総合的なデータプロビジョニングサービスElasticがSwiftypeを買収してサイト検索を強化

Swiftypeは、本誌がそれについて書いているだけでなく、そのサイト内検索技術を実際に使っている。今度同社は、オープンソースのElasticsearchを作っているElasticに買収されることになった。

それで分かったきたのは、両社がすでに良い仲だったことだ。Swiftypeは、検索するコンテンツのインデクシングと保存にElasticsearchを使っている。実はSwiftypeのCTO Quin HoxieがElasticのCEO Shay Banon(上図)のことを初めて聞いたときには、“あのすごい量のソフトウェアを書いたという伝説のデベロッパーが実在する一人の人間だったのか”、と思ったそうだ。

HoxieとBanon両人によると、買収によってSwiftypeの方向性が大きく変わることはない。Hoxieによると今回の決定は、これまでの路線の延長にすぎず、組織を大きくすることによって技術力だけでなく、経営にも好影響がある、という。

実際には、Swiftypeがやや変わる。まず、導入期のユーザーは料金が月額79ドルになる。また合同チームにより、ElasticのElastic StackとX-PackがSwiftypeのEnterprise Searchに統合される。それにより企業ユーザーは、DropboxやG Suiteなどの全サービスに対する検索ができるようになる。

一方Banonによると、Elasticは以前Opbeatを買収したが、そのときと同じように、買収したチームの自立性を尊重する。“余計な介入をしたくない。コラボレーションでも何でも、自然発生的なのが良い”。

今回の買収に関しては、Banonによれば、エンドユーザーのユーザー体験の部分をこれまでよりも良くしたかった。とくにサイト内検索に関しては、Swiftypeが作ったものが、この界隈で最良のユーザー体験だ、とBanonは言う。

振り出しに戻って円が完成するのは良いことだ、と彼は言う。Elasticという円のスタート地点はサイトとアプリケーションの検索だったが、その後ロギングやアナリティクスなどにも手を伸ばしていった。そして今回の買収で、初心の検索に回帰したのだ。

買収の金額等は、公表されていない。Swiftypeは前に、2200万ドルあまりをY Combinator, New Enterprise Associatesなどから調達している。顧客には、AT&T, Dr. Pepper, Hubspotなどがいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

DropboxやG Suiteなど複数のクラウドサービスを一括サーチ ― Swiftypeが新プロダクトを発表

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今日紹介するSwiftypeは元々、TechCrunchなどのニュースサイトで利用するサーチシステムを開発していたスタートアップだ。しかしその後、同社はカスタマーサポートやEコマースの分野の企業にもシステムを提供するようになった。そして今日、Swiftypeはこれまで以上に大きな飛躍をすることとなった。同社が新しいエンタープライズ向けのサーチプロダクトを発表したのだ。

中小規模向けに開発されたSwiftypeの新プロダクトを利用すれば、さまざまなクラウドサービスからお目当てのファイルを見つけ出すことが可能だ(先日にはGoogleもCloud Searchの提供を開始しているが、その検索対象となるのはGoogle製のサービスに限られる)。

「ソースがバラバラに存在しているせいで、企業の中に存在するナレッジもバラバラに保管されてしまっています」と共同創業者のMatt Riley氏は語る。

Swiftypeの検索対象は、Dropbox、Office 365、GoogleのG Suite、Zendeskなどのサービスだ(同社はAPIも提供していて、それを利用すればカスタマイズされたデータソースにも対応することができる)。またRiley氏は、単一のインターフェイスで様々なサービスに保管されたファイルを検索できるようにすることは、ビジネスの現場には欠かせない機能だという。

面白いのは、このサービスには人工知能も搭載されている点だ。その人工知能がクラウドサービスに保管されたデータを解析して、共同創業者兼CTOのQuin Hoxie氏が呼ぶところの「エンタープライズ・ナレッジグラフ」を作成する。そして、そのグラフがSwiftypeのサーチ体験を向上させている。

その1つとして、Swiftypeは単なるキーワード型のサーチシステムではなく、ユーザーから与えられた複雑なクエリを理解することもできる点が挙げられる ― 例えば、ユーザーが「連絡先ファイル」や「最近のドキュメント」を探している場合、探しているドキュメントにその言葉が含まれていなくても目当てのものを見つけ出すことが可能なのだ。

また、Swifttypeはデータを利用しやすいかたちに構造化することもできる ― ユーザーがある企業について検索すると、その企業についてのあらゆる情報をまとめた要約カードを見ることができる。加えて、あるドキュメントを検索すると、それぞれのドキュメントに関連する情報も一緒に確認することができるので、複数のドキュメントを1つ1つ開いて確認する必要がなくなる。

これは特に重要な機能の1つである。なぜなら、Swiftypeが提供しているのはデスクトップPCで利用できるサーチシステムだけではないからだ。同社はSlackと統合して利用できるモバイルアプリも開発している。私たちは、たくさんのフィルターを設定したり、複数のページをブラウズする時間がないこともある。そういう状況下では、サーチシステムは複雑なクエリを理解し、ドキュメントから最も重要な情報を抽出する必要がある。

また、Swiftypeはブラウザ用のプラグインも提供している。先ほど紹介した関連情報を一覧表示する機能は、ここで生きてくる ― 例えば、営業やカスタマーサービス部門に所属する社員のプロフィールを開くと、それと同時に、その社員に関連するさまざまなドキュメントがポップアップ表示されるのだ。Swiftypeを一度も開かずに情報を取得できるのが理想的だ、とRiley氏は語る。

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加えて彼は、Swiftypeを導入するまでにかかる時間は従来のエンタープライズ向けサーチシステムに比べて大幅に少ないと語る。Swiftypeを導入するためには、まずはアドミニストレーターが企業で利用中のクラウドサービスとSwiftypeを連携し、あとは個々の従業員が自分のアカウントを登録するだけだ。

もちろん、企業内に存在するあらゆるドキュメントを1つの場所から検索できるようにするとセキュリティに関する懸念が生まれる。Hoxie氏によれば、Swifttypeでは社員ごとのアクセス権限を細かく設定することが可能だという ― オフィスネットワーク内からのアクセスに限定することも、社員の個人デバイスからアクセスできるようにすることも可能だ。

ここで明確にしておくべきなのは、SwiftypeはWebサイトで利用するサーチシステムの提供を停止したわけではないということだ。Hoxie氏によれば、開発チームはすべてのSwiftypeプロダクトで「同じコアテクノロジー」を利用するという目標を達成するために大変な苦労をしたという。しかし、そうすることで、あらゆるユーザーがすべてのSwiftypeプロダクトの恩恵を受けることができるという考えだ。

同社は、エンタープライズ向けサーチシステムによって、これまでのSwiftypeプロダクトよりも大きな市場を狙うことができると考えている。Hoxie氏は、「(エンタープライズ向けサーチシステム市場は)これまでよりも大きな市場です。ただ、どの点を考えてもこのプロダクトがもつ市場の方が大きいというわけではありません。マーケットにはサイトサーチの方が適している企業がたくさんあり、だからこそ、これまで私たちは成長してきました。しかし、エンゲージメントという面を考えると世界はがらりと変わります。TechCrunchで利用されているようなサイトサーチでは、検索するときにSwiftypeと向き合っているユーザーはおそらく1人でしょう。しかし、このプロダクトでは、すべてのユーザーが私たちのプロダクトと交流することになるのです」。

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(翻訳: 木村  拓哉 /Website /Facebook /Twitter