CiscoがコミュニケーションAPIのプロバイダ(Twilio的な)Tropoを買収

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Ciscoといえば、誰もがネットワーキング機器のメーカーだと思う。でもCiscoには、WebExで知られるように、通信(コミュニケーション)やコラボレーションの側面もある。そのCiscoが今日(米国時間5/7)は、Tropoの買収を発表した。TropoはTwilioに似たコミュニケーションプラットホームで、デベロッパはここのAPIを使って、電話やメッセージングなどのコミュニケーション機能を自分のアプリケーションに加えることができる。

昨日(きのう)も書いたように、今のデベロッパはAPIを利用することによってアプリケーションにさまざまな機能を簡単迅速に加えられる。中でもデベロッパにいちばん人気があるのが、コミュニケーションの機能だ。先週行われたTechCrunch Disruptのハッカソンでも、何か重要なことが起きたらテキストメッセージを発信する、という機能をアプリケーションに持たせていたものが多かった。

コミュニケーションAPIのプロバイダとしてはTwilioがいちばんよく知られているが、でもTropoを買ったことによってCiscoは、20万あまりのデベロッパのコミュニティにアクセスできるようになる(数はCiscoの発表による)。Tropoはそのプロダクトをデベロッパに無料で提供しているが、アプリケーションのユーザがそのアプリケーションのコミュニケーション機能(==TropoのAPI)を使うたびに、課金が発生する(それをユーザでなくデベロッパが払うなら‘無料’とは言えない)。Ciscoがどういう料金モデルを採るのか、それはまだ明らかでない。

Tropo workflow chart.

Tropoのチームは、CiscoのCollaboration and Communications Groupに加わる。大企業の傘下に入ったチームとその熱心なコミュニティが、独立時代の活気を失わないようにすることが、Cisco側の重要な課題だろう。大が小を買うときには、いつもこの問題がつきまとう。

今年の初めにIBMがAlchemyAPIを買収したときも、同じ問題を抱えた。ITの巨大老舗企業に買収されたこの機械学習ツールにも、大きな熱心なコミュニティが形成されていたのだ。

CiscoはTropoのチームを歓迎するブログ記事の中で、この点に触れている: “両者が協力してCiscoのプラットホームを拡張し、現代的なAPIを通してサードパーティのエンドポイントやアプリケーションに奉仕し、Ciscoがデベロッパのコミュニティにより良い貢献をできるようにしていきたい”。もちろんこれは、今の事実ではなくて、あくまでも目標だ。

一方でTropoのユーザであるデベロッパたちは今後、Ciscoのより大きなエコシステムの一員になり、その多様なリソースにアクセスできるようになる。Ciscoのような成熟企業が小企業の買収を成功させるためには、この側面を強調することが重要だろう。

なお、買収の価額等は公表されていない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa