ウォルマート提携のロボット企業SymboticがソフトバンクSPAC経由で株式公開へ

Walmart(ウォルマート)は、Amazon(アマゾン)のオンライン支配に対抗するためにあらゆる優位性を追求し、ロボティクス分野で浮き沈みを繰り返してきた。巨大な小売企業のWalmartは2021年7月、マサチューセッツ州を拠点とするオートメーション企業Symbotic(シンボティック)と契約を結び、同社との関係をさらに強化した。この新しい契約は、2017年に初めて試験的に実施された、Walmartの25の地域配送センターにロボットを導入するという提携を拡大した。

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完成までには「数年」を要する予定のこの提携は、Albertsons(アルバートソンズ)やC&S Wholesale Grocers(C&Sホールセールグローサーズ)とのパートナーシップに続くものだ。Symboticによると、現在導入しているのは「16州とカナダの8つの州の1400超の店舗」で、これはおそらく配送センターの影響を直接受ける場所を指している。同社の自律型ロボットシステムは、既存の倉庫構造を増強する。当然のことながら、同社は現在も続くサプライチェーンの問題に影響を与える方法にも積極的に取り組んでいる。

同社は米国時間12月13日、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のSVF Investment Corp.3との合併により、SPAC経由で株式公開する計画を発表した。この取引により、Symboticのプロフォーマの株式価値は約55億ドル(約6250億円)となり、ソフトバンクからの2億ドル(約230億円)を含む7億2500万ドル(約820億円)の総資金を調達することができる。また、ソフトバンクにとっては、ロボットへの投資が非常に実り多い年として2021年を締めくくるものになる。

CEOのRick Cohen(リック・コーエン)氏は、リリースの中で次のように述べている。「ソフトバンクは、最先端の人工知能やロボティクスのイノベーターに投資してきたすばらしい経験を持っています。彼らとの提携は、当社の可能性を最大限に実現するための新たな洞察力、関係性、資本を提供してくれるでしょう。ソフトバンクとともに、Symboticがサプライチェーンの近代化において強力かつ長期的な力を発揮し、すべての人に利益をもたらすことを確信しています」。

想定どおり2022年上半期に取引が完了すれば、Walmartはロボット・AI企業の9%を所有することになる。Amazon Robotics(アマゾン・ロボティクス)の基盤となったKiva Systems(キヴァ・システムズ)のような企業の全面的な買収とまではいかないが、ロボットを使ったフルフィルメントセンターへの取り組みは将来に向けて不可欠なステップだとWalmartが判断したことは明らかだ。

画像クレジット:Symbotic

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ウォルマートが25の配送センターにSymboticのロボットを導入

配送センターや倉庫用のロボットを作っている企業に、彼らの顧客企業が自動化を図る理由を尋ねてみると、異口同音に労働力不足や作業のスピードアップを挙げる。しかし迫りくる本当の真実は、ひと言に要約される。「Amazon(アマゾン)」だ。そして、最悪の危機を感じているのが小企業であることは事実だが、このオンラインリテールの市場支配に対して免疫のある者は1人もいない。スーパーマーケット最大手のWalmart(ウォルマート)でもだ。

米国時間7月13日は、このリテール大手の仲間がロボティクスの最新のパートナーシップを発表し、マサチューセッツの自動化企業Symboticとチームを組むことになった。本日の発表で両社はこれまでの協力関係をさらに拡大して、ウォルマートの25の流通センターをロボット化、「数年後」に完了する。

2017年のパイロット事業では、Symboticの自律型ロボティクスプラットフォームをウォルマートのフロリダ州ブルックスビルの流通センターに導入して、仕分けや棚卸し、荷降ろしの増量を狙った。

今回のプレスリリースではウォルマートのサプライチェーン担当執行副社長のJoe Metzger(ジョー・メッツガー)氏は次のように述べている。「今日行われているDXは顧客の習慣の進化にともなうものであり、小売業界の形を変えつつあります。現在と未来の顧客に奉仕するためには、私たちの事業が社員たちに正しいツールと教育訓練を提供し、顧客が求める品物を彼らがそれを欲するときに、比べられないほどの利便性で提供できなければなりません。私たちは今、その過程をエンド・ツー・エンドまで最適化するために、サプライチェーンに対する前例のないほど大規模な投資を行っています」。

ウォルマートはここ数年間、ロボットのパイロット事業に熱心で、一部を実際に採用しようとも考えていた。しかしながら前にも述べたように、現在のところその結果にはムラがある。最も目立つのは、Bossa Nova Roboticsのケースだ。同社のロボットは在庫管理用に採用されたが、突然、契約を打ち切られた。もちろんパイロット事業だったが、小さなスタートアップにとって打撃は大きい。

それに比べると、Symboticには実績がある。同社の顧客には、ウォルマート最大の競合他社であるTargetがいる。ウォルマートには、ロボティクス部門としてKiva Systemsを買収したAmazonのように、独自にスタートアップを買収する手もあったと思われるが、彼らとの関係の現状を見るかぎり、それはハードルが高いようだ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:WalmartSymbotic倉庫eコマース

画像クレジット:Walmart

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)