元Momentumの高頭氏、糖尿病患者向け海藻スーパーフードパウダーのTeatisで約7700万円のシード調達

シリアルアントレプレナーの高頭博志氏は、妻をがんで亡くしたことをきっかけに、重症患者の消費者のための便利で栄養価の高い食品の必要性を感じるようになった。

高頭氏は、2017年にステルスモードで糖尿病患者向けの植物性糖質制限スーパーフードパウダー「Teatis(ティーティス)」を立ち上げ、医師や管理栄養士のグループと手を組んで2021年4月に本格的に事業を開始した。

Teatisは米国時間9月9日、米国市場での成長を推し進めるために、シードラウンドで70万ドル(約7700万円)を調達したと発表した。このシード資金により、Teatisの資金調達総額は100万ドル(約1億1000万円)を超えた。

今回のシードラウンドは、Genesia Ventures石塚亮氏(メルカリの元CEOで共同創業者)、野口卓也氏(日本のスキンケアブランドBULK HOMMEの創業者兼CEO)が主導した。このほか、7名のエンジェル投資家が今ラウンドに参加した。

Teatisの共同設立者である高頭博志CEOはTechCrunchに、今回のシード資金は、1億2200万人の糖尿病患者および糖尿病予備軍が糖尿病に対する予防と治療に取り組んでいる米国での生産とマーケティングに使用されると語っている。同社は現在、生産拠点のある米国市場に注力しており、次の資金調達であるシリーズAは2022年に予定されていると同氏は付け加えた。

「当社商品を使用するお客様の大部分、約88%は糖尿病を疾患しており、当社のレシピは糖尿病患者の血糖値管理に役立つように作られています。膨大な数の米国人が糖尿病を患っており、栄養価が高く、便利で機能的な糖尿病患者向けの食品が求められています」と高頭氏は語る。

Teatisは、低糖質食品に関心のあるすべての消費者と、糖尿病予備軍のためにサプリメントを開発していると高頭氏はいう。Teatisの植物性パウダーは化学物質や甘味料を含まず、褐藻エキス(アラメ)などの日本では伝統的な原料を含んでおり、腸管からの糖の吸収を抑え、血糖値を下げることが証明されている。この低糖質パウダーは、お茶やラテにしたり、スムージーに加えたりすることが可能だ。

高頭氏は、米国の糖尿病向けミールリプレイスメント製品の市場規模は50億ドル(約5500億円)、米国の糖尿病患者向けパッケージ食品の市場規模は約3000億ドル(約33兆円)と推定している。

「当社は、食品科学とテクノロジーを融合し、食品とテレヘルスを通じて糖尿病患者の問題を解決します」と同氏は語る。

Teatisは、糖尿病患者の健康のための総合的なワンストップショップの構築を目指しており、2021年9月中に管理栄養士プラットフォーム「Teatis RD on Demand(オンデマンド登録栄養士)」を立ち上げ、食品、テレヘルス、レシピなど、糖尿病と闘う人々のためのフルサービスを提供開始する。

Teatis RD on Demandは、登録管理栄養士による1対1のプライベートセッションを提供する。従来の対面でのアポイントメントが30分あたり150ドル(約1万6500円)、遠隔アポイントメントが30分あたり90ドル(約9900円)であるのに対し、30分あたり29ドル(約3200円)からと、コストを抑えた設定になっている。

Genesia Ventures(ジェネシア・ベンチャーズ)投資マネージャーの相良俊輔氏はこう述べている。「この分野の既存プレイヤーの多くは、デジタルコンピテンシーやデータ主導方の生産方式を持たない古い企業です。高頭さんは、市場を掌握する資質と大胆さを備えた、実績あるシリアルアントレプレナーです。Teatisのすばらしいアイデアと製品が、今後、糖尿病やその他の慢性疾患に苦しむ多くの人々の助けになることを期待しています」。

関連記事
2型糖尿病の治療など個人に合わせた健康的な食事・生活習慣アドバイスを提供するOvivaが約88.1億円調達
糖尿病治療のデジタルソリューションOvivaがシリーズBで約23億円を調達
画像クレジット:Teatis

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)