)氏は述べている。

買収完了後、統合会社はZeroFox Holdings(ゼロフォックス・ホールディングス)と改名され、650人以上の従業員と約2000人の顧客を持つことになる。同社はティッカーシンボル「ZFOX」で上場され、統合企業の予想株式価値は約14億ドル(約1590億円)となる見込みだ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ウォルマート提携のロボット企業SymboticがソフトバンクSPAC経由で株式公開へ

Walmart(ウォルマート)は、Amazon(アマゾン)のオンライン支配に対抗するためにあらゆる優位性を追求し、ロボティクス分野で浮き沈みを繰り返してきた。巨大な小売企業のWalmartは2021年7月、マサチューセッツ州を拠点とするオートメーション企業Symbotic(シンボティック)と契約を結び、同社との関係をさらに強化した。この新しい契約は、2017年に初めて試験的に実施された、Walmartの25の地域配送センターにロボットを導入するという提携を拡大した。

関連記事:ウォルマートが25の配送センターにSymboticのロボットを導入

完成までには「数年」を要する予定のこの提携は、Albertsons(アルバートソンズ)やC&S Wholesale Grocers(C&Sホールセールグローサーズ)とのパートナーシップに続くものだ。Symboticによると、現在導入しているのは「16州とカナダの8つの州の1400超の店舗」で、これはおそらく配送センターの影響を直接受ける場所を指している。同社の自律型ロボットシステムは、既存の倉庫構造を増強する。当然のことながら、同社は現在も続くサプライチェーンの問題に影響を与える方法にも積極的に取り組んでいる。

同社は米国時間12月13日、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のSVF Investment Corp.3との合併により、SPAC経由で株式公開する計画を発表した。この取引により、Symboticのプロフォーマの株式価値は約55億ドル(約6250億円)となり、ソフトバンクからの2億ドル(約230億円)を含む7億2500万ドル(約820億円)の総資金を調達することができる。また、ソフトバンクにとっては、ロボットへの投資が非常に実り多い年として2021年を締めくくるものになる。

CEOのRick Cohen(リック・コーエン)氏は、リリースの中で次のように述べている。「ソフトバンクは、最先端の人工知能やロボティクスのイノベーターに投資してきたすばらしい経験を持っています。彼らとの提携は、当社の可能性を最大限に実現するための新たな洞察力、関係性、資本を提供してくれるでしょう。ソフトバンクとともに、Symboticがサプライチェーンの近代化において強力かつ長期的な力を発揮し、すべての人に利益をもたらすことを確信しています」。

想定どおり2022年上半期に取引が完了すれば、Walmartはロボット・AI企業の9%を所有することになる。Amazon Robotics(アマゾン・ロボティクス)の基盤となったKiva Systems(キヴァ・システムズ)のような企業の全面的な買収とまではいかないが、ロボットを使ったフルフィルメントセンターへの取り組みは将来に向けて不可欠なステップだとWalmartが判断したことは明らかだ。

画像クレジット:Symbotic

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ハーレーダビッドソンの電動バイク部門「LiveWire」がSPACで上場へ

Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)は、同社の電動バイク部門であるLiveWire(ライブワイヤー)を、AEA InvestorsとBridge Fund Managementの幹部らが出資するブランク・チェック・カンパニー(白地小切手会社)との合併を通じて上場する。

特別買収目的会社(SPAC)であるAEA-Bridges Impact Corp(ABIC)との契約では、Harley-Davidsonが大部分の所有権を維持し、LiveWireは公開市場から得られる資金を利用できるようになるとともに、台湾のオートバイメーカーKymco(キムコ)を主要パートナーとして迎える。

合併資金はABICが委託されている4億ドル、Harley-Davidsonが出資する1億ドル(約113億6000万円)、およびKymcoからの1億ドルで賄われる。

Harley-Davidsonは新合併会社の約74%を保有する。SPACの株主が17%を保有し、残りの4%をSPACのファウンダーとKymcoが保有する。合併会社の企業評価額は約17億7000万ドル(約2010億8000万円)、契約完了時の資金調達後価値は約23億1000万ドル(約2624億3000万円)。

Harleyは大きい所有権を得ることでは、LiveWireに対する十分な権力と監視能力を持つ。Harley-Davidsonの取締役会長兼社長兼CEOであるJochen Zeitz(ヨッヘン・ツァイツ)氏が新会社の会長に就任する。同氏は契約完了から最大2年間LiveWireのCEOを兼務する。Ryan Morrissey(ライアン・モリッシー)氏がLiveWireの社長に就任する。

新たな資金は、LiveWireの市場開拓戦略、新商品への投資、および世界の製造および流通機能の強化に使用される。新会社、LiveWireは子ども向け全電動バランスバイク(ペダルなし自転車)のSTACYCも取り扱う。その生産能力の一部はKymcoが提供するもので「低コスト生産を通じた主要世界市場と軽二輪およびスクーター分野への参入」を可能にすると、Harleyが投資家向けプレゼンテーションで話した。

契約完了によって、LiveWireは米国発の上場EVオートバイ会社となり、NYSE(ニューヨーク証券取引所)でティッカー・シンボルLVWで取引される。

画像クレジット:Harley-Davidson

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビッグニュースに関するささやかなメモ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

なんて1週間だったのだろう。いや、本当に。もう12月後半も目前だというのに、どういうわけかニュースは起き続けている。ホリデイシーズンなのにこの多さとは!今回はまず始めに、先週の重要なニュースに関するいくつかのメモ、次にベクトル検索と、2021年のお勧め本についてお話しする。さあ始めよう!

  • 私たちが知るSPACの終焉:Trump Media SPAC(トランプメディアSPAC)を取り巻く煙スモッグレベルの濃さに達している。またBuzzFeed SPAC(バズフィードSPAC)の取引は、あらゆる手を尽くしたが失敗し、結局は世間の評判を落とし、その価値を半分近くまで下げただけに終わった。
  • 暗号資産 vs 従来の金融商品:宗教戦争の真っ只中に割り込むつもりはない、しかしテクノロジー市場は、暗号資産企業に資金を提供して育成する方法を真剣に決めていく必要がある。そしてその答はおそらくベンチャーキャピタルではないのかもしれない。先週私たちは、OpenSea(オープンシー)のIPOへの期待が、ユーザーから歓迎されるのではなく、軽蔑されている様子を見た。公開だって?トークンを発行して暗号資産の世界に留まっていればいいのでは?なぜなら、大量の従来資金がOpenSeaに流れ込んだので、それらの投資家は、デジタル硬貨ではなく、彼らに対する投資家たちにドルで返済する必要がある。これを解決する方法は?はっきりしない、だが私は、長期的には、暗号資産企業は完全に従来の金融レールから外れたものになるのではないかと思っている。そうならない理由はない。
  • SaaSの状況:これを書かなかったことをお詫びしたい、だがソフトウェアの評価額に関する最近の記憶の中でも最も急激なマイナスの動きの1つが見られた。確かに価格はまだ高いものの、以前ほどではない。現在過剰高値のユニコーンは注意が必要だ。
  • そして最後に、Instacart(インスタカート)は社長が辞任した:入社してからわずか数カ月後で、Instacartは注目を集めた人材を手放した。The Exchangeは、11月にInstacartについて少し書いている。パンデミックでの急増が落ち着いたあと、Instacartの成長率が元に戻ったことを示す報告に注目したのだ。ゆっくりではあるが、会社は今でも成長している。しかし、成長が遅いままでは、理にかなった価格で会社を公開することはできない。この先なにが待ち受けるのだろう?わからない。

会社をメディアにとりあげてもらう方法、そしてベクトル検索

テクノロジー分野での記者になることの最も良い点の1つは、未来を説明してくれる賢い人たちと時間を過ごせることだ。私たちが、すぐにはメタバースの住民になるわけではないものの、将来的なの意味での情報処理方法を変えるテクノロジーがここにはある。

Semi Technologies(セミ・テクノロジーズ)の共同創業者Bob van Luijt(ボブ・ファン・ラウト)CEOをご紹介しよう。この企業はWeaviate(ウィビエイト)を開発している。現在すでに多く存在するスタートアップと同様に、Semiは営利目的のOSS企業だ。簡単にいえば、同社はオープンソースプロジェクトWeaviateの上にビジネスを構築しているのだ。

ボブは数時間の時間を割いて、彼の会社、非構造化データの検索市場、Weaviateの仕組みについて話してくれただけでなく、TechCrunchの2021年分の記事をスクレイピングして小さなGUIに入れて、私が遊べるようにしてくれた。

ちなみに、これは記者にあなたの会社のことを気にかけてもらうためのすばらしい方法だ。これはお気軽な作業ではない、実に手間のかかる厚意で、相手の記者が基礎の基礎から知りたがっているような場合でも、初歩的な質問に忍耐強く答え続けることなのだ。

とにかく、ベクトル検索だ。Weaviateで可能になるのは、非構造化データをすばやく検索することだ。Microsoftの説明によればベクトル検索とは「深層学習モデルを使用して、データセットを意味のあるベクトル表現にエンコードします。ベクトル間の距離はアイテム間の類似性を表します」ということになる。

ボブは例を挙げて、これをもう少し簡単に説明してくれた。従来のデータベースでは、自由の女神がニューヨーク市にあり、エッフェル塔がパリにあることを示すデータを持っているだろう。しかし、こうしたデータを取得するには、対象を正確に検索をする必要がある。Weaviateまたは関連するソフトウェアを介したベクトル検索を使用すると、データベースの中になるフランスのランドマークについて、データを表示するように依頼することができる。そして、エッフェル塔のデータが取得される。

クールだよね、とても。ボブと彼のチームが親切にもセットアップしてくれたTechCrunchのポータルをいじくり回したが、私は彼らが提案した質問に最もこころ惹かれた。このようなものだ「Alex Wilhelmが外出中にTecCrunchニュースレターを書いたのは誰か?」率直にいえば、これはその曖昧さゆえに楽しい質問だ。どのTechCrunchニュースレターのことだろう?そして「外出中」とはどういう意味だろうか?結局、検索結果は、私が休みを取ってAnnaがニュースレターを処理していることを書いたちょっとしたテキストをこのコラムからなんとか見つけることができた。

とてもすばらしい。Semi Technologiesはかなり若い会社だが、私がずっと注目している会社の1つだ。それにはいくつかの理由がある。第1の理由は、オープンソースのスタートアップはクローズドコードの同業者よりも多くの場合興味深いからだ。そして、OSSテクノロジーを使用した構築を進めている創業者は、ビジネスに対するアプローチにやや余裕があることが多いし、個人的にボブが好きなことも理由だ。

Semiとの対話から書き起こした未整理の約3000語のノートを、もう少し一貫性のあるものに整理できたら、さらにお伝えする。

画像クレジット:Semi

本のお勧め2021

先週2部構成になったベンチャーキャピタルからの推薦図書リストにかなりの時間を費やした後、私たちは自分たちのお気に入りの何冊かをリストに追加しようとしている。もちろん、本の好みは絵画の好みと同じように個人的なものだが、2021年読んだもののうち最高だったもののいくつかを共有せずにはいられない!

Annaの2021年のお気に入りは以下のようなものだ:

フィクション:

「Born to be Mild:Adventures for the Anxious」Rob Temple(ロブ・テンプル)著

記録によれば、これは私が2021年に読んだ最初の本だったが、12カ月経っても本当に私を魅了してやまない。著者のRob Temple(ロブ・テンプル)はご存知かもしれない。陽気なソーシャルメディアアカウントを運営し、書籍シリーズである「Very British Problems」(ベリー・ブリティッシュ・プロブレム)の作者でもある。だがこの本はこれまでとは違うテイストだ。それは彼の不安との闘いと、自身のコンフォートゾーンから抜け出そうとした努力についての物語だ。それは感動的で、非常に親しみやすく、とてもおもしろい──あなたが私のようなSue Townsend(スー・タウンゼント)のファンなら、あなたもこれを気に入る可能性が高い。

ノンフィクション:

「How to Read Numbers:A Guide to Statistics in the News (and Knowing When to Trust Them)」 David Chivers(デビッド・シバース)、Tom Chivers(トム・シバース)著

これは私が今読んでいる本で、まだ読み切っていないという注意はしておくものの、とてもおもしろい本だ。それはメディアからの反発を招くかもしれないが、重要なポイントを提示している。私たちがニュースで目にする多くの数字は注意深く吟味される必要があるということだ。これは、ジャーナリストとニュース読者の双方にとってすばらしい読み物になる。読者が数字の読み方に精通すればするほど、分析の精度も上がっていく。

Alexの2021年のお気に入りには以下のようなものがある:

「The Salvation Sequence」Peter F. Hamilton(ピーター・F・ハミルトン)著

最高の空想科学小説(SF)は、私たちが住んでいる世界の上に宇宙船を登場させて充実した1日にしてくれるだけではない。実際、最高のSFは、経済学から人類、科学、物理学に至るまで、あらゆるものを再定義するのだ。2021年私が読んだシリーズ「The Salvation Sequence」は、まさにそのような本だ。経済学やエイリアンへの対処から、真の人間である意味や将来の政治まで、すべてがここに含まれている。とんでもない読み物だ。次の巻が出るのが待ちきれない、そうしたらこのすごいシリーズ全体をもう一度読み返すことができる。

「A Memory Called Empire」「A Desolation Called Peace」Arkady Martine(アーカディ・マーティン)

未来を描く方法は1つではない。マーティンが描くのは、文明と野蛮の概念が、芸術と帝国に衝突する未来だ。そして記憶に。そして隠された技術と戦争に。短い説明文ではとても説明しきれないが、マーティンがSF世界に構築したものは、科学というよりもアートに近いものという他はない。これは激賞に値する。

「Black Sun」Rebecca Roanhorse(レベッカ・ローンホース)

ファンタジー小説は、ヨーロッパの封建時代の歴史を背景に描かれることが非常に多い。登場する公爵が◯◯野郎だって?農奴たちに反逆させたほうが良いぜ!そんな感じだ。そして登場したのが「Black Sun」だ。これはまったく異なる方向にファンタジーをとり込んだ作品だ。南米ならびに中米の伝統に触発されたように見えるものの、本作はジェットコースター並のすばらしさである。必読だ。

「The Last Graduate」、Naomi Novik(ナオミ・ノヴィク)著

ノヴィクは本当にすばらしい作家だ。「Uprooted」(邦訳:ドラゴンの塔)と「Spinning Silve」(邦訳:銀をつむぐもの)はどちらも傑作だった。しかし、私の個人的な意見では、彼女の最高傑作は「A Deadly Education」だ。これは2020年後半に発売された。そして、その続編「The Last Graduate」へのカウントダウンが始まった。本が出るまでの日数を数えることはめったにないが、そうせずにはいられなかったのだ。そして「The Last Graduate」はすばらしい作品だった。今まで読んだことのない主人公に出会い、すべてが歯を持つ世界に入りたいなら、これらの本を読もう。それらを読めば、幸せを味わえるだろう。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

フォードやBMWが支援するSolid Powerが上場、全固体電池開発の競争激化

Ford(フォード)やBMWが支援する全固体電池開発企業のSolid Power(ソリッドパワー)が、米国時間12月9日に上場した。取引開始直後に株価は急上昇している。

Solid Powerは、電気自動車関連分野では数少ない、特別買収目的会社(SPAC)との合併により上場した企業だ。同社は6月にSPACのDecarbonization Plus Acquisition Corp III(ディカーボナイゼーション・プラス・アクイジション・コーポ III)との合併を発表。合併後の市場評価額は12億ドル(約1360億円)とされていた

この合併では、株主投票前償還が著しく少なかったため、最終的にSolid Powerに約5億4290万ドル(約615億円)の現金がもたらされた。これは事前に推定されていた6億ドル(約680億円)に非常に近い金額だ。この現金には、1億9500万ドル(約221億円)のPIPE(上場企業の私募増資)と3億4790万ドル(約394億円)の信託現金が含まれる。

