Uberの性差別的男子文化を暴いたスーザン・ファウラーの回想録

Uber内部のセクハラを明るみに出したSusan Fowler(スーザン・ファウラー)氏の回想録「内部告発者」(Whistleblower)は、2020年3月3日に書店に並ぶ予定だ。予約の受付は6月12日からだ。

2017年のおそくに、Penguin Random House傘下のViking Booksが権利を取得した回想録は、ウェブサイトの信頼性担当技術者としてUberに在職していた間にファウラー氏が直面したハラスメントと差別を記録している。

Vikingの前宣伝によると、彼女の回想録は「スタートアップの文化の中に蔓延している構造的欠陥を暴露し、特に彼女がUberで直面したハラスメントと差別を公表した後に起きた、これまで報道されなかった詳細を記述している」。

ほかにも同書は、米国経済における女性の役割や困難の多い職場環境の実態にも触れ、「女性がどんなに正しく振る舞っても巨大な障害物にぶつかってしまう労働文化を、読者がびっくりするほどの率直な筆致で描写し、幅広く告発している」。

28歳のファウラー氏は、2017年に発表した忌まわしいブログ記事「Reflecting On One Very, Very Strange Year At Uber,」(Uberにおけるとってもとっても奇妙な1年を振り返って)で一番よく知られている。その3000ワードのエッセイは、急成長しているライドシェア大手に蔓延している性差別的男子文化(Bro-CultureBro Culture)と、それに対する人事部門の怠慢を詳説している。意外にもその記述はファウラー氏をひと晩でテクノロジー世界の有名人にしてしまい、業界のリーダーたちは彼女の勇気を賞賛した。

そのブログ記事がきっかけとなり、紆余曲折を経てUberの創業者CEOであるTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏は排除され、およそ20名のUber社員はセクハラまたはそのほかの不適切行為で起訴された。カラニック氏に代わって元ExpadiaのCEOだったDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏が会社を率い、最近では大きく期待されたIPOをリードした。

ファウラーは、#Metoo運動のTarana Burke(タラナ・バーク)氏やレイプ後の妊娠中絶を敢行したAshley Judd(アシュレイ・ジャッド)氏らとともに、Time誌の2017年「今年の人」(Person of the Year)に選ばれ、Vanity Fair誌の新しい支配者リスト(New Establishment List)に載り、そのほか数多くの賞を受賞した。

書くことに目覚めたファウラー氏はStripeに参加し、季刊誌Incrementの編集長になった。そしてその後The New York Times紙にスカウトされ、今では同紙のオピニオン欄の編集者を務めている。なお、彼女にはコンピュータープログラミングに関する著作が2冊ある。

「内部告発者」の出版に加えて、ファウラー氏を扱ったドキュメンタリー映画も制作が進んでいる。脚本はアカデミー賞にノミネートされた「Hidden Figures」(邦題:ドリーム)のAllison Schroeder(アリソン・シュローダー)氏、契約プロデューサーは元ディズニーのKristin Burr(クリスティン・バー)氏、映画のタイトルは「創造的破壊者」(Disruptors)だ。

ディザスター・アーティスト」(The Disaster Artist)のプロデューサーであるErin Westerman(エリン・ウェスターマン)氏が、この映画のプロジェクトを独立系のプロダクションGood Universeに持ち込んだとしてクレジットされている。彼女が、実質的な総監督ないし執行プロデューサーになる。2017年の晩くにウェスターマン氏は、Deadline誌にこう語っている。「このプロジェクトは女性のための聖歌であり、一人の女性の声が持つ力を知るべきときに、必ず思い出される重要な映画になるだろう」。

関連記事: Uber ends policy of forced arbitration for individual sexual assault claims(Uberが性的暴行の訴えの強制仲裁=強制示談を廃止、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uberのパワハラ被害女性、顧客に対する会社の謝罪は「見せかけ」と非難

米国時間6月16日、Uberはニューヨークなどの都市でかつてUberを利用した一部の乗客にメールを送り、乗客、ドライバー、社員のニーズの優先順位を誤ったことを謝罪した。 Business Insiderが報じた。しかしこの騒動全体について、元Uberのエンジニアで会社をセクシャルハラスメントで訴えたSusan Fowlerは、(当然ながら)不満を訴えておりUberの主張を額面通りに受け取っていない。

[つまり、「弁解できない職場での嫌がらせ」について、〈過去の乗客〉には謝っても、嫌がらせの被害にあった従業員には謝らないということ?]

同社は過去のUber顧客宛てに送ったメールで、調査委員会からの提言に言及し、CEO Travis Kalanickの休職を始めとする同社のとった行動について説明した。提言の詳細はここに書かれている

さらにFowlerは、「これはショウだ、見せかけにすぎない」と切り捨て、昨夜Twitterに「ライバルから客を取り戻すためなら何でもやるということだろう」と書いた。

彼女の指摘は的を射ている。Uberがこの明白な社内カルチャー問題や自動運転技術に関する裁判、さらには強姦被害者の個人医療記録の取り扱いミスなどの対応に追われる間に、(ライバルの)Lyftは好調のようだ。先月だけを見ても、Lyftはボストンでの自動運転サービス実施計画を発表し、Jaguar Land Roverとの提携で2500万ドルの資金を獲得し、2025年までに無人電気自動車の乗車回数年間10億回達成を目標に設定した。

先週職場での嫌がらせ報告書が発行されたとき、FowlerはUberから未だに謝罪を受けておらず、「会社から受けたのは激しい敵意だけ」とTwitterに書いた。

写真提供: Doug Patricio/Brazil Photo Press/LatinContent/Getty Images/Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook