ファーウェイが米国による新たな妨害の悪影響を懸念

中国の通信機器大手Huawei(ファーウェイ)は、同社の半導体製造の力をさらに削ぐことを狙った米国政府の発表に対し、この新しい裁定を「恣意的で悪意のあるもの」であるとして非難した。

ファーウェイお気に入りの弾丸を受けた飛行機の戦意高揚ポスターを背景に、年次アナリストサミットで講演する同社輪番制会長の郭平(グォ・ピン)氏。

「ファーウェイは、米国商務省による国外向け製品に対する規定の改正に断固として反対します。これは明らかにファーウェイをターゲットにしたものです」と、ファーウェイは5月18日の月曜日に深センで開催したアナリストサミットで宣言した。

米国時間5月15日に発表された新たな規制は、ファーウェイが特定の戦略的半導体製造プロセスで、米国製のソフトウェアとハ​​ードウェアを使用することを禁止する。これは、国外にあるものも含めて、米国の技術を使用するすべての製造工場に適用される。そのうちのいくつかは、ファーウェイの主要サプライヤーとなっている。

Nikkei Asian Reviewは、5月18日の月曜日に複数のソースから得た情報として、世界最大手の委託半導体メーカーであるTSMC(台湾半導体製造株式会社)が、ファーウェイからの新たな受注を停止したと報じた。TSMCはファーウェイのハイエンドスマホにチップを供給している。同社にとってファーウェイは最大のクライアントの1つだ。これに対してファーウェイはコメントを避け、TSMCは「単なる市場の噂」に過ぎないと述べていた。

TSMCの決定は、米国との関係を強化する目論見の表れと考えられている。というのも同社は、アリゾナ州と米国連邦政府の支援を受けて、同州に120億ドル(約1兆2890億円)規模の最新鋭のチップ工場の建造を計画しているからだ。

5月18日の会議で、ファーウェイの輪番制会長の郭平氏は、同社が集積回路(IC)など、ある種の半導体部品を設計することは可能ながら、「できないことは他に多くある」ことを認めた。

「現状では生き延びることが私たちにとってのキーワードです」と、彼は述べた。

ファーウェイは、米国による最新の禁止措置はこれまでに「数百億ドル(数兆円)」をかけてきた同社の世界170カ国以上の事業だけでなく、世界中の広範囲なエコシステムにも影響を与えると述べている。

「長い目で見れば、米国による措置は、グローバルな半導体業界内の信頼と協力関係を損ないます。そこには、多くの業界が依存しているのです。さらに、業界内の摩擦と損失を増大させるでしょう」。

ファーウェイは、トランプ政権が技術的な制裁措置で脅しをかけ始めて以来、数多くの対応策を発表してきた。例えば一部のGoogle(グーグル)のAndroidサービスを使えないようにした。

ファーウェイは今回のサミットで、海外のデベロッパーへの投資を強化し、独自OS用のアプリ開発に勧誘していることを明らかにした。2020年になってから140万人ほどのデベロッパーが、HMS(Huawei Mobile Services)に加入した。これは、2019年から150%も増加している。比較のために付け加えると、iOSアプリの登録デベロッパーは2018年に2000万人を数え、合計で1000億ドル(約10兆7380億円)ほどの収益を生み出している。ファーウェイにとっても、アプリメーカーがそのエコシステムからどれだけのお金を生み出せるか、ということは重要だ。

ヨーロッパで、グーグルの一連のアプリの代替品となるものを求めた結果、ナビゲーションサービスとしてTomTomHere、検索エンジンとしてQwant、ニュースアプリとしてNews UKと提携している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米国の輸出規制強化でTSMCはファーウェイからの受注を停止

Nikkei Asian Reviewによると、世界最大の契約半導体メーカーであるTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)は、同社最大の顧客のひとつであるHuawei(ファーウェイ)からの今後注文を受けないこととなった。記事によると、その決定は米国時間5月15日に発表された米国の新たな輸出規制に従うもので、これによりファーウェイはチップの製造機械も含む米国の技術で製造されたチップを入手することがより困難になる。

禁止令は、2020年9月14日までに出荷可能な現時点の受注残や既に製造過程にある受注に影響しない。世界最大の通信機器メーカーであるファーウェイは、TSMCにとってApple(アップル)に次ぐ2番目に大きな顧客だ。TSMCはファーウェイが同社のスマートフォンなどに使っている先進的なチップの多くを生産している。

米商務省が5月15日に出した新たな禁止令は、具体的にファーウェイを名指したもので同社が米国のソフトウェアと技術を使ってチップを生産することをより困難にしている。海外のファウンドリーもこの禁止令の対象になる。

商務省の発表と同日にTSMCは、州と連邦政府の支援によりアリゾナに総工費120億ドル(1兆2900億円)の先進的なチップファウンドリーを建設する、と発表した。それにより、TSMCの米国における顧客の多くが、自社のチップを米国内で作れるようになる。

関連記事:米国政府の支援でTSMCがアリゾナに約1.3兆円規模の先進的半導体工場を建設

TSMCの発表前には、The Wall Street Journalがアジアの工場や国際的なサプライチェーンへの依存を減らすために米国にファウンドリーを建設する件でホワイトハウスとTSMCおよびIntelが協議中である、と報じている。

TSMCの代表者は本誌に、受注の詳細を明かすことはできないがTSMCは法と妥当な規制を遵守しており、「米国の輸出規則の変化にはよく注意している」が、「規則の合法性等については外部顧問による総合的な審査を行なっている」と述べた。

これは米国政府が国のセキュリティ懸念を理由としてファーウェイに対して行った規制の中でも最新のものだ。2012年に下院諜報委員会は、ZTEとともにファーウェイをセキュリティへの脅威となる可能性があると断定した。

両社はその告発を否定したが、トランプ政権の下では米国の企業が2社とビジネスをすることに対する禁止令がより厳しくなった。Nikkei Asian Reviewの記事によると、ファーウェイは商務省の新たな禁令を予期して、通信機器製造のために必要なチップの1年分の在庫を確保していた。

TechCrunchはファーウェイにコメントを求めている。

関連記事:ファーウェイ、フォックスコン、TSMCに関する発表を経て米中貿易は新時代へ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米政府が先進的半導体工場の国内建設に向けインテルやTSMCと協議か

ウォールストリートジャーナル(WSJ)のレポートによれば、ホワイトハウスの担当者が、現在インテルならびにTSMCと米国内への半導体工場の建設について話し合っているらしい。米国のハイテク企業と政府は、長年にわたりアジアのチップ工場への依存度を下げる努力をしてきた。その背景にあるのは、安全保障上の懸念、米中関税戦争、さらには世界中のサプライチェーンと物流を混乱させた新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックだ。

WSJはまた、一部の米国当局者がSamsung(サムスン)とより高度なチップを生産するために、米国内での既存の受託製造事業を拡大することについても話をしていると報じている。

インテル、TSMC、サムスンは、10nm(ナノメートル)以下のチップを製造できる。これは、現在市場に出ている最速かつ最も電力効率の高いチップである。

WSJが4月28日に入手した書簡には「インテルのCEOであるBob Swan(ボブ・スワン)氏が国防総省と話し合い『現在の地政学的状況が生み出す不確実性を考慮して』ペンタゴンと共同で商用工場を建設する意向があると語った」と書かれている。

インテルはすでに、自社製品のチップを製造する米国内の事業を持っているが、新しい工場はほかの企業にもサービスを提供することになるだろう。台湾の半導体受託製造メーカーであるTSMCは、他社向けのチップの製造を継続するだろう。なお、その顧客にはQualcomm(クアルコム)、Nvidia(エヌビディア)、AMDが含まれている。

レポートによると、TSMCは商務省と国防省の当局者、および最大の顧客の1つであるApple(アップル)と、米国内での半導体工場の建設について協議中だということだ。

TSMCの広報担当者はTechCrunchへの声明の中で「TSMCは海外に工場を建設することに対して常にオープンであり、どこも排除していません。米国を含むすべての適切な場所を積極的に評価していますが、具体的な計画はまだありません。それはすべて顧客のニーズに依存しています」と語っている。

米国の関係者や業界団体が提案している他の解決策としては、工場の建設コストの高さを補填するための国内チップ産業への政府投資、半導体メーカーが米国の工場で装置を購入して設置する際の税額控除、そして中国のバイヤーにマイクロチップを出荷する米国企業への輸出規制の強化などがある。

TechCrunchはインテルとTSMCにコメントを求めて連絡している。

画像クレジット: Busakorn Pongparnit (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:sako)

アップルなどを顧客に持つTSMCのQ1利益は90.8%増の約4200億円、アナリスト予想を上回る

TSMC(台湾積体電路製造)の第1四半期(2020年1〜3月)の純利益はおおよそ倍に成長し、アナリスト予想を上回った。同社はQ2でもこの勢いが持続することを期待しているとしたが、今年の業界見通しについては言及を避けた。

クライアントにApple(アップル)を抱える台湾拠点のTSMCのQ1売上高は103億1000万米ドル(約1兆1000億円)、利益は1169億9000万台湾ドル(約4200億円)だったと発表した。調査会社のRefinitiveが予想していた利益1058億台湾ドル(約3800億円)を上回り、昨年同期比90.8%増となった。

また、2019年Q4に比べ2020年Q1の利益は0.8%増となったが、売上高は2.1%減少した。世界最大のチップ製造請負である同社は、純利益率は37.7%で、営業利益率は41.4%だったと述べた。

多くのアナリストが、新型コロナウイルス危機が製品需要にどの程度影響を及ぼすかを評価しようとTSMCの決算に注目した。今月下旬に四半期決算を発表するアップルは、Q1の売上高ガイダンスを達成できないと今年初めに発表している。

TSMCが発表したQ1決算を詳細に見ると、スマートフォン部門の売上高は9%落ち込んでいる。調査会社のIDCは、今年のスマホ出荷は2.3%減の13億台になると予想する。TSMCはラップトップPCやホームデバイスなど幅広いデバイスのチップを製造している。

TSMCの業績でもう1つの気掛かりが、Huawei(ファーウェイ)に関連するものだ。推定では、TSMCの売上高の10%を同社向けが占める。同社への販売を阻止しようと、米国がTSMCやその他の企業に制限を課すこともあり得る。

TSMCの副社長兼CFOを務めるWendell Huang(ウェンデル・ホアン)氏はこれらの懸念材料には触れず、Q2の売上高は「横ばい」を予想していると述べた。一部のアナリストはQ2予想を控えていて、横ばいでも印象的だ。

ただ、同社の幹部は決算会見で、新型コロナウイルスのパンデミックで需要が弱いことを挙げて、今年の成長予測や業界見通しについては語らなかった。

画像クレジット: Maurice Tsai / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

iPhoneの部品供給大手TSMCの工場がウィルスで停止

Appleは、そのiPhoneのサイバーセキュリティの高さを売りにしているが、iPhone向けのプロセッサを製造している専門製造業者に関してはあまり威張れないようだ。

半導体ファウンドリTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)は先の金曜日の夜にウィルス攻撃を受け、その結果複数の工場が停止に追い込まれた。このニュースはBloombergのDebbie Wuによって報じられた。TSMCの担当者は、ウィルス侵入と工場停止の事実を認めている。

現時点ではどの工場が攻撃されたのか、その工場はiPhoneのメインプロセッサを製造していたのかなどは明らかになっていない。Appleはこの秋に新しいiPhoneを発表する予定だ、そして大切な8月の時期におけるサプライチェーンの混乱は、新しい携帯電話をクリスマスシーズンの前に供給するミッションに多大な悪影響を及ぼす可能性がある。

TSMCは、昨年には116億ドルの利益を上げ、世界最大の独立半導体ファウンドリに成長した。同社はAppleのようなスマートフォン企業との提携によって利益を得てきた。Appleは独自のAシリーズのチップの設計を行い、その製造をファウンドリたちに委託しているのだ。

TSMCは、新しいiPhoneの発売のためには不可欠なパートナーだ。同社は今年の初めに、エネルギー消費を抑えつつ性能を向上させた7mmチップの量産の開始を発表した。

ウィルスの発生源は不明だが、Bloombergに対する同社の回答によれば、ハッカーによって持ち込まれたものではないという。

この島国へのサーバーアタックは決して珍しいことではない、徐々に高度なサイバーアタックは増えており、その大部分が、現台湾総統の蔡英文に強い反感を抱く、中国(大陸)からのものである。台湾政府のウェブサイトは月間2000万回のサイバー攻撃を受けており、その大部分が中国からによるものと考えられている。ロイター通信のJess Macy Yuは今夏の初めに、中国のサイバーアタックは総数は減っているいるものの、より多くの成功を成し遂げていると報告している。台湾の地方選挙は年末の11月に開催されるが、その日程が近付くにつれて攻撃の数と強さが増えると予想されている。

Foxconnと並び、TSMCは台湾の最も重要かつ高利益を挙げる企業の1つであり、その富と規模からも、そして中国と台湾の間のますます高まる緊張からも、明らかな攻撃対象である。中国は半導体の世界的リーダーになることを国家の優先事項としており、TSMCのような企業は本土のファウンドリと激しく競合する。

これは台湾の多くの技術幹部にとって重くのしかかる文脈であり、この特定のウィルスの犯人はまだわからないものの、多くの人々の目と指は既にある方向に向けられている。

この攻撃に関するより詳細な情報は、来週以降明かされる予定だ。

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(翻訳:sako)

写真クレジット: SAM YEH/AFP / Getty Images

Appleは、次期iPhoneチップにSamsungを採用しないかもしれない

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AppleとSamsungは長年にわたる非対称なライバルであり、スマートフォン市場でしのぎを削る一方で、チップに関しては提携関係にある。The Electronic Timesの最新記事によると、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)が次期iPhoneで唯一のA10製造業者になる。Samsungは次期iPhoneではAppleと取り引きをしないことになる。

これは一夜のうちの変更ではなく、AppleはこれまでにもTSMCと仕事をしてきている。iPhone 6sおよび6s PlusのA9チップは、現在TSMCとSamsungの両社が製造している。それ以前、TSMCはiPhone 6、6 PlusのA8の単独供給元だった。

複数の製造パートナーを用いることには様々な利点がある。第一に、供給不足の心配がなくなる。Appleが四半期に何千万台ものiPhoneを売ることを考えると、SamsungあるいはTSMCが単独で十分なチップを供給できるかどうかは疑問だ。SamsungとTSMCは他の携帯電話用チップも製造している。

第2に、複数のメーカーと交渉することによって有利な価格を得られる。Samsungの方がTSMCより高いのかどうかはわからないが、AppleはA10が巨大な契約になることから価格を引き下げることができる。

そして、Appleは最も効率のよい設計を選べる。TSMCのA9は、バッテリー寿命に関してわずかに優れていた。このためAppleがTSMCを選んだのにはこの理由もあるかもしれない。

Electronic Timesによると、TSMCは今秋のiPhone 7発売に備えて6月にA10の生産を開始する。設計には10 nmが採用されるかもしれない。A10の詳細を知るにはiPhone 7の分解を待たなくてはならない。

一般ユーザーにとって、iPhoneチップの製造元がTSMCであるかSamsungであるかよる大きな違いはない。どちらの会社もAppleの独自CPU設計を実装している。しかしSamsungのチップ事業は、この契約がなくなると大きな打撃を受けるかもしれない。

Via 9to5mac

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook