フィンランド拠点のリモート物理ゲームサイトSurrogate.tvが約2.6億円調達

筆者がフィンランドのスタートアップSurrogate.tvの事業を知ったのは、2020年にマリオカート ライブ ホームサーキットのトーナメントをサイトで公開したときのことだった。任天堂の人気レーシングタイトルのIRL(現実世界)版は、同社のテクノロジーを示すのにぴったりだった。しかしリモート操作に遅れがあり、コントロールの問題が生じたことも確かだった。

このプラットフォームが提供している体験はもちろんマリオカートだけではなく、ピンボールからロボットバトル、クレーンゲームまでなかなか幅広い。体験の多様性がおそらくこのサービスの最大の強みだろう。

米国時間12月18日、Surrogate.tvは250万ドル(約2億6000万円)のシードラウンドを完了したと発表した。このラウンドを主導したのはSupernode Globalで、PROfounders、Brighteye Ventures、Business Finlandが参加した。同社は2019年にプレシードラウンドで200万ドル(約2億700万円)を調達したことを発表しており、今回はこれに続く調達となる。

同社の成果は、超低遅延のストリーミングとロボティクスの組み合わせにより、ストリーミングゲームサービスとしてユーザーがリモートで現実の物体を制御できるようにしたことだ。最近の例をもう1つ挙げると、Ubisoftとの連携がある。ユーザーはミニチュアのバイキング船を操作して屈強なHafþór Björnsson(ハフソー・ビョルンソン、上の動画に登場する俳優)と戦っている。そう、なぜか2020年に。

画像クレジット:Surrogate.tv

CEOのShane Allen(シェーン・アレン)氏はシード資金調達について「以前はこのような遠隔操作テクノロジーは極めて特殊な、主にエンタープライズのアプリケーションでしか利用できませんでした。この2回目の資金調達により、我々のテクノロジーを活用してこれまでは不可能だった体験を創出するエキサイティングな一連の取り組みを今後リリースできます」と述べた。

Surrogate.tvが自社のエンターテインメントサイトにとどまらず、さらに拡大してその遠隔操作テクノロジーを他社にも提供しようとしていることは間違いなさそうだ。人が集まるイベントが大幅に制限された2020年に、多くの企業がこうしたことを調査してきたはずだ。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:資金調達、Surrogate.tv

画像クレジット:Surrogate.tv

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(翻訳:Kaori Koyama)

「マリオカート ライブ ホームサーキット」のリモートプレイをSurrogate.tvが非公式でサポート

ある年齢の読者は、TV Powww(1970年代に始まった米国のテレビ番組)の地域版を覚えていることだろう。この番組では視聴者が自宅から、Intellivisionのゲームをプレイしているスタジオ内オペレーターに電話で指示を与えていた。

おそらく最もよく知られているのはニューヨークのTV PIXXXで、プレイヤーは「PIXX」(局のコールレターにちなんだもの)のTシャツや米国の貯蓄債券の商品を期待していた。またゲームは、技術的な問題や遅延の問題に悩まされていた。

ありがたいことに、テクノロジーはそれ以降、大きな進歩を遂げた。特にライブストリーミングとクラウドゲームは、近年になってようやく実用的になった。2017年に設立されたフィンランドのSurrogate.tvはこの分野に工夫を凝らし、物理的な要素を持つゲームのリモートプレイ版を提供している。ピンボールやロボット格闘、クローマシーンなどが用意されている。当然のことながら「Mario Kart Live:Home Circuit(マリオカート ライブ ホームサーキット)」は、同サイトが提供するサービスにうってつけの候補だ。

先週ローンチされたSurrogateは1週間の間、何ブロックか離れた場所からユーザーにゲームをプレイする機会を提供する(ただし、人間のプレーヤーが必要なことに注意して欲しい)。このサービスを利用すると一度に4人のプレーヤーが、ARオーバーレイを提供するNintendo Switchからのフィードを使用してRCカートを制御できる。

画像クレジット:Surrogate

この体験を実現するために(なお、Surrogateは任天堂とは一切関係がない)、サイトはAdafruit M0マイクロコントローラで構築されたGitHubのNSGadgetPiプロジェクトを使用して、Switchをエミュレートしている。さらに各カートはSurrogateごとに、以下のデバイスを必要とする。

  • Nintendo Switch:ゲームを実行
  • Nintendo Mario or Luigi RC Kart:レーストラックで運転
  • Raspberry Pi 4:SurroRTGとSurrogateのカスタム画像を認識
  • HDMIキャプチャカード:ビデオフィードをキャプチャ
  • USBサウンドカード :サウンドをキャプチャ

画像クレジット:Surrogate

これはカートに99ドル(約1万1000円、4人プレイならその4倍)を費やすことなく、ゲームを体験するための楽しい方法だ。なお、若干のラグの問題がある。コツをつかむには数回のプレイが必要で、それ以上に時間がかかることもある。プレイするタイミングにもよるが、待ち時間はかなり長く、プレーヤーが増えればさらに悪化することだろう。

画像クレジット:Surrogate

しかし、少なくともTV Powwwの時代から状況は大きく改善されている。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter