Twitterのプロフィールページ変更で思う、「自己表現」可能性のこれから

現実世界の時の流れというのは、もちろん過去から未来へと遷移していくものだ。つまり今ここに存在する自分というのが「最新」の自分であるということになる。ソーシャルネットワークも、そうした発想でプロフィールページを構成していた。しかし、最近になってTwitterでも特定のツイートを固定してフィードのトップに表示することができるようになった。これにより、自分のことをより的確に伝えることができるようになるかもしれない。よりトータルな視点から自分を伝えるための一歩であると評価することができるだろう。

誰かに会ったときはたいてい「how are you?」と話しかける。疑問を投げかけているわけではあるが、この質問に対する回答で相手のことを深く理解できるというようなことはほとんどない。「fine」と応じられるケースがほとんどだし、あるいはちょっとした調子の善し悪しに言及する程度のことが多い。「一番新しい言葉」が相互理解に繋がらないことが多いのはこの例からもよくわかるところだが、しかしこれまではFacebook、Twitter、あるいはGoogleなどもみな、同じような「伝わらなさ」を仕組みとして採用していたのだ。

もちろん、より深く知りたいのなら写真アルバムを見たりして、より多くの情報を集めることはできる。しかし「いったいどういう人なのか」とか「何をしているのか」ということは、すぐに知りたいものなのだ。ひと目みてわからないような場合、追加で手間を払おうとすることはほとんどないと言ってよい。また、写真やお気に入り、あるいはどういう人をフォローしているのかを眺めてみても、これまた時系列的理解の制限にしばられることになるのだ。運が悪ければ重要な情報が何も得られないということもあり得る。

これまでのプロフィールページの仕組みは、直近の3秒間だけの記憶(参考:Goldfish Memory)で自分を評価させるというようなやり方だったのだ。

街で偶然に人と出会うという状況とは違うのだから、ソーシャルネットワークにて「How are you? / I’m fine」方式を踏襲する必要はないのだ。部屋のインテリアを整えて、そして人を招待するような形式にすれば良いのだと思う。マントルピースに「最新の3枚」の写真を飾っている人は少ないだろう。たいていの人は一番のお気に入りを飾っておくものだ。もっとも大事な人やものなどが写っていることだろう。たくさんの本やCDを持っている人も多いかもしれない。そういう人も、たいていは好きな作品が目立つところにくるように配置しているものだろう。

選択することにより、私たちは自分の経験したことのうち、ぜひ人に伝えたいと思うことを共有することができるようになる。そうしたことこそ、インターネット上での友だちを見つけるのに有効な手段となるのだ。世界中には億の単位で趣味を語り合ったり、友だちになったり、あるいは情報を伝え合う関係になり得る人が存在している。ソーシャルネットワークは、そうした人々を繋ぐのに役立つツールとなるべきなのだ。

Twitterの新しいプロフィールページは、「正しい方向」に進化するものとして評価すべきものかと思う。プロフィールページに固定ツイートを表示できるようになったことにより、「新しい発言」ではなく、本当に興味を持っているものはなんなのかをツイートや写真、ないしリンクで示すことができるようになったのだ。「こちらはこういう人間です。興味があればフォローしてください」ということを示しやすくなる。

また、フォントサイズでも特徴を示すことができるようにしているようだ。反響の大きいツイートについては、少し大きめなフォントで表示されるようになっている。すなわち面白い発言が見つけてもらいやすくなっているわけだ。プロフィールのキュレーションをクラウドに委ねている状況だと言うことができようか。

自分が何物であるかを示しやすくなるとともに、こうした機能はある人をフォローすべきかどうかを判断する際にも役立つ。直近のツイートだけ見ても、その人が果たして興味深い人なのかどうなのか、判断できないことがある。これからはピン止めしているツイートをみて、ある程度の判断ができるようになるわけだ。

Facebookを見てみると、こちらではどういった投稿を誰に表示するかといったオプションをいろいろと用意している。但しこれはあくまでも、時系列のポストをどういった範囲で公開するかということを設定できるに過ぎない。「ページ」ではさまざまな機能が提供されているが、一般の利用者がこれを充分に活用することはできずにいる。「友達」、「いいね」、「音楽」、「ゲーム」、「本」、「イベント」、あるいは「ノート」など、プロフィール画面中に表示するいろいろなセクションが用意されてもいる。しかしこれらは少々わかりにくいところに表示されている。また管理の方法も面倒で、ほとんどの人が手付かずで放置している現状だ。

また、タイムラインへの投稿をどのように表示するべきかというのは、Facebookがずっと気をもんできた部分でもある。アルバム内の写真を大きく表示するかという選択ができるようにしたり、あるいは「いいね」のカスタマイズ表示もできるようになったり、あるいはそうした機能が使えなくなったりということを繰り返してきている。Google+の方は、オプションの選択が面倒すぎるのか、カスタマイズ機能については無視を決めこんだ格好だ。

ベストな形式というのがあるのだろうか。人気の投稿や写真を目立つように表示するのは、投稿者をわかりやすく表現するひとつの方法かもしれない。また表示形式を自由に作成できるセクションなどを追加するのも面白いのではないだろうか。たとえばPinterest風のレイアウトを使って、ひとめでわかるような自己表現はかなりわかりやすくて便利だと思うのだ。

多くのソーシャルネットワークが時系列による表示方法を採用していたことも理解はできる。共有範囲が狭く、また投稿数も少ないうちは、時系列による方式が確かに機能するのだ。しかしTwitterは8歳となり、Facebookも10歳になった。「最新」情報に拘らない表現の形式が生まれてくるタイミングだと思う。

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(翻訳:Maeda, H


Twitterのデザインがリニューアル―プロフィールはFacebook的になり、背景画像は廃止

TwitterはこれまでFacebook的デザインの新しいプロフィール・ページをベータテストしてきたが、今日(米国時間4/7)から一般ユーザーにも公開し始めた。公式ブログの記事にデザインと新機能の詳しい紹介が説明されている。

まずヘッダー写真は横幅がページいっぱいになり、プロフィール写真もサイズが大きくなった。デザインとしてはFacebookのプロフィール・ページによく似ている。またリンクの色も多少の変更ができる。

その代わり、これまで可能jだった背景のカスタマイズは廃止された。ユーザーが背景画像をアップできるというのはある意味MySpace時代の名残だったとはいえ、ここに連絡先など有益な個人情報を掲載しているユーザーも多かった。しかし背景画像が廃止されたことでプロフィール・ページに統一感が与えられ、すっきりした雰囲気になったのは確かだ。Twitterが最近特に力を入れている新規ユーザーの獲得の面からも、背景画像をアップするという余計な手間がなくなるのはむしろ良いことなのだろう。

コンテンツについては、プロフィール・ページに表示されるタイムラインでは、RTやコメントなどの反響が大きかったツイートが大きいフォントで表示され、さらに注目を集めやすくなった。ただしこの処理はユーザー本人のコンテンツだけに行われ、RTには行われない。

またユーザーは自分のツイートから一つを選んで、タイムラインのトップに「ピン止め」しておくことができるようになった。ユーザーは「自慢のツイート」をピン止めして、自分の関心や得意領域が何であるかを読者に示すことができる。またタイムラインに「写真を添付したツイート」あるいは「ビデオを添付したツイート」だけを表示するオプションが加わった。

新規ユーザーはただちに新デザインを利用できるが、アップデートが全ユーザーに行き渡るには今後数週間かかるという。

Twitterはこの数ヶ月、さまざまな新デザインをテストしてきた。その中にはツイートを時間軸に沿って縦一列に並べたタイムラインではなく、Pinterestのようにタイル状に並べたものもあった。新バージョンは従来どおり縦一列のタイムラインだが、プロフィール・ページについては単線的なデザインからだいぶFacebook的デザインに近づいている。これも新規ユーザーが馴染みやすいようにという配慮なのだろう。古参ユーザーから(例によって)不満の声が上がるだろうが、私は全体として好ましいバージョンアップになっていると感じた。〔日本版:新デザインはミシェル・オバマ大統領夫人の公式アカウントがわかりやすい。〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+