アメリカ経済の心臓部であるトラックドライバーを経営の雑務から解放するCloudTrucks

自動運転のスタートアップScotty Labsをわずか5カ月前にDoorDashに売った起業家のTobenna Arodiogbu(トベンナ・アロディオグブ)氏が、新しいスタートアップで戻ってきた。今回彼は、トラックドライバーと彼らのビジネスにもっぱらフォーカスする。トラックドライバーの収入を上げることを目標とするCloudTrucksは、Craft Venturesがリードするラウンドで610万ドル(約6億6000万円)を調達した。これにはKhosla VenturesとKindred VenturesそしてAbstract Venturesが参加した。

「ビジネスを小さな箱の中に詰め込んだ(business in a box)」とアロディオグブ氏が呼ぶCloudTrucksは、トラックのオーナーやオペレーター(事業者)のビジネスを楽にする。CloudTrucksはソフトウェアとデータサイエンスを利用してトラックドライバーのオペレーティングコストを下げ、売上を増やし、キャッシュフローとコストを改善する。

American Trucking Associationsによると、アメリカではトラック輸送業の91%が小企業で、トラックの保有台数は6台かそれ以下だ。2019年はアメリカで800近いトラック業者が倒産した。アナリストはそれを、保険費用の高騰と供給の過剰による1台当たりの荷減りのせいにしている。しかもオペレーターは、安全性の管理や請求書発行などのペーパーワークもこなさなければならない。そこに、CloudTrucksがお助けに登場する。

アロディオグブ氏は 「CloudTrucksはトラックのオーナーがイコール事業のオペレーターでもある小さなトラック企業を狙う。彼らこそが業界の生命線でありしかも最大のプレッシャーに苦しんでいる。保険料金は急騰し、血も涙もない売掛回収業者、そして業界の急速な変貌。それらが彼らを干上がらせる」と語る。

今すでにCloudTrucksは、少数の初期の顧客と共にプラットホームの微調整をしている。新しい顧客は、ケースバイケースで受け入れている。

CloudTrucksの前には、アロディオグブ氏は人間が車やトラックを仮想的にコントロールするScotty Labsを共同創業した。それは長距離輸送でドライバーをアシストするサービスだった。そのスタートアップをDoorDashが買収する前は、600万ドル(約6億5000万円)を調達していた。今はアロディオグブ氏がDoorDashのアドバイザーだ。

Craft Venturesの共同創業者でゼネラルパートナーのDavid Sacks(デビッド・サックス)氏が、本誌に「Tobennaは実績のある起業家だから、CloudTrucksが解決しようとしている問題を明確に理解してプロダクトを作っている。トラック輸送業はアメリカ経済の心臓部なのに、まだテクノロジーの役割がとても小さい。CloudTrucksのチームは、何千ものオーナー=オペレーターのトラックドライバーの収入と仕事の効率を上げるプラットホームを作っている。そんなスタートアップを支援できることは、本当に喜ばしい」と語ってくれた 。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

複数のトラックが互いに通信し隊列を組んで燃費を節約するPeloton Technologyの車上システム

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セミトラックは隊列で走った方が良い、とかねてから言われている。燃料効率が良いし、安全だし、運転も楽だ。そしてこれからは、そんな隊列が至るところで見られるようになるかもしれない。運航自動化ソフトウェアのPeloton Technologyが、車両管理サービスのOmnitracsとパートナーして、今年からその隊列化技術を提供する。

Pelotonはまず同社の、最大級(Class 8)のトラック用の隊列化システムの予約を年内にこなしていく。それによって2台のセミトラックが、車両間通信とレーダーを使って隊列化し、一台が他の後ろを走る形になる(上図)。そのシステムは、レーダーを使った巡航システムの強化バージョンのようで、トラック自身が位置や運転に関する基本的な情報を共有する。

ただしそれは、いわゆる自動運転技術ではない。運転は100%、人間運転手が行い、路面路上の状況にも注意を払わなければならない。このシステムは適応型巡航コントロールシステムのように、緊急時の自動ブレーキ機能はあるが、しかし車両間通信により、前のトラックのブレーキが踏まれると、1/10秒位内に後ろのトラックのブレーキも自動的に入る。Peloton Technologyによると、これはSAEの定義によるLevel 1の自動化基準を満たしている。

隊列は今のところ2台のみなので、長蛇のように何マイルも連なる大隊列に出会うことはない。またPletonのシステムはクラウドサービスなので、特別に指定された条件の良い道路でしか使われない。今の多くの準自動化システムがそうであるように、面倒な状況では人間が完全にコントロールを握る。

Peloton Technologyの計算によると、いちばん顕著な利点は燃費だ。この2台の隊列では、先行のトラックの燃料費は4.5%節約され、後続車は10%節約される。Omnitracsを利用している運送会社でトラックにPelotonのシステムを搭載しているところは、そのシステムを利用できる指定道路をなるべく走るようにしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))