OracleがDocker運用管理サービスのStackEngineを買収、経営の軸足はますますクラウドへ

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長年クラウドを馬鹿にしていたOracleが最近は逆にそれを、ものすごく重視している。先週ひそかにStackEngineを買収したのも、同社のPaaSの提供物をさらに一層充実させるためだ。

テキサス州オースチンのStackEngineは、同社のWebサイト上の短い声明で、Oracle.comへの合体を説明している。それによると、データベース大手のOracleが同社を買収し、その条件の一環として社員は全員Oracleに加わる。

StackEngineは昨年、二人のベテラン技術者たちが創業し、Dockerの運用管理を提供するサービスとして2014年10月にステルスを脱した。オープンソースのコンテナシステムであるDockerは、最近の数年間で、猫も杓子も使う日用品のような、普遍的人気者になっているが、それ自体は、ITのプロたちがアドミニストレータとしてコンテナを管理するための機構を欠いていた。StackEngineは、そのことに着目した。

ChefやPuppetとスクリプトを使えばそんな管理層を作ることは可能だが、StackEngineは、もっと最初からDockerに特化された適正な管理コンソールを提供したい、と考えた。今回の買収までに同社は、二度のラウンドで計450万ドルの資金を獲得している。

単独で見ればこの買収は、Oracleの買い物としては奇妙に見えるかもしれないが、むしろこれは、もっと大きな同社のクラウド計画の一環だ。同社は今年、クラウドに向かう大きな数歩を踏み出したが、今回の買収はDockerコンテナに直接関連していて、Oracleのコンテナ市場への参入と、その市場の将来性に賭ける姿勢を表している。

この買収はDockerにとって有意義だったかもしれないが、Dockerはこの前、競合製品Tutumを買収しており、そのほかのコンテナ管理スタートアップにとっては状況が不利になったかもしれない。Docker自身が選んだ管理レイヤが、Tutumなのだ。

Oracleは別の声明で、StackEngineの本拠地オースチンに新たにクラウド専用事業所を作ると言っている。その近くに、クラウド担当社員のための住宅も買うらしいから、今後の人材獲得策も含め、このプロジェクトへのOracleの“本気度”が伺える。

今月初めに発表された決算報告(.pdf)でOracleは、クラウドの売上が26%伸びて6億4900万ドルである、と言っている。その内、PaaSの売上は4億8400万ドルで34%伸びている。対して、オンプレミスの売上は7%ダウンだ。同社の、未来に向けての伸びしろはクラウドにしかない、ということか。

StackEngineにとっては嬉しいイグジットパス、そしてOracleにとってはPaaSの持ち駒のさらなる充実だった。今建設中のオースチンキャンパスは、2016年のOracleの新しい動き(新たな買収、プロダクト開発など)のメインの舞台になるだろう。

〔訳注: ここにグラフが表示されない場合は、原文を見てください(Oracle企業プロファイル)。〕
[graphiq id=”5kqMqbO7qrH” title=”Oracle Corporation (ORCL)” width=”700″ height=”461″ url=”https://w.graphiq.com/w/5kqMqbO7qrH” link=”http://listings.findthecompany.com/l/12055771/Oracle-Corporation-in-Redwood-City-CA” link_text=”Oracle Corporation (ORCL) | FindTheCompany”]

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Dockerアプリケーションの運用管理を助ける視覚化ツールStackEngineが$1Mを調達

今日(米国時間10/1)100万ドルのシード資金を獲得してステルスを脱したテキサス州オースチンのStackEngineのプロダクトは、企業のITスタッフなど、dev(開発)よりもむしろops(運用, operation)側の人たちにDockerのコンテナを管理する方法を提供し、Dockerのインスタンスをコントロールする能力の一部をオペレーション側に与える。

同社のファウンダBob QuillinとEric Andersonは、CopperEggやHyper9、VMwareなどでオペレーションサイドにいた人たちだが、そんな彼らにも、急速に人気を拡大しているDockerは気になる存在だった。先月Dockerは4000万ドルの資金を獲得して、デベロッパたちの関心がなお一層高まっていた。

簡単に言うとDockerは、アプリケーションのためのLinuxコンテナを作る方法を提供するオープンソースのプロジェクトだ。アプリケーションが単一のサーバ上の一枚岩的なアプリケーションではなく、複数のサーバに分散するようになると、そういう現代的なアプリケーションをより効率的に展開しアップデートするための方法が必要になる。Dockerはまさにそれを、デベロッパに与える。

デベロッパが望むとおりの構造と機能を持つDockerは、デベロッパたちのあいだで、たちまち人気者になった。しかしStackEngineの協同ファウンダQuillinが指摘するように、その人気には、Dockerのコンテナを管理するオペレーションスタッフのための管理ツールの、開発が伴っていなかった。そんなギャップを機会としてとらえたのが、StackEngineだ。

“デベロッパたちがDockerを抱えて前進するための重要な活動はいろいろ行われていたが、現代的な管理をサポートするツールやソリューションがなかった”、とQuillinは説明する。

アドミンのためのツールとしてはPuppetやChef、そのほかのオープンソースのソリューションなどをつぎはぎして間に合わせる方法はあった。しかしDockerに関しては、何百何千ものDockerのインスタンスから成る大規模なアプリケーションの運用を管理できるほどの、高度な商用のソリューションがなかった。StackEngineは、それをねらった。

彼らは、オペレーションサイドがDockerの管理をすぐに理解できて、コンテナがVMwareの仮想マシン群や複数の(ベンダや場所の異なる)クラウドに分散している場合でも、もっとも効率の良い分散状態を実現して、それらの日常管理を自動化できるツールを作ろう、と思い立った。

StackEngineを使うと、スクリプトを書いてコンテナの始動、停止、移動などができるし、コンテナのホストや個々のコンテナに関する情報を視覚化できる。特定の情報だけをフィルタして見るのも、ワンクリックでできる。名前を指定して個々のホストやコンテナを検索できる。コンテナを複数のクラウドや仮想マシンのどこへでも配置して、動かすことができる。

プロダクトは現状でまだアルファだが、来月には公開ベータ、そして年内には一般公開にこぎつけるつもりだ。過去数か月、自己資金だけでやってきたが、Silverton PartnersやLiveOak Venture Partnersから100万ドルを調達できた今は、開発のピッチを早められそうだ。

かねてからDockerの周辺では、さまざまなツールの開発が行われているが、同社のように、すでに実働しているコンテナアプリケーションの、運用レベルの管理に特化したツールは珍しい。もちろん今では他社も同様のことをやっていると思われるが、こうやっていろんな企業が寄ってたかって、いろんなツールをすぐに作っていけるのも、オープンソースの大きな魅力とメリットの一つだ。DockerとStackEngineの例が、まさにそうであるように。

写真クレジット: (c) Can Stock Photo

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))