ソーシャルな要素を取り入れた新しいカレンダーアプリ「Amie」

個人とチームの両方に向けたまったく新しい生産性向上アプリに取り組むスタートアップAmie(アミー)を紹介しよう。同社は新たにアプリを発表した。ユーザーはウェイティングリストに登録することができる。Amieは仕事の達成やチームとの連携に役立つ、デザイン性に優れたカレンダーアプリだ。

Amieは、以前チャレンジャーバンクのN26でプロダクトマネージャーとして働いていたDennis Müller(デニス・ミューラー)氏が創業した。Creandumをはじめ、Tiny.VCや複数のビジネス・エンジェルが早い段階から投資したため、同社はあまり大きなプレッシャーもなく製品に取り組むことができた。

そして、ミューラー氏のデモで筆者が見たものは、忠実なユーザーらを簡単に引き付けることができる洗練されたアプリだった。多くの企業でデフォルトの選択肢となっているGoogleカレンダーよりも、はるかに利便性の高い、細かな工夫がたくさん施されている。

Amieを開くと、カレンダーのように見える。その点に疑いはない。現在の週とすべての予定を見ることができ、予定をクリックすると詳細が表示され、ある週から別の週へと移動することができる。

しかし、Amieが凝っているのは持ち合わせている一連の機能、特にToDo項目関連だ。ToDoリストはカレンダーのすぐ横にある列で開くことができる。見るときも同様だ。しかし、サイドバーからドラッグしてメインのカレンダービューにドロップすれば、ToDoに日時を割り当てることも可能だ。

「何かを達成したいとき、最も簡単な方法は、それをカレンダーに入れ、時間を割り当てることです」とミューラー氏は筆者に語った。確かに、多くの人がすでにカレンダーをTodoリストのように使っている。サイドバーや週表示でToDoを管理できるため、カレンダーに直接ToDoを追加するよりも柔軟性がある。

左側には、アバターのリストも見ることができる。Slack(スラック)をよく使っている人にとっては、ワークスペースを切り替えるための左側のアイコンにちょっと似ているように見えるだろう。

Amieの場合、そのアイコンはチームの他の人を表している。インスタントメッセンジャーと同じように、カレンダー上で、その人は現在連絡が取れる状態にあるか、忙しいかを見ることができる。アバターにカーソルを合わせると、その人のカレンダーに切り替わる。例えば、ミーティングのタイミングをいつにすれば良いのかを知ることができる。

また、1人ひとりにプロフィールが用意されている。この独立したページでは、その人が今何をしているかを見たり、誕生日のリマインダーを受け取ったり、ちょっとしたメモを加えたり、最後に一緒にいたのはいつなのかを見ることができる。また、定期的なリマインダーを設定することも可能で、定期的に他の人と連絡を取り合うことができる手軽な機能だ。

また、サードパーティーのサービスから情報を得ることも可能だ。例えば、ある人のSpotify(スポティファイ)のアカウントから、現在再生中の曲を見ることができる。そこからTwitter(ツイッター)のプロフィールを開くこともできる。

「1人の人間にフォーカスしたカレンダーアプリは、とてもクールです。しかし、現在成功している他の製品を見てみると、ネットワーク効果を生み出すには、何らかのプロフィールを構築する必要があることに気づきました」とミューラー氏は筆者に語った。

カレンダーにソーシャルな要素を加えることで、会社の活動をより簡単に把握することができるようになった。Amieには、アクティビティフィードが表示されるホームビューがある。この画面では、誰かがイベントを作成すると、それを確認することができる。

情報量が多いので、透明性の高い文化を持つ企業には特に有効かもしれない。「ホームビューは、現代のイントラネットになるかもしれない」とミューラー氏はいう。

ホームビューでは、すべてのイベントやToDoのリストも見ることができる。このビューから、いろいろチェックすることができる。

最後に、Amieは現代の生産性向上ツールに期待される多くの強力な機能を備えている。キーボードショートカットを使って、クイックアクションメニューを開いたり、イベントを作成したり、別のビューに移動したりすることができる。

自分の予定を誰かと共有したいときは、自分のカレンダーからいくつかのスロットを選び、リンクを相手と共有すればいい。Calendlyは必要ない。ビデオ通話があるイベントが近づいてきたら、キーボードショートカットで通話に参加することができる。

Amieは現在、macOSとWindows上のGoogleアカウントで動作する。また、iPhoneアプリもあり、Androidアプリも開発中とのことだ。モバイルでは、Amieは重要なボタンやジェスチャーをすべて画面の下部付近に配置し、隅にあるボタンまで手を動かす必要がないよう工夫した。

現在、私たちは「カレンダールネッサンス」を経験している。多くのスタートアップが、Notion時代のカレンダーアプリを再発明するために、適切な方式を見つけようとしている。AmieはRiseCronHeraFantasticalなどと競合している。

これは間違いなく大きな市場だ。だから、この領域でこれだけのイノベーションにお目にかかれるのはすばらしい。「私たちにとって、カレンダーはキャンバスです」とミューラー氏は語る。「あなたが私たちのサービスにサインアップし、二度とGoogleカレンダーを開かないということになれば、私たちが正しい仕事をしているということになります」。

画像クレジット:Amie

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

Metaの社内研究開発グループNPE TeamがグループのためのToDoアプリ「Move」を発表

Metaの社内的な研究開発グループ「NPE Team」が、「Move」という新しいソーシャルアプリをローンチした。これは個人とグループ両用のToDoリストで、ユーザーはこのアプリで、個人でもグループでも何かしらのプロジェクトのために集まり、ToDoリストを作成し、まだ終わってない作業に関する注意や催促などすることができる。従来のToDoアプリと異なるのは、全体がゲーム化されている点で、終わった作業に対してユーザーがポイントを得たり、またアルパカで表現されるアバターに帽子や服、サングラスなどを着せてカスタマイズすることもできる。

その狙いはどうやら、グループへの参加を促すことにありそうだ。たとえばアバターのカスタム化では、グループのどのメンバーが生産性が高かったかを表現できる。たとえばアバターが何もアクセサリーを付けていなかったら、その人はグループのプロジェクトにまだ参加していないといった感じで。それを軽いプレッシャーにして、参加を促すこともできそうだ。

Metaによると、Moveは同社のNew Product Experimentation(NPE)の、まだ小規模の初期テスト段階であり、完成したらコミュニティの事業やクラスのプロジェクトで使われるだろうと考えている。彼らによると、これは一種の「ソーシャルタスキング」ツールであり、グループのToDoがアクセスしやすく、より透明になる。アプリはローンチの前に、コミュニティのリーダーたちにテストしてもらい、フィードバックを得ている。

Moveは、学生のグループプロジェクトや婦人会 / 女子会、同好会、ルームメートたちのToDoリスト、地区会、コミュニティのプロジェクト、あるいは個人のToDoリストや家族の雑用にも使えると同社は提案している。

MetaのNPE Teamは最近フォーカスを変えて、次世代の新しいソーシャル体験を作るよりも、もっとグローバルな視野を持っている。Metaがこれまで投資してきたのは、AIでバーチャルキャラクターを作るデベロッパープラットフォームInworld AIや、元服役者の社会復帰やこれから親になるLGBTQの家族を助ける、特にソーシャルではないアプリだ。同社によると、このようなNPEの方針変更には、小規模な起業家チームへの投資も含まれるという。

Moveの立ち上げは、このグループがソーシャルのプロジェクトを完全に放棄したのではないことを示しているようだ。しかしこのアプリは、12月からのNPEの方針転換よりも前に開発されていた。

アプリは現在、米国のApple App Storeで無料でダウンロードできる。アプリ内支払いやサブスクリプションはない。Metaによると、このファーストリリースからより多くを学びたいという。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、加筆:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルのInboxを復活させてSlackも混ぜたメールクライアント「Shortwave」

Google(グーグル)による「Inbox」の実験は、それが続いていた間は輝かしいものだった。2014年に招待制のサービスとして開始されたInboxは、同社の次世代のメールクライアントだった。あまりにも優れていたため、Googleが2019年にサービスを終了させたことも意外ではなかった。しかし、ありがたいことに、Google / Firebase(ファイアベース)の元従業員グループが現在、Inboxの体験を復活させている……Slack(スラック)のユーザー体験も少し混ぜて。

Shortwave(ショートウェーブ)のAndrew Lee(アンドリュー・リー)CEO、Jacob Wenger(ジェイコブ・ウェンガー)CPO、Jonny Dimond(ジョニー・ダイモンド)CTOは、全員が以前、GoogleでFirebaseを担当していた。同社の初期から働く社員たちの多くも同じだ。

  1. conversation

    画像クレジット:Shortwave
  2. channel

    画像クレジット:Shortwave
  3. inbox

    画像クレジット:Shortwave

Inbox for Gmailと同様に、Shortwaveは基本的にGmailを中核とするメールクライアントであり、ユーザーは両者を簡単に行き来することができる。しかし、それ以上のものでもある。それは2022年に向けて再考されたInboxのようなものだと考えればよい。

リー氏が筆者に話してくれたように、同社のチームはInboxから2つの重要なインスピレーションを得た。「1つは、メールをグループ分けして処理するべきという考え方です」と、リー氏は述べ、Inboxのトピックごとにメールを束ねる機能を引き合いに出した。「受信箱の中でメールの量が増えると、すべてのメールに目を通すのは現実的ではありません。キーボードショートカットを駆使し、アプリが高度に最適化されていたとしても、すべてのメールに目を通すだけで長い時間がかかります」。例えば、カレンダーの通知のような自動化されたメールが届いても、招待はカレンダーですでに受け入れている場合があるだろう。そこで、数回のクリックですべてのメールを既読にしたり、スヌーズして後で見るようにしたりすれば、時間を大幅に節約できる。

画像クレジット:Shortwave

さらに、チームは「受信箱は、好むと好まざるとにかかわらず、ToDoリストである」という考えのもと、Shortwaveを開発した。「そうすると、ユーザーにToDoリストのように管理するツールを提供するか、あるいは頭の中で管理することを強要するかのどちらかになります」と、リー氏は説明する。「彼ら(Inboxの開発者たち)は、Inboxに文字通りチェックマークを追加して、『これは完了したものとしてマークされているよ』ということを表現するなど、ToDoリスト型の機能を追加しました。我々も同じことをしました」。

画像クレジット:Shortwave

Shortwaveでは、例えばメールを受信箱の一番上に固定することができる。筆者にとって、これはGmailのスター機能を使うよりも良い方法だが、これは個人的な好みの問題かもしれない(私はよくメールにスターを付けるが、その後、そのメールに戻ることはまずない)。また、必要に応じて受信箱内のメッセージを並べ替えたり、自分で作成したバンドルに整理したりすることもできる。

現代のメールクライアントに期待されるような、メッセージをスヌーズする機能も備えている。

Inboxのユーザー体験に加えて、チームはSlackのような最新のチャットクライアントの機能も実装した。例えば、GIFや絵文字を使って返信することができるなど、ShortwaveにはSlack風のリアクション機能が搭載されている。また、グループ会話用のチャンネルや通常の@メンションなど、特にビジネスシーンでのグループ会話を容易にするためのさまざまな機能も用意されている。

会話に参加している全員がShortwaveを利用している場合は、入力中を伝える通知も届き、他の人がオンラインにいるかどうかも確認できる。

筆者は数日前からShortwaveを試しているが、確かにこれは初期のInboxを思い出させる(ただし、iOSアプリとは異なり、Androidアプリはまだ少し粗い部分があり、チームもそれを認識している)。

リー氏の話によると、チームは主にビジネスユーザーをターゲットにしているという。また、誰でも無料でサービスを利用できるが、90日以上のメール履歴をサービスに残したい場合は有料になるという、Slackのようなマネタイズモデルを採用している。

画像クレジット:Shortwave

Shortwaveは米国時間2月15日、シリーズAラウンドで900万ドル(約10億4000万円)の資金を調達したことも発表した。このラウンドは、実はチームが製品開発に着手した直後の2020年4月にクローズしており、USVLightspeed(ライトスピード)が主導し、共同創業者たちも出資した他、Flybridge Capital(フライブリッジ・キャピタル)とAfore Capital(アフォア・キャピタル)が参加した。また、Mercury(マーキュリー)のCEOであるImmad Akhund(イマド・アクンド)氏、Segment(セグメント)の創業者であるPeter Reinhardt(ピーター・ラインハート)氏とIlya Volodarsky(イリヤ・ヴォロダースキー)氏、Voyage(ボヤージュ)の創業者であるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)氏など、多くのエンジェル投資家も出資している。

画像クレジット:SKrow / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

タスク管理とメモ帳を組み合わせた新感覚の生産性向上アプリ「Routine」

1日の仕事をより効率的に管理するための生産性向上ツールを開発している新しいスタートアップRoutine(ルーティン)を紹介しよう。「Routine」は、タスクと、実行を必要としないメモ、そしてデイリープランナーを組み合わせた、まったく新しいToDoリストだ。

Routineの共同設立者は、Julien Quintard(ジュリアン・カンタード)氏とQuentin Hocquet(クエンティン・オッケ)氏の2人のフランス人起業家で、私が何度か取り上げたスタートアップであるInfinit(インフィニット)を以前に作った人たちだ。Docker(ドッカー)が、2016年にInfinitを買収した。

彼らが再びチームを組んでRoutineを作っている。今現在、RoutineはmacOSとiOS用のアプリで、Googleアカウントと連携することができる。アカウントを設定後、Routineがどんな時でも「今、自分が何をすべきか」を把握するのを手助けしてくれる。

Routineで最もしっかりしている機能の1つが「ダッシュボード」だ。コンピューターで何をしていようと、キーボードの簡単なショートカットでRoutineのダッシュボードを呼び出すことができる。デフォルトでは「Ctrl」+「Space」がそのショートカットだ。

Routineアプリは、画面上にいくつかのウィジェットをオーバーレイの形で追加する。これは、今は亡きmacOSの機能「Dashboard」に少し似ていると言える。このダッシュボードには、さまざまなものが表示される。左側には、今日中に完了しなければならないタスク。

右側には、次の会議までの残り時間と、その会議に関する情報。日付は、Googleカレンダーのアカウントから直接取得される。

そして画面の中央には「コンソール」と呼ばれる大きな入力エリア。テキストを入力してエンターキーを押すと、そこから新しいタスクを作成することができる。これは、Todoistの「クイック追加」機能に似ている。

画像クレジット:Routine

コンセプトとしては、ToDoアプリを開き、適切なプロジェクトに移動し、タスク追加ボタンをクリックし、フィールドにテキストを入力するという無駄な作業をせずに、タスクを追加することができるというものだ。Routineを使えば「Ctrl」+「Space」を押しながらテキストを入力し、Enterキーを押すだけで完了してしまう。

もちろん、コンソールを使って、自然言語で直接タスクを入力して作成することもできる。例えば「毎週水曜日の午後7時にゴミを出す」と入力すれば、Routineが毎週水曜日に新しいアイテムを作成してくれる。

タスクをRoutineに登録すると、Routineアプリで管理できるようになる。タスクのスケジュール変更や完了のマークなど、通常のToDoアプリのアクションに加えて、大きなタスクに時間を割り当てることができる。「トゥデイ」のインターフェイスからは、タスクをタスクリストからカレンダーに移動させることができる。すると、そのタスクを使ったカレンダーイベントが自動的に作成される。

画像クレジット:Routine

このアプリは、ToDoアプリであると同時にメモアプリでもある。各タスクは1ページを表示する。そのページには、Notionのようなエディタがある。テキストを書いたり、見出しや仕切り、写真を追加したり、箇条書きのリストを作成したりすることができる。

また、タスクの中にさらにタスクを作成すると、自動的に本格的なルーチンタスクに変わる。スケジュールを立てたり、カレンダーに挿入したりすることができる。これは、Evernoteの最近のアップデートで新しくなったタスクと似ている。基本的に、タスクはコンテクストの中に存在する。

Routineはカレンダーと直接統合されているので、各イベントをカレンダーで開き、そこからメモを取ることもできる。つまり、それぞれのイベントは、それ自体がノートでもあるのだ。

画像クレジット:Routine

最後に、Routineではページを作成することもできる。各ページは、タスクやメモを保存できるドキュメントだ。食料品リスト、荷造りリスト、監視リストなど、さまざまなリストを作成することができる。また、レシピやお気に入りのレストランなど、いつでも使える情報の保存にも利用できる。

Routineは現在、限定でベータ版を配信している。本スタートアップは、Y Combinator(Yコンビネーター)のW21バッチに参加し、BoxGroup(ボックスグループ)とTargetGlobal(ターゲットグローバル)から270万ドル(約3億円)のプレシードラウンドを調達した。また、Matt Robinson(マット・ロビンソン)氏、Clément Delangue (クレメント・デランジュ)氏、Ian Hogarth(イアン・ホガース)氏など、複数のビジネス・エンジェルも参加している。

私もこのアプリを使ってみたが、ToDoリストとメモの取り方の両方に興味深いものを感じた。To-Doアプリに大きく依存している人もいるだろうが、それほど簡単にメモを保存することができない。一方、メモアプリにすべてを保存する人もいるだろう。しかし、すべてのタスクを一度に見ることは難しい。Routineはそのギャップを埋めることを目的として作られており、今後、同社がロイヤリティの高いコミュニティを作り上げることができるかどうかに注目している。

画像クレジット:Routine

画像クレジット:Mostafa Mahmoudi / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)