この資金は、世界初の電気自動車用全固体電池の実用化を目指す同社にとって必要なものになる。全固体電池とは、液体ではなく固体の電解質を用いることからその名がついたもので、次のブレークスルーとなる電池技術として注目を集めている。開発者によると、可燃性の電解液を使用しないために、従来の電池にともなう火災のリスクを最小限に抑えることができ、さらにエネルギー密度(すなわち電池の重量や体積あたりの航続距離)にも優れているという。

Solid Powerは現在、コロラド州にある工場を拡張し、2022年初頭に商用品質の100アンペア電池セルを試験的に生産する準備を進めているところだ。この電池セルは、同社に出資しているフォードやBMWの自動車でテストに使われることになっている。Solid Powerは今回の上場で得た資金を、2026年と予想される車両への搭載までの運営資金に充てる計画だ。

関連記事:固体バッテリー開発のSolid Powerが生産能力拡大、2022年にフォードとBMWに試験用バッテリーを納入

同社の長期的なビジネスプランは、業界大手のLG Chem(LG化学)やSK Innovation(SKイノベーション)のような大規模な電池メーカーになることではない。最終的な目標は、メーカーや製造業者にセルのライセンスを供与することである。「長期的に考えれば、当社は素材メーカーです」と、同社CEOのDoug Campbell(ダグ・キャンベル)氏は、先日のTechCrunchによる取材に語っていた。「私たちは、固体電解質材料の業界リーダーになりたいと考えています」。

Solid Powerは、SPACを通じて株式公開した唯一の全固体電池開発企業でもなければ、大手自動車メーカーから投資を受けている唯一の企業でもない。

実際、ライバルのQuantumScape(クァンタムスケープ)はVolkswagen(フォルクスワーゲン)の支援を受けており、Stellantis(ステランティス)とMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は新規参入のFactorial Energy(ファクトリアル・エナジー)に資金を提供するなど、大手自動車メーカーは全固体電池の開発競争に出馬する馬を選んでいるようだ。

QuantumScapeも、2020年11月にSPAC合併による上場を完了させた。他のモビリティ系SPACと同様、株価は変動が激しく、12月には114ドル(約1万3000円)まで上昇した後、20~25ドル(約2270〜2830円)程度で落ち着いている。Solid Powerの株価が同じような激しい変動にさらされるかどうかはまだわからない。同社の株は「SLDP」というティッカーシンボルで取引されている。

画像クレジット:Solid Power

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米証券取引委員会がトランプ氏のSPAC合併話に興味津々

Digital World Acquisition Corp.(DWAC、デジタル・ワールド・アクイジション)は最近の提出種類で、予定されているTrump Media & Technology Group(TMTG、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ)との合併について、米国政府から質問を受けたことを明らかにした。TechCrunchは、このSPAC(特別買収目的会社)と元米国大統領であるDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏と関連のある企業との合併計画についてこちらで報じている。

TechCrunchは、この合併の契約や製品目的や全体的雰囲気すべてに対して非常に懐疑的だった。

  • 10月後半The New York Timesは、トランプ氏がDWACのCEOであるPatrick Orlando(パトリック・オーランド)氏とSPACが作られる前の段階で会話していたことを報じた。「その際、オーランド氏のSPACはセキュリティ法や証券取引規則を回避した可能性がある」と同紙は伝えていた。
  • DWACとTMTGは「合併完了時に10億ドル(約1137億円)分の非貨幣的資本を受け取る契約」を12月4日に結んだとリリースに書かれている。

2件の報道を受けて、Financial Industry Regulatory Authority(FINRA、金融業規制機構)およびU.S. Securities and Exchange Commission(SEC、米国証券取引委員会)が質問していることは驚くに当たらない。

DWACの提出書類に次のように書かれている(強調は筆者による)。

DWACはある予備的な事実確認質問を規制当局から受けており、現在協力している。具体的には、2021年10月後半および11月前半、DWACはFINRAから、2021年10月20日の合併契約公表に先立つ事象(特に取引の見直し)に関する情報要求を受け取った。FINRAによるとその問い合わせは、FINRAが、何らかのNASDAQ規則違反や連邦証券法違反が起きたと断定した、あるいは、関連する証券に関わる利益もしくは当該証券の取引に影響を与えた人物を非難している、と解釈すべきではないという。さらに、2021年11月初めDWACは、SECから任意の情報および文書要求を受けた、具体的にはDWACの取締役会、取引に関わるポリシーと手続き、銀行、電話、およびメールアドレスの識別情報、特定の投資家の識別情報、DWACおよびTMTG間の特定の文書および会話についてである。SECの要求文書によると、その調査はSECが何者かが法律に反したと結論づけたものではなく、SECがDWACあるいはいかなる人物、事象、もしくは証券に対して否定的な意見を持つことを意味するものでもない。

文面からわかるように、同社は不正行為を非難されているのではないことを強調している。とはいえ、それは説明の難しい取引に対する監視としては相当なものであり、大きな疑問をもたざるをえない。

TMTGとDWACの投資家向けプレゼンテーションの内容は薄かった。そして、TMTG製品であるTRUTH Social(トゥルース・ソーシャル)を作るために使われたコードの一部が不正入手されたことがすぐに明らかになった。率直にいってうさん臭い。

このSPACがなぜ、企業というよりアイデアを集めただけのように思われるところと合併したいのかは疑問である。あの評価がどのように決められたのかも謎だ。取引に総額10億ドルを投じた投資家たちも。

一連の出来事は、製品出荷前の企業が通常許されるよりも未熟な状態で上場することを認めた、なんとも奇っ怪なメカニズムがすでに十分白い目で見られているSPACに対する印象をいっそう悪くするものだ。この取引は、ほんの少し前投資家向けに再ブランドだかでSPACと呼ばれるようになった連中に、白紙小切手会社という元の名前を改めて教える出来事だった。

画像クレジット:BRENDAN SMIALOWSKI / Staff / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

SPAC上場をめぐりEVメーカーLucid Groupを米証券取引委員会が調査

Lucid Group(ルシード・グループ)は、同社の合併による上場を調査している証券当局から召喚された。

Lucidは米国時間12月6日朝に当局に提出した書類の中で、米証券取引委員会(SEC)から調査に関連する特定の文書を要求されたと述べた。

「この問題の範囲や結果について確たるものはありませんが、調査は当社(旧Churchill Capital Corp. IV)とAtievaとの合併、および特定の見通しと声明に関するものと思われます」と規制当局への提出書類には書かれている。

Lucidは、SECの審査に全面的に協力していると述べている。

このニュースを受けて、Lucidの株価は9.5%以上下落した。

Lucid Motorsは2021年2月に、特別買収目的会社Churchill Capital IV Corpとの合併を通じて上場企業になることで合意したと発表した。当時、特別買収目的会社(SPAC)と電気自動車スタートアップとの間で行われる取引としては最大級のものと考えられていた。

関連記事:EVのLucid MotorsがSPAC合併で上場へ、2021年下期に北米でLucid Airの販売開始

株主らは7月下旬、Lucid MotorsとChurchill Capital IVの合併を承認したが、個人投資家の投票数が少なかったため、両社は期限を1日延長した。合併会社は現在、Lucid Groupという社名だ。

Lucid Groupはその後、同社初の高級電気自動車Lucid Airの納入を開始し、アリゾナ州カサグランデにある工場を270万平方フィート(約25万平方メートル)拡張する計画を発表した。その拡張の一部は、2023年に生産開始を予定している高級電気自動車SUV「Project Gravity」に使用される。

SPACは2年前から流行した金融商品で、企業がより早く株式を公開するためのいい手段として位置づけられている。また、多くのベンチャーキャピタリストがSPACに参入し、取引のペースを上げている。しかし、それが原因で規制当局がこれらの合併の一部を詳しく調査することになった。少なくとも3件のモビリティ関連のSPAC合併がSECの精査を受けている。Nikola Motors(ニコラ・モーターズ)に対する規制当局の調査では、創業者が辞任し、3件の詐欺容疑で起訴された。Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)はSECと司法省の調査を受けている

