グループビデオチャットのTenHandsがChromeのWebRTCで実装–プラグイン不要に

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Webアプリケーションとモバイルアプリ向けにビデオコラボレーションサービスを提供しているTenHandsが、WebRTCのサポートを発表した。WebRTCはブラウザ内でプラグインを使わずにオーディオやビデオによる通話ができるためのJavaScriptライブラリで、TenHandsのAPIは、ユーザがChrome 24より上のブラウザを使っている場合には自動的にWebRTCによるオーディオビデオ通話を行う。

これまでの(そしてデフォルトの)TenHandsは、Chromeの場合のようにブラウザがWebRTCをサポートしていなければ、自分のWebRTCプラグインをインストールするので、デベロッパは相互運用性を心配する必要がない。しかしTenHandsは、いずれどのブラウザもWebRTCをネイティブでサポートする、と予測している。その標準規格化に関して、Microsoftだけは独自の考えのようだが、いずれにしても今すでにWebRTCの普及に期待しているベンダは多い。Skypeを抱えるMicrosoftも当然、このレースに加わるはずだから、向こう数か月の標準規格をめぐる議論からは目を離せない。

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TenHandsのCOO Jack Blaeserによれば、どのWebブラウザも標準規格として確定したWebRTCをサポートするようになれば、ビデオの民主化に向けての大きな前進になる。これからは個々のアプリケーションやベンダ(AT&T, Verizon, Skype, …)に閉じこめられることなく、どんなユーザでも、どんなアプリケーションでも、ブラウザの上で、HDビデオと音声によるコミュニケーションができるようになる。そのための特殊なハードウェアやソフトウェアは要らない。

Blaeserの見方では、それによって数々の新しいユースケースも生まれる。たとえばコールセンターは、Webでもモバイルでも、ビデオと音声でリアルタイムの対話ができるようになる。またWebRTCの標準化と普及により、遠距離学習や遠隔医療などがより簡単にできるようになり、イノベーションを加速する。“ブラウザが情報へのアクセスに革命をもたらしたように、WebRTCによってそのブラウザがさらに、ビデオと音声によるコミュニケーションのメインの手段になり、通信市場全体が大きく変貌する”。ということはつまり、これまでの携帯キャリアとか放送局〜放送会社など、大量の通信帯域を特定目的だけのために独占していた業態は、不要になると思われる。インターネットでも、Skypeに代表されるような私企業的規格に基づくアプリケーションは、おそらく御用済みになる。

TenHandsがさらに主張するのは、同社が“GoogleによるWebRTCの実装を利用する、初めての、Flashに依存しない、リアルタイムの商用ビデオソリューション”であることだ。ただし、TwilioPlivoTokBoxなどのビデオプラットホームもすでに、各種のWebRTCベースのサービスを提供している(多くはまだベータだが)。

TenHandsの創業は2011年で、それ以降今日まで、レーダーに映らない低空飛行を続けてきた。しかしこのところ、WebRTCがホットな話題になってきたので、同社のステルスモードもあと数か月で終わるだろう。Chrome向けの、ネイティブWebRTCによる実装のローンチを記念して同社は、2月9日にAPIのハッカソンを行う。優勝賞金は4000ドルだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))