Facebook、Momentsの改良で次のMessengerを狙う―本体の写真同期は1月10日で終了

2015-12-16-facebookmoments

Facebookは大成功のMessengerに続くモバイル・アプリが手の内にあると確信しているようだ。 そのアプリとは現在プライベート・ベータ中の新しいMomentsだ。Facebookの確信のほどは、さきほど「本体の写真同期を近く終了する」と発表したことでも知ることができる。

同社ではこの情報をニュースフィードのトップに表示し、デバイス内の写真の同期と共有のために「Momentsアプリをダウンロードするよう」ユーザーに勧めている。つまりユーザーがモバイル・デバイスで撮影した写真をFacebook本体に非公開で同期させているなら、その機能が移管された新しいMomentsアプリをインストールしなければならないということだ。

Facebookはすでにニュースフィードでの推薦やメッセンジャーとの連携などを通じ、他のどのスタンドアローン・アプリにも増して、Momentsのインストールを強く推薦している。FacebookではMomentsはメインストリームのアプリになれる能力があると考えているに違いない。Facebookはこれまでに何十もの新機能が誰も使わないため消えていくのを放置してきた。同社は自然淘汰を強く信奉しているようだ。

実際、 Facebookは最近、社内のR&D担当部門、Facebook Labsを閉鎖している。この部門からはRiff、Slingshot、Roomsなど数多くの実験的プロジェクトが生まれているが、どれひとつものにはならなかった。

しかしMomentsの場合は話が違う。

このアプリはデバイスで撮影した写真を特定のFacebook友達とプライベートに共有する機能を提供するもので、この数ヶ月、Facebookがプロモーションに力を入れるにつれて
アプリ・ストアのランキングを着実にアップさせてきた。またFacebookは人気のチャット・サービス、Messengerと連携させることで+Momentsの知名度を上げる努力もしている。ユーザーがMomentsで写真を友達と共有すると、そのことが相手のFacebook本体にプッシュ通知されると同時にMessengerアプリからメッセージが送られる。

FacebookはMomentsを使うユーザーを本格的にこのアプリに定着させる構えだ。

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実はFacebookで写真同期が開始されたのは数年前だ。これはモバイル・ユーザーが写真を簡単にバックアップできると同時にFacebookに投稿しやすくすることを狙った機能だった。アプリはバックグラウンドで作動し、非公開のまま写真アルバムをFacebookのサーバーにアップロードし、後でユーザーが編集、共有、削除などの処理ができるようにした。当時、この機能は非常に高い評価を受けた。ソーシャルメディアにとって写真処理のしやすさとユーザー数や利用時間には死活的な関係があった。つまり機能をMomentsに移して本体の写真同期をシャットダウンするというのは実に大胆な決定といってよい。これは昨年FacebookがMessengerを普及させるために本体アプリからチャット機能を切り離したのに匹敵する大胆さといえる。.

しかしその結果は大成功で、MessengerはたちまちAppleのApp Storeの3位(ときおり2位)に駆け上った。FacebookはMomentsアプリでこの再演を期待している。

Facebookによれば、Momentsのインストールを望まないユーザーに対してはデバイスの写真をZIPファイルとしてコンピューターにダウンロードする(またはデバイスから削除する)機会が与えられるだろうとしている、

新しいMomentsの投入は、ライバルのGoogleがスタンドアローンの写真アプリ、 Googleフォトを成功させた(「写真とビデオ」カテゴリーでiOSアプリがトップ20、Androidアプリがトップ10入り)タイミングで行われた。

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1月10日に本体の写真同期機能が終了した後も。Momentsで同期された写真自体へはURLでアクセスできるということだ。つまりMomentsをインストールしてないユーザーも送られてきたリンクをたどれば同期写真を見ることはできる。

Screen Shot 2015-12-14 at 10.02.55 AM

十数億という桁はずれのFacebookのユーザーベースを考えればMomentsアプリもストアでのランキングを急速に上げてきたことは驚きではない。Momentsアプリは今月初めにはトップ100位に入る程度だった。しかしFacebookがプロモーションを始めると12月11日(先週の金曜)にはiTunes App Storeで3位となっていた。その後やや順位を下げたが、昨日も依然トップ15に入っていた。 Google PlayでもpMomentsアプリは10位以内だ。

ただしヨーロッパのFacebookのユーザーの場合、Momentsへの移行に関していまだに不透明な部分がある。

それはどういうことかというと、Momentsのセールスポイントは上述のように強力な顔認識機能であり、この機能に基づいて共有相手を推薦する能力だ。しかしヨーロッパではまさにこの能力がプライバシー保護の観点から禁止対象になっているため、Momentsはヨーロッパでは利用できない。FacebookとしてはヨーロッパでもMomentsをリリースする必要がので、同地向けに顔認識を削除したバージョンを用意しなければならないだろう。プライバシー上など同様の制限に対してFacebookは過去にも別バージョンで対応してきた歴史がある。当面、Facebook本体の写真同期機能が廃止されるのはMomentsが制限を受けずに公開できる国に限られるのだろうというのがこの問題に対するわれわれの理解だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+