関連記事
電動トラックメーカーNikolaの創業者ミルトン氏、詐欺容疑で起訴
米国証券取引委員会が調査中のEVスタートアップLordstown Motorsを米司法省も調査開始

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

3Dプリンティング企業のEssentiumが、SPAC経由で株式公開する計画を発表

アディティブマニュファクチャリング(⾦属3Dプリント、⾦属積層造形)の世界も、SPAC(特別買収目的会社)ブームと無縁ではいられない。Desktop Metal(デスクトップ・メタル)、Shapeways(シェイプウェイズ)、Markforged(マークフォージド)、Velo3D(ベロ3D)の各社は、いずれもSPACによる株式公開を完了したか、またはその計画を発表している企業だ。オースティンを拠点とするEssentium(エッセンティアム)は米国時間12月1日、Atlantic Coastal Acquisition Corporation(アトランティック・コースタル・アクイジション・コーポレーション)との逆さ合併により、この増え続ける企業リストに自社の名前を追加する計画を発表した

この取引が完了すると、合併後の企業価値は9億7400万ドル(約1100億円)となり、そのうち3億4500万ドル(約390億円)をAtlantic Coastalが現金で受け取ることになる。Essentiumは、アディティブ・マニュファクチャリングや3Dプリンティングへの関心が高まっている要因として、現在も進行中のサプライチェーン問題を挙げている。

「既存のグローバルサプライチェーンモデルの根本的な欠陥が、貿易不均衡や新型コロナウイルスの世界的大流行のような障害の増大によって悪化し、流通のボトルネックを長期化させています」と、同社CEOのBlake Teipel(ブレイク・タイペル)氏は述べている。「本日の発表は、これらのグローバルな課題に正面から取り組むことができる新しい製造パラダイムのために、長期的かつ持続可能なソリューションを提供する当社の取り組みにおける重要なマイルストーンを象徴するものです」。

TechCrunchがタイペル氏から話を聞いたのは2017年のこと。Essentiumは当時、プラスチックの3Dプリント素材をプリントしながら融合させ、従来のFDMプロセスよりも強度の高いオブジェクト作り上げるプラズマベースのシステムを発表していた。同社はまた、標準的な押出成形に比べて5倍から15倍の速度を誇ると言われる高速押出成形プロセスも活用しており、既存の顧客には米国国防総省、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Ford(フォード)などがいる。

今回発表された合併は、2022年第1四半期に完了する予定だ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

暗号資産ゲームは短期的にどれだけの資金を吸収できるだろうか

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

みなさんこんにちは!今回は、インシュアテック、SPAC、そしてダイレクトリスティングがIPOの価格問題をどれだけ解決できるかについてお話ししたい。だがその前に暗号資産について取り上げる。

先週の暗号資産周辺はにぎやかだった。Coinbase(コインベース)の業績報告からは、第3四半期の資産クラスの取引活動がいかに忙しかったかを知ることができた。Robinhoodの業績報告を思い出せば、Coinbaseが開示したものは驚きではないだろう。米国の株式投資プラットフォームの暗号資産収益が大幅に減少したために、Coinbaseも第2四半期と比較して、取引量と収益の両者が減少した。

これに関連して、暗号資産取引所FTXの米国事業所が自社のパフォーマンスデータの一部を公開した。これによると、2021年9月までの3カ月間は全体的に減少傾向にあるものの、暗号資産取引市場はまだ成長可能であることが示されている。

つまり、暗号市場は急速に進化(脱皮?)し続けているのだ。大規模ブロックチェーンと中小規模のコインのアクティビティは、四半期ごとに大きく変動する可能性がある。Coinbaseのような企業にとっては、これは収益や利益の変動を意味している。

しかし、Coinbaseは現金を豊富に持っているため、暗号活動の長期的な動きがポジティブなものである限り、短期的な浮き沈みはそれほど大きな問題ではない。

長期的な上昇トレンドに賭けるもう1つの企業集団は、暗号資産ゲーム会社たちだ。彼らはここ数カ月、非常に忙しい日々を送っている。例えば、Patron(パトロン)は暗号資産ベースのゲームに投資するために9000万ドル(約102億5000万円)のファンドを組成し、Mythical Games(ミシカル・ゲームズ)は暗号資産ゲームを開発するために2021年の夏に7500万ドル(約85億4000万円)を調達、トレーディングゲームのParallelは評価額5億ドル(約569億3000万円)で調達を行い、Axie Infinity(アクシ・インフィニティは)2021年の年頭に資金調達を行っている

また先週、Forte(フォルテ)は、暗号資産ゲームのインフラのために7億2500万ドル(約825億4000万円)を調達した。このことから、私はブロックチェーンゲームが短期的にどれだけの資本を吸収できるのだろうかと考えている。これまでのところ、少なくとも伝統的なベンチャーキャピタルの考え方の中では、ゲームはベンチャーキャピタルの投資対象としては不適切であることが証明されてきた。それはなぜか?というのも、ゲームはどちらかというとヒットに左右される商品であり、発売後に好調でも収益が減少していくタイトルもあるからだ。

投資家は、予測可能で成長性のある強力な収入を求めている。そして投資家は、収益の不均一性や不確実性を嫌うものなのだ。新規タイトルは、失敗する可能性があるという不安要素を持っている。

それなのに、暗号資産に群がり、ゲーム企業がもてはやされているとは?ベンチャーの投資対象としての魅力を失わせていたゲーム会社の経済的・社会的リスクが、ブロックチェーンをバックボーンとして構築されることで改善されるというのだろうか?それがなぜそうなるのかを私は理解できない。しかし、投資家たちはあたかもそれが起きるとばかりに資金を投入している。さまざまな賭けがどのような損得に落ち着くのかを見ていきたいと思う。

インシュアテック、SPAC、そしてデータ

現在は決算期を迎えている最中だ。メジャーな企業はもちろんのこと、中小企業も多くの時間とエネルギーを費やしている。先週のいくつかの決算報告会から、以下のようなことがわかった。

インシュアテックは難しい:Metromile(メトロマイル)がLemonade(レモネード)に身売りしたというニュースの直後では、公開インシュアテック企業の運命に疑いが生じても仕方がない。とはいえ、先週発表されたRoot(ルート)の決算では、この自動車に特化した保険会社の業績が投資家に評価されて、株価が大きく上昇しや。

しかし、Rootにとっては、ライバルが新しい落ち着き先を見つけたからといって、すべてが順風満帆というわけではない。先週、RootのCEOであるAlex Timm(アレックス・ティム)氏にインタビューした結果、私たちは保険分野での成長のタイミングがいかに複雑であるかを知った。

現在、多くの自動車保険会社が直面している補償価格の設定に関する市場の不確実性(つまりRoot自身の問題ではない)を考慮し、Rootは短期的な成長目標を引き下げたとCEOは説明している。車両や人件費などのインフレ圧力により、保険料の決定が難しくなっており、市場の各プレイヤーが新規契約の獲得に慎重になっていることがわかった。

これは、Rootが長期的に問題を抱えていることを意味するものではないが、マクロ的な状況が、どのように技術や技術を応用したビジネスにとって厳しい状況をもたらしているかを示している。Rootは、データとスマートなソフトウェアが、時間とともに保険の価格を改善していくことに賭けている。しかし、上場直後の同社は、事実上前例のないビジネスの根本的な経済的変化に遭遇していると、ティム氏はいう。Metromileが上場後すぐに諦めて事業を売却したのは、このような複雑な事情があったからかもしれない。

SPACはおそらく大丈夫:先週、NextDoor(ネクストドア)が公開会社として取引を開始した(オリジナルのメモはこちら)。私たちは取引初日にCEOのSarah Friar(サラ・フライア)氏にインタビューを行い、彼女が選択した上場方法について話を聞いた。

彼女によれば、NextDoorは2020年後半に製品計画の一部を止めなくてはならなくなり、これによってより多くの資金を調達する必要性が生じたのだという。また、NextDoorは上場準備が整っており、SPACパートナーを通じて事前に決められた価格でまとまった資金を調達することができたため、この取引は彼女の会社にとって意味のあるものとなった。

これはある意味標準的な視点であり、SPACが2021年初頭に流行した理由を詳しく説明してくれるものだ。しかし、その後の状況は変わり、多くのSPAC主導の組み合わせでは、買収対象を発表して取引を完了させた後に、一部の支援者が資本を引き上げることも起きている。

NextDoorは、そうした資金引き上げ問題が必然的なものではないことを示した。最初のリリースでは、SPACパートナーが4億1600万ドル(約473億2000万円)の現金を事業に注入するとしていたが、最終的な集計では4億400万ドル(約460億円)となった。これは、失われた資本比率としては超低水準だ。そして、NextDoorの株価は、SPAC以降順調に推移している。このように、SPAC主導のデビューでも、場合によってはうまくいくこともあるようだ。

ダイレクトリスティングは価格の万能薬ではない:Amplitude(アンプリチュード)は、最近ダイレクトリスティング(直接上場)を行い、先週上場企業になって初めての収益を報告した。上場以来、同社の取引は好調で、今週の終値は1株当たり73.86ドル(約8409円)と、基準価格の35ドル(約3985円)を大きく上回っている。

Yahoo Finance(ヤフー・ファイナンス)によれば、同社の現在の価値は80億ドル(約9108億円)強だ。同社が不本意な価格付けを避けるために伝統的なIPOではなくダイレクトリスティングを選択したことに対して、私たちは、同社がダイレクトリスティングに先だって2021年初めの調達時の評価額が約40億ドル(約4554億円)だったことに苛立っていたのではないかと気になっていた。結局、彼らは価格の問題を避けるためにダイレクトリスティングを行い、Roblox(ロボロックス)が行ったように事前に個人投資家から資金を調達したのだ。

AmplitudeのCEOであるSpenser Skates(スペンサー・スケイツ)氏は、従来のIPOでは価格の歪みがさらに大きくなっていただろうと語り、ダイレクトリスティングに手応えを感じていると述べた。それに対して、私たちは「おそらくそうでしょうね」と答えるだけだ。しかし、非公開市場の投資家が自分の資金を一気に倍にしてしまう様子は、結局別の金持ちが儲けをさらっていくだけの間違った値付けのIPOが生み出す「儲け損ない」と似たものにみえる。

それではまた!

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

人工衛星メーカーTerran OrbitalがSPAC合併で株式公開へ、企業価値は約1793億円

さくらインターネットの衛星データプラットフォーム「Tellus」Ver.3.0で衛星データの売買が可能に

小型衛星大手メーカーのTerran Orbital(テラン・オービタル)は、特別買収目的会社(SPAC)のTailwind Two Acquisition Corp.との合併により上場する。取引後の企業価値は15億8000万ドル(約1793億円)で、Terran Orbitalは約4億7000万ドル(約533億円)の資金を獲得する。

このうち、3億4500万ドル(約391億円)はTailwind Twoの出資によるもので、これに加えてAE Industrial Partners、Beach Point Capital、Daniel Staton、Lockheed Martin、Fuel Venture Capitalから5000万ドル(約56億円)のPIPE資金が提供される。さらに、Francisco PartnersとBeach Point Capitalが7500万ドル(約85億円)を追加で拠出しており、取引終了時にはFrancisco PartnersとLockheed Martinから最大1億2500万ドル(約141億円)の債務コミットメントを得られる可能性がある。

今回の発表は、宇宙関連の新興企業が現金を調達して株式を公開する方法として、SPAC合併に依然として注目していることを示している。これまでにVirgin OrbitPlanetRedwire、BlackSky、Spire GlobalSatellogicRocket Lab、Momentus、Astraなどの宇宙関連企業が、この手法で数十億ドル(数千億円)の資金を調達した。

Terran Orbitalは、主に米政府向けに人工衛星の設計、製造、エンジニアリングを行う受託製造会社だ。Terranの業務の約95%はNASAと国防総省に関連していると、CEOのMarc Bell(マーク・ベル)氏は2021年初めのTechCrunchとのインタビューで語った。

Terran Orbitalは3億ドル(約340億円)を投じてフロリダ州スペースコーストに世界最大の人工衛星製造施設を開設することを9月に発表した。この66万平方フィート(約6万1316平方メートル)の施設では、年間1000個の人工衛星の完成品と100万個以上の人工衛星部品を製造することができる。これは宇宙産業では前例のない規模だ。

人工衛星の製造に加えて、Terran Orbitalは独自の地球観測コンステレーションを運用して衛星画像をサービスとして提供することも目指している。ベル氏は声明の中でこれを新しいSaaS「サービスとしての衛星」と呼んだ。

合併取引は、Terran OrbitalとTailwind Twoの両取締役会から全会一致で承認されており、2022年の第1四半期中に完了する見込みだ。

画像クレジット:NicoElNino / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFTマーケットプレイスOpenSeaの苦悩、「真の友人は正面から君を刺す」

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

みなさんこんにちは!今日は気楽な話題なので、くつろぎながら読んで欲しい。

よく知られているオスカー・ワイルドの言葉に「真の友人は正面から君を刺す」というものがあるが、この言葉は覚えておくべき機知に富んだ真実だ。Coinbase(コインベース)がNFTに参入するという最近の決定について、ここ1、2週間あれこれと考えているうちにこの言葉が浮かんできた。

関連記事:CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

いくつかの事実を知れば、ワイルドの言葉がなぜ今の状況に合っているのかがわかるだろう。

  • a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者であるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、上場前から支援してきたCoinbase(コインベース)の役員を務めている
  • 一方a16zはOpenSeaのシリーズAを主導した。これは2300万ドル(約26億円)規模で、NFT市場に多額の資金と信用をもたらした
  • Coinbase VenturesもOpeanSeaに投資しているが、これは同VCが行ってきた数多くの投資の1つだ
  • そしていま、CoinbaseがNFTに参入することを発表したことで、ウェイティングリストに大量の登録者が集まった

暗号資産ウォッチンググループのDappRadar(ダップレーダー)によれば、現在OpenSeaは最大のNFTマーケットプレイスだ。もし競合するソリューションに興味を示したユーザーたちが、著名な暗号資産投資プラットフォームであるCoinbaseで実際にNFTを売買するようになれば、CoinbaseはOpenSeaを圧倒するかもしれない。

そうなると、OpenSeaは困った立場になるだろう。

VCが上場後も企業の取締役に留まるのは、彼らがそうすることを選択し、そして投資先企業が彼らを引き留めるのであれば問題はない。公開された企業のボードメンバーになることを習慣にしているVCもある。例えばMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、Facebookの取締役会に参加しているが、Facebookはアンドリーセン氏についての説明の中で、彼が以前にeBayやHPで取締役を務めていたことを紹介している。やるもんだ。

しかし、ある投資家が上場後も投資先企業の役員に留まりながら、同じ投資家の会社のポートフォリオ企業と直接対抗することを決めたとすると、少し厄介なことになる。その投資家がまだ働いているところ。仮に私がOpenSeaの立場だったとすると、アンドリーセン氏がCoinbaseのボードにいて同時に彼のベンチャーファーム(a16z)が私(OpenSea)の投資者に名を連ねているときに、Coinbaseが私の市場を攻撃することを決めたとしたら、私は腹を立てるだろう。

「真の友人は正面から刺す」ものなのか?

また、Facebookによる最近の暗号資産の推進は、ご存知の通りCoinbaseとの提携であることも思い出そう!

関連記事:フェイスブックが暗号資産ウォレット「Novi」の試験運用を米国とグアテマラで開始

また最近、Facebookのボードメンバーが関わる皮肉な事態は他にもみられた。例えばPeter Thiel(ピーター・ティール)氏はFacebookの役員だ。そして彼は同時に、政治家を目指すJ.D. Vance(J.D.バンス)氏も支援している。ここで注目すべきは、J.D.バンス氏が選挙に出馬しながらFacebookを攻撃している点だ。個人的には大企業が中小企業を沈めようとしているのを見るのは好きではないので、OpenSeaの事態を眺めているのは少々不愉快だが、Facebookの資金が循環してFacebookの尻に噛みついているのを見るのは、その過程で稚魚たちが被害を受けていないこともあって滑稽だ。

とはいうものの、もう少し取締役会の席を他者に譲ったほうが良いのではないだろうか。そうでなければ、a16zは自分たちが支援している創業者たちを貶めるような活動を続けることなってしまうだろう。

Volvoその他のIPO

今週は時間を見つけてVolvo(ボルボ)の公開について調べようと思っていたが、それはかなわなかった。ここで会社自身によるノートを見ることができる。Volvoから分離したPolestar(ポールスター)は、SPACを使って株式を公開している。

そして先週の終わりに、Braze(ブレイズ)は株式公開を申請した。この会社とそのS-1については、米国時間の月曜日の朝一番に詳しくお伝えする。

今後も、(冗談抜きで)最高の企業ギフトプラットフォームを構築しようと競い合う熾烈なスタートアップレースの様子などを紹介していく。

関連記事:ボルボの高級EVブランドPolestarが約2兆2200億円の評価額でSPAC上場へ

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

トランプ氏のSPACを巡る「合理的な」投資判断が笑える

Donald Trump(ドナルド・トランプ)前米大統領がメディアおよびテクノロジーの会社を立ち上げようと思い立ち「白紙小切手会社」を通じて上場させるつもりだというニュースが流れたとき、同社の株式を「どれだけ早く空売りできるか」とあなたが直ちに考え始めたとしても、それはおそらく許される。

関連記事:トランプ氏が独自SNS「TRUTH Social」立ち上げ、新メディア会社はSPAC上場へ

その理由を挙げよう。右寄りのソーシャルネットワークはほとんど失敗していること、会社が目指していることの範囲やライバル企業の裕福さを考えると会社の資金が著しく不足していると思われること、将来のモデルとなる過去の収益はおろか、使える製品がないことなどだ。他にも懐疑的な理由はあるが、私が好きなのは上記に挙げたものだ。

だが、問題のSPAC(特別買収目的会社)Digital World Acquisition Corp(デジタルワールド・アクイジション・コープ)」の株価は、そのニュースで急上昇した。そして、米国時間10月22日もその曲芸は続いた。

DWACは同社のクラスA株のティッカーシンボルだ。一方、DWACUは同じ株式だが半分のワラントが付いている。後者の株価はあまり上昇しておらず、少し奇妙だ。

いずれにせよ、Yahoo Financeによると、10月22日のDWACの時価総額は約47億ドル(約5358億円)だ。つまり、Digital World、別名Trump Media and Technology Group(トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ、TMTG)は、メディアとテクノロジーの世界から生まれた最新のユニコーンのようなものだということだ。確かに市場で株価がついているが、Digital Worldと合併する会社があまりにも若く、笑うしかない。とりあえず、スタートアップと呼ぶ他はない。

何もかもが合理的ではない。2021年やSPACの時代の基準から見ても、非常にばかげている。

TMTGが唯一持ち合わせ、同社を薄っぺらな市場統計にくっついている熱い空気以外の何ものでもない存在にしているのは、トランプ氏の名だ。会社のプレゼンで、ポッドキャストの人気の高まりを思い出させてくれたことに感謝したい。鮮烈な洞察だ。TMTGは、SPACの資金を使って事業を行うのであって、トランプ氏のキャッシュを使うわけではない。まして、社名にその名前を冠し、億万長者といわれた男の資金的な支援があるわけでもない。

おそらく、TMTGがあまりにも馬鹿げていることからすれば、同社の株が「memestock(ミームストック、業績に関係なくSNS等の情報で株価が乱高下する銘柄)」や「stonk(ストンク、明らかに合理的とは見えない動きをする銘柄)」になることは、わかっていたはずだ。なぜなら、極めて奇抜な企業だけがそうなるからだ。ゲームグッズのデジタル配信が増え、実店舗の小売が減っている? GameStop(ゲームストップ)を月へ打ち上げよう。レンタカーを借りている人がいない? Hertz(ハーツ)の株を買いに走ろう。そんなところだ。

というわけで、当然に、DWACはほとんど垂直上昇していく。そうならないわけがない。この株の高騰は、まったくもって滑稽であると同時に、効率的な市場理論に対する厳しい批判でもある。ビジネスとしてほとんど意味をなさないことほど、ミームとして優れた「stonk」はない。かくして、TMTGは凄まじい上昇を見せている。それが合理性をもつのは、まさにそこに合理性が見られない状況においてだ。

いつもならこの辺りで寝てしまうのだが、やるべきことがたくさん出てきたので、今はこの辺にしておこう。本日の取引に参加されるみなさま、幸運を。

画像クレジット:Hiroshi Watanabe / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

AuroraがSPAC合併を控えた戦略として自動運転トラック技術に光を当てる、テキサス州でテストを拡大中

テキサス州の州間高速道路45号線沿いに立つ、上部に「Aurora(オーロラ)」と白く巨大な文字で刻まれた広告看板は、謎めいたメッセージを投げかけている。「新しい運転方法の兆しが見えている」。

この道路を走る何千人ものドライバーの中でどれだけの人が、それが何を意味し、Auroraとは何かを知っているのかを見極めるのは難しい。自動運転車技術を手がける同社は(複数の競合企業と肩を並べ)AポイントからBポイントへの人や荷物の移動方法を恒久的に変えようとしているが、その知名度は低いといえよう。

しかし、ブランクチェックカンパニー(白紙小切手会社、SPAC)との合併により株式市場への参入を計画しているAuroraは、自社のプロダクトにスポットライトを当てた。報道陣、アナリスト、そしてPACCAR(パッカー)、Toyota(トヨタ自動車)、Volvo(ボルボ)などのパートナー企業に加え、既存投資家や潜在的な新規投資家を招き、自動運転トラックの乗車体験とともに同社の技術をより深く知る機会を提供した。同社はまた、テキサス州で新しいルートのマッピングとテストを開始することなど、同社のオペレーションに関する最新情報も共有している。

「Aurora Illuminated(オーロラ・イルミネイテッド)」と銘打ったこのイベントは、同社にとって幸先の良い時期に開催された。2017年にSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏の3人によって設立されたAuroraは、Uber(ウーバー)の自動運転部門を買収したことで規模が倍増し、1年足らずで1600人を超える従業員を抱えるまでに成長している。

同社は、特別買収目的会社(SPAC)であるReinvent Technology Partners Y(リインベント・テクノロジー・パートナーズY)との合併を通じて130億ドル(約1兆4470億円)の評価額を持つ株式公開企業になろうとしている。この買収は7月に発表され、TechCrunchがそれより前の報道で確認していたものだが、2021年中に株主投票が行われる見込みだ。承認され次第、AuroraはNASDAQに上場する。同社はいずれの日程も公表していない。

関連記事:自律走行技術のAuroraがリード・ホフマン氏の最新SPACとの合併に向けて最終交渉中か

Auroraが本格的に「成功した」というのは、推定的で時期尚早である。しかし同社は、相当の資金調達、主要パートナーシップの確保、テストの拡充など、商業化に向けた多くのハードルを乗り越えている。また、Waymo(ウェイモ)や上場企業のTuSimple(トゥーシンプル)、さらにはGatik(ガティック)やKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)といった小規模スタートアップのような、豊富な資金と提携を持つ他企業が競合する自動運転トラックの勢力図でも、大きな進歩を遂げている。

進捗レポート

Auroraがテキサス州に初上陸したのは1年前のことだ。現在同社は、テキサス州のダラス、パーマー、ヒューストンのターミナル間のルートで、スパイシーなポテトチップスやスナックを製造するBarcel(バルセル)の荷物を運ぶための自動運転トラック(常にセーフティドライバー2名が同乗)を運用している。また、今月初めに発表されたパイロットプログラムの一環として、テキサス州ダラスとヒューストンの間でFedEx(フェデックス)の貨物輸送を開始した。FedExによると、Auroraの技術を搭載したPaccarのトラックは週に数回使用され、州間高速道路45号線沿いの500マイル(約804km)近くのルートを走行するという。

計画ではエルパソとサンアントニオにターミナルを追加し、西はフェニックスとロサンゼルスまで、南はラレドまで、東はニューオーリンズまで拡張する予定である。Auroraが構想しているネットワークは西部と東部の沿岸地域を網羅しており、最終的には米国全土を視野に入れている。

Auroraはテキサス州外への進出がいつになるかは明らかにしていない。同社は先頃、エルパソとダラスを結ぶ全長630マイル(約1014km)のルートの貨物輸送を含まない試験運行を開始したところだ。

共同創業者で最高プロダクト責任者のスターリング・アンダーソン氏によると、商品を輸送するルートにおいて、同社は常に割り当てられたタイムフレーム内に配送してきたという。

「これはすばらしい、エキサイティングなオペレーショナル・エクセレンスの事例です」と共同創業者で最高経営責任者のクリス・アームソン氏はイベントのインタビューで語っている。「長期的な展望として、ドライバーを乗せずに車両を運転できるようになったときにサービス時間の制限はなくなるでしょう。それは飛躍的な前進の瞬間です」。

画像クレジット:Aurora

乗車

TechCrunchが2回試した乗車は、テキサス州パーマーにある、Aurora所有のSouth Dallas Terminal(サウス・ダラス・ターミナル)の駐車場から始まった。

トラックはPeterbilt(ピータービルト)579で、Auroraの自動運転システムと統合され、Paccarの協力を得てカスタマイズされている。同社が「Aurora Driver(オーロラ・ドライバー)」と呼ぶこのシステムには、カメラとレーダーの他、LiDAR(ライダー)と称される、長距離および中距離の検知と測距を行う光学式レーダーセンサーが組み込まれている。長距離LiDARは、Blackmore(ブラックモア)を買収後に自社開発された。Auroraは同社にとって2つ目のLiDAR企業となるOURS Technology(アワーズ・テクノロジー)を買収済みだ。中距離LiDARセンサーは、非公開のサプライヤーから提供されている。

関連記事:自動運転のAuroraがLiDARスタートアップを買収、自動運転トラックの普及へ向け開発加速

冷却装置を備えた巨大なコンピューターがキャビン後部に配備されている。他にも、走行中の車両、目的経路、道中の画像分類などを表示するディスプレイがキャビン内に設置されている。車内にはセーフティオペレーター2名が待機。いわゆる操縦士は商用トラックの運転免許、すなわちCDL(商用運転免許証)を保有しており、目的経路の確認や呼び出しを行う副操縦士は、他の車両、歩行者、道路上の物体を監視するスポッターのような役割も果たす。

画像クレジット:Kirsten Korosec

「私たちは彼らを単なるテスターとは見ていません。技術に関すること、そして彼らがどのように感じるかということだけでなく、道路のルールについても、非常に優れたガイダンスやアドバイスを数多く提供してくれます」と、Auroraのパートナーおよびプログラム担当VPであるLia Theodosiou-Pisanelli(リア・テオドシユー・ピサネリ)氏はトラック乗車前のセーフティブリーフィングで語っている。「例えば、トラックのドライバーであればしないようなこととして、あなたは大きくターンすることを選んでいる、これはあなたのやり方である、これはあなたのオペレーション方式である、これは他のドライバーが想定するようなことである、といった指摘です。また、顧客が期待することを本当によく理解しています」。

すべてのオペレーターはAuroraの従業員であり、契約社員ではない。彼らは数週間にわたって、車両制御、防衛運転、そしてクローズドトラックでのシナリオ実践の訓練を受ける。12名の「操縦士」が6週間から8週間の訓練を終え、現在トラックに同乗している。他にも準備中の操縦士たちが控えている。

2回の試乗のいずれにおいても、トラックは始めから自動運転でターミナル区画から側道まで走行し、続いて州間高速道路45号線へのオンランプを通過した。45号線を13マイル(約21km)ほど走ってから、左に曲がって高速道路の下に入った。一時停止の標識の後、トラックはもう一度左に曲がり、州間高速道路に再び入ってターミナルに戻った。往復で約28マイル(約45km)の行程だった。

画像クレジット:Kirsten Korosec

この種のデモでAV技術の完全な評価を提供するのは難しいことだが、同社は実際にシステムの寸評を提供し、さらに重要なことに、企業がどのような「ドライバー」を開発しようとしているのかを伝えている。

Auroraの場合、会社は慎重なアプローチをとっている。同社のトラックは、高速道路で掲示制限速度が時速75マイル(120km)であっても、時速65マイル(約105km)を超えることはない。合流車両のスペースを確保するか、低速車両を追い越すため以外は、一番右の車線に留まる。また州の法律に基づき、車両が路肩に停車している場合は、常に他の車線に移動する。

Auroraはさらにセーフティオペレーターに対して、テオドシユー・ピサネリ氏が説明するように、作業員がいる稼働中の建設現場や、緊急車両がライトを点滅させて近づいてきたとき、そしてあらゆる「クレイジーな動作主体」に対応する場合に、手動制御に切り替えることを意味する「解除」を行うよう指示している。

「解除するときは常に、その体験から学習します」と同氏はいう。「私たちはオペレーターに、積極的に解除するよう伝えています。そのことが、体験から学ぶ能力にインパクトを及ぼすことはありません。シミュレーターを通して、システムが何をするかを見ることができるからです」。

同社によると、すでに路上走行距離は450万マイル(約724万km)を超え、仮想テストスイートでは数十億マイルを走行しているという。

筆者が乗車中、側道沿いの区間をセーフティオペレーターが一旦制御した。車道に停車していたピックアップトラックが前方に進入し、セミトレーラーの前を曲がろうとしているように見えたためだ。2回の走行の残りの部分では、トラックは自律的かつスムーズに走行し、減速した車両が前方に来たときには、やや積極的にブレーキをかけることができた。

彼らが示したもの

Tesla(テスラ)の発表イベントを彷彿とさせる、洗練された照明、カーペット、座席、装飾を備えた仮設構造の中で、同社はその戦略を明らかにするとともに、LiDARやシミュレーションを含む同社技術を説明する試作品や教育的資料を披露した。その目的は、2023年末までに自動運転トラック事業を展開し、2024年末には配車サービスを開始する計画の背景を示すことだった。

同社は2種類の試作車を公開した。最終的には世界中で物や人を自律的に移動させる車両を提供すると同社は説明する。Volvo VNL(ボルボVNL)トラックは、Volvo初の自動運転トラックの設計試作品で、商用生産を想定している。VNLの路上テストは2022年に開始される。

Auroraは量産向けのAV対応試作車 Toyota Sienna(トヨタ・シエナ)も紹介した。Auroraは自社のAVシステムをこの車両に統合しており、ピッツバーグ、サンフランシスコのベイエリア、そしてテキサスで、約10台の車両をテストおよび検証用に配備する予定だという。

この先にある道筋

Auroraは将来のパートナーについて話す準備はできていなかった。しかし戦略的に言えば、市場は巨大であるとアンダーソン氏は指摘し、次のように語った。「多くのプレイヤーが存在しており、その多くと話をしています」。

2人はテレアシスタンス技術についても詳しく触れた。これは、人間がオフサイトのロケーションモニターを使って、必要に応じて自動運転車に経路計画の指示を送るというもので、これまで詳細には語られていなかった。

「当初から、技術の一環としてテレアシストを考えていました」とアームソン氏。

「端末の内部や周辺で起きていることを、極めて微細な粒度でモデル化しました」とアンダーソン氏はこれまでの進捗について語り、すべてのステップをチャート化したことに言及した。「私たちは、エンド・ツー・エンドのサポート要件が何であるかを十分に理解しています。トラックにドライバーが乗っていないときに、どのくらいの頻度でテレアシスタンスイベントやロードサイドアシスタンスが必要になるかについて、これから明らかになっていくでしょう」。

アームソン氏とアンダーソン氏は、同社がクローズドトラックや公道でテレアシスト技術をテストしており、商業運転に最適なアプローチを決定するためにパートナーと協働していくことを明言した。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

ボルボの高級EVブランドPolestarが約2兆2200億円の評価額でSPAC上場へ

スウェーデンのEVメーカーPolestar(ポールスター)は、特別買収目的会社(SPAC)のGores Guggenheim Inc.(ゴアズ・グッゲンハイム)との間で合併によるIPO(新規株式公開)に向けて合意したと発表した。これにより、Polestarの評価額は200億ドル(約2兆2200億円)に達する見込みだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は米国時間9月26日、この取引に詳しい関係筋を引用して、SPAC合意が間近に迫っていると報じていた。TechCrunchは、公式発表の情報を反映してこの記事を更新した。合併が完了すると、統合後の会社は、Polestar Automotive Holding UK Limitedという新しい公開企業が保有する。この会社は「PSNY」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する予定だ。

PolestarはVolvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)のEVパフォーマンスブランドに該当するが、PolestarとVolvoはともに、中国の自動車メーカーであるZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団有限公司)が所有している。

今回の発表により、Polestarは、過去2年間にSPACを通じて上場した、Arrival(アライバル)、Nikola(ニコラ)、EVgo、Proterra(プロテラ)、Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)、Bird(バード)などのEVおよびEV関連企業の仲間入りを果たす。

Polestarは、EV製造業界におけるライフサイクルアセスメントの枠組みを構築することを目指している。製造、販売、廃車のプロセス全体が透明でトレーサブルであり、カーボンニュートラルな自動車を作ることができるというものだ。同社は、6月に初のSUVであるPolestar 3(ポールスター3)を米国で製造する計画を発表し、2022年にはグローバルに生産を開始する予定だ。高品質の部品と米国での製造施設は、決して安い取り組みではない。今回の報道が事実となれば、IPOはPolestarが目標達成に必要な資金を得る手段になり得る。

また、この合併は、PolestarがTesla(テスラ)に対抗するために、米国での市場投入を早めることにもつながる。Polestarは、セダンタイプのPolestar 2をTeslaよりも優れたクルマと位置づけているが、EV業界で同じような知名度を持ち、信頼されるためには、資金が必要だ。2020年、Polestarは部品の不具合により、全世界の車両のリコールを余儀なくされた

SPAC(特別買収目的会社)であるGores Guggenheimは、3月のIPOで8億ドル(約888億円)を調達し、7月にはBloombergがPolestarと交渉していると報じていた。

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画像クレジット:Geely holdings/Polestar

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)

台湾の電動スクーターと交換式バッテリーインフラ企業Gogoroが評価額2575億円のSPACを経てNASDAQへ上場

Gogoro(ゴゴロ)が上場する。電動のスマートスクーターと交換式バッテリーインフラで知られている同社は現地時間9月16日、Princeville Capital(プリンスビレキャピタル)傘下のSPAC(特別買収目的会社)Poema Global(ポエマグローバル)との合併を通じてNASDAQに上場すると発表した。この取引でのGogoroのバリュエーションは23億5000万ドル(約2575億円)で、2022年第1四半期の取引完了を目指している。合併会社の社名はGogoro Incとなり、ティッカーシンボル「GGR」で取引される。

発表によると、募集以上の申し込みがあったPIPE(上場企業の私募増資)での2億5000万ドル(約274億円)、そしてPoema Globalが信託で保有する3億4500万ドル(約378億円)を含め、Gogoroは上場の過程で5億5000万ドル(約603億円)を調達すると予想している。PIPEでの投資家には、Foxconn Technology Group(フォックスコン)や、GojekとTokopediaの合併で誕生したインドネシアのテック大企業GoToといった戦略的パートナー、Generation Investment Management、台湾の国家開発基金、Temasek、Ruentex GroupのSamuel Yin(サミュエル・イン)博士、Gogoroの創業投資家などの新規・既存投資家が含まれる。

資金はGogoroの中国、インド、東南アジアでの事業拡大と、テックエコシステムのさらなる開発に使われる。

台湾で10年前に創業されたGogoroのテクノロジーには、交換可能なスマートバッテリー、充電インフラ、車両やバッテリーの状態やパフォーマンスをモニターするクラウドソフトウェアが含まれる。Smartscooters、Eeyo電動自転車といった自前のブランドを手がけているだけでなく、Gogoroは自社のPowered by Gogoro Network(PBGN)プログラムを通じて利用できるプラットフォームを作り、パートナー企業がGogoroのバッテリーや交換ステーションを使う車両を製造できるようにしている。

SPAC取引の数カ月前に、Gogoroは中国とインドでの大きな提携を発表していた。中国ではバッテリー交換ネットワークの構築でYaeda、DCJと協業し、インドでは世界最大の二輪車メーカーの1つ、Hero MotoCorpがGogoroのテックをベースにしたスクーターを発売する。Gogoroはまた、ヤマハ、スズキ、AeonMotor、PGO、CMC eMOVINGなどのメーカーとも提携している。

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これらのパートナーシップが整ったことで「我々は現在、真に当社を次のレベルに持っていく必要があります」と創業者でCEOのHorace Luke(ホイレス・ルーク)氏はTechCrunchに語った。GogoroがSPACのルートを取った理由について、同氏は次のように説明した。「ビジネスチャンスやストラクチャー、提携とは何か、かなり掘り下げて語ることができるため、急ぎのロードショー(さまざまな機関投資家への会社説明会)よりも正しく会社を評価できます。当社の事業計画を考えると、SPAC上場は事業拡大にフォーカスする絶好の機会となります」。

GogoroがPoemaを選んだ理由の1つは「Poemaの持論が当社のものとかなり一致していたからです」とGogoroの最高財務責任者Bruce Aitken(ブルース・エイトケン)氏は述べた。「例えばPoemaは持続可能性の基金を持っていて、当社の環境と持続可能性に対する情熱はそれとうまく融合します」。

5年もしないうちに累計で売上高は10億ドル(約1097億円)に、バッテリー交換インフラの契約者は40万人超になる、とGogoroは話す。同社は2021年第4四半期に中国・杭州で試験プログラムを立ち上げ、2022年にはさらに6都市でも展開する。インドではHero MotoCorpが現在、Gogoroをベースにした初の車両を開発中で、2022年にニューデリーでバッテリー交換インフラの展開を開始する。

「想像したよりも中国での需要は大きく、これは当社にとって良いニュースです。そしてこれは上場する必要がある基本的な理由の1つでもあります。当社はこうしたマーケットに実際に大規模に貢献するのに必要な資金やリソースを調達しなければならないのです」とルーク氏は述べた。

Gogoroが東南アジアに進出するのにGoToと同様の提携を結ぶのか尋ねたところ「重要なのは東南アジアが二輪車マーケットとしては中国、インドの次に3番目に大きいことを認識することです。Gogoroはこうした大きなマーケットを追い求めるためのビジョンを常に持っています。GoToはインドネシアですばらしい成功を収めていて、GoToの当社への投資は会話のきっかけになりますが、GoToがPIPEに参加するということ以外、現時点で発表できることはありません」とルーク氏は話した。

発表資料の中で、Poema GlobalのCEOであるHomer Sun(ホーマー・サン)氏は「Gogoroが構築したワールドクラスの提携との組み合わせで開発したテクノロジーの差異化は、2つの世界最大の二輪車マーケットでかなりの成長機会をもたらすと確信しています。Gogoroの事業エリア拡大の計画とNASDAQ上場企業への移行をサポートすべく、同社の傑出した経営陣とともに取り組むことを約束します」。

画像クレジット:Gogoro

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi