ユーザーのコンテクストを認識して最適のアプリを選ぶスマート・ロックスクリーンのCoverがGoogle Playで公開ベータ開始

ユーザーの置かれた状況を認識できるAndroid向けスマート・ロックスクリーンのCover限定ベータテストを開始してから6週間になる。今日(米国時間1212)、CoverはGoogle Playストアで公開ベータテストを開始した。Android 4.1以上、当面アメリカ、カナダ、ヨーロッパが対象となる。

Coverではベータテスト開始後、電力消費の削減、位置認識(自動車、家、仕事場)の精度など100箇所の改良を行ったとしている。Coverはこれらのユーザー・コンテクストを認識してそれぞれにもっとも適したアプリをロックスクリーン上に表示するアプリだ。

CoverのファウンダーTodd Jacksonは私の取材に対して「ベータテストの開始時に私が懸念したのはユーザーがコンテクスト・ロックスクリーンという概念を理解してくれるかどうかだった。10月以来、何千人ものテスターに使ってもらった結果はというと、問題なく理解してくれた」と答えた。

Coverはアプリのランチャーではなくあくまでロックスクリーンであるこに重点を置いており、他のランチャーと併用することが可能だ。

ユーザーが手間をかけてカスタマイズした既存のアプリ・ランチャーをオーバーライドしてしまったことがFacebook Homeの失敗の原因だった。既存のホームスクリーンの上に被せられた新しい対話UIであるという点がCoverの狙いだ。

Coverとは何?

Coverの動作の詳細についてはローンチ時に私が書いた記事を参照いただきたい。

念のため簡単に復習する、 Coverはユーザーが自宅にいるのか、仕事中か、あるいは自動車の中にいるかを判断し、それぞれのコンテクストに適したアプリをロックスクリーンに表示する。表示するアプリの選択にはクラウドソース・データを用いる。たとえば多くのユーザーが仕事中はDropboxを多用し、自宅ではNetflixを開くことが多いといったデータだ。Coverはまたユーザーがそれぞれのコンテクストでどんなアプリを利用したかを記憶して学習する。CoverのPeekはアプリ間をすばやく行き来するための便利な機能だ。

CoverのデモとファウンダーのJacksonへのインタビューを再掲しておこう。

スマートフォン中もっとも目立つ場所であるロックスクリーンにCoverを導入したくなるようユーザーを仕向けるためには高い品質が必要だ。それがCoverがAndroidのベータ・システムjを利用した理由だという。ロックスクリーンを変更するようなアプリをインストールするのはハードルが高い。そこでどうしてもユーザーの声の大規模なフィードバックが必要なのだとJacksonは言う。

ベータテストでもっとも大きいユーザーの懸念はバッテリーの駆動時間だったという。Jacksonによれば「バッテリー駆動時間が5%以上減少するようだとユーザーはCoverをアンインストールしてしまう。われわれはバッテリー消費量を5%以下に押さえるために非常に苦労した」と語った。”

公開ベータまでに改良された点はこの他に運動検知アルゴリズムの改良によって車内にいることを検知する精度を高めたこと、KitKatに対応させたことなど100箇所にも上る。

CoverはFirst Round CapitalをリーダーにJosh Kopelman、Harrison Metal Capital、MaxLevchin、Keith Raboisなどの投資家から170万ドルの資金調達を行っている。

ひしめくコンテクスト・ロックスクリーンのライバル

Coverが公開ベータに踏み切ったことで、他のロックスクリーン・アプリのライバル、AviateFacebook HomeWidditなどと正面から競争することになる。近くAndroidのスマート・ロックスクリーンはそれ自身で有力なジャンルを形成するはずだ。

Jacksonは「多くのユーザーがわれわれにGO LauncherNova LauncherEverything.meなどのようなアプリ・ランチャーを作って欲しいと言ってきている」と語った。しかしJacksonは「Androidのパイは日毎に巨大化を続けている。どんなジャンルであろうと優秀なアプリなら十分なユーザーを集めることができるはずだ」と考えている。

デベロッパーは慣れ親しんたUIと大きく異るロックスクリーンやランチャーを作ることにためらいがちだが、ユーザーがインストールするアプリがますます増え、画面また画面、フォルダーまたフォルダーという状況は次第にユーザビリティーの限界に近づいている。

この「アプリの海」を効果的にナビゲーションする方法としてユーザーの置かれたコンテクストを利用したスマート・アプリは近く大きなトレンドとなるに違いない。

Coverのダウンロードはこちら

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Android専用ロックスクリーン、Coverは状況に応じて最適アプリを起動―コンテキスト・コンピューティングへの第一歩か

われわれはとかく必要以上にアプリをインストールしてわけがわからなくなってしまうものだが、Coverがこの問題を解決してくれるかもしれない。これはAndroid専用ロックスクリーン・アプリで、今日(米国時間10/24)、招待オンリーで発表された。

Coverはユーザーの位置情報にもとづいて家庭、車内、会社などコンテキストに応じて最適のアプリをロックスクリーンに表示し、スワイプで即座にそのアプリを立ち上げるなど優れた機能を満載している。First Round Capitalからの170万ドルの資金を得て、CoverはiOSに対するAndroidのカスタマイズ性の優位を最大限に生かしたAndroid専用アプリとなっている。

Coverではコンテクストが王様、スピードが女王様

Coverに登録して招待をもらうと、Google Play Storeにアプリが表示され、ベータテスターの仲間入りができる。インストールするとCoverは既存のロックスクリーンを代替する。ただしロックスクリーン以外のランチャーやカスタム設定はいっさいそのままで変更はない。Coverの設定に必要なのは自宅と仕事場の住所だけだ。

Coverには位置情報に基づいたジオフェンス機能が内蔵されており、ユーザーが登録された領域に入ると、それに応じてロックスクリーンに表示されるアプリが変化する。ロックスクリーンの左側には6つのアプリが表示される。デフォールトの設定は他のユーザーの利用する人気度合いによって選択される。つまり仕事場ではGoogle Drive、Dropbox、LinkedIn、Asanaが表示され、自宅ではNetflix、Kindle、Facebookなどが表示されるという具合だ。Coverはユーザーのアプリ利用パターンを学習するし、ユーザーが自分でカスタマイズすることもできる。

自宅と仕事場以外の場所にいるばあいは「外出中」と判断され、たとえばヘッドフォンをプラグに挿しこむと音楽アプリが自動的に立ち上がったりする。加速度計からの情報で自動車を運転中だと判断するとクラウドソース・カーナビのWazeとGoogleマップが起動する。

Coverのもう一つの重要な機能はPeekといい、ロックスクリーンに表示されているアプリのアイコンを右にスワイプすると直接そのアプリが起動する。アプリのアイコンが右にずれていくとその下からアプリのトップ画面が現れる。FacebookやTwitterなどのアップデートを驚くほど速くチェックできるすぐれものの機能だ。

またCoverにはアプリのクィック・スイッチ機能がある。他のアプリを使っているときに、いつでも右上隅をからCoverのスイッチ・メニューをドラグダウンできる。ここには最近利用したアプリと現在利用しているアプリに関連の深いアプリへのショートカットが表示されて、クリックするとそのアプリが立ち上がる。メールを書いている最中に地図を参照する必要が出てきても、いちいちホームボタンを押してランチャーを表示し、ランチャーから目的のアプリを起動して、またその手順を繰り返して元のアプリに戻るなどという手間をかける必要がない。

スマート設定機能では自宅で夜12時以降は着信音を鳴らさないなどさまざまなカスタム設定が可能だ。

正直、私はCoverの機能に感心した。私はiPhoneユーザーなのでAndroidユーザーに少々嫉妬を覚えたほどだ。

【中略】

Coverは本格的コンテクスト・コンピューティングへの第一歩になるか

Coverはユーザーにとってすばらしいアプリであるだけでなく、他のデベロッパーにも大きなメリットをもたらしそうだ。ユーザーは後の管理が面倒なので新しいアプリをあまり気軽にダウンロードしなくなっている。Coverはその管理をユーザーに代わって引き受けてくれるのでアプリのダウンロードに対する心理的な抵抗を軽減してくれそうだ。

またCoverはアプリのディスカバリーによって収益化を図ることができるかもしれない。Jacksonは「当面Coverは優れたプロダクトを作り、ユーザーベースを拡大することに専心する」と語っていたが、最終的にはマネタイズを考えねばならない。その場合、「コンテキストを判断して適切なアプリの利用を推薦する」というCoverの能力が収益化に結びつくかもしれない。たとえばユーザーがまだインストールしていない新たなアプリを推薦するなどが考えられる。

たとえば大きなカンファレンスの会場に到着したとき、Coverは付近のCoverユーザーが使っているアプリを検索し、カンファレンスのスケジュール・アプリが多くのユーザーに使われているとわかれば、それをダウンロードするよう勧めることができるだろう。

将来、Coverは単なるアプリのランチャー以上の本格的コンテキスト・コンピューティングを実行できるようになるべきだとJacksonは考えている。各種センサー、カレンダー、メールなどから情報を収集してユーザーの置かれているコンテキストを認識し、それに応じた処理を行うわけだ。たとえばFab(ショッピング・アプリ)が私にプッシュ通知を送りつけてきた場合、オフィスで仕事をしているときだったら開きはしないが、家でくつろいでいるときだったらおそらく開いて読むだおる。将来、Coverはメッセージの内容を判断してFabのメッセージを表示するのは私が家に帰るまで待つなどという高度な処理ができるようになるかもしれない、とJacksonは夢想している。

Coverからの招待を受け取るにはこちらを訪問すること。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+