ボルボ、ダイムラー、トレイトンが約660億円を投じて全欧的な電気トラックの充電ネットワーク構築

Volvo GroupとDaimler Truck、およびVolkswagenの大型トラック別会社Traton Groupが米国時間7月5日に、電動の大型トラックとバス用高性能充電ステーションの全ヨーロッパ的ネットワークを作るための、法的拘束力のない協定を発表した。このニュースは、最初にロイターが報じた

ヨーロッパの大手自動車メーカー3社は、5億ユーロ(約658億1000万円)を投じて、戦略的に重要な地点やハイウェイの近くに1700カ所の充電ポイントを構築し運用する。協定の締結は年内とされており、2022年に運用を開始する。また将来的にはこの合弁事業のパートナーを増やして、充電ポイントの大幅増を狙っている。

このベンチャー事業は、2050年までにカーボンニュートラルな貨物輸送を実現するというEUの目標を実現する端緒となるものだ。個人や運輸企業でEV化が遅れている大きな理由の1つが、充電インフラャが未整備であることだ。そのインフラを作ることによって3社は、自社製の電気トラックやバスの売上増を狙っている。

Daimler TruckのCEOであるMartin Daum(マルティン・ダウム)氏は、声明で次のように述べている。「2050年までに、気候の中立性を実現することはヨーロッパのトラックメーカーの共同の目標です。その鍵を握るのは、業界が一致協力して正しいインフラを作り、路上にCO2ニュートラルなトラックを送り出すことです。私たちは、Volvo GroupやTRATON GROUPとともに全欧的な高性能充電ネットワークを構築します。開拓者としての第一歩を踏み出すことに、とてもエキサイトしています」。

VolvoとDaimlerのパートナーシップには前例がある。2021年5月に、互いに競合する両社は長距離トラック用の水素燃料電池の共同開発でチームを組み、開発コストの低減と生産量のアップを狙っている。この最新のベンチャーも、業界の気候関連の問題を大企業が共同で解決していく動きの1つだ。

関連記事:ボルボとダイムラートラックが長距離トラック向け水素燃料電池生産で提携、合弁会社Cellcentric設立

ヨーロッパの自動車産業の業界団体ACEAは、2030年までに最大5万基の高性能充電ポイントを、という目標を掲げている。TratonのCEOであるMatthias Gruendler(マティアス・グリュンドル)氏はロイターの記事で、ヨーロッパのインフラを完全にEV対応にするためには100億ユーロ(約1兆3162億円)が必要、と述べている。

Volvoが発表した声明によると、今回のベンチャー事業は、自動車メーカーや政府機関など自動車産業と関連のある者全員へ向けての、気候の目標に達するために必要な迅速な事業拡大とそのためのアクションを呼びかけるものだ。

この充電ステーションには特定のブランド名は表記されず、EV群を運用する者なら誰でも、ヨーロッパの長距離輸送で義務化されている45分間の休憩時間中の高速充電と、夜間充電の両方を利用できる。

この合弁事業は独自の社名でアムステルダムに本社が置かれる。株式を3社が同量保有するが、他の製品分野では互いの競合が続く。

関連記事:VWのTratonグループが中国TuSimpleと自動運転トラック開発で提携、スウェーデンで実証実験へ

カテゴリー:モビリティ
タグ:VolvoDaimlerTraton電気自動車トラックバスカーボンニュートラル充電ステーションヨーロッパ

画像クレジット:Volvo Group

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

VWのTratonグループが中国TuSimpleと自動運転トラック開発で提携、スウェーデンで実証実験へ

VW(フォルクスワーゲン)の大型トラック事業を手掛けるTraton(トラトン)グループは、自動運転(自律運転)トラックの開発に関する合意の一環として、中国の自動運転トラックのスタートアップであるTuSimple(トゥーシンプル)に少額出資した。

両社ともパートナーシップの財務条件や少数株主持分の割合は明らかにしていない。この取引に詳しい情報筋によると、TratonグループはTuSimpleに直接資本投資を行ったという。現物出資が含まれていたかどうかは不明だ。なお今回のTratonの投資は、シリーズEラウンドで2億5000万ドル(約262億円)の調達を目指すTuSimple(未訳記事)の最近の資金調達ラウンドとは異なる。

両社は9月23日、TuSimpleの自動運転車技術を搭載したTratonのScaniaトラックを使用する開発プログラムを発表した。テストはスウェーデンのSödertälje(セーデルテリエ)とJönköping(ヨンショーピング)の間のルートで開始されるという。最終的にTratonは、スウェーデン、ドイツ、その他の国の道路で、ドライバーレストラックのテストを計画している。

なお、Tratonブランドのトラックのレベル4自動運転(特定の場所ですべての操作を完全自動化)を開発するために「緊密に協力」する計画を発表した以外、両社はプログラムの範囲やスケジュールの詳細は明らかにしていない。しかしTratonは「これらのトラックにレベル4の能力を持たせることを目標としており、定められた走行条件の下で、人の手を借りずに完全な自動化を達成し、すべての市場に適用する」と表明している。

Tratonによると「自動運転による走行は、中期的に増加するドライバー不足に対抗する手段として機能する可能性がある」と述べている。そして「最初の導入事例は、特別に区切られたエリア以外の場所で、特に頻繁に利用されるハブ間のルートで実施される可能性がある」と続けた。

この提携によりTuSimpleの自動運転事業は、米国と中国を超えて欧州にまで拡大することになる。Sina、NVIDIA、UPS、そしてTier 1 (ティア1)サプライヤーであるMandoの支援を受けているTuSimpleは、米国で40台の自動運転トラックを運営しており、すでにアリゾナ州とテキサス州の間のテストや貨物輸送に使われている。2015年創業の同社は、中国、カリフォルニア州サンディエゴ、アリゾナ州ツーソンで事業を展開中だ。

今回の提携は、Traton、TuSimple、Navistarの関係をより強固なものとする。TuSimpleは7月、Navistarと提携して2024年までに自動運転型セミトラックを開発し、生産を開始する計画を発表した。計画では、TuSimpleが現在使用しているNavistar Internationalの商用トラックを改造するのではなく、自動運転に特化設計したセミトラックを開発するとしている。戦略的パートナーシップには、NavistarがTuSimpleの非公開株を取得することも含まれている。

一方のTratonは、2016年9月に2億5600万ドル(約268億円)相当で取得したNavistarの16.6%の株式を保有しており、両社は最終的により連携を深める可能性がある。というのも1月にTratonは、所有していないNavistarの残り株を35ドルで買い取るという敵対的買収提案を発表している。そしてTratonは今月、そのオファーを1株43ドル、約39億ドル(約4093億円)に引き上げたという(Bloomberg記事)。

カテゴリー:モビリティ

タグ:VW Traton TuSimple 自動運転

画像クレジット:Traton Group

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)