Sprig、ランチ配送サービスを本格稼働。SpoonRocketと真っ向勝負へ

グルメな腹ペコさんはもっとたくさんいるはずだと考えたSprigが、ディナー配送に加えてランチ配送も開始した。以前の記事でもお伝えした通りだ。月曜日から金曜日まで、サンフランシスコ東部エリア限定でランチサービスのソフトローンチとなった。これにより、Sprigは、こちらもランチおよびディナーの配送サービスを行っているSpoonRocketと真っ向からぶつかるサービスを提供することとなった。この分野は、これからもいろいろな動きがあるのではないかと注目しているところだ。

ランチ配送サービスでは、たいていのレストランよりも安価でヘルシーなランチメニューを、温かくておいしいままに配達してくれる。SprigおよびSpoonRocketの双方ともに、メニューを絞って大量の数を作り、そして車に積み込んでサービスエリアをあちこち巡回しているのだ。こうして、いつでも配送先の近くにいるという状況を作り出している。SprigないしSpoonRocketのサイトやアプリケーションからオーダーすると、直ちに品物を届けてくれる。

Sprigの共同ファウンダー兼CEOのGagan Biyani曰く「良い物を直ちに」というのが基本方針であるとのこと。SprigとSpoonRocketは競合関係にあるわけだが、家庭における食習慣に変革をもたらすことができるかという意味では協力しあっていく関係にあるともいえる。自炊、テイクアウト、そして通常のデリバリーに、少品種ながらも即時配達してくれるサービスを根付かせることができるかがキーとなる。Biyani曰く、消費者はこれまでの選択肢に決して満足しているわけではなかったのだとのこと。それでサービスを立ち上げたわけだ。その目論見はいまのところあたっており、Yelpでは5つ星のレーティングを受けている。

SpoonRocketとの比較でみた場合、Sprigは配送時間がやや長めで、料金も高い。ただ、その分だけハイクオリティなものを提供している。ランチの提供は月曜日から金曜日の午前11時から午後2時までで、フィナンシャル地区、SoMA、ミッションベイ、そしてドッグパッチを対象としている。郵便番号でいうと94103、94104、94105、94107、94108、94111、および94158のエリアとなる。ディナー配送エリアよりも狭い範囲でのサービス提供開始となっている。

Sprigが提供しているメニューはサンドイッチ、トルティーヤラップ、そしてサラダなどの日替わりメニューで、少なくともそのうちひとつはベジタリアンメニューで、またグルテンフリーのものも用意される。料金は9ドルほどで、ここに2ドルの配送料が加わる。今日のメニューをみてみると、ステーキとマンチェゴチーズのサンドイッチ、チキンのバルサミコソースサンドイッチ、オレンジとファッロを使ったビーツサラダとなっている。TechCrunchのライターであるRyan Lawlerはメニューを早速試してみていた。サンドイッチもサラダもおいしく、量もたっぷりだとの感想だった。

SprigおよびSpoonRocketの双方ともに、この1ヵ月以内に1000万ドル程度の資金調達ラウンドを実施している。サプライチェーンを整理して、市場拡大を行って「食事版Uber」(Uber For Meals)を目指していくことになる。Biyaniによると開発、デザイン、マーケティング関連などの採用活動も積極的に行っているとのこと。そんな中、もっとも難しいのがやはり物流面なのだそうだ。「素材を選び、調理を行い、そして迅速かつ効率的な配送が必要となりますが、そのそれぞれにも、そして全体の流れにも困難さがつきまといます」と言っている。

「いつでも健康的でおいしい食事を提供しようというのがサービスの目的です」とBiyaniは述べる。「いつでも」ということは、もしかして朝食配送なども行おうと考えているのだろうか。「朝食デリバリーの良い方法が見つかれば、そちらにも手を伸ばすかもしれませんね」と、笑いながら応えていた。

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(翻訳:Maeda, H


Y Combinatorデモ・デー―TechCrunchが選ぶ今年の夏学期の有望スタートアップ8チーム

今日(米国時間8/20)、Y Combinatorの2013年夏学期のデモ・デーが開催され、45のスタートアップがそれぞれ全力で売り込みのプレゼンを行った。われわれTechCrunchチームは25人の著名なベンチャーキャピタリストの意見も聞きながら、もっとも有望そうな8チームを選んだ。今回、普段よりもわれわれの意見が一致したので選ぶのが楽だった。

全45チームのそれぞれについての紹介はBatch 1Batch 2Batch 3の各記事を参照されたい。以下、順不同でわれわれの推薦チームを簡単に紹介する。

SpoonRocketオンデマンドのオーガニック料理宅配サービス

SpoonRocketのデモではフードサービス2.0とか料理のUber とかいったバズワードが飛び交った。しかしこのスタートアップのこれまでの実績を検討するとそれも誇張ではないと思える。このサービスはオーガニック素材の一般向け料理と菜食主義者向け料理を作って宅配する。一種類が6ドルだ。最速10分で配達できるという。その秘密は、まず毎日2種類の料理しか用意しないところになる。これによってコストを大幅に削減できる。配達車は保温装置つきだ。SpoonRocketによれば、通年換算で200万ドル相当の売上実績があり、毎週112%も成長しているという。現在はカリフォルニアのバークレーで営業しているが、学生が夏休みだというのにこの好調ぶりはすばらしい。将来は全米の大都市圏に展開する計画だ。

SpoonRocketについてのわれわれの記事

Panorama Education: 学校のデータ処理

Panoramaには大きな野心がある。生徒、教師、両親から得たビッグ・データを分析して全米の学校jすべてに提供しようというのだ。

ただしスタートはささやかなプロジェクトだった。3人の共同ファウンダーがYale大学の1年生だったときに、地元のニューヘイブン地区の公立学校のデータ分析を手がけたのがきっかけだったという。この5月にファウンダーたちがYaleを卒業したとき、Panoramaはずっと大規模なサービスに成長しており、合計50万ドルの売上を得ていた。現在全米の3600の学校がPanorama Educationにデータ処理を依頼している。Panoramaでは全米から収集したデータを提供することであらゆる学校が教育の質を向上させるのを助けられると期待している。

われわれの記事

Amulyte: お年寄りの安全モニタ

アメリカには2000万人のお年寄りがいる。Amulyteではお年寄りの安全を図るためにペンダント型のオンライン・デバイスを提供しようと試みている。このデバイスはGPS、Wi-Fi、加速度計を利用してユーザーの行動をモニタし、異常を検知した場合は携帯電話網を経由して家族などに急報される。

ペンダントは149ドルで安全モニタ・サービスは月額29ドルだ。現在年金生活者の居住施設と提携して実験を行いサービスの改良を図っている。こうした老人介護ビジネスはアメリカだけで100億ドル市場だ。

AmulyteについてのTechCrunch記事はこちら

Buttercoin: Bitcoinを利用した迅速、低料金の国際送金

国際送金は年間5000億ドルにも上る巨大ビジネスだ。同時に手数料が高額であることで悪名高い。

Buttercoinはbitcoinを利用することで、国際送金を迅速かつ低料金で合法的に実現しようというサービスだ。 Bitcoinを使う新しいテクノロジーのおかげでライバルより20万倍も迅速な送金が可能だという。また各地の免許を持った金融機関と提携することですべての取引が完全に合法的なものになっている。

Buttercoinはbitcoinによる国際送金自体からは手数料を徴収しない。ユーザーが他の通貨とbitcoinと交換する際に少額の手数料を課する。

Buttercoinに詳しい説明はこちら

True Link: お年寄り向けクレジットカード

True Link Financialは認知力に障害のあるお年寄りユーザー向けの支払い手段を提供しようとしている。こうしたユーザーは詐欺やいかがわしい売り込みにひっかかる危険性がある。

True LinkはVisaのネットワークを通じてこのクレジットカードを利用した取引を逐一モニタし、不審な点がないか、ブラックリストに載っている業者との取引がないかをチェックする。アメリカにおける高齢者のクレジットカード利用額は年間19億ドルにもなるという。

詳しい紹介記事はこちら

EasyPost: 発送を効率化する

テクノロジー系企業にとってはUPS、USPS、FedExなどの古臭いレガシーな運送システムは頭痛の種だ。EasyPostは運送業者とテクノロジー企業の間に立って独自のRESTful JSON APIを提供することによってこの問題を解決しようとしている。テクノロジー企業は最も有利な料金を素早く見つけ出せるし、発送した商品のトラッキング情報などもリアルタイムで得られる。料金は1個あたり5セントだが、260億個という膨大な運送商品数の相当部分を取り込もうという野心を抱いている。事実、このサービスは毎月179%の急成長ぶりだ。すでに7万個のトラッキングを実施して、SVAngelを含む投資家から85万ドルを調達している。ライバルにはPostmasterShipHawkなどというサービスがある。

EasyPostについての以前の記事。.

Standard Treasury: 一般銀行向けAPI

Standard Treasuryは一般銀行に対して口座間資金移動のような処理を簡単にするためのAPIを提供しようとしている。現在、アメリカ最大の5行を含む16の銀行と交渉中だという。交渉がまとまれば、200万ドルから1500万ドルの収入となる。

Standard Treasuryについての記事。.

7 Cups Of Tea: 「聞いてあげる」サービス

誰でも一生のうちにはどうして人に悩みを聞いてもらいたいという苦しい状況をに落ち込むものだ。離婚、家族の病気、将来への不安等々だ。このとき選ぶ道は2つある。家族と友だちは無料で話を聞いてくれるが、その忍耐力には限度がある。心理セラピーは効果的かもしれないが料金も敷居も高い。7 Cups of Teaはこの2つの中間のオプションを狙っている。訓練を受けたボランティアの聞き手を見つけることができるオンラインマーケットだ。 料金は無料ないし寸志のお礼でよい。7 Cups自身はやりとりされる料金の40%の分配を受ける。ローンチは8週間前だが、これまで着実な成長を示している。現在活動中の「悩みの聞き手」は160人で毎週1800回ものセッションをこなしているという。

7 Cupsについての記事

この3ヶ月かそれ以上サービスの立ち上げに努力してきたファウンダーたちに健闘を祈る。

この記事の執筆にはColleen Taylor、Kim-Mai Cutler、Ryan Lawler、Jordan Crookが協力した。

〔日本版:Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール(TechCrunch Japanの滑川、高橋共訳)にはY Combinatorの歴史と内幕が詳しく描写されている。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+