暗号資産NEMの次期バージョン「Symbol」がローンチ日延期へ、2021年1月14日に変更

暗号資産NEMの次期バージョン「Symbol」がローンチ日延期へ、2021年1月14日に変更

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年11月15日~11月21日の情報から。

暗号資産(仮想通貨)NEM(ネム)のコア開発者を含むNGL(NEM Group Ltd。NEMグループ)は11月19日、NEMの次世代バージョン「Symbol」(シンボル)のローンチ日の延期およびスナップショット、ブロック高に関する最新情報を発表した。Symbolのローンチは、これまでの12月17日の予定を約4週間延期し、2021年1月14日とした。

延期の理由は、Symbolの最終開発部分となる、主にコア・サーバー、テストネット・パッチ、REST+SDK、ウォレット、ノード・モニタリングなどの複数のバグ修正と修正後の検証にかかる時間を考慮した結果という。

スナップショット日も2021年1月14日に変更

ローンチ日の延期に伴い、スナップショット日も2021年1月14日に変更された。スナップショットでは、特定のブロック高で、現行のNEMブロックチェーン上のNEMアカウントの状態(XEM残高、マルチシグ構成、ルートネームスペース)を記録するが、実施するブロック高を302万5200ブロックとし、その予定時刻を1月14日UTC午前11時7分前後(日本時間午後8時7分前後)とした。事前オプトインは、2021年1月9日終了となる。

Symbolのローンチとなるネメシスブロック(最初のブロック、ジェネシスブロック)は、1月14日のスナップショット後数時間以内に生成される予定になっている(正確な時間は未定)。新たにSymbolのトークンとなる「XYM」は、事前オプトインをしたアカウント保有者全員に対して、ネメシスブロックにて分配される。

XYMの付与には、オプトインという意思表示が必要

XYMの付与については、オプトインという意思表示が必要。オプトイン・プロセスの利用規約に基づき、XEM保有者(最低100XEMが必要)に対して、保有量を確定するスナップショット時の保有量により、事前オプトイン最終日までにオプトインを実施したものに対して、1XEM=1XEM+1XYMが付与されることになっている。

また、Symbolローンチ後の事後オプトインも可能であり、その開始日程については、ローンチ前に発表される予定となっている。ちなみに、スナップショットにて保持されているXEM残高は、Symbolリリース後6年間請求が可能。

今回の延期は、テストネットなどによる検証の結果、当初のローンチ予定日だった12月17日から1~2週間程度遅れることが明らかとなり、そのまま延期をすると日程がクリスマスや年末年始の時期に重なり、社内外(取引所や規制当局など)の人員が少なくなることから、この時期のローンチはリスクが高いと判断し、日程を4週間先に延期したという。

関連記事
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.11.8~11.14)
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.11.1~11.7)
ブロックチェーン技術mijinの次世代コアCatapult発表、仮想通貨NEMにも採用へ
ブロックチェーンでチケット転売防止、京大発スタートアップLCNEMの「Ticket Peer to Peer」

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SymbolNEM(製品・サービス)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.11.1~11.7)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.11.1~11.7)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年11月1日~11月7日の情報をまとめた。NEM次期バージョン「Symbol」のローンチおよびスナップショット日程情報アップデート、必要項目を入力するだけでデジタル遺言書を作成しブロックチェーンに保存できる新アプリ「Husime.com」、NFTマーケットプレイスWAXとアタリの提携およびレトロゲームデジタルアイテム販売開始について取り上げる。

暗号資産NEMの次期バージョン「Symbol」、ローンチおよびスナップショット日程情報アップデート

暗号資産NEMの次期バージョン「Symbol」、ローンチおよびスナップショット日程情報アップデート暗号資産(仮想通貨)NEM(ネム)のコア開発者を含むNGL(NEM Group Ltd。NEMグループ)は11月6日、NEMの次世代バージョン「Symbol」(シンボル)のローンチ予定日およびスナップショットに関する最新情報を発表した。ローンチにおける重要ポイントとなる各スケジュールを明確にするために、情報のアップデートを行った。

Symbolのローンチは、12月17日を予定している。

Symbolのローンチ後も、現行のNEMブロックチェーンの運用は継続され、NEMのトークンである「XEM」(ゼム)はそのままに、新たにSymbolのトークンとなる「XYM」が発行される。NEMは、2ネットワーク/チェーン運用のもとで、2種類のトークンを持つことになっている。

Symbolのトークン「XYM」の付与とオプトイン

SymbolのトークンXYMの付与については、オプトインという意思表示が必要だ。このオプトインを行うことで、XEM保有者(最低100XEMが必要)は、保有量を確定するスナップショット時の保有量により、1XEM=1XEM+1XYMが付与されることになっている。スナップショットは、ローンチ日の2日以内、12月15日~17日間に行われる。

ちなみにスナップショットでは、特定のブロック高で、現行のNEMブロックチェーン上のNEMアカウントの状態(XEM残高、マルチシグ構成、ルートネームスペース)を記録するが、その日程は、ローンチ日に依存する。正確な日程は、少なくともローンチの14日前に、また正確なブロック高は5日前に公開される予定。

オプトインは、ローンチ前の事前オプトインとして、すでに9月15日より開始しており、いったんローンチの5日前に終了する。ローンチ後の事後オプトインについては、詳細がローンチ前に発表される予定だ。ちなみに、スナップショットにて保持されているXEM残高は、Symbolリリース後6年間請求が可能という。

オプトインの方法については、個人でXEMを保有している場合は、Symbolのオプトインモジュールが追加されている最新版のNEMウォレットをダウンロードし、オプトインを実施する必要がある。オプトインは、モバイル版のウォレットでも可能という。

日本国内の暗号資産取引所による対応

また、暗号資産取引所にてXEMを保有している場合は、取引所により対応が異なるので各自確認をする必要がある。日本国内においてNEMを取り扱うCoincheckGMOコインは、取引所にてオプトインを実施することが発表されている。両取引所を利用するNEM保有者は、特に何もする必要はない。bitFlyerZaifは、顧客の利便性を最優先に考え対応方針の検討中を表明、詳細を追って知らせるとしている。Huobi Japanは、2020年11月9日時点では未定。

ローンチ日は定期的にアップデート予定

Symbolは、ローンチとなる12月17日に向けて現在もなお作業中であり、コアサーバーの問題の解決、SDK+RESTの解決を進めている。その後、デスクトップウォレットのリリースや、現在も進行中となっているパブリックSymbolネットワークの作成、試運転、スモークテストなどが実施される予定だ。

今後もローンチ日については、定期的にアップデートされることになっている。万が一、ローンチ日の変更が発生した場合は、すみやかに報告されるが、その場合は、スナップショットとローンチ前のオプトイン終了についても変更されることになる。

必要項目を入力するだけでデジタル遺言書を作成しブロックチェーンに保存できる新アプリ「Husime.com」公開

クラウドデータやAIデータなどのデータアセットマネジメント事業を展開するAOSデータは11月4日、音声入力で簡単にデジタル遺言を作成しブロックチェーンに保存できるスマートフォン向けアプリ「Husime.com」(iOS版/Android版)の公開を発表した

「デジタル遺言」機能

「デジタル遺言」機能を搭載するHusime.comは、スマートフォンやタブレットを使用し、必要項目を入力するだけで誰でもデジタル遺言書を作成できるアプリ。音声入力による入力も行えるため、デジタル機器に不慣れなシニアもストレスなく操作できる。必要項目を順に入力していくことで、自動でデジタル遺言書ができあがるという。必要項目を入力するだけでデジタル遺言書を作成しブロックチェーンに保存できる新アプリ「Husime.com」公開

完成した遺言書は、ブロックチェーンに保存されるため、第三者には改ざんできなくなり、遺言書を永遠に残すことができる。ブロックチェーンにて保存された遺言書は遺族に伝えるまで安全に保管されると同時に、通知設定において使用者が遺族を指定してチェック頻度を選択し、健康状態をチェックしていく中で問題が発生した場合に遺族に遺言書を送付する仕組みになっている。

さらにファイル登録機能では、自筆、音声、ビデオなどで作成された遺言関連ファイルをアップロードすることも可能。

自分史として人生の記録を残せる「ライフストーリー」機能

また、遺言書のほかにも「ライフストーリー」機能では、自分史として人生の記録を残すことができる。人生の節目となったイベントなどを入力しながら作成した自分史もまた、遺言書と同様にブロックチェーンに保存することが可能。ライフストーリーは、本人や家族がいつでも見ることができるという。

Husime.comのサイト内には、他の人のライフストーリーも公開。それらを四dなり、コメントを残せるコミュニティとなっている。

ちなみにAOSデータは、ブロックチェーン技術にマルチブロックチェーンという手法を採用している。ブロックチェーンは、さまざまな種類があり、それぞれに性質や特徴、コストなどが大きく異なるため、同社はサービスや機能に応じて、ブロックチェーンを変えているという。ひとつのシステム内でも、複数の異なったブロックチェーンを採用することもあるという。

遺言や終活に関する情報を集めたポータル・サイトの機能も

アプリは、デジタル遺言やライフストーリー機能のほかにも、遺言や終活に関するニュースを集めたポータル・サイトの機能も備えており、シニア世代のセカンドライフに関連する情報の提供も行っている。関連ニュースでは、遺言書の作成方法や遺言書の法的な取り扱いについて学べる法令情報を提供している。

実用面においては、行政・専門家などに相談のコーナーにおいて、住まいの地域を指定することで、最寄りの公証役場や法務局情報、弁護士情報、司法書士・行政書士の情報を知ることもできる。

アプリは、AOSデータのデータ復旧サービスセンターとも連携しており、その他のサービスとしてデジタル遺品復旧・整理サービスを利用することも可能。デジタル遺品復旧・整理サービスでは、故人が残したデジタル遺品となってしまった生前の記録を復旧し整理、故人の思い出の写真や動画データ、アドレス帳、メールの履歴などを復旧させることができる。

なお、Husime.comを利用するには、メールアドレスによるIDとパスワードの登録が必要となる。また、遺言を残すという性質上、住所、氏名、遺言などを残したい相手や家族の氏名などの登録が必須になっている。

