フラワーデリバリーのThe Bouqsが山佐から33億円調達、日本市場参入へ

The Bouqs(ザ・ブークス)は今年、60億ドル(約6540億円)規模の日本の花市場に参入する計画だ。日本企業の山佐が出資する戦略的成長ラウンドの3000万ドル(約33億円)を活用しての進出となる。The Bouqsは米国ではまだ1-800-FlowersやFTDといった強力なライバルと争わなければならないが、今度は青山フラワーマーケットやFloraJapan(フローラジャパン)などの相手もしなければならなくなる。この2社はいずれも日本全国でフラワー同日配達サービスを展開している。山佐は、岡山県を拠点とする日本の大手パチスロメーカー。パチスロ機の製造のほか、航空機・船舶リース事業も手掛けているほか、最近ではeスポーツの協賛やバーチャルYouTuberなどに事業を拡大している。

なぜ日本なのか。The Bouqsの創業者でCEOのJohn Tabis(ジョン・タビス)氏によると、同社はこのところ米国外への進出を模索していたが、日本が計画とマッチした。

The Bouqsの創業者でCEOのジョン・タビス

「いかなる国での激しい競争でもTabisは阻まれることはない」とタビス氏は話す。「どこに視点を定めるべきかわかっていれば、フラワーデリバリービジネスには多くのチャンスが広がっている」とTechCrunchに語った。「似たような取り組みを展開しようとしたスタートアップが4社か5社あり、そのうちのいくつかすでにサービスをやめている」と同氏氏は語った。「しかし我々の強みはというと、まず委託の仕方がユニークなこと。これが、ブランドの基礎となっている」とのこと。

The Bouqsは、BloomThatやFarm Girl、Urban Stemsといったシリコンバレーが出資したフラワーデリバリーサービスが次々と出てくる中で登場した。これらの企業はすべて、クリック一つでPinterestに載せるにふさわしい花束を届けることを約束していた。だがThe Bouqsが他社と差別化を図れた要素は、これまで長い間当たり前だった仲介や配達のコストをなくす産直のサプライチェーンだ。

Crunchbaseによると、今回のラウンドでThe Bouqsがこれまでに調達した額は7400万ドル(約80億円)となり、フラワーデリバリースタートアップの中ではトップだ。競合するUrban Stemsが2700万ドル(約29億円)で2位につけている。

タビス氏は、新たな資金で実在店舗の展開やウェディングビジネスへの参入も視野に入れていると語る。これまでに結婚式を計画したことのある人ならディスラプトの機が熟している業界だということは知っているだろう。新郎新婦は花代だけで予算のおおよそ8%を使う。

もう1つ、同社が改めてフォーカスするのがサブスクリプションのビジネスだ。サブスクでは顧客のブーケがダメになると新しい花が届けられる。「売上高も収益率も伸びていて、いい形で成長している我々のビジネスにとってサブスクは要のようなものだ」とタビス氏はTechCrunchに語った。

山佐の取締役であり佐野範一氏はプレスリリースの中でアジアでの事業拡大に言及していて、日本での事業がうまくいけばより多くの国でThe Bouqsが展開されるかもしれない。

「新たな資金の注入で、トップ品質の花農家とカテゴリーを代表する地域のフローラルブランドとの組み合わせによるグローバルネットワークを構築するというビジョンを実現することができるだろう。カテゴリーを代表するフローラルブランドは占有のサプライチェーンテクノロジーと委託対応能力を持ち合わせている。我々は事業の次なる段階を迎えること、そして目の前に広がる可能性を楽しみにしている」とタビス氏は話した。

画像クレジット: DoctorEgg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi