FacebookがIKEAスタイルの説明書と共にSurround 360をオープンソース化

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Facebookは、自社のNews FeedやOculus Rift、そしてGear VR向けに360度コンテンツを充実させたいと考えている。そして本日(米国時間7月26日)、4月に発表が行われた通り、Surround 360カメラシステムのハードウェアとソフトウェアの情報全てをGithub上で公開した。IKEAにインスパイアされた気の利いた説明書のおかげで、誰でもパーツの購入やカメラの組み立て、画像をつなぎ合わせるソフトの実装の仕方が分かり、360度コンテンツを撮影することができる。

基本的に、17台のカメラが搭載されたUFOのようなものとポールで構成されているSurround 360は、約3万ドル(パーツ代)で作ることができる。4メガピクセルのレンズで、4K、6K、8Kの360度動画を撮影することができ、さらには上下についた魚眼レンズで死角がない。Facebookはランダムに選ばれたエンジニアに、公開した説明書をもとにSurround 360を組み立てさせたところ、約4時間で完成させることができた。

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「私たちは、Surround 360をオープンソース化することで、エコシステムや360度動画撮影の発展を加速させようとしています。Surround 360が、恐らく初めて完全にオープンソース化されたカメラだと思います」とFacebookのエンジニアリングディレクターで本プロジェクトに関わっているBrian Cabralは語った。「ユーザーが自分で組み立て、改造し、違うバージョンを作るというのが私たちの目指すゴールです。私たちは、世界の人々と新しくて豊かなメディアを結びつけたいと考えており、今回のプロジェクトがそこに早くたどり着くための方法です」

こちらのビデオでSurround 360の組み立ての様子を見ることができる。

360FlyRicoh Thetaといった400ドル以下の市販のものに比べると、Surround 360は、値段や組み立てにかかる労力から、一般的な消費者には間違いなく手がとどかない存在だ。

しかし、柔軟で持ち運びができ、耐久性もあり、商業用にも使える360度カメラを必要とするプロは、Surround 360の他には、NokiaのOzo(6万ドル)や、Googleの支援を受けて誕生した数量限定のGopro Odyssey(1万5000ドル)を選ぶか、Lytro Immergeの発売を待つしかない。Surround 360は、一般的に販売されているパーツですぐに組み立てることができ、作る人の好みに合わせて微調整することもできる。

Open Computeサーバーや、インターフェースデザイン用のReact JavaScriptライブラリーといった、Facebookのその他の主要なオープンソースイニシアティブと同様、Facebookは、Surround 360でも開発者や製作者が自分たちの好みに合わせたカスタマイズを行うだけでなく、彼らが改善点や機能向上の提案を行い、コミュニティ内で共有することを期待している。「彼らに私たちが作った青写真をより良いものにしてもらいたい」とCabralは言う。

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Surround 360で撮影された360度映像は、Facebookが開発した画像をつなぎ合わせるソフトのおかげでほとんど後処理が要らず、さらに撮影者は低画質のライブプレビューでカメラがどんな映像を撮っているのか確認することができる。そのため、処理済みの映像をチェックするために1日以上待つことなく、完璧な映像をとても素早く撮影することができるのだ。また、特別な長いケーブルを使うことで、ユーザーは自分が映像に映り込むことなくカメラの操作を行うことができる。

Surround 360で撮影されたコンテンツを見ると感動する。特に8Kで撮影されたコンテンツは驚くほどシャープだ。しかし、Gear VRのようなヘッドセットでは、そこまで高い画質のビデオを十分なスピードでストリーミング再生したり処理したりすることが出来ないため、Surround 360はダイナミックストリーミングにも対応している。

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Surround 360の底に付いた2つの魚眼レンズで撮影された画像を組み合わせることで、カメラが取り付けられているポールを画像から取り除くことができる。

これにより、ユーザーがヘッドセットで見ている映像は8Kの高画質になるが、頭を動かすと、そのアングルの映像が読み込まれるまでの少しの間、低画質の映像が表示される。ラグは気にはなるが、視野を狭めつつも極めて高画質な映像の再生を可能にするという賢いトレードオフだといえる。

VRや360度コンテンツの大きな問題は制作の難しさにある。このボトルネックのせいで、VRヘッドセットの熱心なユーザーは、一級品のコンテンツを視聴しきってしまい、ヘッドセットを使わなくなってしまう可能性がある。そこでFacebookは、コンテンツ制作を促進することで、VRコンテンツの流通網を広げようとしているのだ。Surround 360は、特にNews Feed向けの素晴らしい映像や写真の撮影を行うのに優れている。SnapchatやTwitterなどの他のソーシャルメディアが360度コンテンツに対応していないことから、これによってFacebookはユーザーをひきつけることができるだろう。

しかしそれ以前に、Surround 360はDIYプロジェクトとしてはこれ以上ないくらいとっつきにくい。そこで、組立説明書はIKEAの白黒印刷の説明書から直接影響をうけているのかと尋ねられたCabralは、「説明書をとっつきやすくするため、私たちは馴染みがあって分かりやすいものを作ろうとしていました。IKEAの真似をするつもりはありませんでしたが、結果的にその方向に進んでいきました」と言いながら声を立てて笑っていた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter