CCCがスタートアップと一緒にサービスを作る――支援プログラムの審査会が開催

最終審査会に登壇した12社の代表とCCC代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏(手前右から2人目)

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループが2014年秋に立ち上げた「T-SITE」。CCCグループの各種オンラインコンテンツを統合したこのサイト、そして5000万人のTポイント会員の活用を前提としたスタートアップ支援プログラム「T-Venture Program」の採択企業が決定した。

T-Venture Programは、最終選考を通過したスタートアップに対してT-SITEを開放し、今春をめどに試験的にサービス連携を行うというプログラム。連携に向けてCCCグループがマーケティングなどでの支援をするほか、一定以上の相乗効果が見込まれる場合には業務提携や最大1億円の出資も視野に入れる。2014年10月から11月にかけて募集を実施し、合計110社のスタートアップが応募。その中から一次選考、二次選考を通過した12社が1月20日に開催された最終審査会でのプレゼンテーションに臨んだ。

プレゼンテーションは、スタートアップが自社のサービス紹介をするだけでなく、実際にT-SITEと連携してどんな事業を展開するか具体的に提案するというものだった。新事業の企画のために、12社は1カ月間、毎週1回プログラム担当者とのミーティングを設けていたと聞いたのだけれども、どの企画も自社の強みとCCCグループとのシナジーをよく考えているものばかりだった。審査員にはCCC代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏をはじめとしたCCCグループの役員のほか、FIGARO編集長の西村緑氏、penクリエイティブ・ディレクターの吉田克典氏などが並んだ。

そんな審査会だったが、見事最優秀賞となったのは、遊休農地と農業を楽しみたい都市住民をマッチングし、サポート付きで農業体験を提供する「シェア畑」などを手掛けるアグリメディアだった。また優秀賞には子供の動画を撮影すれば自動で編集し、ベストシーン集を作成できる「filme」を手掛けるコトコト、クラウドファンディングサイト「GREENFUNDING」などを運営するワンモアがそれぞれ選ばれた。

さらに、「優秀なサービスが多く、審査員の評価が分かれた」ということで急遽TSUTAYA賞とTポイント賞が用意された。TSUTAYA賞には映画口コミサイト「Filmarks」運営のつみき、Tポイント賞にはスマホ向けオークションサービス「スマオク」運営のザワット、無農薬野菜などを販売する坂ノ途中がそれぞれ選ばれた。各社は今春をめどにウェブサイトのT-SITEや代官山、湘南にある複合施設のT-SITEと連携したサービスを試験的に展開する予定。プログラム自体も、今後最低でも年1回ペースで開催していくという。

このイベントでちょっと気になったのは、審査員でもあり、T-SITEを運営を担当するT-MEDIAホールディングス代表取締役社長の櫻井徹氏が開会の挨拶で語っていた「(CCCは)ネットでのプレゼンスは弱い」という言葉だ。

T-MEDIAホールディングス 代表取締役社長の櫻井徹氏

これまでTポイントを軸にして、リアルビジネスではオープン化をしてきたCCCグループだが、ネットサービスではオープン化どころかそのためのプラットフォームがなかった。そのためT-SITEでは企画当初から「全部自前でやるのではなく、外部にサービスを開けて、IDとポイントも連携する」という方針を決めていたのだという(そしてそんな方針には当初「反対意見もあった」とのことだった)。

僕は当初今回のインキュベーションプログラムがCCCグループのCVCであるIMJインベストメントパートナーズの主導かとも思っていたのだけれども、T-MEDIAホールディングス主導で、グループ全体を巻き込んでいったプロジェクトなのだそうだ。

ちなみに櫻井氏は自ら起業したエム・フィールドをユニークメディア(現:IMJモバイル)に売却した経験のある起業家。懇親会でそんな話をしていたところ、「起業家の気持ちは分かるし、スタートアップの力になれることはいろいろあると思っている」(櫻井氏)と語っていた。

なお、最終審査会でプレゼンを行ったスタートアップは以下のとおり。
アグリメディア
エニタイムズ
フライヤー
ザワット
コトコト
レイ・フロンティア
イタンジ
ワンモア
リーボ
坂ノ途中
つみき
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