メンターシップを通じて女性が技術職として活躍できることを目指すTupu.io

Xata.ioの共同創業者でCEOのMonica Sarbu(モニカ・サルブ)氏は、ハイテク企業で15年以上の勤務経験がある。彼女が働いていた組織の中では、自分の道を切り開いてくれるメンターはいなかったが、女性や歴史的に過小評価されてきた人たちが自分の道を見つけるのに苦労している様子を目の当たりにしていた。彼女は、どうすればより多くの人がテック企業の中で成功するのを助けることができるかを考え始め、熟考の末、2020年に非営利のメンタリング会社「Tupu.io」(トゥプ・アイオー)をサイドプロジェクトとして創業した。

彼女は最初は本を書くことを考えたが、万能なアドバイスは存在せず、個人の状況に合わせたアドバイスを行わなければならないという結論に至った。彼女はいう「私は、人びとそれぞれのニーズに合ったカスタムソリューションを与えることができるメンターシッププログラムを作りたいと思いました。なぜなら大抵の場合人は問題が発生したときにメンターシップを受けに来るからです」。

このような問題は、たいてい2つのカテゴリーのどちらかに分類されるという。それは、社内の誰かとの間に具体的な問題がある場合か、キャリアに行き詰まりを感じて鬱になったりインポスター症候群に陥ったりしている場合だ。彼女はTupuのようなプログラムが助けになると感じている。

キャリアサイト「Zippia.com」(ジッピア・ドットコム)によると、エンジニア職枠に女性が採用されるのはわずか25%だという。つまり、平均して3:1の割合で女性は劣勢に立たされていることを意味しており、しばしばそれ以上の悪い状況にもなっている。それが意図的であるかどうかにかかわらず、敵対的な職場環境につながることもある。

彼女は「私たちには、技術系コンテンツ企業がより良くなり、より健全な環境を作るために助言できることがたくさんあります。もしそれを放置してしまうと、最終的には、人に技術系企業の一員であり続けたくないと感じるさせるようになってしまいます。それが会社の文化なのです」と語る。

彼女は自身のキャリアを通じて、最初は主に女性を対象としたカンファレンスで、その後はより一般的なイベントで講演を行い、男性がほとんどを占める組織の中で女性であることがどのようなものかを明確にしようとしてきた。彼女はその講演を通じて、ほとんどが男性の聴衆の場合でも、意識を高め共感を得ることができた。

サルブ氏は私に「私はまず、少しの間だけ(男性が多いハイテク企業で働く)女性の立場になって考えてみて欲しいとお願いしました。そして、それがどのようなものなのかのイメージを描き出しました」と語った。

彼女は、技術チームの中で数少ない女性であることがどのようなものかを理解していなかった男性から、多くの肯定的なフィードバックを受けとった。その時、もっと何かをしたいと思った彼女は、頭の中でTupuのアイデアを形にし始めたのだ。

彼女によれば、このようなプログラムの費用は、メンティー自身の負担になることが多く、そのため参加できる人は、彼女の経験上、最もニーズの少ない「有望」な社員に限られてしまいがちだという。彼女のアイデアは、最初は自分で資金を出し、一方企業から寄付を募ってプログラムを支援し、より多くのメンターを、必要としている人たちとマッチングさせ無料でメンタリングを行うというものだった。

彼女は「私たちの将来のモデルは、あらゆる規模のハイテク企業に入って行き、その従業員にメンターシップを提供することで、組織内の多様性をサポートすることです」という。「企業は、(現在起きがちな)最も「有望」な(会社の中で厚遇されている)社員を選んでメンターシッププログラムに登録することに傾くのではなく、メンティもメンターも全員がTupu.ioに登録するように勧めることができます」。

現在、このプログラムには、128人のメンターに対して57人のメンティーがいる。メンターは、ハイテク企業での勤務経験のある男女だ。彼女によると、このプラットフォームは、これまでほとんど宣伝や広告をせずに、これらのユーザーを集めることができたという。

本業がJamstack(ジャムスタック)環境用のサーバーレスデータベースを構築するスタートアップXata.io(ザタ・アイオー)の経営者であるサルブ氏は、参加企業からの寄付によってTupu.uoのサイトを自立させつつ、登録やメンターとメンティーのマッチングのプロセスをより自動化したいと考えていいる。同社はより自動化されたバージョンを作成中で、近日中に完成する予定だ。

画像クレジット:kieferpix/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)