企業のコールセンター支援をクラウド上のサービスとして提供するTalkdeskが$1Bの評価額で$100Mを調達

企業のコールセンターのための顧客情報サービスをクラウド上のSaaSとして提供するTalkdeskが、コネチカットのヘッジファンドViking Global Investorsとこれまでの投資家DFJから新たに1億ドルを調達した。

このラウンドでは同社の評価額が10億ドルを超えたことを、協同ファウンダーでCEOのTiago Paivaが認めたが、正確な額は明かさなかった。

同社は、機械学習をはじめとする人工知能の技術を利用して、中企業から上のエンタープライズに良質なカスタマーサービスのための支援を提供している。顧客の中にはIBM, Dropbox, Stitch Fix, Farfetchなどがいる。

Paivaは次のように語る: “企業に100万の顧客がいて、彼らがサポートを求めているとしよう。Talkdeskはそんなときに、企業と顧客を可能なかぎり最良の形で結びつける。たとえばFarfetchはTalkdeskを利用することによって、各顧客が何を買ったか、彼らの好みは何か、これまでどんな苦情を言ってきたか、などが即座に分かる。われわれは企業にあらゆるものの履歴を提供して、迅速な問題解決ができるようにする”。

2011年にポルトガルで創業したTalkdeskは、サンフランシスコとリスボンにオフィスがある。今度の資金でイギリスへの進出と、AIへのより厚い投資を計画している。同社はこれまで、2015年の1500万ドルのラウンドも含め、約2400万ドルの増資を行っている。2012年のTechCrunch Disrupt NY Startup Battlefieldにも出場した

DFJのパートナーJosh Steinは、声明文の中でこう言っている: “今日のデジタル慣れしている顧客は迅速で個人化された答を求めているが、未だに大多数の企業が、そのようなアジリティとサービスを可能にする、柔軟性に富むクラウドネイティブなプラットホームを採用していない。しかし2019年には、クラウドを利用するコンタクトセンターが、例外ではなく標準になるだろう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Siriの共同ファウンダー、Dag Kittlaus、次世代AIのVivアプリを来週のTechCrunch Disruptでデモ

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Siriは世界中の何億というAppleユーザーに使われているが、この遍在的ソフトウェアを開発したのはほんの小人数のチームだということはあまり知られていない。Siriの共同ファウンダー、元CEOのDag Kittlausはその1人だ。

現在Dagのチームは新しい人工知能プラットフォームVivを開発中で、Dagは来週のTechCrunch DisruptでVivを利用して開発されたアプリをデモする。

Dagは同じく元SiriのAdam Cheyer、Chris Brighamと共にVivの共同ファウンダーであり、現在同社のCEOを務めている。Siriのテクノロジーは最初にSRIで開発され、2007年にDagらがこのテクノロジーを利用するビジネスをスタートさせた。

Siriは当初App Storeに登録されたアプリだった。2010年にAppleはSiriを買収し、DagはiPhoneアプリ担当副社長としてSiri及び音声認識テクノロジーの開発チームを指揮した。2012年にDagはAppleを去り、さらに高度な人工知能プラットフォームを目指すVivを起業した。

Dagは来週ニューヨークで開催されるDisrupt NY 2016で人工知能の将来について講演すると同時に世界最初のVivアプリをデモしてくれることになった。

Vivプラットフォームはまだ正式にリリースされていないが、その目的は「どんなことについても自然に会話できる」ような人工知能をデベロッパーがアプリに簡単に組み込めるようにするプラットフォームの開発だ。 DagはAppleを離れた直後に、TechCrunchにSiriはほんの手始めにすぎないという記事を書いて Vivを予告した。Dagは人工に知能についてカンブリア期の生物進化の爆発のテクノロジー版が起きるという記事も寄稿している。

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Dagはモバイル・ビジネスに長い経験がある。VivとSiri以前にはTelenor MobileとMotorolaで幹部を務め、Motorolaでは人工知能インターフェイスを開発するInteractive Media Groupを創立した。VivはAIシステムが新しいタスクを実行するためには自らコードを書く機能、いわゆるプログラム合成テクノロジーの大幅な進歩をベースにしている。

Siriは単独のアプリだが、VivはデベロッパーがAIによる会話的能力をアプリに組み込めるようにするためのインフラ開発を目指している。Dagによれば、現在あらゆるアプリに搭載されている「検索ボタン」と同じくらい、Vivによる会話機能を普遍的なものにしたいという。TechCrunch DisruptではVivプラットフォームを使って開発されたアプリがデモされるというので、プラットフォームの能力の一端が明らかになるだろう(Disrupt NY 5月9日から11日にかけてブルックリンのレッドフックで開催される。チケットはこちら)。

Dagの他に、KikのTed Livingston、Starfish MediaのSoledad O’Brien、Amazon Echoの副社長Mike Georgeなども講演する予定。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

コールセンター向けシステムを提供するTalkdeskが1500万ドルを追加調達

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既存の社内ITインフラと連動しながらコールセンター業務の効率化を支援するTalkdeskが、1500万ドルの資金を追加調達したようだ。

コールセンターに電話がかかってくると、発信者についてTalkdeskはSalesforceやZendeskなどに保管された情報を探しだして、問題解決を容易にしたり、あるいは最初から適切なサポート要員につなげられるようにする。

また、カスタマーセンターの担当者の見る画面には、自動的に電話をかけてきた人の情報が表示されるようにもなっている。たとえば購入履歴や平均購入額、名前などの情報を表示して、効率的な対応ができるようにしている。

「コールセンターがなくなってしまうことはありません」とTalkdeskのCEOであるTiago Paivaは述べている。もちろん、コールセンター向けのシステムを構築しているのだから、そのような意見をもっていることは当然のことではある。ただ、Talkdeskは2000社におよぶ顧客を抱えており、たしかにコールセンター関連システムには着実なニーズがあるようでもある。

talkdesk team tiago paiva「この分野でもメールやチャットなどが多く利用されるようになってきました。しかしそれだからこそ、電話を利用した際の印象などの重要性が増しているともいえるのです」とPaivaは言う。「コールセンターに電話する人は、確かに減りました。しかしそれでも電話するというのは、真にサポートを必要としているからでもあるのです。オーダーした料理と届いたものが違うというような場合、メールを送って返事を数時間も待っていることなどできないわけです。電話をして、即時の解決を望むのがふつうです」。

システムは十分な安定性をもって稼働するようになっており、そろそろ販路の拡大に資源を投入すべきだと判断しているようだ。Paivaによると、今後7ヶ月程度でセールス関連の人材を40名雇う予定であるとのことだ。計画通りにことがすすめば、株式公開も視野に入れているのだとのこと。

「1500万ドルの資金を新たに調達したということはすなわち、私たちの可能性を信じてくれる人がいるということです。ビジネス自体もうまくいっており、調達した資金のほとんどは銀行に保管しています。さらに多くの資金提供の話もあったのですが、断ってきたというのが真相です」とPaivaは語っている。

TalkDeskがスタートしたのは2011年で、これまでにあわせて1800万ドルの出資を受け入れている。尚、TalkDeskは2012年にニューヨークで開催されたStartup Battlefieldにも参加したサービスだ。

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(翻訳:Maeda, H

Oculus Rift、いよいよ今年後半に予約開始、来年初めに市販―独自ゲームも開発中

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Oculus Riftはいよいよ消費者向けバージョンの出荷準備に入っている。だが消費者は製品を箱から取り出しただけではバーチャル・リアリティーの世界に入ることはできないようだ。

Oculusの共同ファウンダー、Nate Mitchellは現在ニューヨークで開催中のTechCrunch Disruptに登壇し、消費者向けOculus Riftが今年後半に予約受付を開始し、2016年の第1四半期に出荷される予定だと明かした。しかしOculusには「最新のコンピュータゲームをプレイできるパソコンが必要」だとMitchellは付け加えた。

Oculus Riftはモンスター級のゲームマシンが必要というわけではない。Mitchellは「クレージーなハイエンドマシンが必要なわけではない」という。今年のCESのプレスイベントのデモで用いられたマシンには市販価格600ドル程度のnVidia GTX 980グラフィックカードが用いられていた。

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価格についてMitchellは「われわれはできるだけ手の届きやすい価格にしたいと努力している」と語った。しかしハイエンドの体験を届ける製品であるため、昨年Oculusが開発に協力したSamsungのバーチャルリアリティーヘッドセット、Gear VRよりかなり高価になるのは避けられないようだ。

Mitchellは「われわれはVRを2つのカテゴリーで考えている。ハイエンドはRift、ローエンドははSamsung Gear VRのような製品だ」と述べた。Samsung Gear VRは200ドルで、これに表示用のスマートフォン(649ドルかそれ以上)を必要とする。

Riftの販売経路についてMitchellは小売店を重視しているとして次のように語った。「われわれはOculus.comで予約を受け付けることになるだろうが、販売チャンネルでは小売店舗が重要な役割を果たす。というのも、Riftの購入にあたっては店頭での試用が重要だからだ。着用してみなければ異次元の体験であることが実感できない。何千万という人々がRiftを購入するようになるためには実際に手に取って試すことができる店頭での販売が不可欠の要素になる」

Mitchellはそれ以上の具体的な話には踏み込まなかったが、司会のJosh Constine記者が「それではBest Buyのような量販店にRiftのトライアルコーナーが出現するのか?」と尋ねたとき満足気な笑みを浮かべたように思えた。.

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さいわいOculusでは消費者向けデモにも使えるようなクールなゲームをすでに開発しているという。Mitchellによれば、Oculusは密かに社内で独自ゲームを開発していた。 Oculusは小人数の開発チームよって 昨年デモが公開されたHero Boundを始め、いくつかのタイトルを開発している。また外部のデベロッパーとOculusが共同開発するゲーム、さらにはサードパーティーのデベロッパーがまったく独自にOculusプラットフォーム上で開発するゲームも順次登場するという。

しかしあまりに暴力的だったりユーザーに船酔いを起こさせるようなゲームが野放しになっては消費者を遠ざけてしまうだろう。

Mitchellによれば、少なくとも市販の当初は、Rift向けゲームの公開にOculusの審査、承認を必要とすることになるという。しかしOculusはエコシステムのオープンさを重視しており、サードパーティーがコントローラーなどの周辺機器を開発することを認めるという。

あとひと月に迫ったE3ゲーム・カンファレンスでOculusはさらに新しい発表とデモを行うはずだ。Oculusが長らくSFの世界の存在だった高品位のバーチャル・リアリティーを万人のものにする日が近づいている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

TechCrunch Disrup NY:大統領候補、カーリー・フィオリーナ、テクノロジーによる政治の変革を訴える

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今日(米国時間5/5)、ニューヨークで開催中のTechCrunch Disrupのステージに共和党から大統領候補に名乗りを挙げたカーリー・フィオリーナが登場した。 「アメリカン・アイドル〔人気リアリティーショー〕に人々が毎週携帯電話から何回投票するか皆さんは知っているだろうか? 市民、特に若い市民がアメリカの大統領に対してアメリカン・アイドルに対するのと同様に対話するようになったらすばらしいはずだ」とフィオリーナは問いかけた。

テクノロジーの世界でフィオリーナは1999年から2005年にかけてHPのCEOを務めたことで知られている。大統領選に立候補するにあたってフィオリーナは、「現代のテクノロジーによって政府を再構想する」ことをモットーに掲げている。最近、ストリーミング・アプリのPeriscopeを使って若い有権者にそのことを訴えた。「テクノロジーはディスラプトを起こす力だ。われわれは政治の現状を打ち壊すのにテクノロジーの力を用いるべきだ」とフィオリーナは語った。

「シリコンバレーでの経験は世界がどう動いているかについて深い洞察を与えてくれた。私はそれををホワイトハウスで活かしたい」という。

テクノロジーはディスラプトを起こす力だ。われわれは政治の現状を打ち壊すのにテクノロジーの力を用いるべきだ

— カーリー・フィオリーナ

ただし、フィオリーナの在任期間中、HPでは大規模なレイオフが行われ、Compaqとの合併に失敗し、売上は大幅にダウンした。また彼女は気難しいリーダーで、ウォルター・ヒューレット(HPの共同ファウンダーのウォルター・ヒューレットの息子)を含む一部の取締役と激しく衝突したと言われている。実否はともあれ、女性CEOは経営スタイルについてこのような批判を受けることが多い。

しかしフィオリーナは「HPを停滞からリーダーへと活気づけた。政治では事実はあいまいだが、事実と数字はきわめて明白だ」と自賛した。

フィオリーナは2005年に大きな話題になった取締役会による自身の解任の理由を、一部の取締役の情報リーク、不況、そして変革への抵抗によるものだと説明した。「現状を打ち破り変革を主導しようとすると敵を作ってしまう。これは人間の本性によるものだ」という。

事実当時は他のテクノロジー企業のCEOにとっても環境は非常に厳しかった。Fiorinaはドットコムバブルの絶頂の頃にCEOに就任し、2000年代初期のバブルが破裂した期間を通じてHPを指揮しなければならなかった。とはいえ、Fiorinaの経営者としての実績は「最悪のもののひとつ」だとする声は強い。

「現在はテクノロジー・バブルの再来だと思うか?」という質問に対してフィオリーナは「環境が〔当時と〕同じだとは思わないが、多少の類似点はある。テクノロジー産業は多少泡だっているかもしれない。しかし私が問題にしているのは物理的世界からデジタル世界への30年から40年はかかるはずの変貌だ」と述べた。

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その長期的課題のひとつが最近のFCC〔連邦通信委員会〕によるインターネット中立性を担保する裁定だ。テクノロジー業界を始めとして多くの人々が大手インターネット接続業者による差別的なシステム―金を払えば高速接続が提供される―の構築を許すべきでないとしているのに対して、フィオリーナはFCCの裁定は政府による自由競争への介入だと主張する。「FCCが作った400ページにも上るインターネットへの規制をすべて白紙に戻す」つもりだと述べた。

フィオリーナは自身のテクノロジー産業での経験がホワイトハウスで必須のものだととして、「政府はテクノロジー産業のイノベーションを規制しようとすべきではない」と述べた。

フィオリーナは自身のサイトとソーシャルメディアで昨日大統領選に立候補すると正式に発表した。しかしHPでの経営者として実績への疑問、混戦模様の共和党の大統領予備選など今後の展望には楽観を許さないものがある。お得意のはずのテクノロジー分野でもcarlyfiornia.orgというドメインの取得に失敗し、自称「フィオリーナにレイオフされた怒れる市民」にいたずらサイトを作るのを許してしまった。

「関連ありそうなドメイン名を全部買うわけにはいかない。しかし買っておけばよかったかも」とフィオリーナは述べた。

Fiorinaはテクノロジー産業での経験が自分を大統領にもっともふさわしい候補にしている固く信じている。 最後にTechCruchのサラ・レインに「副大統領になるつもりはあるか?」と尋ねられ「私が男だったらそういう質問をするだろうか?」といったんは問い返した後、「私は大統領以外の職を目指していない。私は勝利するつもりだし、その職にふさわしい能力があると考えている」と答えた。

〔原文に全インタビューのビデオあり〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

TechCrunch Disrupt NYハッカソン:Gruberieはウェイターの代わりに注文を取ってくれるモバイル・アプリ

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TechCrunch Disrupt NYで実施されたハッカソンの成果のひとつはリリース後24時間たたないうちに早くも現実の顧客を獲得した。Gruberieはアプリを開発し、サイトを立ち上げただけでなく、ニューヨークのダイナーにGimbal Beaconを経由してこのアプリをテストしてみるよう説得することに成功した。

Gruberieをサポートしているレストランに入って席に着いたら、スマートフォンを取り出してアプリを起動する。するとアプリはGimabal位置ビーコンを通じてユーザーのいるレストランを特定し、そのメニューを表示する。食べたい料理を選んで支払情報を入力する(最初の1回だけ)。これで注文と支払が完了だ。しばらくするとテーブルに料理が運ばれる。水と食器を運んでくるときを除けば人間とのやりとりは一切介在しない。

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このサービスはGimbal、Atlantic.NetMasterCard Simplifyの各サービスをベースにしている。開発チームのSven HermannとVincent Volckaertはマンハッタンを歩きまわってこのサービスのテストに協力してくれるレストランを探した。最初の何件かには断られたが、Skylight Dinerが店内の45のテーブルにGimbalビーコンを設置し、メニューをGruberieデータベースに登録するのに協力してくれた。

このチームは以前にもハッカソンに挑戦している。昨年のDisrupt New York eventでは3位に入賞した。前回はその場かぎりのお楽しみプロジェクトだったが、Gruberieは優れたインフラが利用でき、すでにユーザーも獲得できているので、チームは今後も継続的な事業にしていきたいと語った。

アップデート: GruberieはAtlantic.Net、MasterCard、Gimbalからスポンサー特別賞を受賞した。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

TechCrunch Disrupt NYハッカソン:PagerはFacebookページを簡単にウェブサイトに変換する

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現在開催中のTechCrunch Disrupt NYで実施された24時間ハッカソンで3人のデベロッパーのチームが大いに役立ちそうなアプリケーションを開発した。 Pagerはウェブサイトを運営したいスモールビジネスのためにFacebookのページをそのままウェブサイトに変えてくれる。

このチームはこれまでレストランやバー、店舗などのスモールビジネスがWordPressでウェブサイトを構築、運営するのを手助けしてきた。しかし本格的なウェブサイトを運営するのは忙しいスモールビジネスのオーナーにとっては複雑すぎて重荷だった。しかしそうしたスモールビジネスは情報の豊富なFacebookページなら運営していることが多い。そこには店の写真やメニューやイベント情報などがタイムリーに掲載されている。

「このハックのアイディアというのは、つまり、Facebookを使っているスモールビジネスが同じ手間でウェブサイトも運営できるようにするということです。Facebookなら誰でも使い方を知っていますからね」と開発チームのDarrel-Day Guerreroは私に説明した。

設定はごく簡単だ。Pagerをインストールして起動した後、Facebookのアカウントでログインするとユーザーがが管理しているFacebookページの一覧が表示される。必要なページを選び、「保存」するとウェブサイトが自動的に立ち上がる。

ウェブサイトはAbout、ニュース、イベント、ギャラリーの4つのカテゴリーに分類される。Aboutページにはビジネスの内容、住所、電話番号、営業時間などが表示される。ニュースには通常の近況投稿が表示される。イベントとギャラリーは説明の必要はないだろう。

現在、すべての機能が作動するところまでは完成していない。しかし基本的な機能を実現するコードはFacebook APIを利用してすでに実装されている。 「午前2時くらいまでは快調でしたが、それからちょっと苦しくなりました」とチームのAlex Ileaは言う。

Alex Ilea、Anton Shevchenko、Darrel-Day Guerreroの3人はハッカソンに参加する前からのチームなので、ハッカソン終了後もこのプロジェクトを継続していくと思われる。良いアイディアなのでぜひそうして欲しいものだ。 もっともまず必要なのは多少の睡眠かもしれないが。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Disrupt キーノート―Google Xの責任者、Astro Tellerがテクノロジーの理想のあり方を語る

Astro TellerがTechCrunch Disrupt NYでキーノート講演を行った。TellerはGoogleのムーンショット・プロジェクト〔月旅行のような遠大な計画〕を進めるGoogle Xの責任者だ。このチームは自動走行車、Project LoonGoogle Glassなどを開発している。しかしTellerがキーノートで語ったビジョンは意外なものだった。

Tellerによると、テクノロジーにおける真のイノベーションというのはわれわれの生活の中でまったくそれと気づかづに使えるようなものでなくてはならないという。Tellerはその例として自動車のブレーキのABSシステムを取り上げた。ドライバーがABS装着車のブレーキを踏むとき、実はブレーキそのものを作動させているのではなく、ある種のロボットに指示を出しているのだ、という。

「これこそすばらしいテクノロジーだ。ユーザーは一切面倒なことをする必要がない。やりたいことするだけでよい。日常生活の中でテクノロジーにこのレベルの不可視性を獲得“させることがわれわれの最終的目標だ。それは生活に溶け込み、自らの存在を消してしまう。そのようなテクノロジーは『あなたがそれをする必要はない。私が代わってそれをする』と語る」とTellerは述べた。

いちいち持ちあるく必要がなくなったとき電話は素晴らしいものになる。

Tellerによれば、「現在われわれはテクノロジーといえば、スマートフォン、ノートパソコン、スマートウォッチなどのことだと考える。現在のテクノロジーは人間の認識力を強化するというより、むしろ妨げている。それは生活の中に無用な煩わしさを持ち込んでいる。電話というテクノロジーはデザインやバッテリー駆動時間が改良されたからといって本質的に良いものになるわけではない。いちいち持ちあるく必要がなくなったとき電話は素晴らしいものになる」という。

これがGoogle Xのさまざまなプロジェクトの背後にあるビジョンだ。ある意味、反テクノロジー的なアプローチといえる。Google Xチームは「テクノロジーは自らを背景に消し去ったときにもっとも効果的なものとなる」と考えている。

邪魔なテクノロジーを消し去るためにどのようにテクノロジーを利用したらよいかをわれわれは追求している。われわれはみなたいへんな労力をかけて自動車の運転を習う。そして運転しながらメッセージを入力したりブリトー食べたりメークを直したりする。その結果、アメリカでは交通事故で毎年3万人もの人々が死亡している。

自動車は将来、すべてGoogle Xが開発しているような自動走行車に置き換えられるはずだ。われわれは過去を振り返って、自動車をいちいち人間が操縦していたことを不思議に思うようになるに違いない。

次にTellerはウェアラブル・テクノロジーについて語った。Google Glassについては「ユーザーを現実から引き離し、上の空にさせる」という批判をよく聞く。ではTeller自身はどう考えているのか?

「理想的な世界ではユーザーはユーザーインターフェースを意識さえしないですむ。ユーザーがユーザーインターフェースを意識するのは何らかの事情でそれが作動を停止したときだけだ。そういうテクノロジーは人間性を減らすのではなく豊富にする」とTellerは主張する。

Google Xはそういう未来を探り、創りだすための活動だという。「しかしテクノロジーをそのような不可視性のレベルにまで高めるための前途はまだ遠い。われわれはテクノロジーを意識させないテクノロジーを生み出すことにはまだ成功していない」とTellerは結論した。

〔日本版:アストロ・テラーは本名Eric Teller。コンピュータ科学者、起業家、作家。2010年からGoogle Xの責任者を務めている。祖父は水爆開発やスターウォーズ計画に大きな貢献をしたハンガリー生まれの科学者エドワード・テラー。知性と人格を獲得したプログラムとプラグラマーの女性との心の交流を描いた異色のSF小説は日本語にも翻訳されている。〕

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