NFTマーケットプレイスWAXがアタリと提携、レトロゲームデジタルアイテムを販売

グローバルにNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)マーケットプレイスを展開するWorldwide AsseteXchange(WAX)とビデオゲーム界の老舗メーカーAtari(アタリ)が提携。WAX上でNFTとして発行されるデジタルアイテム「Atari Collectibles」について、11月5日より販売を開始した。NFTマーケットプレイスWAXがアタリと提携、レトロゲームデジタルアイテムを販売

Atari Collectiblesは、約40年前にAtariから発売されたレトロゲームの黄金時代を築き上げた数々のゲームのオリジナルボックスアート、モーション、ゲームグラフィクスに3D要素を加え作成した、NFTデジタルグッズ。レトロゲームをモチーフにした、デジタル化されたトレーディングカードのような商品となる。

ユーザーは、WAXを通じてランダムに販売されるNFTデジタルグッズを購入し、コレクションとして収集できる。マーケットプレイスでは、重複したNFTデジタルグッズの交換・売買など、他のコレクターとの取引が可能。また、ブロックチェーン上に発行されたNFTであることから、発行数やレアリティの詳細、オーナー名、取引履歴(所有権の移転記録)などが記録され、誰でも閲覧できるようになっている。

ちなみにAtari Collectiblesには、そのレアリティからBase(コア)、Laminated(アンコモン)、Build Up(レア)、Spin(スーパーレア)、Gold Edition(スーパーレア)、Collector’s Edition(ウルトラレア)の6段階の希少度が存在する。マーケットプレイスでは、デジタルグッズの所有者に対してコレクションを取引したいといったオファーも出せる。NFTマーケットプレイスWAXがアタリと提携、レトロゲームデジタルアイテムを販売

Atari Collectiblesを購入するには、WAXにアクセスしWAXウォレットを作成する必要がある。Atari Collectiblesは、標準パック(10ボックス、9.99ドル)、メガパック(30ボックス、26.99ドル)、アルティメットパック(50ボックス、39.99ドル)が用意されており、それぞれ米ドルで購入できる。ちなみに手に入れNFTもすべて、WAXウォレットを介してコレクションを確認する仕様になっている。

また、WAXのマーケットプレイスにてコレクションを取引する場合は、WAXが発行している暗号資産WAXトークンが必要になる。WAXトークンは、WAXウォレットより決済プラットフォームMoonPayやSimplexを介し購入できるものの、現時点では日本からの購入は不可となっている。残念ながら、日本にてAtari Collectiblesを手に入れるには、まだまだかなりの障壁がありそうだ。

WAXの前身は、「CS:GO」のゲームスキンの売買・取引を手かげてきたOPSkins

数多くのNFTを取り扱うWAXは、これまでのべ75万点を超えるNFTを取り扱ってきた。マーケットプレイスの売上高は急増しており、まもなく総売上が200万ドル(2億円相当)に達するという。WAXの前身は、世界的に有名なFPS(一人称視点シューティング)ゲーム「カウンターストライク:グローバルオフェンシブ」(CS:GO)のゲームスキンの売買・取引を手かげてきたOPSkinsである。

CS:GOのスキンデータの取引などで拡大してきたOPSkinsは、CS:GOのパブリッシャーでゲーム配信プラットフォームSteam.comの運営会社Valveと競合。やがて多くの衝突を起こしてきたことから、プラットフォームの変更を余儀なくされた(詳細は割愛)。そのため、販売・取引が可能なその他のデジタルアイテムを模索することになり、ブロックチェーンおよびNFTにたどり着いた(OPSkinsはWAXに統合)。

EOSをベースとするWAXブロックチェーン

WAXは当初、イーサリアム(Ethereum)によるNFTを検討したものの、イーサリアムのボラティリティの激しさや手数料の高騰などが問題になることから、EOSのコア開発者の協力を経てEOSをベースとしたオリジナルのWAXブロックチェーンを開発した。

イーサリアムなどでは、ERC-721標準やERC-1155標準に準拠し発行されたトークンのみがNFTとして取り扱われるが、WAXはゲームアイテムなどの発行に特化したブロックチェーンとして設計されたこともあり、発行されたトークンそのものがNFTとして扱えるという特徴を備える。

WAXブロックチェーンのネイティブトークンが、WAXトークンである。マーケットプレイスにてWAXトークンを使用するのは、価格や手数料の安定が目的であり、ユーザーが暗号資産のボラティリティなどを気にせずに取引できる仕様になっている。

WAXは、ブロック生産を管理するためにWAXギルド(ブロックプロデューサーとも呼ばれている)のグループに依存するDPoS(Delegated Proof of Stake)をコンセンサスアルゴリズムとしている。WAXステーキングによりリワードを獲得できる。リワードは、ギルドの選択とブロックチェーン改善提案へのコミュニティの参加を増やすために設計された投票と報酬のシステムによって構成されている。トークン保有者は、投票することにより、WAXステーキングリワードにおいて毎日WAXトークンを獲得できるという。ゲーム業界においては、注目されるブロックチェーンのひとつになっている。

関連記事
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.10.25~10.31)
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.10.18~10.24)

カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: AtariEOSEthereum(製品・サービス)AOSデータNFTSymbolDPoSデジタル遺言書NEM(製品・サービス)WAX

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.27~10.3)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.27~10.3)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年9月27日~10月3日の情報をまとめた。

Atariの独自トークン「Atari Tokens」が暗号資産取引所Bitcoin.comを介し11月にIEO、販売終了後に上場決定

ビデオゲーム界の老舗メーカーAtari(アタリ)は10月1日、暗号資産取引所Bitcoin.comとの間でAtariの独自トークン「Atari Tokens」(ATRI。EthereumのERC-20準拠)の公開販売(IEO。Initial Exchange Offering)および販売完了後の上場に向けた契約の合意を発表した

Atariの独自トークン「Atari Tokens」が暗号資産取引所Bitcoin.comを介し11月にIEO、販売終了後に上場決定

IEOの開始は、2020年11月上旬を予定。暗号資産取引所Bitcoin.comを介して、ジブラルタル拠点のAtariグループ子会社Atari Chainが実施する。Atari Tokenは販売期間中、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の主要暗号資産でのみ購入可能となる。

今回のIEOとその後の上場は、Atariのブロックチェーンプロジェクトにとって重要なマイルストーンという。Atari Token保有者に流動性を提供し、同プロジェクトが計画をするAtariブロックチェーンエコシステムの発展への道を切り開く第1歩としている。

Atari Tokenのユースケース

またAtari Tokenのユースケースは、現在、Atariグループが活動をしている分野を予定。それぞれ関係各所とパートナーシップ契約を締結しており、平行していくつかのプロジェクトが進んでいる。最初は、暗号資産を使用したAtari CASINO、PCゲーム配信プラットフォームUltraでのAtariゲームの配信、今秋発売予定の新型家庭用ゲーム機「Atari VCS」などで利用される予定になっている。パートナーシップに関しては、順次atarichain.comで発表されるという。

最終目的は、決済手段はじめ、スマートコントラクトの促進、ゲーム内の収益化、アセットの拡張から保護まで

Atari Tokenは、イーサリアムのERC-20準拠のトークンとして発行された暗号資産。主たる目的は、ビデオゲームなどインタラクティブエンターテインメント業界内での決済手段として利用するものの、トークンはさまざまな業界にも有益であるとAtariグループは考えているという。

最終的な目標は、Atari Tokenが世界中で利用可能になること。決済手段のみならず、スマートコントラクトの促進から、ゲーム内の収益化、アセットの拡張から保護まで、多くの用途を想定しているそうだ。また、安全かつ信頼性が高く、普遍的で、流動性のある使いやすいトークンの作成を目指している。

Atari TokenはIEOおよび上場を機に、Atariのパートナーを含むさまざまなAtari商品やサービスとの交換手段として、まもなくAtariのネットワーク内で利用できるようになる。

Atari Token誕生までの経緯

Atari Tokenを開発するチームは、現在、Atariグループとドイツを拠点とするインターネット銀行ICICBによるメンバーで構成されている。

Atari Tokenは2018年の発表当初、AtariグループがInfinity Networks Limited(INL)とパートナーシップを結び独占契約を締結、INLにAtariブランドを付与し、ブロックチェーンプロジェクトとして立ち上がった経緯がある。プロジェクトでは、暗号資産の作成やAtariブランドを使ったブロックチェーンゲームや映画、音楽などあらゆるデジタルエンターテインメントにアクセスできるプラットフォームの構築を目指していた。

しかし、INLによるブロックチェーンプロジェクトは、Atariが期待する速度で開発は進まなかったようだ。AtariとINLは、どちらの側にもペナルティを発生させることなく、円満かつ即時にこのライセンスを終了させ、すべての権利をAtariグループ側に回復させることで合意し、INLとのパートナーシップを解消した。

その後、Atariグループはブロックチェーンプロジェクトをふたつに分離し、Atari Tokenについては、2020年3月にICICBグループと提携した。

グループは、Atari Tokenのユースケースの最大化を考慮し、開発の速度を上げるために、現時点において最も実現性の高いプロジェクトを優先しパートナーシップを締結している。それらが、Pariplayと契約をしたAtari CASINOであり、Ultraを始めとするその他のパートナーシップでということになる。Atari CASINOはまもなく開始を予定しており、IEOの前にAtari Tokenのプレセールを実施している。

ウォレットなどの開発も進行

Atari Tokenは、IEOおよび上場の計画の他にも、現在、ウォレットなどの開発が進んでいることも明らかにしている。ウォレットはすでにAndroid版のテストが最終段階であり、監査が完了し、安全性が確認でき次第発表するとした。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始

NEMブロックチェーンのプライベートチェーン版「mijin Catapult(2.0)」を提供するテックビューロホールディングス(テックビューロHD)は9月30日、アマゾン ウェブ サービス(AWS)が世界190ヵ国で提供する「AWS Marketplace」において、初の日本法人パートナー企業のうちの1社として登録されたと発表した。同日より、mijin Catapult(2.0)の提供を開始した。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始
AWS Marketplaceは、同社クラウドサービス向けのオンラインソフトウェアストアである。ITビジネスを構築・運営するために必要なサードパーティーのソフトウェア・データ・サービスを検索・購入・デプロイ・管理するために使用できるデジタルカタログとなる。

今回のAWS Marketplace登録により、販路として世界190ヵ国のAWSの顧客に対しグローバルなサービス提供をできるようになったほか、月間29万人を超えるアクティブな顧客に対して同社サービスをアピール可能となった。

NEMブロックチェーンのプライベートチェーン「mijin」

テックビューロHDが提供するプライベートチェーン「mijin」は、NEM(ネム)コアの開発者が同社に合流し開発したNEMブロックチェーンのプライベートチェーン版。「mijin Catapult (2.0)は、エンタープライズで利用可能なプライベートブロックチェーン環境を構築する「mijin v.1」をバージョンアップした製品。

またmijin Catapult (2.0)は、NEMの次期バージョン「Symbol」にあたる存在でもある。mijin Catapult (2.0)は2018年6月にオープンソース化され、Symbol公開に先行し2019年6月より製品版として公開されている。

mijin Catapult (2.0)は、300社以上への提供実績を持つmijin v.1の性能を向上させるために仕様全体を一新し、機能・性能・仕様のすべての面においてバージョンアップを実施。異なるブロックチェーン間でのトークン交換や複数トランザクションの一括処理を可能にするなど、前バージョンの課題であった処理速度、スケーラビリティの両面で大幅なグレードアップを実現している。

具体的には、mijin v.1と同様、ひとつのブロックチェーン上に複数のアセット(トークン)を同時に発行し流通・管理を行える機能「マルチアセット」、複数人の合意によって取引・コントラクトを実行する「マルチシグネチャー」機能が最大3階層まで設定が可能になった。

追加の機能として、第3者を介さず異なるブロックチェーン間でのトークン交換(クロスチェーン・トランザクション)や、複数トランザクションの一括処理(アグリゲート・トランザクション)が可能となっている。前バージョンの課題であった処理速度、スケーラビリティの両面での大幅なグレードアップも実現した。

今回のAWS Marketplaceにおける提供では、ブロックチェーンの導入促進を目的に設計・開発イメージをより多くのAWSユーザーに体験してもらえるよう、機能を制限した無料トライアル版が提供されている。

無料トライアル版の概要は、以下の通り。

  • ノード: 1台のみ(DUALモード/APIノードにHarvestを有効)
  • デプロイ: およそ15分程度で下記構成が完成
  • ライセンス費: 無料
  • インフラ費: AWS使用料として、Amazon EC2、Amazon EBS、Amazon Route53、パラメータストアの費用は発生
  • リージョン: 世界16リージョンに提供

制限事項として、公開ネットワークのみ(IPアドレス制限は可能)の配置、基軸通貨発行数は2000cat.curency限定、手数料が必要、提供されるバージョンは、「mijin Catapult (2.0)(0.9.6.4)」に固定としている。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始

テックビューロHDでは、2020年12月に予定されているSymbol正式版のリリースに合わせて、有料エンタープライズ版の追加公開を予定。またmijin Catapult (v.2) Free Trial版については、2021年1月末日をもってAWS Marketplaceから削除する予定で、2021年4月1日以降は問い合わせも受付終了予定としている。

パブリックチェーンのSymbolとプライベートチェーンのmijin Catapult(2.0)のクロスチェーン・トランザクション

パブリックチェーンのSymbolとプライベートチェーンのmijin Catapult(2.0)のクロスチェーン・トランザクションでは、「Atomic Swap」という方法でプライベートチェーンとパブリックチェーン両者のメリットを使い分けて利用できるようになる。それにより、Symbolとmijin Catapult(2.0)や、管理者の違うmijin Catapult(2.0)間でお互いのモザイク(トークン)の交換が可能になる。パブリックチェーンを使いつつ、大事なものはプライベートで取引をするといったサービスが提供可能になる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

LINEの暗号資産事業・ブロックチェーン関連事業を展開するLVCとLINE TECH PLUS PTE. LTD.(LTP)は9月30日、LINEの独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」(LINE Blockchain White paper v2.1)基盤を導入した外部企業のサービスを発表した

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表LINEは、LINE Blockchainを基盤としたブロックチェーンサービス(DApps)を簡単かつ効率的に構築できる開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」を展開している。企業は、LINE Blockchain Developersを導入することにより、既存サービスにブロックチェーン技術を組み込むことができ、独自のトークンエコノミーの構築も可能になる。

また、LINE Blockchain Developersで構築した各サービス内で発行されるトークンを、LINE IDと紐づくデジタルアセット管理ウォレット「BITMAX Wallet」にて管理・連携させることもできる。企業は、それによりLINEのユーザー基盤を活かしたサービスの構築が可能になる。

2020年8月26日にLINE Blockchain Developersの提供開始を発表後、6日目にして申込数が100件を突破したという。

今回の発表では8社が紹介され、そのうちの2社はすでにサービスを開始している。導入企業の詳細は、以下の通り。

モバイルRPGゲーム「ナイトストーリー」

ブロックチェーンゲームを開発するBiscuitlabsは、9月30日よりモバイルRPGゲーム「Knight Story」の日本版を提供開始した。プレイヤーはナイトとなり、ペットとともにバトルをしながら素材を収集し、素材を組み合わせて装備アイテムを作成し強化していく。ゲーム内アイテムはNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)のため、プレイヤーはアイテムの保有権を持ち、交換・売買ができる。

電子契約サービス「リンクサイン」(linksign)

リーガルテック企業のComakeは、AI・ブロックチェーンベースの電子契約サービス「リンクサイン」(linksign)の提供を9月30日より開始。契約書の作成、内容の検討、署名、締結などと契約行為を始まりから終わりまで完結できるオールインワンプラットフォームとなっており、顧客は様々な契約書テンプレートから契約書を作成できる。また、すべての契約プロセスをリアルタイムで確認可能。ブロックチェーンにより、契約文書の偽造・変造を防止する。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ソーシャルメディア「aFan」

Common Computerの「aFan」は、クリエイターとファンをつなぐブロックチェーンベースのソーシャルメディア。ファンは、写真家、イラストレーターなどのクリエイターに直接寄付・応援することで、クリエイターのコンテンツ制作や活動をサポートできる。ファンとクリエイターは、トークン「ファンコ」を通じて、従来の「いいね」やコメント以上の相互交流が可能となる。サービス開始は、10月上旬予定。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

MMO戦略ゲーム「リーグオブキングダム for LINE Blockchain」

ブロックチェーンゲーム開発会社NOD Gamesは、MMO戦略ゲーム「リーグオブキングダム」の日本版「リーグオブキングダム for LINE Blockchain」を10月末より提供開始予定。王国同士、連盟や戦争を通じで領土を広げていく、大陸の覇権を争うゲーム。プレイヤーは、ゲーム内で保有する資産をブロックチェーンアイテムトークンに転換することで完全に保有し、取引できる。ブロックチェーン技術をさらに活用し、プレイヤーがゲームの方向性決定に参加できる仕組みも将来計画している。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

コインプッシュゲーム「CryptoDozer」

ブロックチェーンゲーム開発会社のPlayDappは、コインプッシュゲームをモチーフにした「CryptoDozer」を2020年内に日本向けに提供開始予定。30種類以上のDozerドールを入手できるコインゲーム。ファンシードールを獲得するためにDozerドールを調合することもできる。ドール強化でゲームプレイをさらに活性化することが可能。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ソーシャルカラオケアプリ「SOMESING」

Emel Venturesは、ソーシャルカラオケアプリ「SOMESING」を2020年内に日本向けに提供開始予定。いつでもどこでも高音質のカラオケを楽しむことができる。全世界の友達とデュエットすることも可能。ブロックチェーン技術を応用した世界初のカラオケアプリであり、独自のリワードシステムによりユーザーは自分が歌った歌に対して公正な報酬を受け取ることがきる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ビデオ・ストリーミング・プラットフォーム「Theta.tv」

ビデオ配信サービスを提供するTheta Labs(Theta Network)は、eスポーツ専門のビデオストリーミングプラットフォーム「Theta.tv」を2020年内に日本向けに提供開始予定。ユーザーは、コンテンツを視聴し、帯域幅を別の視聴者たちに共有することでリワードを受け取れる。ユーザーは特定のクリエイターを購読し寄付することも可能。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

スポーツゲーム「Crypto Sports」(仮称)

アクセルマークオルトプラスの100%子会社OneSportsは共同で、プロスポーツライセンスを使用したゲームの開発を進めている。2021年以降にローンチ予定。ユーザーは試合に参加して選手を育成し、その選手達を取引できる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: Atari TokensAWSEthereumLINELINE BlockchainLINE Blockchain Developersmijin CatapultNEMSymbolUltraテックビューロ

関連記事
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.20~9.26)
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.13~9.19)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.7.26~8.1)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年7月26日~8月1日の情報をまとめた。

JCBAとJVCEA、暗号資産の20%申告分離課税や少額非課税制度の導入等税制改正に関する要望書まとめ

一般社団法人「日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」は7月31日、一般社団法人「日本暗号資産取引業協会(JVCEA)」と共同で、2021年度税制改正に関する要望書を取りまとめ公開した。

毎年、JCBAは業界団体として自民党「予算・税制等に関する政策懇談会」に参加し、暗号資産の税に対する要望を行ってきた。今回は、2021年度税制改正にあたり、暗号資産交換業および暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体であるJVCEAと共同で、税制改正が求められる事項を整理してまとめた。両団体は、暗号資産市場の活性化、決済利用の促進を図り、関連産業の発展を期待し、以下の通り税制改正に関する要望を要望骨子として公開した。

  1. 暗号資産のデリバティブ取引について、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する
  2. 暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることとする
  3. 暗号資産取引にかかる利益年間20万円内の少額非課税制度を導入する

暗号資産取引における所得は、現在の税制では原則として雑所得に分類される。雑所得は、給与所得など各種所得と合計した金額に課税される総合課税となる。また、累進課税のため所得額に応じて税率が上がり、最大で55%(所得税45%+住民税10%)という高い税額になる。雑所得は、損をしても、給与所得や不動産所得のようなものと損益通算することもできなければ、翌年に繰り越すこともできない。

両団体は、2020年5月より暗号資産が金商法の枠内での規制を受けたことから、株やFXなど他の金融商品先物取引等同様に20%の分離課税とするなど、税制の公平性・中立性が担保されるよう要望をまとめた。

なお、今回まとめられた「2021年度税制改正に関する要望書」は、JCBA公式サイトにて公開しているので、誰でも閲覧できる。

FIX Networkによる、NEM次期バージョン「Symbol」を活用した携帯電話「SIMスワップ詐欺」防止ソリューションの詳細が明らかに

携帯電話(スマートフォン)の電話番号を搾取する「SIMスワップ」という詐欺手口をご存じだろうか?

近年、海外ではSIMスワップ詐欺が社会問題になっているという。SIMスワップは、携帯電話のSIMカードを強制的に切り替え、電話番号を乗っ取るという手法の詐欺。その手口は単純で、犯人は新品のSIMカードを用意し、電話会社に携帯電話を紛失したとウソの申告をする。電話会社に申告を信じさせた上で、新たに用意したSIMカードに、ターゲットとなる電話番号を紐付けさせて、その携帯電話を乗っ取るというものだ。

乗っ取り後は、携帯電話内に登録されているサービスをチェックし、ネットバンキングや暗号資産取引所口座、暗号資産ウォレットなど、金目のサービスを見つけては、パスワード再設定を試み、アカウントを乗っ取る。これらのサービスの多くは、SMS認証によるワンタイムパスワードで本人確認を行うことから、パスワードの変更が容易で、各種サービスにログインが可能になってしまうという。ログイン後は、犯人自身の口座等に資産を送金し、SIMスワップ詐欺の完了となる。

NEM.io財団(NEM財団)ブログによると、2018年から2019年にかけて、SIMスワップによる詐欺で米国だけでも5000万ドル(約53億円)以上の暗号資産がスマホの暗号資産ウォレットから盗まれたと推定されている。

NEM Symbol

NEM財団ブログおよびSymbol公式サイトは7月31日、NEM財団と提携するイスラエル・リトアニアの通信関連スタートアップFIX Networkによる、NEM次期バージョン「Symbol」を活用した携帯電話の「SIMスワップ詐欺」防止ソリューションの詳細を明らかにした

FIX Networkは、携帯電話のSIMカード上に秘密鍵とトランザクションを保護できるソリューションを提供するために設立された企業。NEM財団は、2019年11月に発表した「NEM Foundation Update: November 2019」のパートナーハイライトにて同社を紹介している。

NEM Symbol

同社の技術は、ブロックチェーンベースのセキュリティプロトコルを実装した上で、既存の携帯電話インフラを活用し、SIMを介した携帯電話加入者のための新しいプライバシー、セキュリティ、管理、安全性のソリューションを提供する。そのアーキテクチャーにより、携帯電話事業者は加入者のSIMカード上に秘密鍵を保管することで、デジタルID管理、暗号試算ウォレット、個人データファイアウォールなどのサービスを加入者に提供できるようになるという。NEM財団は、2020年3月11日にFIX Networkとパートナーシップを締結したことも報告している。

FIX Networkが提供する最初の製品「FIX ID」は、携帯電話加入者の最も貴重なデジタル識別子である電話番号を保護し、SIMスワップなどの不正行為を防止する。同サービスは、エンドユーザーアプリによって管理され、加入者が所有するグローバルな電話番号を通じて参加者を識別し、ユニークなデジタルIDとして機能する。電話会社は、FIX Networkを介して、暗号資産ウォレット、ネットバンキング、ID管理などのサービスを提供できる。

FIX IDソリューションを管理するセキュリティポリシーの初期実装は、ブロックチェーンベースではないが、今後FIX NetworkのソリューションはNEMの次期バージョンであるSymbolと統合され、ブロックチェーンベースになる予定だという。

NEMの次世代バージョンSymbolのローンチは、4月に発表されたロードマップによると、2020年11月中旬から下旬の予定だ。

NEM Symbol

日本でも次世代Webブラウザー「Brave」で暗号資産BATの受け取り・利用が可能に!

暗号資産取引所「bitFlyer」を運営するbitFlyerは7月30日、Brave Software International SEZCと共同開発する、オープンソースの次世代高速ブラウザー「Brave」(ブレイブ)内で使用できる暗号資産ウォレットについて、その詳細を発表した。Brave Software International SEZCは、Braveブラウザーを開発・提供するBrave Softwareの子会社だ。

日本でも次世代Webブラウザー「Brave」で暗号資産BATの受け取り・利用が可能に!

両社は7月9日に業務提携について合意し、Braveブラウザーの暗号資産ウォレット領域におけるパートナーシップ契約を結び、暗号資産ウォレットを共同開発することを発表した。今回の発表でbitFlyerは、サービス提供開始は2020年11月頃を予定していることを明らかにした。

Braveブラウザーは、広告ブロック機能を標準装備し軽快な動作や匿名性を実現するとともに、暗号資産イーサリアム上で発行されたERC-20準拠トークンBAT(Basic Attention Token)を用いたBrave Rewardsの仕組みを搭載。ブラウザー利用者はBraveが許可した広告を見ることで報酬としてBATが得られる。ただし2020年8月現在、日本では、改正資金決済法を遵守するためにBATではなくBATと対価のBATポイント(BAP)が使用されている。

これに対して、bitFlyerが開発する暗号資産ウォレットのサービス提供開始以降は、bitFlyerに口座を持つユーザーはBraveブラウザー上でbitFlyerアカウントとの連携が可能になる。金融庁が認定する暗号資産交換業者のbitFlyerのアカウントを連携することで、BAPではなく暗号資産BATを報酬として受け取れるようになるわけだ。

受け取ったBATは、Braveブラウザー上でコンテンツ(サイト)制作者にチップ(投げ銭)としての送金も行える。付与されたBATは、bitFlyerで売却し日本円に換金することも可能だ。これで、海外でBreveブラウザーを使用しているユーザーと、いよいよ同じ環境になる。

Brave Software Asiaがオンラインイベントを開催

Brave Softwareの日本法人Brave Software Asiaは、オフィスオープンを記念して、7月30日にオンラインイベント「Brave Software Asia Office Opening Party」を開催した。イベントは、Brave Software Asia代表取締役の嶋瀬宏氏(写真左)が司会進行となり、改めてBraveブラウザーについての紹介が行われ、Braveの日本展開について語られた。イベントではbitFlyer代表取締役の三根公博氏(写真右)も登壇し、その場でBraveブラウザーの暗号資産ウォレットサービスについて詳細が報告され、今回の発表へとつながった。

Brave Software Asia代表取締役の嶋瀬宏氏(写真左)とbitFlyer代表取締役の三根公博氏(写真右)

Braveは、何を問題としているのか

オンラインイベントは、JavaScriptの生みの親であり、Mozilla(Firefox)の共同創設者でもあるBrave SoftwareのCEO、Brendan Eich(ブレンダン・アイク)氏のビデオメッセージによる挨拶からスタートした。

Braveが目指す世界は、インターネットの再構築。現在のインターネットが抱えている問題を解決するために、Braveを設立したという。

インターネットの大きな問題点としては、まずコンテンツの質を指摘する。現在の表示回数が増えるほど広告収益がアップする仕組みは、コンテンツのクオリティーよりもページビュー数(PV)に重きを置くものが増え、結果、フェイクニュースや人の目を引くゴシップニュースなど、質の低いコンテンツが氾濫する状況を作り出してしまったという。PVを稼ぐためには何でもする昨今の迷惑系動画配信などもその例の代表ではないだろうか。

また、ユーザーを特定することで広告単価がアップする現在のネット広告は、広告トラッカーといったプライバシーを侵害する仕組みを作り出してしまった。トラッキングや非効率な広告システムは、ユーザーが意図しない通信を不用意に増やし、無駄な通信費用を発生させる結果にもつながっている。その費用は無視にできないほど増加していることもBraveは指摘する。

プライバシー保護と、暗号資産BATが得られるBrave Rewards

Braveはこれらの問題を解決するべく、消費者を中心としたインターネットの再構築に立ち上がったのだという。

その答えが、Braveブラウザーが作り出しているエコシステムなのだ。Brave Softwareは、高速でプライバシー保護機能を備えるWebブラウザーに、ブロックチェーンのデジタル広告プラットフォーム機能を統合する。基本は広告の表示やトラッカーをブロックし、軽快な動作や匿名性を実現する。その上で、Braveが許可した広告を見ることで報酬として暗号資産BATが得られるBrave Rewardsという仕組みを備えた。

ブラウザー利用者は、広告を見なくてもいいし、自分の意思で見て報酬を得てもいい。Braveブラウザーは、1時間に何回広告を表示させるかといった、その頻度もコントロールできる。これらは、オープンソースソフトウェアとして開発されているブラウザーを基礎としている点も特徴的だろう。

コンテンツクリエイターにチップとして寄付できる

また、報酬として得たBATを自分の気に入ったコンテンツクリエイターにチップとして寄付できるのも大きな特徴だ。この仕組みは、これまで広告収入がメインだったクリエイターが、チップを得るためによりよいコンテンツを作ることに専念できる仕組みとなる。

エコシステムに暗号資産を活用することで、マイクロペイメントの仕組みを導入できるようにもなる。たとえば、漫画を描くクリエイターは、漫画の一コマを1円以下の価格で切り売りするといったことも暗号資産では可能になるということだ。

広告を見て得られる報酬が暗号資産であるという仕組みは、従来のスマホコンテンツのような課金をすることもなくなるため、消費者、クリエイター双方にメリットがある。BATは暗号資産取引所に上場されている暗号資産であることから、もちろん課金システムにも対応することはできる。

Brave Softwareは、これら報酬などの仕組みで新しいビジネスモデルを構築しようとしているのだ。ユーザー、パブリッシャー、広告主のためになる新たなWeb環境を作り直すことで、消費者を中心としたインターネットの再構築を目指している。

Brave Software Asiaがオンラインイベントを開催

これらBraveブラウザーの輪の広がりは、インターネット上のエコシステムを本気で変えてしまうだけの潜在的な可能性があるのではないだろうか(筆者の個人的な感想だが)。

関連記事
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.7.19~25)
暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.7.12~18)