決済のコイニーとネットショップのSTORES.jpが経営統合、持株会社「ヘイ」を設立へ

決済サービスを手がけるコイニーと、ネットショップ開設サービス「STORES.jp」を手がけるブラケットが経営統合をすることが、関係者筋からの情報で明らかになった。2月1日付けで新たに事業持ち株会社のヘイ(hey)を設立。その参加にコイニーとブラケットが参画するという(厳密には2月1日付けで現在のコイニーをヘイに社名変更、新設分割で新会社としてコイニーを立ち上げ、旧コイニーの事業を継承。またヘイがブラケットを株式交換で100%子会社化、さらにブラケットがストアーズ・ドット・ジェイピーに社名変更するというスキームだ)。

ヘイの資本金は約10億7000万円。代表取締役社長には、フリークアウト・ホールディングス代表取締役社長の佐藤裕介氏、代表取締役副社長にはコイニー代表取締役の佐俣奈緒子氏、取締役にはブラケット代表取締役兼 CEOの塚原文奈氏、同取締役会長の光本勇介氏がそれぞれ就任する予定だ。日経新聞でも本件を報じているが、関係者からの話を総合すると、佐藤氏が筆頭株主になるほか、同氏を含めた4人の経営メンバーで株式の過半数以上を保有。加えてフリークアウトホールディングスも大株主として同社に出資しているという。

そういえば昨年末にアンケートを実施した「2018年のトレンド予想」の記事において、個人投資家としても活動する佐藤裕介氏が「個人発の商売が、手数料の高いプラットフォームの外へ出る」といった予想を語ってくれたが、今回の「決済とECプラットフォームの連携」という座組みは、まさにそんな個人発の商売の可能性を広げるアプローチになるのではないだろうか。STORES.jpと同じくネットショップ開設サービスを提供するBASEも、1月に15億円の資金調達と決済事業のPAY.JPの分社化を発表したばかりだ。

なおコイニー、STORES.jpはいずれも2012年にサービスを開始。いずれも非上場のため詳細な実績は公開していないが、これまでTechCrunchで報じてきたところで言えば、コイニーは2017年2月のインタビューで、「3年前から月間決済額は100倍に成長している」ということだったし、STORES.jpは2016年10月のインタビューで「2015年10月以降は単月黒字、右肩上がりの成長を続けている」ということだった。

「STORES.jp」提供のブラケットがスタートトゥデイからMBO、創業者の光本氏は会長に

創業者で取締役会長となる光本勇介氏(左)と代表取締役兼CEOの塚原文奈氏(右)

創業者で取締役会長となる光本勇介氏(左)と代表取締役兼CEOの塚原文奈氏(右)

オンラインストア作成サービスの「STORES.jp」を主軸にサービスを開発するブラケット。同社は10月3日、マネジメント・バイアウト(MBO:経営陣が、事業の継続を前提として自社などの株式を取得する取引)を実施してスタートトゥデイから全株式を取得したことを明らかにした。

またこれと合わせて、代表取締役の交代も実施した。創業者で代表取締役兼CEOだった光本勇介氏が取締役会長になり、取締役を務めていた塚原文奈氏が新たに代表取締役兼CEOに就任する。塚原氏は2012年にブラケット参画後、光本氏とともにSTORES.jpの成長に寄与してきた人物だ。今後光本氏は新規事業を担当。塚原氏がSTORES.jpを中心とした既存事業を率いる。

ブラケットは2008年10月の設立。まだ「シェアリングエコノミー」なんて言葉が出てくる前にカーシェアリングサービス「CaFoRe」をスタート、靴のカスタマイズEC「Shoes of Prey」の日本版を展開するなどしてきた。2012年9月には現在の主力事業であるSTORES.jpをローンチ。その後2013年7月にはファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが株式交換による完全子会社化を実施した。なおブラケットはスタートトゥデイによる子会社化まで、外部資本を入れることなく事業を育ててきた。

MBOの金額は非公開だが、これは今後スタートトゥデイの開示で明らかになるだろう。株式は今後100%ブラケットの経営陣が保有する。スタートトゥデイによる子会社化は現金ではなく株式交換で行われており、同社の株価は当時の約3倍。当時の株価ベースでは約6億円での買収だったが、ブラケット側は単純計算すれば当時の3倍の金額を得たことになっているはずだ。

STORES.jpのユーザー数はスタートトゥデイ傘下で大きく成長。間もなく80万人に到達するところだという。また金額は非公開ながら流通額も右肩上がりの成長を見せ、営業利益ベースでは2015年10月以降は単月黒字を実現している。「これまでは投資を続けて来たが、いよいよ利益を回収できるフェーズになってきた。するかしないかは全く別の話にはなるが、ビジネス的なゴールとしては上場を狙える過程にも入っている状況」(光本氏)

STORES.jpのユーザー数、流通額、売上・利益の推移

STORES.jpのユーザー数、流通額、売上・利益の推移

スタートトゥデイとの協業ビジネスも手がけていたが、STORES.jpの成長スピートがより加速する中で、「スタートトゥデイは上場企業。悪いことではないが、決断には時間が必要になるケースもある。それであれば一度離れて、ベンチャー的なスピードで判断ができるのがいい」(光本氏)という結論に至った。スタートトゥデイ側もブラケットの判断に共感。円満なかたちでのMBOとなったそうだ。

では今後STORES.jpはどのような展開を進めるのか。光本、塚原両氏は、STORES.jpのユーザーベースをハブに、各種のサービスを提供していく構想を語る。

「今まではストアオーナーが集まってきて、1人1人の売上が立つようになってきた。この(約80万人という)パイを元に収益を出せる仕組み、規模感を生かせる施策をやっていく」(塚原氏)

「やっとまとまった流通額も集まってきた。来店数も結構なもので、毎日何かしらが売れている。するとSTORES.jpの店舗にお金が貯まり、モノが動く。そういったところに1つ1つ関われることがある。それは物流や決済、広告、金融、そういう領域だ。Squareも決済サービスだったが、加盟店ごとの数字が見えるので融資サービスも開始した。だがそれは加盟店が集まっているからこそ。STORES.jpをハブにして事業展開をしていける」(光本氏)

もう少し詳しく聞いたところ、そう遠くない時期に何かしらのかたちで決済サービスの提供を検討しているようだった。STORES.jpの競合サービスを提供するBASEも決済サービス「PAY.JP」を立ち上げているが、同様のサービスが提供されることになるのだろうか(STORES.jpでもすでにID決済サービスは提供済みだ)。ただし「(ブラケット社自体が)PayPalみたいなものを目指すわけではない」(光本氏)とのことなので、外部の決済サービスと組み、STORES.jpのユーザーベースを活用したサービスを提供していくことも考えられる。

「STORES.jp」開設ストアが20万店突破、フォロー機能で増加ペースが4倍に

専門知識がない人でも無料でネットショップが作れる「STORES.jp」のストア数が、20万店を突破した。2012年9月にサービスを開始して以降、ストア数は毎月5%程度の右肩上がりを続けてきたが、2014年9月にリリースした「フォロー機能」によってストア数が急増。9月以降は毎月15%以上の伸びをキープしていて、対前年比では270%の成長だという。

フォロー機能とは、特定のストアの最新アイテム情報を、STORES.jpの自分のページで受け取れるようにするもの。お気に入りストアの新着アイテムを逃さないようにする、「買い手」のための機能だ。それがなぜ、ストア数の拡大につながったのか。STORES.jpを運営するブラケットの光本勇介社長によれば、こういうことらしい。

「ストアをフォローする際には、STORES.jpのIDを取得します。それがきっかけでSTORES.jpのことを知り、それまで買い手だった人が『自分も開いてみようかな』となり、ストアオーナー側になることが増えています。感覚的には、ブログの閲覧者が気付いたら書く側になっていた、というような動線です。」

ブログの読み手が書き手に転じるのは、それなりにハードルが高そうに思える。ただ、ことショッピングというジャンルでは、「ストアを持つ行為に興味が無い人が少ないので、まずはトライしていただけることが多い」と光本氏は話している。「フォロー機能のリリース前後では、毎月のストア純増数に4倍くらいの差がある」。

あくまで「ストア数」がすべてではないが、参考までにSTORES.jpの競合として挙げられるBASEの店舗数は約13万店。また、流通額は桁違いに違うものの、大手ECでは楽天市場が約4万店、Yahoo!ショッピングが約19万3000店と、STORES.jpの方が多かったりする。

STORES.jpは20万店突破を記念して、これまでの歴史と現状がわかるインフォグラフィックを公開している。それによれば、一番売れているストアの年商は約2億円、ストアオーナーの最高齢は92歳といったことがわかる。ちなみに、年商約2億円のストアは、自分のブランドを立ち上げたクリエイターが立ち上げたもので、92歳のおじいちゃんは手作り感満載のパッチワークを売っているそうだ。


数百万ストア開設の第一歩に–STORES.jpがフォロワー機能を導入

先週アドオン機能の提供で大企業や中堅企業向けにサービスを拡大すると発表したばかりのオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。ショップオーナーの拡大施策の次は、そのショップのユーザー拡大のための施策を実施する。同社は9月17日、STORES.jpにフォロー機能を導入した。

この機能は、Twitterや各種SNSにある「フォロー」と同様に、STORES.jpのオンラインストア同士でフォローしたり、STORES.jpのIDを持つユーザーがお気に入りのストアをフォローしたりすることができるというもの。フォローしたストアの更新情報はタイムライン形式で閲覧できるため、お気に入りのストアの新着商品などを時系列に閲覧することができるようになる。利用にはSTORES.jpのIDが必要となる。なお、IDを作ると、自動的にストアが開設できる状態になる。

ブラケット代表取締役の光本勇介氏

STORES.jpは、どうしてECなのにフォロー機能を導入したのか? ブラケット代表取締役の光本勇介氏は、これが「STORES.jpのストア数を大きくジャンプさせるための施策になる」と説明する。

1人1アカウントの世界を目指す

光本氏はSTORES.jpを開始した頃から、「FacebookやTwitterのように、STORES.jpのストアのアカウントを1人1つずつ持つようにしたい」ということを語っていたのを覚えている。

現在STORES.jpのストア数は12万件。確かに数字的にはすごいのだけれど、当初語っていた1人1アカウントの世界はまだ遠い。そこで、まずはフォロー機能でお気に入りのストアの更新情報を閲覧できるといった利便性を提供することで、ID(STORES.jpはIDがあればいつでもストアをオープンできる)やトラフィックを増やし、最終的にストアの拡大を狙うという。

IDを利用するメリットは何もフォロー機能に限った話ではない。ユーザーがSTORES.jpで作られたストアで商品を購入する際、IDを持っていなければ買い物の都度配送先の住所や氏名を入力する必要があったのだが、IDと紐付けて保存すれば、一度入力した配送先情報をすべてのストアで自動入力できるようになる。

最近ではSTORES.jp同様にオンラインストア構築サービス「BASE」を展開しているBASE代表取締役の鶴岡裕太氏が、国内のストア数を30〜40万店舗、海外あわせて100万店舗といった具体的な数字の目標を各種イベントやインタビューで語っている。光本氏はこういった数字を意識しているようで、「(フォロー機能の導入は)40万店舗を市場の天井にするか、何百万店舗にするかの勝負の始まり。まずはSTORES.jpのカルチャーを作らないといけない」と語った。


STORES.jpが高機能をアドオン形式で提供開始–大企業・中堅企業向け市場をねらう

ブラケットが提供するオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。これまで利用の手軽さを武器に、個人や小規模企業を中心にサービスを展開してきた同サービスだが、今後は機能を強化し、大企業や中堅企業での利用をねらう。9月10日には月額980円のプレミアムユーザー(有料会員)向けに「アドオン機能」の提供を開始した。

STORES.jpは、「新規登録から開業までに要する時間は最短2分で、世界でひとつだけのオンラインストアをオープンできる」とうたっているとおり、簡単さを1つのウリにしたサービスだった。サービス開始から2年経った現在、ストアの数は12万店舗以上となっているほか、流通額(実際に決済されている金額)は非公開ながらリリース当初の100倍以上、ページビューやユニークユーザー数は20倍以上になっているという。

競合サービスのBASEとともに、ECの裾野を広げつつあるSTORES.jp。だが、15.9兆円(MM総研調べ。2013年4月〜2014年3月、BtoCとCtoCの合算)ともいわれる国内ネット通販市場の多くを占めるのは大企業や中堅企業によるBtoCの取引だ。そこで同社はその市場をターゲットとすべく、これまでより高度な機能を開発してきたのだという。

大企業向けのネットショップ構築といえば、GMOメイクショップやEストアーの提供するサービスが代表的。たとえばGMOメイクショップの「MakeShop」は、2013年の年間総流通額が1108億円と大きい規模を持っていることが分かる。

アドオン機能では、ダウンロード販売や送料の詳細設定から、年齢制限やギフトフォーム、再入荷のお知らせといった機能を提供するほか、直近にはトップページの作成(これまでSTORES.jpでは、トップページが商品一覧ページになっていた)、HTMLの編集といった機能も導入する予定だ。ちなみにSTORES.jpのプレミアムユーザーの数は非公開だったが、「一般的なフリーミアムモデルでの課金ユーザーの割合より多いと思う」(ブラケット代表取締役の光本勇介氏)とのこと。

ブラケットではこの機能の導入に先駆けて、ZOZOTOWNの出展企業に限定してブランドオリジナルのネットショップを構築できる「STORES.jp PRO」を提供しており、そこで年商数億円から数十億円規模の企業を相手に、大規模ネットショップのノウハウを蓄積していたという。光本氏は5月に「夏にも予想できない新機能を提供する」と語ってくれていたが、これがその第1弾となる。直近にもまた新たな取り組みを発表する予定だそうだ。


ZOZOTOWNとの連携も進むSTORES.jp–今夏に「予想できない」新機能

10万店舗が出店するまでに成長したオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。北海道・札幌で5月22日から23日にかけて開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring(IVS)」のCtoCビジネスに関するセッションで現状を語ってくれたブラケット 代表取締役の光本勇介氏が、セッション終了後により詳しい近況を教えてくれた。

ZOZOTOWN出店企業向けの新機能

驚いたのは、ZOZOTOWNとの連携だ。2013年7月にスタートトゥデイの子会社となったブラケットだが、2014年1月には個人・法人を問わず出店できるマーケットサイト「ZOZOMARKET」を公開している。しかしこのほかにも、ひっそりとサービスの連携を進めていたそうだ。

その1つがZOZOTOWNの出店企業向けの「STORES.jp PRO」というものだ。これはZOZOTOWNの管理画面上にあるスイッチをオンにすると、その企業のオリジナルECサイトをSTORES.jpをベースにして構築できるというものだ。ドメインの指定なども可能で、商品もいちいち登録する必要はなく、ZOZOTOWNに登録する写真や価格といったデータをそのまま利用できる。

スタートトゥディではこれまでも企業向けにオリジナルのECサイトを構築する事業を展開してきた。しかし大規模なECサイトをスクラッチから構築した場合、イニシャルコストだけでも数千万円になる。「ZOZOTOWNに出店する企業はそれなりの規模があるが、実はオリジナルのECサイトを持っていないところがほとんど。フルカスタマイズしてサイトを構築したいのであれば数千万円かけてもいいが、まずはイニシャルコストをゼロにしてやってみたいという企業も少なくないと思う」(光本氏)

まずは「ものを売る」という体験を提供してもらう

STORES.jpやBASEといった新しいネットショップ構築サービスの台頭、Yahoo!ショッピングの無料化など、2013年はECを取り巻く環境に大きな変化が起きた。STORES.jpでも数多くの新機能を提供してきたが、現在はグロースハックや、マーケティング関連の施策に注力しているという。

マーケティング施策についてはセッションでも触れていたが、光本氏は「ECはつまるところ売れてなんぼ。ECで『ものを売る』という体験を提供しないと結局ユーザーはハッピーにならない」と主張する。これを実現するために、STORES.jp上には「プロモーションスイッチ」という機能を用意する。このスイッチをオンにすると、ZOZOMARKETや提携する各種ECサイト上に、STORES.jpで販売する商品を掲載できるというものだ。実際、このスイッチをオンにすることで、売上が2.7倍になるという実績があるという(スイッチをオンにした場合、販売価格の10%の手数料がかかる)。

今後ねらうのは「予想できないジャンプ」

楽天でも約4万店舗。STORES.jpの「10万店舗の出店」と聞くと順調な数字も思えるが、光本氏は「今だと12月の時点だと予想がつく程度。実際にはすごいことかもしれないが、予想ができる道をそのまま歩いてもつまらない」と語る。具体的な施策については明らかにされなかったが、今夏にも「いかに予想ができないジャンプをするか」という視点で機能を提供していくそうだ。


売れなければ意味がない、ネットショップ無料構築「STORES.jp」が集客支援の提携を加速

専門知識がない人でも手軽にネットショップを作れる「STORES.jp」。現在までに8万以上のストアが開設され、100万点を超える商品が登録されているという。その中には、自らのTwitterやFacebookの影響力を駆使して、年間5000万円を売り上げるストアもあるのだとか。とはいえ、簡単にストアは作ったものの、ほとんど売れない人のほうが圧倒的多数。STORES.jpとしてもこうした現状を理解していて、「売れるストア」を作るための提携戦略を進めている。

その中で最も話題となったのは、親会社のスタートトゥデイと共同で開発したアパレル特化型のマーケットプレイス「ZOZOMARKET」(関連記事)。STORES.jpでストアを開設したオーナーは、管理ページ内の「プロモーションスイッチ」を有効にするだけで自動的に商品がZOZOMARKETに掲載される。販売力の弱い中小のアパレルストアにとって、「STORES.jpに出せばZOZOで販売できる」のは魅力。STORES.jpを運営するブラケットの光本勇介社長は、「できたてホヤホヤの地方アパレルの商品が毎月数百個レベルで売れている」と話す(もちろん、こうした成功事例の影には閑古鳥が鳴いているストアが多数あるだろうが)。

ZOZOMARKET以外にも、「売れるストア」作りに向けた施策を年末から今年にかけて矢継ぎ早に打ち出している。2013年12月にはユザワヤ商事とハンドメイド作品専門の「ユザワヤマーケット」を開設、2014年2月には「ヤフオク!」と連携(関連記事)、同月には同人誌販売の「コミックとらのあな」と「とらのあなマーケット」を開設、そして本日、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」と「PASS THE BATONマーケット」を3月28日に開設することを発表した。今後は全国363店舗の雑貨チェーン「ヴィレッジヴァンガード」と「ヴィレッジヴァンガード・マーケット」をオープンする予定だ。

提携先として重視しているのは、根強いファンがいて集客力のある企業かどうか。これらの事例ではいずれも、ストアオーナーが管理ページでプロモーションスイッチを有効にするだけで、提携先サイトに商品が露出される。光本氏によれば、プロモーションスイッチを有効にしているストアと、そうでないストアを比べると、1カ月で売り上げが2.7倍も変わるのだとか。

STORES.jpは専門知識がなくても利用できる手軽さがウリなだけあって、「ITリテラシーの低いストアオーナーが少なくない」と光本氏は指摘する。そうしたオーナーに対しては知識を詰め込むのではなく、「プロモーションスイッチを有効にしていたら、いつのまにか売れていた」という状況が理想だという。「売れないストアを生成しても意味がない」(光本氏)。

無料でネットショップを作成できる国内の競合サービスとしては、1月末時点で7万店が開設されているBASEがある。どちらも初期費用や販売手数料は無料だが、掲載できる商品数はBASEが無制限、STORES.jpは5点まで(月額980円のプレミアムプランに加入すれば無制限)だったり、BASEが無料で独自ドメインを取得できる一方で、STORES.jpはプレミアムプラン加入者のみ取得可能といった違いがある。BASEについて光本氏は、「よく比較されるが、我々の強みは圧倒的に売る導線を確保していること」と話していて、外部との提携戦略で差別化を図っていく考えだ。

ブラケットの光本勇介社長


ECサイト構築「STORES.jp」がヤフオクと連携、商品露出を強化

専門知識を持っていない人でもECサイトが作れる「STORES.jp」がオークションサイト「ヤフオク!」と連携した。STORES.jpでECサイトを開設している人は、ヤフオク!上でも商品を販売できるようになる。ヤフオク経由で商品が売れた場合は、金額の10%の販売手数料が発生する。

STORES.jpでECサイトを開設しているオーナーは、管理ページ内の「プロモーションスイッチ」を有効にするだけで、自動でヤフオク!にも商品情報が掲載される。1点モノを売っているECサイトは、先にヤフオク!で落札されればECサイトの在庫がゼロになったり、反対にECサイトの店舗で先に売れれば、ヤフオク!の出品が取り下げられる。

STORES.jpは2012年9月にサービスを開始。現在までに8万店以上のストアが開設され、100万点以上の商品が登録されている。その一方、「露出が少なく販売に至らない商品も多い」と、STORES.jp運営元のブラケット代表取締役兼CEOの光本勇介氏が指摘するように、一部のストアオーナーは、ECサイトは開設できたものの、商品が売れないケースもあるようだ。

こうした状況を改善すべくブラケットは、2013年12月にユザワヤ商事とハンドメイド作品専門のマーケットプレイス「ユザワヤマーケット」、2014年1月に親会社のスタートトゥデイとアパレル特化型のマーケットプレイス「ZOZOMARKET」を開設(関連記事:狙いは“アパレル総EC化”、ZOZOTOWNが個人間取引に参入)。STORES.jpのストアオーナーが、これらのマーケットプレイスにも商品を露出できるようにしている。こうした取り組みと同様、ヤフオク!との連携は「売る体験」を提供できると、光本氏は話している。


「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイが「Stores.jp」のブラケットを完全子会社化 – 時価総額は約6億5000万円

ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは「Stores.jp」などを運営するブラケットを簡易株式交換により完全子会社化したことを発表した。

スタートトゥデイはブラケットの1株に対し、350株を割当て、合計31万5000株を割当て交付している。スタートトゥデイの株価は現在(7月16日13時30分)2,071円なので、ブラケットの時価総額は約6億5,000万円となる。

プレスリリースによると、Stores.jpの店舗数は約4万を越え、その内70%以上はアパレルカテゴリー関連のストアだという。ストア開設者からの販売支援や物流サービスに対する需要が高まっていることなどを考慮し、両社のシステム基盤やサービス耐性を連携させ、さらに拡大成長を実現させたいとのこと。

ブラケットというと、最近はStores.jpが話題になることが多かった。昨年8月末にリリースされた同サービスはフリーミアムモデルで、4カ月後には黒字化、黒字化後は無料ロゴデザイン、ストアカード作成、段ボールの提供など、ストア開設者の満足度を向上させるべく、様々な取組みを行ってきた。

また、ブラケットは他にも様々なファッションサービスを展開していて、オンライン上で靴をデザインし、購入できる「Shoes of Prey」、モデルのマッチングサービス「ModelTown」、オンライン上でワンピースをデザインし、購入できる「PrivateRobe+」などがある(一覧はこちら)。

Stores.jp以外にもこうしたファッション系のサービスを多く展開していることから、スタートトゥデイとのシナジー効果は大きいだろう。

後ほど、今後の展開については取材してアップデートする予定だ。


手軽にオンラインストアを開設できるStores.jpが3週連続で販促サービスを開始

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誰でも手軽にオンラインストアを開設できるECサービス、Stores.jpはオンライン上だけでなく、店舗の運営に欠かせないオフラインでも利用できるサービスも強化しはじめている。無料でストアカードやロゴを作成するサービスに続いて、今日は配送用の段ボールを無料提供すると発表している。これはこの3週間の間に行われている。今年1月末にはストアに掲載する商品の写真をプロのカメラマンが無料で撮影をしてくれるサービスも開始している。

Stores.jpを運営するブラケット代表取締役の光本勇介氏は、オンラインサービスを展開しているが、こうしたオフラインのサポートも充実させることでストアの売上も伸びるという。すでに商品の写真をプロが撮影したものに置き換えたストアの商品は1カ月後には売上平均が約2倍になったそうだ。

今回、名刺(ストアカード)、ロゴを無料で作成するサービスを提供するに至った経緯だが、Stores.jpのビジョンである「すべての人へ、オンラインストアを。」に基づいたものだ。というのも、ストアを開設してもトラフィックを集められなければ意味がない。そこですでに実店舗を持っている方は店にカードを置いたり、人と会う時に名刺と一緒にオンラインストアのカードを渡せば集客に繋がる。

また、ストア開設者がロゴを作成するスキルを持っているとも限らない。ロゴ作成を発注すれば数万円は費用としてかかってしまう。初期コストを抑えたい運営者も気軽に作れるようにとStores.jpはロゴ作成をするそうだ。

日本の小売店鋪は120万ほどあるそうだが、このほとんどは数名で経営しているような商店街の店舗だという。この大部分を占める店舗が日本の小売市場を支えており、彼らがオンラインにも進出できるようになって欲しいと光本氏は語る。そのため、予算がなくITリテラシーがそれほど高くない人達でも充実したオンラインストアを運営できるように、今回オフラインサポートの充実に力を入れた。

さて、手軽にオンラインストアを開設できるサービスといえば、最近はStores.jpとBASEがよく比較されているので、ここでも少し見てみよう。

Stores.jpの店舗数は現在約3万、月間50万UU、250万PVにまで成長している。こちらはフリーミアムモデルでプレミアムユーザーは月額980円で商品数が無制限になったり、アクセス解析といった機能が使えるようになる。すでにプレミアムユーザーは一定数おり、サービス開始4カ月で黒字化しており、1日に100万円ほど売り上げる店舗もあるそうだ。

一方、BASEは昨年11月20日リリースされ、今年1月に1万店舗を突破していた。直近の店舗数は公開されていないが、順調に成長していれば2万数千店舗ほどあると予想される。BASEに関してはマネタイズはまだしていないが、これから動きがありそうだ。今年1月にはEast Venturesやpartyfactoryなどから2,300万円の資金を調達している。