Teslaのオートパイロットがレーダーの超人的視力で高速道路の多重衝突を避ける(ビデオ)

Teslaは現行オートパイロット・システムと来るべき自動運転テクノロジーは安全性を大きく高めると頻繁に主張している。しかしTeslaのこうした機能が実際に乗員の生命を守るところを見る機会はこれまでほとんどなかった。

エンベッドしたビデオではTesla Autopilot 8.0ソフトウェアが緊急時に作動するところが見られる。このシステムはレーダー・テクノロジーを用いており、ドライバーの視界を妨げる障害物の向こう側を見通すことができる。

このビデオではTeslaの前面衝突警告システム(警告音を発して前方の障害物と衝突する可能性があることをドライバーに知らせる)が作動するのは直前の車が衝突に巻き込まれる前だ。Tesla Model Xはなぜこれほど素早くブレーキングを開始できたのだろう? 高速道路上で黒いSUVが突然停止し、その直後を走っていた赤い小型車が避けきれずに追突している。〔ビデオを観察すると、SUVはその前方を走っていた車に何らかの理由で追突して急停止したもよう〕。

通常ならこの事故はModel X自身を含めて大規模な多重衝突に発展しそうな好例だった。しかしドライブレコーダーの映像が示すとおり、Teslaはドライバーに危険を警告すると同時にドライバーの反応より早く急ブレーキを作動させている。その結果、Tesla Model Xは多重衝突の十分手前で停止した(さいわい事故は物損にとどまり、乗員は無事だった)。

これまでにもTeslaのドライバーは急加速で追突を避けるビデオなど安全性を示すビデオをいくつか公開している。TeslaのCEO、イーロン・マスクは2017年末までに完全自動運転機能を実験に移したい意向だ。Teslaではこの機能は車の安全性をさらに向上させるものと期待している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Tesla Model Xのオートパイロット、肺塞栓症の運転手を病院へ運ぶ

The interior view of a Tesla Motors Inc. Model S P90D, a model with some autopilot features, is seen during an exhibition featuring several self-driving cars outside of the Dirksen Senate Office Building in Washington, D.C., U.S., on Tuesday, March 15, 2016. Advocates of self-driving cars say the vehicles may revolutionize U.S. transportation enough so that the government can spend less money on roads, parking garages and public transportation systems. Photographer: Drew Angerer/Bloomberg via Getty Images

ミズーリ州に住むその男性は、Tesla Model Xの自動運転機能に助けられなければ、病院に無事たどり着けなかったかもしれない(via Slate)。Model XのオーナーであるJoshua Neally(37)は、職場の法律事務所からの帰宅途中、肺塞栓症に襲われた。Neallyが20マイル余りの幹線道路の運転をオートパイロットに任せると、システムは車とドライバーを病院近くの出口ランプまで運び、Neallyは残りの道のりを走りきった。

先のフロリダの死亡事故以来、Teslaのオートパイロットシステムは厳しい目にさらされているが、これはシステムがドライバーを助けた明白な事例だ。すぐ頭に浮かぶのは、Neallyが自動運転機能に頼るより、路肩に車を寄せ救急車を呼んだ方が総合的に安全だったのではないかという疑問だ。なにしろNeallyは症状が出た後の「走行状況の記憶」が殆どないことを認めているのである。

しかし、Neallyが運転を続けたことが正しい判断だったかどうかは別として、これはオートパイロットのような安全機能の重要性と必要性を証明する事例だ。医療緊急時など人命に関わる状況下で、われわれの行動について正常かつ論理的で誠実な判断を下せる人はほとんどいない。

Neallyは地元のNBC系テレビ局KY3のインタビューに答えて、肺塞栓症の症状を感じたとき「考えたのはERへ行かなくていけないということだけだった」と言った。言い換えれば、Neallyは事実上パニック状態にあり、とるべき行動はできるだけ早く病院へ行くことだと本能が命じたのだろう。

身体に著しく無理のかかった状態で運転を続けることは最良の選択ではないかもしれないが、それは人間的行動であり、またオートパイロットがNeallyを病院へ無事送り届けたことは実に感動的だ。もし、症状が深刻で運転を続けたり判断を下すことが身体的に不可能な場合、オートパイロットはフェイルセーフモードに入り、速度を落としハザードランプを点滅させながらゆっくりと路肩に車を寄せる。

果たしてこの状況下でドライバーは、車を止めて救急車を呼ぶより、システムがあるなら何とかして運転を続けるものなのか、またオートパイロットに運転させることは他の方法と比べて安全なのかどうかは議論のあるところだ。しかしはっきりしているのは、命の危険を感じた人間が合理的知識に基づく判断をするとは限らないことであり、それこそが、自立走行技術が最大の影響を及ぼせる場面だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tesla、別の事故でもオートパイロット作動中だった疑い

screen-shot-2016-07-06-at-11-43-15-am

【本稿の執筆者はMark Lelinwalla】
Teslaのオートパイロット機能は、会社が気付いている以上に大きな問題かもしれない。先週金曜日(米国時間7/1)にデトロイトの画廊オーナーの2016年Tesla Model Xがペンシルベニア・ターンパイクで衝突して転倒した際、彼は事故当時車はオートパイロットモードだったと警察に伝えたと、Detroit Free Pressは報じた。

Model Xを運転していたAlbert Scaglioneと、義理の息子、Tim Yankeのふたりとも、ピッツバーグから東100マイルの場所で起きた事故から生還したが、Teslaのオートパイロットモードに対する監視の目は厳しくなるばかりだ。TeslaはElectrekに対する声明で、「事故当時にオートパイロットが作動していたことを示唆するデータはなく、顧客から連絡があるまで会社はこれ以上調査ができない」と語った。

Free Pressは、ペンシルベニア州警察の事故報告書によると、Model Xは「道路右」のガードレールに衝突し、「その後東方向レーンを横切ってコンクリート製中央分離帯にぶつかり東方向レーン上に転倒した、と報じている。Scaglioneは警察に、彼のModel Xが事故当時オートパイロットモードだったと伝えたとされている。

この事故の一日前、幹線道路交通安全局(NHTSA)はフロリダで起きた5月7日の死亡事故の調査を開始したばかりだった。その事故でTesla Model Sのオーナー、Joshua D Brownは同じ機能を作動させていた。7月5日にTeslaは、5月7日の事故について発生から9日後に規制当局に報告したと主張した。

NHTSAがフロリダのオートパイロット関連死亡事故を徹底的に調査しなくてはならないのと同様、ペンシルベニア州警察も、Model Xのオートパイロットが誤動作したかどうかを、詳しく調べる必要がある。現場の状況を報告した警察官、Dale VukovichはFree Pressに対して、別の車一台を巻き込んだこの事故に関して彼はScaglioneに出頭を命ずるだろうと話したが、罪状は明らかにしなかった。

今回のModel Xの事故について知る以前、Tesla CEO Elon Muskは、Brownの死に哀悼の意を表した後、これをリツイートした。

[毎年130万人が自動車事故で死んでいる。Teslaのオートパイロットで1人死んだだけで、人々は無人走行者は危険だと非難する。]

今度は何と言うのだろうか?

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

BMW vs Tesla:イノベーターのジレンマのリアル版

編集部注: 本稿のライター、Peter YaredはSaphoのファウンダー・CTOで、元CBS InteractiveのCTO/CIO。

Jill Leporeは、自身のNew Yorkerの記事で破壊的イノベーションに疑問を呈し、シリコンバレーで波紋を呼んだ。彼女は、既存の大企業が生き残り、小さな進歩を繰り返すことによって破壊的テクノロジーを呑み込んでいくと推測する。幸い、われわれには生きている実験台がある。BMWの新電気自動車 i3は、伝統的メーカーがTeslaを前に、イノベーションのジレンマに直面する現在進行形のケーススタディーだ。

Elon Muskは、未来の量産電気自動車の標準をこう定義した ― 価格は4万ドル前後、航行距離は200マイルで、BMW 3シリーズに対抗する。この大胆なゴールを達成するべく、Teslaは「ギガ工場」を作ってバッテリーを高効率低コストで生産し、その夢を現実にする計画に投資している。投資家は、Teslaがその規模を達成した時には市場を支配することに賭けている。まだ年間3万5000台しか生産していないにもかかわらず、時価総額は280億ドルに上る。Muskが、近日発売の大衆車 Model 3を、BMW 3シリーズと直接比較しているのは興味深い。現在BMWは新しいi3を、米国市場に限定的に投入しているだけだ。

BMW対Teslaの戦いからは、多くの有益な教訓を得ることができる。自動車は目に見える製品であり、販売戦術も非常に透明だからだ。

ブランド

車名に “3″ が入っているものの、i3 は明らかにBMWの3シリーズではない。車長は60cmも短かく、むしろBMW 1シリーズの仲間に入れるべきだ。i3の80~100マイルという航行距離は、Nissan LeafやChevrolet Volt等と同等であり、Tesla Model Sのようなテクノロジーの奇蹟とは比較にならない。

その制約にもかかわらず、i3は明らかに共感を呼び、レビューでの評価も高く、先月TrueCarで急騰した価格からも、米国内での高い初期需要がうかがえる。BMWは3シリーズのブランドを効果的に(誤)使用しており、テクノロジーの進歩に合わせて、車体を伸ばしたり航行距離を延ばすなどの機能追加が可能だ。

教訓:伝統的メーカーは、誤った製品名を付けることによってブランドを活用できる。新興企業が直接特定のモデルを比較対象にしている時はなおさら。

Tesla Model 3 (Estimated) BMW i3 BMW 320
Passengers 5 5 5
Range ~200 miles on electric 80-100 miles on electric, 185 miles with gas range extender(Total hack!) 380-576 miles on gas
Base Price ~$40,000 $41,350 $32,750
0-60 N/A 7.2 seconds 7.1 seconds
Dimensions ~182” long x ~71” wide (Matching BMW 3 series) 157” long x 70” wide (Not even close to a 3 series!) 182” long x 71” wide
Availability 2017 2014 2014

テクノロジー

BMWは、完全電動車のプラットフォーム構築に莫大なリソースを注ぎ込んでおり、消費者にいた早く価値を提供するためには、過去のテクノロジーを融合することも厭わない。対照的に、Mercedesは、提携の道を選び、近く発売する電気自動車の駆動部およびバッテリー技術をTeslaから購入している。BMW、Mercedes共に、自動パーキングや高速道路で車線を守り車間距離を一定に保つクルーズコントロール等、高度な車両技術においてはTeslaをはるかに凌いでいる。

バッテリー技術の進化を待つことなく、中価格帯で200マイルを走る電気自動車を作るために、BMWはオプションとして「レンジエクステンダー」を販売している。これはバッテリー動力の5%を維持できる2気筒のオートバイ用エンジンで、航行距離を80マイル延長する。レンジエクステンダーは、バッテリーを充電するものであり駆動はしないので、i3はハイブリッド車ではないが、レンジエクステンダーは常に給油可能なため、動力を失うことがない。これは実に巧妙なしくみだが、よく考えられており競争力がある。BMWの技術者は、このアイデアを思いついた時、ほくそ笑んだに違いない。

このi3によって、BMWは、都市ドライバーや平均的通勤者といった、時折遠出にも使うが、充電ステーションのことを考えたくない人々に、「十分良くできた」高級電気自動車を提供した。

教訓:伝統的メーカーは、新技術を自社の旧技術と混ぜこぜにして、新たなライバルを蹴落とそうとすることが多い。

生産台数

Teslaは、最初の製品を2006年に発売し、2014年には3万5000台のModel Sセダンを売ろうとしている。2014年後半で約1万7500台だ。BMWは2014年にi3を発売し、今年前半に6000台のi3を主にヨーロッパ市場で売った。現在3~6ヵ月待ちの状態だ。需要の急騰を受け、BMWは生産量を年間2万台に引き上げ、現在1日に100台、年間3万台以上のペースで製造している。伝統的メーカーが出荷初年度に、高級電気自動車分野でTeslaを抜きつつあるという事実は、Teslaの優れた製品と何年もの市場におけるリードを踏まえると、驚くべきことだ。

教訓:伝統的企業が技術を融合させると、大量生産が可能になる。

販売

Teslaが旧態依然のディーラー網モデルを破壊しようとしているのに対し、BMWはその広大なディーラー網を活用して世界中の消費者につながっている。また消費者は、TrueCarBeepi等のサービスを使って、新車や下取りの価格を、ディーラーと交渉せずに済ませることもできる。BMWは、多額の報奨金によって、消費者に購入を促すこともできる。自動車メーカーとディーラーたちは、Teslaと戦うために、法規制で足止めをさせ市場参入を制限しようとしている。

教訓:イノベーターは、伝統的企業の巨大で動きの鈍い販売チャネルを過少評価すべきでない。

市場参入

Teslaは、ハイエンド車で市場に参入する必要があった。長い航行距離を可能にするバッテリーを使用しつつ、気まぐれな投資家のために利益を確保するためだ。大衆向けの中価格帯車が可能になる何年も前のことだった。BMWの体力は、中間市場に参入し、翌年i8スーパーカーで米国の超ハイエンドに進むことを可能にした。BMWにとって、特徴ある都市向けのi3は、事実上BMWのイノベーションとグリーンな未来の動く広告塔であり、優位に立つために原価割れで売ることさえ可能だ。

Teslaのハイエンドファースト戦略には、Tesla Sがかなり大型で都市環境に向かないというリスクもある ― BMW 7シリーズより幅が広く、長さはほぼ同じ。大型の高級4ドアセダンは、35歳以上のアッパーミドルクラスの男性が典型的購入者であり、その層は、残念ながら最も流行に敏感な人々ではないことを認めざるを得ない。BMWは、徹底的に市場を研究し、i3の先進的デザインとより小型な都市向けサイズ、そして実証済みの若者層にアピールするブランドによって、流行に敏感な若い都市型人間をターゲットにした。

教訓:伝統的メーカーは、しばしば様々な市場セグメントを持ち、スケールメリットを生かして、新興企業の計画を出し抜く。

本当に破壊されているのは誰か?

大きな疑問は、電気自動車が破壊しようとしているのは、果たしてどの業界なのかである。当初、伝統的自動車メーカーは、電気自動車の挑戦に対抗できないと思われた。彼らはハイブリッド車を広く採用し、今やそこそこ競争力のある電気自動車を販売し、水素燃料電池の実験も続けている。広い視点で見ると、ExxonMobilとChevronの方が、BMWとChevroletよりも、電気自動車に破壊されているのかもしれない。

Elon Muskは起業家のヒーローであり、乗用車、宇宙飛行、および電力業界を同時に破壊しようとしている。これらの業界にいる伝統的企業のいくつかは、ある時点で目を覚まし、積極的に対応する必要があるかもしれない。Muskにとって幸運なことに、United Launch Allianceは、BMWがTeslaに対するほどには、SpaceXに対して敏速ではない。

情報開示:筆者は、Tesla Model Xの待ち行列の6250番目にいる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook