ラグビーワールドカップ2019でUberのサービスは日本でどう使われたか

Uber Japanは2月4日、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップ2019で、Uberのサービスがどのように使われたのかについて、報道関係者受けのメディアラウンドテーブルを開催した。登壇したのは、UberのAPAC(アジアパシフィック)でディレクターを務めるÉmilie Potvin(エミリー・ポトビン)氏。

UberのAPAC(アジアパシフィック)でディレクターを務めるÉmilie Potvin(エミリー・ポトビン)氏。昨年のTechCrunch Tokyo 2019にも登壇し、Uberの国内展開について語ってくれた人物だ

まずUberの現状について、国内では11都市でサービスを展開しているほか、地方自治体と協力して高齢者向けの移動サービスを実施していると説明した。またデリバリーシェアリングサービスのUber Eatsについては10都市で展開しており、約1万4000件のレストランを利用可能とのこと。アジアでの利用回数は10億回を超えているなど、同社では最速で展開しているビジネスだそうだ。

そして、ラグビーワールドカップ2019の期間中にUberアプリを起動してハイヤーを探そうとした人は、前年比で52%増となったとのこと。利用したのは100カ国、1000都市以上のユーザーだったという。また、実際にUberを利用してハイヤーを呼んだ人は前年比で68%増。ワールドカップ期間中の平均移動距離は11km、最長移動距離は羽田空港から苗場までの513.9km、料金31万円だったという。なお平均移動距離の11kmは、東京駅で乗車して国道20号と青梅街道を経由して中野駅で降車した場合の距離に近い。

11月1日開催されたニュージーランドとウェールズの3位決定戦では、会場となった東京・調布市にある味の素スタジアム近辺での利用率がアップした。15時から23時まではUberを開いた外国人の数は前年比で27%増となり、実際にスタジアム近辺でUberを使ってハイヤーを使ったユーザーは、乗車場所ランキングでは全体4位、降車場所ランキングでは全体の5位にランクインした。

11月2日に開催された南アフリカとイングランドの決勝戦では、やはり会場となった横浜市港北区にある日産スタジアム近辺での利用率がアップ。当日のUberの全体の利用率は国内で前年比8%増となったほか、日産スタジアム近辺でUberを利用してハイヤーに乗車したユーザーは全体の5位、降車したユーザーは全体の3位にランクインした。

また国内でも好調のUber Eatsについては、大会期間中にホテル客室からの依頼が増えたそうだ。通常時は10件のオーダーのうち2件ほどがホテル宿泊客からのオーダーだったが、期間中は5件と半数がホテル宿泊客の利用だったという。ホテル宿泊客の国籍や性別などは明らかにされなかったが、同社は海外からの観光客の利用が増えたと見ている。ちなみに、注文が多かったフードはフライドチキンとハンバーガー、そして麻辣タンメン。飲み物については、ビールのオーダーはワールドカップ開催前より25%増えたという。

同氏によると、2020年は東京五輪などで4000万人以上の観光客が来日すると見込まれており、日本にとってエキサイティングな年になることは間違いと語った。また。4年前のブラジル・リオデジャネイロのオリンピックでは、Uberアプリを利用したユーザーは70カ国におよび、ブラジルのドライバーの収入アップに寄与したことを例に挙げた。

そのほか、Uberアプリの比較的新しい機能としてSpotlightが紹介された。これは利用者別にユニークな色が割り当てるもので、ハイヤーやタクシーが乗車位置に近づくと、スマートフォンの画面がその色に塗りつぶされる機能。利用者はその画面をドライバーに見せることで、複数の利用者がいる乗車場所でも依頼したドライバーを見つけやすくなる。そのほか、複数人で利用する際に複数の降車場所の指定、割り勘、現在位置の共有、Uber Eatsのオーダーといった機能も搭載されている。

質疑応答でポトビン氏は、JUMPというサービス名で知られる電動アシスト自転車や電動キックボードの国内でのサービスの展開については、「JUMPについては地方自治体などと話し合いを進めている最中だが、今後強力に推し進めていきたい」と語った。また都内ではハイヤー中心でタクシー会社とテ形できていない点については「Uberとしてはさまざまなタクシー会社と連携したいと考えている」と述べるに留まった。とはいえ、都内ではJapaxTaxiを筆頭に、ソフトバンク系のDiDiやDeNA系のMOVなどのプラットフォーマーがタクシー会社を取り合いをしており、Uberが入り込む余地はあまりないと考えられる。

またアジア展開については、Grabに事業を丸ごと売却した東南アジアを除くと、日本と韓国、オーストラリア、台湾、香港、そしてインドでサービスを展開中とのこと。特に台湾の事業は順調に推移しているそうだ。ちなみに、ライバルのJapanTaxiは、韓国のカカオT、台湾のLINE TAXI、東南アジアのGrabと連携しており、各アプリからJapanTaxi加盟のタクシーを呼べる仕組みが出来上がっている。東京五輪でも訪日外国人向けに配車サービス会社同士の戦いは熾烈を極めそうだ。

今回発表された数字はほとんどがパーセンテージで実数は明らかにされなかったが、日本国内ではハイヤー・タクシー配車事業よりも、Eats事業が順調だという印象を受けた。国内導入に向けて交渉中の電動キックボード事業は、道路交通法などの参入障壁が高いもののの、免許やヘルメット着用、ナンバープレート装着などが不要な電動アシスト自転車のシェアリングであれば現実的かもしれない。

ソフトバンクは大赤字のポートフォリオ企業間の衝突に介入していた

ソフトバンクは、ポートフォリオ企業同志が競争して莫大な赤字を積み上げる現状にとうとう業を煮やし、合併の可能性を探ることも含めて密かに介入をしていた。

ともあれ、米国時間1月30日のFinancial Timesの記事によれば、同社は昨年、UberとDoorDashの合併を取りまとめるようと努力していたという。このときは合併交渉はまとまらなかった。両社ともソフトバンク(ソフトバンク・ビジョン・ファンド1号)から多額の投資を受けており、料理の宅配事業で激しく競い合っている。

Uber Eats2019年第3四半期期の純収入3億9200万ドル(約427億円)に対して、同期の調整済み赤字は3億1600万ドル(約344億円)にも上っている。この赤字の大海に比べるとDoorDashが予測している2019年の通年の赤字である4億5000万ドルでさえ穏当な額に見える。両社が合併すれば赤字幅が圧縮できることは間違いない。株式上場維持路線であろうと非公開化して現在の会社評価額を維持する路線であろうと、現在よりはるかに強い立場で臨めるだろう。

Uberが株式公開後、株価維持に苦しんできたことはよく知られている。現在の株価は公開直後の高値に比べて半額だ。DoorDashも人気を集めたものの最近大型資金調達に成功していない。がっぷり四つに組んだまま競争を続けているこの2社が合併することにはメリットがある。両社が同一の大株主を持っていることを考えればなおさらだ。

カオス状態は他にも

UberとDoorDashはSoftBankのVision Fundからのキャッシュを元手に互いにレンガを投げつけてあっている唯一の例ではない。本日のWall Street Journalの報道によれば、ラテンアメリカではいずれもソフトバンクが大株主である企業間の競争が激化しているという。

ラテンアメリカでUberはライバルのRappiや中国の滴滴出行(Didi Chuxing)などの挑戦を受け激しい値下げ競争に巻き込まれている。しかしここに奇妙な現象がある。この競争者グループの最大株主はいずれも同一の会社、日本のソフトバンクグループなのだ。ソフトバンクはトータルで200億ドル(約2兆1800億円)をこれら3社に投じている。

ユニコーン(評価額10億ドルのスタートアップ)が次々に生まれる前の時代には「1つのベンチャーキャピタルは競争関係になり得る複数のスタートアップに投資してはならない」という金言があった。1つの会社に投資して、同じく自分が投資している別の会社を叩くのを助けるのは道理に合わない。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資はこのルールを無視した結果、南北アメリカ大陸でベンチャー投資の大失敗の見本のような状態に陥った。ちなみに、米国で有名なベンチャーキャピタルであるSequoia CapitalもUberと滴滴出行の双方に投資しているのだが。

これがソフトバンクがDoorDashがUberに統合される可能性を探った背景だ。実現すればすくなくとも頭痛のタネが1つ減るわけだ。しかし次に同社はUberと滴滴出行がライドシェアリングという本業でバッティングする現状をどうにかさばかねばならない。またラテンアメリカでUber EatsとRappiが繰り広げている破壊的競争を止めさせる方策を考える必要がある。

ライドシェアリングと料理宅配の各社をすべて合併させ単一の巨大企業とするのがソフトバンクの立場からの理想だろう。もちろんこんな合併はどこの国だろうと反トラスト法による規制にひっかかかる。それでも赤字と収入を一箇所にまとめれば財務書類を大幅にわかりやすくする効果はあるだろう。

画像:Tomohiro Ohsumi (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

2021年の黒字化を目指すLyft、90人レイオフ報道で株価1.5%下げ

人気のライドシェアリング企業、Lyft の株価が 1.5%下がった。これは同社がレイオフを計画しているとNew York Timesが報じたことを受けたものだ。TechCrunchの取材にLyftは計画しているリストラによって90人が影響を受けると認めた。同社の株価は報道の後、3%下がった後で持ち直した。

Lyftは声明で「慎重に検討した結果、2020年のビジネス上の目標を達成するためには部門(複数)のリストラが避けられないことが判明した。しかし当社は依然高成長を続けており、今年だけで新たに1000人を採用する計画だ」と述べた。

LyftはライバルのUberと激しく競争しており、これまでのようにベンチャー資金を大量に燃焼させて赤字を重ねる経営を改めて黒字化を達成しなければならないという強い圧力を受けていた。

直近の決算報告である2019年第3四半期決算でLyftは「2021年第4四半期には調整済みEBITDAでの黒字化を達成する」と黒字化の時期をそれまでより前倒しした。Lyftの上場時売出し価格は72ドルだったが、その後低迷を続け現在は47ドル台だ。

同社によれば、マーケティングとエンタープライズセールス部門が今回の見直しの対象組織だという。

Lyftの最大のライバル、Uberも最近数カ月で米国内でレイオフを実施している。他のユニコーン(会社評価額10億ドル以上のスタートアップ)も最近次々にレイオフを行った。投資家のマインドが変化し、赤字の累積に厳しい目を向けるようになってきたためだ。どれほど巨額の赤字が積み上がっていようと急成長のためには惜しみなく投資するという太っ腹な時代は過去のものになった。今や赤字幅の急速な圧縮、それどころか黒字化をもたらすような急成長が求められている。

8四半期のうちに調整済みEBITDAで黒字化するという約束を掲げたLyftもその例に漏れない。次の四半期決算の発表に向けて容赦なく時計の針が進んでいる。

Lyftは直近の四半期決算で赤字幅の圧縮に成功している。赤字額は2019年第3四半期には1億2160万ドルで2018年第3四半期の2億4530万ドルから半減している。同時期に売上は5850万ドルから9556万ドルにアップした。総コストでのLyftの赤字が累積を続けた。特に 2019年の第3四半期にはストックオプションなど株式ベースの報酬支払いに加えて保険関係の費用増大も8660万ドルに上った。調整済みEBITDAにせよGAAPベースにせよ、これを改善と見るかどうかは投資家次第だ。しかし同社の営業キャッシュフローはこの時期に間違いなく改善されている。

2019年第3四半期の調整済みEBITDAベースの赤字は1億2810万ドルで、もちろんゼロからは遠い数字だが、上で触れたように前年同期と比較すれば半減していた。

Lyftは2019年第4四半期の決算を2週間後の2月11日に発表する予定だ。赤字幅の圧縮がさらに進んでいるかが注目される。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Uberの自動運転車ユニットがワシントンDCのマッピングを開始

UberのAdvanced Technologies Group(ATG、先端技術グループ)は、今年市内で開始する予定の自動運転車テスト計画に先立って、ワシントンDCのマッピングを開始する。

画像クレジット: Uber

同社の広報担当者によれば、当初3台のUberの車両がエリアをマッピングする予定だ。これらの車両は人間によって運転され、2人の訓練を受けた従業員が同乗している。上部に備えられたセンサー部品(カメラと回転するライダーが装備されている)を用いてセンサーデータを収集することになる。

集められたデータは高解像度マップを作成するために使用される。また同じデータは、Uberの仮想シミュレーションおよびテストコース上のテストシナリオにも使用される。Uberは、2020年末までにワシントンDCで自動運転車の運用を開始する予定だ。

少なくとも他に1社が、ワシントンDCで自動運転車をテストしている。フォードは2018年10月に、ワシントンDCで 自動運転車をテストする計画を発表している。Argo AI(アルゴAI)がフォードの自動運転車用に設計された仮想ドライバーシステムと高解像度マップの開発を担当している。

フォードとフォルクスワーゲンが支援するArgoは、2018年にワシントンDCのマッピングを開始した。テストは2019年の第1四半期に開始されることが計画されていた。

Uber ATGは、2018年3月に米国アリゾナ州テンペで、人間が同乗したテスト車両の1台が歩行者をはねて死亡させて以来、目立たないように活動してきた。同社は、事故の直後には自動運転車両に関わる全活動を中断していた。

その9カ月後、ペンシルベニア州交通局から公道上での自動運転車運用に対する承認を受けて、Uber ATGはピッツバーグで自動運転車の路上試験を再開した。同社は、サンフランシスコなどのほかのマーケットでのテストは再開していない。

Uberはほかに、ダラス、サンフランシスコ、そしてトロントの3つの都市でデータ収集とマッピングを行っている。これらの都市では、ワシントンDCと同様に、人間がUberのテスト車両を運転している。

Uberは、トヨタ、自動車部品メーカーのデンソー 、そしてソフトバンク・ビジョンファンドから10億ドル(約1100億円)の資金を調達して、2019年4月に自動運転車事業をスピンアウトした。この調達時には、Uber ATGの評価額は72.5億ドル(約7900億円)と発表されていた。この時点では、トヨタとデンソーが共同で6億6700万ドル(約730億円)を提供し、残りの3億3300万ドル(約370億円)をビジョンファンドが投入した。

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(翻訳:sako)

Uberがインドのフードデリバリー事業を現地ライバルのZomatoに売却

Uberは1月21日、インドにおける同社のフードデリバリーサービス、Uber Eatsを地元のライバルZomato(ゾマト)に売却したと発表した。これによりアメリカのライドシェア大手は、2021年の黒字化するために、損失を計上する事業を放棄する。

この2つの赤字企業によれば、契約ではUberがZomatoの9.99%を保有し、EatsのユーザーはZomatoのユーザーになるという。情報筋によると、Uber Eatsのインド事業の評価額は1億600万ドル(約117億円)から2億ドル(約220億円)の間と見なされたようだ。

TechCrunchは2019年12月に、両社の契約はもうすぐまとまると報じた。両社の話し合いを11月に最初に報じたのは、インドの新聞『Times of India』だ。

ForresterのアナリストSatish Meena(サティッシュ・ミーナ)氏によると、ZomatはUberからの買い物があるにもかかわらず、依然として地元のライバルSwiggyに1日のオーダー数で負けている。Prosus Venturesが投資しているSwiggyは、2018年後半に10億ドル(約1100億円)を調達した

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスローシャヒ)氏は声明で「Uber Eatsのインドのチームはこれまでの2年あまりで立派な業績を上げた。彼らの創意と献身を、私は最高の誇りに思う」と述べている。

情報筋によると、Uber Eatsがインドに進出したのは2017年で、インドの事業を売却するという話は2018年後半に始まっている。

続けてコスローシャヒ氏は「今後も、インドはUberにとって特に重要な市場であり、当地のライドシェアサービスへの投資を引き続き行っていく。この分野において、Uberはすでにカテゴリーリーダーである。Zomatoの資本効率の高い成長能力に強い感銘を受けており、彼らの継続的な成長を願っている」と話す。

しかし、業界の推計によると、Uberはインドのライドシェア分野のトップではない。そのタイトルはOlaのもので、インドの乗客数ではUberの2倍あり、カバーする都市の数もUberの約30に対してOlaは110だ。

情報筋によると、Uber Eatsの従業員は希望すればUberに残ることができる。

この発表の最中に、Zomatoの新たな資金調達ラウンドが行われている。創業11年になるこのインド企業は2019月12月に、Ant Financialから1億5000万ドル(約165億円)を調達し、数週間後にはさらに4億ドル(約440億円)の追加投資を求めるという。

Uber Eats Indiaの切り離しは、Uberを助けるだろう。同社は2019年に東南アジアを去ったが、今回もそれと同様にグローバルな損失が縮小する。2019年に数百名をレイオフした同社は、11月に10億ドル(約1100億円)あまりの四半期損失を報告している。Uberによると、2021年には黒字化するそうだ。

Uberは、2019年8月から12月までのUber Eatsのインド事業による損失を1億750万ドル(約118億円)と予想していた。Zomatoも同じく、損失を減らす努力をしている。2018年に同社は各月に4000万ドル(約44億円)あまりの損失を計上したが、Zomatoに投資しているInfo Edgeによると、2019年11月の決算報告ではそれが2000万ドル(約22億円)に抑えられた。

*アップデート: この記事の初期のバージョンでは、Uber Eatsのインド事業の評価額を3億から3億5000万ドルとしていた。現状は、ほぼその半分である。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uberがサンフランシスコで電動支援スクーターの試験運用を開始

Uber(ウーバー)のJUMPは、San Francisco Bike Rentals(サンフランシスコ・バイク・レンタルズ)とのパートナーシップのもと、電動アダプティブ(支援)スクーターの試験運用を開始した。これはサンフランシスコ市においてUberが許可された事業の一部であり、同市は電動スクーター事業者にアダプティブスクーターの試験導入を義務付けている。

「我々は、サンフランシスコのすべての人が改良された移動手段にアクセスできるように取り組んでいる。このアダプティブスクーターは、自宅での移動支援を必要としない人や、ホームスクーターの購入プログラムを受ける資格がないが、公共の場ではまだ制約を受ける人にとって、まさにその役割を果たすと信じている」とUberのスポークスパーソンは述べている。

Uberはパイロットプログラムの一環として、2種類のスクーターを配備している。しかし、ローンチ時には4台しか用意されていない。今後は利用者の反応を受け、地域団体と連携しながらフィードバックをもとにプログラムを拡大していく予定だ。

 

「我々の車両の選択とサービスモデルを導くために、全国のアダプティブ車両プログラムを管理している、あるいは参加しているコミュニティメンバーにインタビューを実施している」と、Uberの担当者はTechCrunchに語っている。「またインタビューの過程で指摘された、国際プログラムについても調査した」。

 

ただし当初は、これらのアダプティブスクーターはUberのアプリからは使用できない。これはUberの調査によれば、運用には顧客サービスとパーソナルアシスタントが不可欠だからだ。

代わりに、利用者はSF Bike Rentalsでスクーターを予約し、市内にある2カ所の同社のロケーションのうち1カ所からピックアップする必要がある。一度利用すれば、SF Bike Rentalsは利用者のオプションの選択をサポートできるようになる。

Uberの電動アダプティブスクーターは、低所得者向けプランを利用しない場合は毎分0.33ドル(約36円)かかる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Uberがインドで音声録音、不規則な乗車状況チェック、認証コードによる安全機能を導入

Uber(ウーバー)は米国時間1月9日、同社にとって最も重要な海外市場の1つであるインドでのサービスを改善するために、3つの安全機能を展開することを発表した。

新機能には、乗客乗車中に予定外の長時間停車があった場合にUberが介入すること、および乗客が正しい車に乗ることを保証するための4桁の認証コードの導入が含まれている。同社の幹部は、ニューデリーで行われた記者会見で、上記2つの機能が本日からユーザーに公開されていると語った。

UberのCEOを務めるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏(画像クレジット: Anindito Mukherjee / Bloomberg / Getty Images)

Uberは以前にこれらの機能を米国で展開しており、インドのローカルライバルであるOla(オラ)もこうした機能を以前から提供していた。またUberは、インド国内で乗客もしくは運転手が不快な思いをした際に、乗車全体の録音記録を会社に送ることができるようにするとも語った。Uberによれば、この機能は今年後半に国内でテスト段階に入る予定だ。ちなみにOlaはこの機能を提供していないが、ローカルバス乗車シェアリングサービスのShuttlは過去にこれをテストしていた。

Ride Checkと呼ばれる最初の機能は、長時間の予期されていない停車や、その他の不規則な状況が乗車中に発生した場合に有効になる。そうした事態を検知した場合、Uberは乗客と運転手の双方を呼び出して、すべてが問題なしかどうかを確認する。同社は、運転手のスマートフォンを使って突然の中断を検知する。

UberのSachin Kansal(サチン・カンサル)氏が、ニューデリーでのイベントで新しい安全機能について語った

Olaは、2018年9月から「Guardian」と呼ばれる同様の機能をテストしている。Olaは先月、10カ所を超えるインドの都市と、オーストラリアのパースでGuardianを展開していると語った。

Uberはまた、乗客が正しい車に乗っているかどうかを確認するために、乗客に4桁の認証コードの提示を求める機能も展開した。乗客が認証コードを提供するまで、乗車は開始しない。インドのOlaはこの機能を、すでに数年前から提供している。

さらにUberは、Manas Foundationと提携して、プラットフォームを女性にとってより安全なものにしてきたという。Manas Foundationは、インドの運転手パートナー向けに、カスタマイズされたジェンダー問題認知ワークショップを実施している。同社によれば、5万人以上の運転手パートナーが既にトレーニングを受けているという。

UberのGlobal Safety ProductsのシニアディレクターであるSachin Kansal(サチン・カンサル)氏は、同社は世界中のさまざまなマーケットでこれらの機能を試験し改良していると語った。「プライバシーはUberにとって非常に重要であり、これらのツールはすべて、それを念頭に置いて設計されています。すべての人にとってすべての乗車を5つ星体験にする手助けができるように、私たちはこの機能の改良を続けます」。

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(翻訳:sako)

UberとPostmatesがギグワーカー法案「AB-5」は違憲であると訴え

PostmatesUber は米国カリフォルニア州連邦地方裁判所に訴状を提出し、会社が労働者を独立自営業者と扱うことを制限する法案は憲法違反だと主張した。訴状にはギグワーカー2名が共同原告として名を連ね、下院法案5号(AB-5)が有効になる1月1日を控えた米国時間12月30日に連邦地方裁判所に提出された。原告は本訴訟の審議中AB-5を暫定差し止めするよう要求している。

訴状はAB-5が国およびカリフォルニア州憲法の複数条項に違反しており、例えばライドシェアリングサービスおよびオンデマンド配送会社における当局のギグワーカーの分類方法は、その他20以上の業界で「著しく似た作業」を行う労働者が適用除外されているのと比べて平等性を欠くと主張している。

AB-5は南カリフォルニア第80選挙区の民主党選出のLorena Gonzalez(ロレーナ・ゴンザレス)議員が起草し、2019年9月にGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)州知事が署名して法律として成立した。そしてこの法律は、Dynamex Operations West対カリフォルニア州ロサンゼルス最高裁判所の裁判で下された、従業員と自営業者の分類方法を規定し、ギグエコノミー・ワーカーは最低賃金や健康保険、労災補償などの福祉を受けられるようにすべきであるとする2018年の画期的裁定を支持することを目的としている。

しかし、この裁判の対立側となるIT企業やビジネスモデルがギグエコノミーに依存している企業、フリーランスのジャーナリストなどは、この法律が自分たちの職業機会と収入を得る能力を制限するものだと主張している。

UberとPostmatesに加え、原告団にはオンデマンドサービス会社のドライバーであるLydia Olson(
リディア・オルソン)氏とMiguel Perez(ミゲル・ペレス)氏が加わっている。ペレス氏はPostmatesのブログ記事で裁判に加わった理由について、AB5は「私がここ数年家族を支えるために依存している自由と柔軟さを脅かす」ものだからだと書いている。Postmatesは声明で「AB5は鈍器であり、議会がまるで行きあたりばったり24業界を適用除外にしたのはそれが理由だ」と語った。

同社は、AB-5の除外対象なりたいわけでもDynamexの判例を覆してほしいと思っているのでもなく、「オンデマンドワーカーのニーズに合わせた近代的で堅牢な安全策を講じるようカリフォルニア州議会と話すよう業界と労働者に呼びかけ、通算可能な年金モデルを確立し、最低賃金より高い報酬を保証し、全労働者が必要としている強い発言権と彼らが要求している柔軟性を与えることを要求したい。これらは現行の国や州の法律では考慮されていない」と付け加えた。

AB-5が平等保護条項に違反している証拠として、訴状は「法案の大部分は、販売員、旅行代理店社員、助成金ライター、工事トラック運転者、漁業従事者などの除外職種を羅列したものである。これらの除外には理由がなく定義はあいまいだったりまったく未定義だったりするため、何が含まれ何が含まれないかを見分けることは不可能だ」と主張している。

さらに訴状は、AB-5は人々がギグカンパニーで働くことを阻止しているのは、適正手続きに反するものであり、また、UberやPostmatesのような会社に契約者を従業員として再分類するよう強制することは、既存の契約を無効化あるいは著しく変更するものであり、契約条項に違反していると指摘している。

AB-5の起草者であるゴンザレス氏は、訴訟に関する声明で「Uberに関してはっきり言えること、それは彼らが、我々全員の安全性を高め、彼らのドライバーが自活できるようにするための規制から逃れるためにはどんなことでもする会社だということだ。その一方で、UberのCEOが億万長者になっているのに対して、多くのドライバーは車の中で寝泊まりすることを余儀なくされている」と語った。

この訴訟の前にも、AB-5を無効化あるいは制限しようとする取組みはあった。10月にはLyft、Uber、DoorDashのドライバー集団が、AB-5に対抗するべく2020年11月に州民投票を行うプロジェクトを提案した。会社から多額の経済的支援を受けているこの法案は、ドライバーが今後も自営業者として働けるだけでなく、最低賃金、経費、医療保険などの福祉も保証するものだ。

今月、フリーランスライターを代表する複数の組織がロサンゼルスの連邦地方裁判所に訴状を提出し、AB-5は言論の自由に対して憲法に反する制約を課していると主張した。その前日、Vox MediaはAB-5に対応するためにカリフォルニア州内のフリーランサー数百人を解雇すると発表した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberの配車ビジネスがドイツで禁止処分に

画像クレジット:Adam Berry

Uberに対する法的な打撃が、またヨーロッパで発動された。フランクフルトの地方裁判所は、Uberがアプリによって、レンタカー会社に配車リクエストを送信することを禁止したのだ。裁判所が不当な競争を禁止する法律に対する複数の違反を発見した結果だ。

この決定はUberの配車プロセスに関するもので、ドイツのタクシー協会による提訴を受けたもの。

ドイツでは、Uberの配車ビジネスは、専門の会社と、許可を受けている個人のハイヤー車両(PHV)のみによって運営されている。いずれも、運転手と車両が乗客輸送のために必要な免許と許可を持っていることが必要だ。今回の裁判所による禁止令は基本的に、Uberが法規に沿うようにモデルを変更しない限り、現在のUberのビジネスモデルをドイツ国内で違法とみなすものになる。

Uberはフランクフルト裁判所の判断に対して異議を申し立てることが可能だが、そうするつもりがあるかどうか、という質問には答えていない。

今回の禁止は、直ちに効力を発揮する。Uberが一時的に市場でのサービスを停止して、法規に従うことにするかどうかは不透明だが、同社は従うと明言しておらず、営業を継続しながら大急ぎで変更することを匂わせている。しかしそれでは、変更が終わるまでの間、法律に違反することになり罰金を科せられる危険を侵すことになる。

ロイターによると、訴訟の原告であるTaxi Deutschland(ドイツタクシー協会)は、即時の仮執行を求めると述べたという。それは、1回の乗車につき250ユーロ(約3万300円)の罰金、またUberが必要な変更を怠って違反を繰り返した場合には、1回の乗車につき最大25万ユーロ(約3030万円)の罰金が科せられるというものだ。

「裁判所の判決について検討し、ドイツ国内のサービスを継続できるようにするため、次のステップを決定します」と、Uberの広報担当者は声明で述べている。「私たちは認可されたPHV運営者とそこに属するプロのドライバーと協力して、長期的にドイツの都市と真のパートナーになれるように努力してまいります」

ドイツの法律に違反していると裁判所が裁定した問題の中には、Uberがレンタルの認可を受けていない、ということもある。運転サービスを提供するためにUberが雇っているレンタルドライバーは、いったん会社に戻ることなく、Uberアプリを通して仕事を受け付けている。以前なら会社が受け付けていた仕事がなくても、アプリで直接仕事を受けているといったことが問題視されている。

UberのP2P配車サービスは、その地域の最高裁判所による2017年の判決によって、欧州全域で事実上非合法化された。その判決ではUberは単なるIT企業ではなく、運送会社だと判断された。つまり、同社のビジネスは、各EU加盟国のPHV規制の対象となる。こうして応諾コストが、EUにおける同社のモデルに積み上げられる。

Uberは、デジタルビジネスモデルとアプリによる配車を前提として、ドイツの運輸関連の法規を改正する必要があると主張している。それが実現するまで、同社のビジネスはPHV規制に関する法的課題に直面し続けなければならないのは明らかだ。

フランクフルトの裁判所の裁定は、ロンドンの運輸規制当局が、英国の首都でUberが運営するための認可を更新しないと決定を下したことに続くものだった。

ロンドンの規制当局は「乗客の安全とセキュリティを危険にさらす」ことになる「不履行のパターン」を発見したという。認可を受けていないドライバーでも、アプリに登録して、少なくと合計1万4000回も客を乗せて運行するようなことができてしまっていた。

ロンドンの場合、異議申し立てによる係争中は、Uberは引き続き市内で営業を続けることができる。同社は、すでに異議申し立てを行なった。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Uber創業者トラビス・カラニック氏が取締役を辞任

Uber(ウーバー)の創業者で前CEOのTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏が取締役を辞任することが、米国時間12月24日に発表された。Uberのプレスリリースによると、カラニック氏は「新たな事業や慈善活動に注力する」ため、12月31日付けで取締役を正式に辞任する。

2017年にUberのCEOを辞任させられ、取締役会の支持を得た株主決議によりDara Khosrowshahi(ダラ・コスローシャヒ)氏と交代したカラニック氏は、継続的な売却を通じて所有する大部分のUber株式の売却手続きを進めている。先週には、カラニック氏は約3億8300万ドル(約420億円)相当の株式を売却。米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると保有株式を10%未満に減らした。

アップデート:カラニック氏は残りの株式をすべて売却したようで、SECへの提出書類はクリスマス休暇後にウェブに公開される見通しだ。

株式の売却は、Uberが個人投資家や従業員への株式売却を制限しなくなったIPOから半年後に始まった。カラニック氏はかつて、9800万株を所有していた。それ以来、同氏はオンデマンドフード業界に参入し、格安物件を選別してカウンターや座席、予約なしでのレストラン運営に転化させるスタートアップのCloudKitchensの立ち上げに、彼の前の会社が協力した。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Uberはセクシャルハラスメントと報復で有責となり被害者全員に最大4.3億円を払う

性差別と報復に関する2017年の合衆国雇用機会均等委員会からの告発に対しUberは、440万ドル(約4億円3800万円)の罰金を払うことに合意した。

調査により、Uberが「セクシャルハラスメントがある企業文化と、ハラスメントを訴えた個人に対する報復を許容していた」と信ずるに足る合理的な根拠が見つかったと委員会は米国時間12月18日のプレスリリースで表明している。同委員会は、同社のCEOがTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏だった時期に、Uberの職場環境に関する複数の報告に基づいて調査を開始した。

Uberの法務最高責任者であるTony West(トニー・ウェスト)氏は声明で「これまでの懸命の努力によって今ではUberの全社員が、公正と説明責任を重視することの人生における価値を明確に認識している。今後も雇用均等委と共に継続的にこの努力を強化していけることに、大きな喜びを感じている」も語る。

決着の一環としてUberは、最大で合計440万ドルを、2014年1月1日以降Uberでセクシャルハラスメントや報復を経験したと同委員会が認めた者に支払う。Uberはまた、ハラスメントの訴えを複数回行わねばならなかった者と、ハラスメントの懸念にきちんと対応しなかった管理職を見つけるシステムの確立に関しても同意した。

今後3年間Uberは、雇用均等委元委員のFred Alvarez「フレッド・アルヴァレズ)氏の監視下に置かれる。

委員のVictoria Lipnic(ヴィクトリア・リピニック)氏は声明で 「この合意はUberを有責とするものであり、今後はセクシャルハラスメントと報復に対する効果的な対策のモデルを形成することにより、同社が自己を刷新するとともに、テクノロジー業界に変化をもたらすことを、義務付けるものである」と述べている。

この裁定により、2014年1月1日から2019年6月30日までの間のいずれかの時点でUberで働いた女性社員全員にメモが送られる。そして、ハラスメントなどの被害者は、そのときの状況を申し立てることができる。それに対する罰金については、委員会が決定する。

画像クレジット:Anindito Mukherjee/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ライドシェアLyftがレンタカー参入、Uberは撤退済み

ライドシェアの登場により、金をかけて車を所有する必要性は減ってきた。だが、遠くまで行く際などにはライドシェア以外の選択肢が必要なこともあるだろう。米ライドシェア大手のLyftは、レンタカーでそのようなニーズを満たすことを目指す。Lyftは12月12日、サンフランシスコ、オークランドとロサンゼルスでレンタカーサービスの「Lyft Rentals」を、まずは一部ユーザーを対象に提供開始した。

Lyft Rentalsでは、ユーザーはLyftのアプリから予約などの手続きができ、同社いわく、並ぶことなく車両をピックアップすることが可能だ。それ以外の強みは、Lyftいわく、想定外の追加料金が発生しない点。走行可能な距離は無制限で、期間は最長で2週間。ガソリンを入れずに返却しても、地域の市場価格に基づいたガソリン料金が請求されるだけで済む。

車をピックアップする場所への移動、そして返却後の移動に関しては、各移動に対しLyftが最大20ドル分のライドシェア料金を負担するため、同社は「ドア・ツー・ドア」のサービスであることを売りにしている。車をピックアップする際にはLyftのコンシェルジュから鍵を受け取る必要がある。ここに関しては、スマホで車両を探し鍵を開ける個人間カーシェアリングのGetaroundが持つようなコネクテッドカー技術による利便性は今のところ見られない。車の返却時には、鍵を専用のボックスに投函する。

車種は、サンフランシスコとオークランドではVolkswagen PassatとVolkswagen Atlas、ロサンゼルスではMazda3とMazda CX-5が利用可能となっており、今後はハイブリッド車も追加される予定だ。ペットの乗車も可となっている。Lyftは、Lyft Rentalsで提供する車両をライドシェア目的でドライバーが利用することは今のところは不可としている。

Quartzいわく、Uberは前述のGetaroundと共にレンタカー事業の「Uber Rent」を展開していたものの、提供を開始した2018年内に、わずか6ヵ月ほどでサービスを終了している。ローンチ時にGetaroundの創業者でCEOのSam Zaid氏が、ライドシェアによる短距離移動、そしてカーシェアリングによる長距離移動のコンビネーションにより、ほぼ全ての人たちの移動のニーズを満たすことができる、と綴っていたのにも関わらずだ。同氏は「車の所有を所有しないことを洗濯した人たちにとって完璧なコンビネーションになる」ともコメントしていた。

Quartz記者のAlison Griswold氏によると、Uberの担当者、Kaitlin Durkosh氏は「Uberアプリを通じてレンタカーを提供する上での最適な手段を模索したい」とメールでコメントするのみで、詳細を説明しなかった。Griswold氏は、Uber Rentがあまり使われていなかったため、電動キックボードや電動自転車のようなマイクロモビリティ領域に注力した可能性、そしてUberの出資先である電動キックボードのLimeがレンタカーを開始する予定であったことを指摘している。なお、TechCrunchによると、2018年11月にシアトルで開始したLimeのレンタカー事業「LimePod」は今年中に終了する予定だ。

Uberの致命的な事故に関する集計結果は低い値を示しているが、重要な数字が除外されている

Uberがリリースしたばかりの米国内安全性報告書 は、致命的な事故の件数をある程度詳しく述べている。良いニュースは、走行距離(マイル)あたりの全体の致命的事故発生率が、全国平均の約半分であることだ。しかし、レポートに含まれるものと除外されるものに関して、いくつかの不可解な選択がなされている。

画像クレジット:</strong>ANTHONY WALLACE

レポートの作成のために、Uberはドライバー、ユーザー、そして保険会社から得られた、事故の内部レポートを収集し、米国全土の自動車死亡事故を追跡するデータベースであるFatality Analysis Reporting System(FARS)と比較している。このような手段を用いることで、Uberは2017年と2018年の合計で、合わせて107人の死者を出した97件の致命的事故を報告している。

同社はこれに先立ち、2018年の1年だけでも米国では3万6000人以上の人間が車の事故で死んでいることを指摘しているため、合計値そのものにはあまり意味がない。そこで、彼らは(他の組織もこの分野で行っているように)これらの事故を走行距離に対する発生率として報告している。10万マイル(約16万km)の走行あたり1回の衝突事故はそれほど悪いものには聞こえない(なにしろたった1回なのだ)。しかしUberの発表した数字に近い10億マイルあたり10回という衝突事故数は、それよりもはるかに優れている(一部の人にとってこれは疑いようもなくはっきりしたことだが、その他の人にとってはそうでもないかもしれない)。

実際の数値を見ると2017年には、82億マイル(約132億km)を超える走行距離の中で「Uber関連」の死亡者は49人だった、これは1億マイル(約1億6000万km)あたり約0.59人である。これが2018年には、103億マイル(約166億km)を超える距離で58人、つまり1億マイルあたり約0.57人だった。全国平均値は1億マイルあたり1.1人を超えているので、全体でみたときの1走行マイルあたりの死亡者数は全国平均の約半分ということになる。

これらの事故は、一般に全国平均よりも遅い速度下で発生し、夜間の都市の照明のある場所でより多く発生していた。ライドシェアサービスは都市に集中し、より短距離で低速な移動に重点がおかれていることを考えると、これは理にかなっている。

この結果は結構なことだが、残念な点がいくつか見受けられる。

第1に、明らかに、致命的でない事故については一切言及されていない。これらを追跡して分類するのは確かに困難だが、それらをまったく含めないのは奇妙に思える。死亡事故率から予想できるように、Uberによる軽い衝突事故や腕の骨折などのより重度の事故が全国平均よりも低いならば、なぜそう書かないのだろう。

これについて尋ねてみたところUberの広報担当者は、致命的ではない事故は、致命的なクラッシュほどは明確に定義または追跡されていないので、一貫して報告することが困難なのだと答えた。それは一理あるが、それでも重要な部分を見逃しているような感じを受ける。致命的な事故は比較的まれなので、むしろ致命的でない事故に関するデータが他の知見を提供してくれるかもしれないからだ。

関連記事:Uberが昨年の性的暴力事例2936件を公表

第2に、Uberには「Uber関連」事故に関する独自の定義がある。当然のことながら、この定義には、ドライバーが乗客のピックアップに向かうときや、車に乗客が乗っているときが含まれている。上記で触れたすべての走行距離と事故は、乗客ピックアップの途中または乗車中のものだ。

しかし、ドライバーが少なくない時間を「デッドヘッディング」(配車を待ちながら走り回ること)に費やしていることはよく知られている。時間帯によって大幅に事情は異なるために、正確にどれだけの時間かを見積もることは難しいが、私はUberがこの時間を除外した決定が正しいとは思わない。結局のところ、タクシードライバーたちは乗客を求めて走っているときは勤務中であり、Uberドライバーたちも目的地を行き来して、乗客を捕まえやすい場所へと移動し続ける必要がある。車に乗客を乗せていない状態で運転することは、間違いなくUberドライバーであることの主要な部分だ。

デッドヘッディングに費やす時間がそれほど長くなく、その間に発生した事故の数が少なかったということは十分に有り得る。しかし、他の解釈も可能だ。私はUberがこのデータを開示することは重要だと考えている。都市や市民は、配車サービスが交通などに与える影響に関心を持っているし、車は乗客にサービスを行っていないときに単に消えてしまったり、事故に遭わなくなったりするわけではないからだ。

Uberにこれについて尋ねたところ広報担当者は、ドライバーは乗客を乗せていなかった場合には事故を報告しない可能性があるため、サービス中に関わる事故データのほうおが「より信頼性が高い」と答えた。だが特に致命的な事故の場合は、いずれにせよ報告は挙がってくるはずなので、その回答も正しいものとは思えない。さらにUberは、FARSのデータを、事故に巻き込まれたドライバーがUber上でオンラインであったかどうかの内部メトリックと比較できるため、データの信頼性はまったく同じとはいかなくとも似たようなものになるはずだ。

広報担当者はまた、ドライバーは特定の瞬間にUberで「オンライン」になっているかもしれないが、実際にはLyftなどの別の配車サービスを使用して誰かを乗せているかもしれないとも説明した。もしそうなら、事故があった場合には、レポートはほぼ確実に他のサービスに行くだろう。それは理解できるが、それでもここには欠けている点があるように感じる。いずれにしても、デッドヘッディング中の走行距離は上で使った合計には含まれていないので、数字をまったく引き出すことができない。従って「オンラインではあるが配車されていない」状況の走行距離は、今のところ一種の盲点のままだ。

完全なレポートはここで読める。

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(翻訳:sako)

Uberが昨年の性的暴力事例2936件を公表

Uberは初の安全レポートを発表し、性的暴行事件にも言及した。2017年にUberは性的暴行に関連する報告を2936件受け取った。2018年は3045件だった。数字は増えているが、平均発生率は16%減少しており、これは同社が最近安全対策を強化していることと関連があることをうかがわせる。

Uberは性的暴行を以下の5つのサブカテゴリーに分類している。非合意の非性的身体部分へのキス、非合意の性的挿入未遂、非合意の性的身体部分への接触、非合意の性的身体部分へのキス、非合意の性的挿入。

最後のサブカテゴリーについて言えば、これはレイプである。Uberはレイプの報告を2017年に229件、2018年に235件受けている。2017年、2018年を通じて、乗車1回当たりの事象発生率は0.00002%だったとUberはコメントしている。

「このような報告は稀ではあるが、いずれの報告も著しい痛みを伴う体験を進んで報告した人たちを代弁している」とUberが報告書を記載した。「たとえ1件でも、あってはならない報告だ」。念のために言うと、報告された暴行事例の被害者は乗客の場合もドライバーの場合もある。Uberによると、5つの性的暴行カテゴリー全体で、加害者の半数近くが乗客だった。

「このように扱いの難しい安全問題のレポートを自主的に発行するのは容易なことではない」と Uberの最高法務責任者Tony West(トニー・ウェスト)氏がブログに書いた。「ほとんどの会社は性的暴力などの問題について語らない。そうすることでマイナスイメージが広がり世間の批判を受けるからだ。しかし我々は新しいアプローチをとるべき時期が来たと感じている。25年以上にわたって性的事件を訴追し、このような問題を扱ってきた者として、私は新しいアプローチが絶対に必要であることをみんなに伝えたい」

Uberは長年その安全対策について厳しい視線を注がれてきた。2017年には、インドでUberドライバーにレイプされた女性が、Uberをプライバシー侵害で訴えた。CNNが独自に実施した調査によると、Uberドライバー103名が乗客に対する性的暴行や不法行為で訴追されている。

過去何年にもわたり、Uberはこうした状況を防止するために数々の安全基準を設けてきた。2018年5月、Uberはアプリに緊急通報する機能を追加した。その後Uberは、運行中にドライバーの携帯電話のGPSセンサーが異常に長い停車や予定外の停車を検知した際に起動されるRide Checkという機能を追加した。

「性的暴力の扱いには公正さが必要であり、それはこうした問題に光を当てることによってのみ実現できる。我々は社会のあらゆる部分に透明性を与えることから始める」とウェスト氏は書いた。「そして最も大切なのは、信頼できるデータを提供することによって、Uberの利用をドライバーにとっても乗客にとってもより安全にできるということだ」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドの配車サービスOlaが「数週間以内」にロンドンで事業開始

インドの配車サービス大手であるOlaは11月26日、「数週間以内」に英国ロンドンで事業を開始すると発表した。世界で最ももうかる都市の1つであるロンドンでの配車サービスをめぐっては、現地のロンドン市交通局(TfL)がUberの営業免許を昨日取り消したばかりだ。

関連記事:安全性懸念でUberのロンドンでの営業免許更新を当局が認めず

昨年英国マーケットに参入したOlaは、ロンドンでの立ち上げを前にロンドンにおけるドライバーの受付を開始した。同社はこれまでに35億ドル(約3800億円)あまりを調達していて、Uberの現在の規模を上回るドライバー5万人を集めることを目指している。

Uberのライバルであり、ソフトバンクグループからの出資を受けているOlaは、今年初めにTfLから営業許可を得ている。同社は「英国内27都市でユーザー700万人にサービスを提供できる」と語っていた。

ドライバーを集めるために、Olaはドライバーが売上の多くを懐に入れられるよう「都合のいいコミッション」に変更を加えている、と語った。ただ、正確な数字は明らかにしていない。インドではOlaのドライバーの取り分は運賃の70〜74%で、加えていくらかの「インセンティブ」も得られる。

Olaの国際事業を統括するSimon Smith(サイモン・スミス)氏は、同社のモビリティプラットフォームがTfLの基準を「完全に満たしている」と述べた。声明文でスミス氏は「過去数カ月にわたって我々は当局、ドライバー、ロンドンのコミュニティと建設的な対話を行なってきた。イノベーティブで意義のある方法でモビリティの問題の解決に寄与することを楽しみにしている」と付け加えた。

11月25日、Uberはロンドンでの営業免許の更新を却下された。却下は2回目で、Uberのプラットフォーム上で偽のIDを使ったドライバーが1万4000回以上の乗車を提供していたことを確認しての措置だ。この点に関してOlaは、Uberができなかったことすべてを実施しているかどうか、より明確にさせることはできなかった。

Olaは「さまざまな安全機能を提供する」としている。ドライバー本人確認のための「業界初」の顔認証システム、運転免許証写真とドライバー画像の照合、TfLの要件を満たし認可を受けたドライバーだけがプラットフォームを操作できるようにする確固としたテクノロジーシステム、客とドライバーのための年中24時間無休のヘルプライン、Olaの安全対応チームに緊急通報するアプリ内ボタンなどだ。

ロンドンへの事業拡大は、Olaの国際展開という野心を物語っている。特に、インドにおけるOlaの最大のライバルであるUberが独占しているマーケットにおいては、Olaは強い野心を抱いている。OlaはインドでUberを突き放している。

ニュージーランドの一部とオーストラリアでも事業を展開しているOlaはこれまでのところ英国では地方都市に照準を当ててきた。英国の首都が欧州における主要マーケットであることを考えたとき、ロンドンへの進出はOlaにとって意義のあるステップとなる。Uberは「ロンドンで350万人のユーザーと4万5000人の登録ドライバーを抱えている」としている。

TfLは昨日、Uberの事業に「乗客の安全とセキュリティを危険にさらす一連の過ちが見られた」と語った。認可されていないドライバーがプラットフォームを利用しているのに加えて、解雇されたり停職処分になったりしたドライバーがUberアカウントをつくって客を乗せることを招いた別の過ちもあった、とした。

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はTfLの決定について失望と不服申し立ての意向を表明した。コスロシャヒ氏は「TfLの決定は間違いでしかない。過去2年にわたって我々はロンドンでの事業形態を根本的に変えた」と語った。Uberは申し立ての手続きの間、ロンドンでの事業を継続できる。

画像クレジット: MANJUNATH KIRAN / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

安全性懸念でUberのロンドンでの営業免許更新を当局が認めず

ロンドンでの営業免許の2カ月間の延長が認められてから2カ月が経過し、Uberは再び市交通当局に営業免許の更新を却下された。市交通当局は今日「乗客の安全とセキュリティを危険にさらす過ちが見られた」と明らかにした。Uberは「この決定に不服を申し立てる」としている。

英国の首都ロンドンはUberにとって欧州における主要マーケットで、ユーザー350万人と登録ドライバー4万5000人を抱える。配車サービス大手Uberのロンドンでのトラブルは、ロンドン市交通局(TfL)が営業免許の更新を却下するというショッキングな決定を下した2017年に始まった。市当局は、Uberが刑事事件をどのように報告してきたか、ドライバーの身元チェックの実行、規制当局の監視をブロックするのに使われる可能性がある自社開発のソフトウェアの使用などを指摘した。

そして今回の決定では、TfLは何千もの規則違反を確認したと指摘した上で、Uberが民間ハイヤー事業者営業許可を持つに「ふさわしくない」と結論づけている。ここでの最大の焦点は、認可されていないドライバーが他のUberドライバーのアカウントに写真を載せることができたUberのシステムが改善されているかどうかだった。

「このシステムにより、認可されていないドライバーが他のドライバーのアカウントを使って客を乗せていて、少なくともなりすましによるサービス提供が1万4000回行われていた。これにより乗客の安全とセキュリティをリスクにさらした」とTfLは書いている。

「これは、すべての乗車の安全が担保されておらず、一部の乗車は無認可のドライバーによるものだったことを意味する。前回TfLが営業免許の更新を却下した理由の1つだ」。TfLはまた、解雇されたり停職処分となったドライバーがUberアカウントをつくって客を乗せるという事態を招いた、安全とセキュリティ上の別の問題も指摘した。

「TfLは、Uberがこうした行いを防止するためにとった策を確認した。しかし、Uberのシステムが比較的簡単に操作されるものだったことは懸念すべきことだ」と付け加えた。「いくつかの保険絡みの問題を含め、かなり深刻な違反も確認した」とTfLは語っている。こうした問題の一部は今年初め、正当な雇用や保険なしでの車両の使用につながり、またそれを認めたとしてUber告訴につながった。

Uberが2018年6月に15カ月間の暫定営業許可を与えられて以来、「透明性のある生産的なやり方」でTfLとかかわってきたことを含め、TfLは「カルチャー、リーダーシップ、システムに多くの実際的な変更や改善がみられた」と強調する一方で、「弱いシステムとプロセス」からくる「失敗のパターン」による引き起こされたリスクを見逃すことはできないと結論づけている。

TfLは「この違反により、こうした性質の問題の再発を防止するUberの能力に関して独立した評価を委託せざるを得なかった。評価に基づき、Uberがアプリに変更を加えながらも乗客の安全を守るための確固としたシステムを有しているという確信を持つには現状では至っていないと結論づけた」としている。

Uberは申し立て手続きの間、ロンドンで営業を続けることはできる。なので短期的には利用者にとってはなんの変化もみられない。「Uberには21日間不服申し立て期間が認められている」とTfLは話す。

申し立て手続きの間、Uberは不服申し立てヒアリング時までに判事に規則に則っていることを証明するために手段の変更を模索するかもしれない。なので、システムをどのように改善するか次第ではあるが、Uberが再び暫定の営業許可を勝ち取ることはあり得る。しかし現時点では当局が主導権を握っていることは間違いない。

TfLは、2019年9月に提示した20の条件をUberが満たしているかのチェックを含め、事業継続中は「注意して監視を続ける」としている。

「乗客の安全がリスクにさらされることがないようUberアプリへの変更を管理するためにマネジメントがしっかりとコントロールしているかに特別に注意を払う」と加えている。

声明文でのコメントで、TfLでライセンス発行と規制・取り締まりを担当するディレクターであるHelen Chapman(ヘレン・チャップマン)氏は「安全が我々の最優先事項だ。Uberが改善を図ったことは認識しているが、認可を受けていないドライバーによるミニキャブに客が乗れる状態にしてきたことは容認できない」と述べた。

「こうした問題が起こることは明らかに憂慮すべきことだ。と同時に同じような問題が再び起こらないと確信できないことも憂慮すべきことだ。もしUberが不服申し立てを行うのなら、Uberは裁判所で乗客への安全リスクが取り除かれたことを保証する十分な対策がとられていることを公に示す機会がある。申し立てを本当に行うのなら、Uberは営業を続けることができ、我々はUberがアプリに変更を加えている間に安全性が損なわれることがないよう、マネジメントが確固としたコントロールができているか慎重に見守る」。

TfLの決定に対し、Uberの欧州北部・東部の事業を担当するゼネラルマネジャーのJamie Heywood(ジェイミー・ヘイウッド)氏は「異例であり、間違っている」と反論した。

「我々は過去2年間、根本的に事業を変え、安全を標準化した。TfLはわずか2カ月前にUberをオペレーターとして認識していた。そして我々はさらに改善を図ろうとしていた」とヘイウッド氏は話した。「利用者350万人とロンドンのドライバー4万5000人のために、我々は今後も通常通り営業を続け、この状況を打開するためにTfLとのやり取りでできる限りのことをする」。

ドライバーのIDに関しては、ヘイウッド氏は「この2カ月、我々はロンドンの全ドライバーの調査を行なった。我々は確固としたシステムを持っていて、ドライバーのIDを確認するチェックも行なっている。そして間もなくロンドンのタクシーや民間ハイヤーでは初めてとなる顔認証マッチング手続きを新たに導入する」。

ロンドンのSadiq Khan(サディク・カーン)市長はTfLの決定を支持する声明をツイートした。Uberのユーザーにとっては不評かもしれないが、安全は「最大の関心事だ」と述べている。

UberのCEO、Dara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏もまたツイートし、TfLの決定について「間違っている」と述べた。「我々が高いハードルを設定されていることは理解している。しかしこの決定は間違いでしかない。過去2年にわたって我々はロンドンでの事業形態を根本的に変えた。我々はかなり改善をはかり、我々を頼っている多くのドライバーと利用者のために今後も改善を続ける」。

画像クレジット:Carl Court

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(翻訳:Mizoguchi)

政府からUberへのデータ開示要請が2018年に急増、透明性レポートで指摘

Uber(ウーバー)は、米国とカナダの当局からの乗客についてのデータ開示要請が過去1年間に急増したことを明らかにした。11月20日に発表された年次透明性レポートによると、法執行機関が2018年にユーザーのデータ開示を要請した件数は前年から27%増加した。増加の要因は部分的には事業規模が大きくなったためだが、Uber顧客のデータにアクセスしようと政府の「関心が増大した」ことも影響しているとUberは指摘する。

2018年には、米政府からユーザー2万1913人について3825件のデータ開示要請があり、72%のケースでデータを開示した。その前の年はユーザー1万7181人について2940件の要請で、データ開示は2018年よりわずかに高い73%だった。カナダ当局からは2018年にユーザー593人について161件の開示要請があった。

5月に株式公開し、それ以前の企業価値は820億ドル(約8兆9000億円)だったUberは、ユーザーのデータ開示要請の増加は悩みのタネとなっていると話した。「規制や治安義務を遵守しながら消費者のプライバシーを守るという責務は、毎年増え続けている政府からのデータ開示要請により、ますます複雑で困難なものとなっている」とUberでグローバルプライバシーとセキュリティを担当するUttara Sivaram(ウッタラ・シヴァラム)氏は述べた。

Uberはまた、ユーザー3400万人の乗車情報を米国当局に、180万人の乗車情報をカナダ当局に明らかにしたと語った。「我々が対象となった法的そして規制上の要請」の一環として当局に情報を開示するよう命令された、とUberは説明した。この情報には、ピックアップとドロップの場所、料金、「乗客個人を特定できる」かもしれないその他のデータが含まれる。

政府からかなりの数のデータ提出要請を受けているのはUberだけではない。 Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Facebook(フェイスブック)、そしてTwitter(ツィッター)も政府からの要請が増えていることを明らかにしていて、顧客ベースが成長するにつれ、政府は企業のデータをますます欲しがるようになっている。

しかしUberへのデータ開示要請は、配車やフードデリバリー、電動スクーターといった消費者事業に関するものがほとんどで、世界で数百もの都市で事業を展開しているにもかかわらずすべて北米のものだ。全体的に法執行機関からの要求が増えている一方で、安全保障の観点からの要請はこれまで皆無とのことだ。

安全保障上の情報提供は稀だがなくはない。秘密連邦裁判所やFBIが発行した召喚状といった安全保障上の命令のほとんどにおいては、要請を受けていることを企業は公けにできないルールがある。いわゆる「令状のカナリア」の文言を積極的に掲載することで、そうした要請を受けた時に企業はウェブサイトからそうした文言を消して静かに知らせることができる。

Edward Snowden(エドワード・スノーデン)の告発によるNSA監視スキャンダルを受け、アップルが最初の透明性レポートで令状のカナリアを使ったのは有名な話だ。2016年にRedditは令状のカナリアを静かに消し、機密扱いの命令受けたことをうかがわせた。米国憲法修正第1項では政府が強制する言論を保護しているが、令状のカナリアが合法かどうかはグレーのままだ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Uber CEOの「間違いは起きるもの」発言が「ボイコットUber」運動の火に油

Uber(ウーバー)のCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏のAxiosのインタビューでの発言(およびその後の謝罪)は、リニューアルされた「#boycottUber」(Uberをボイコットせよ)キャンペーンにおける同社への批判の炎にいっそう油を注ぐ結果になった。

一連の行動は、放置すればコスロシャヒ氏が2017年のCEO就任時に排除すると約束した有害なカルチャーを再発させかねない同社の弱点をさらけ出した。

まず確認すると、インタビューの中でコスロシャヒ氏は、サウジアラビアによる米国在住のジャーナリストであるJamal Khashoggi(ジャマル・カショギ)氏の殺害を「重大な過ち」だったと言い、歩行中にUberの自動運転車にはねられて死亡したElaine Herzberg(エレイン・ヘルツバーグ)氏の死になぞらえた。そして「人は過ちを犯すものであり、それは永久に許されないという意味ではない」と付け加えた。

コスロシャヒ氏は、この「殺人は許される」コメントを取り消そうと試みた。同氏は謝罪を表明し、AxiosのDan Primack編集者は、CEOが番組収録後すぐに彼の席を訪れ、カショギ氏について「用いた言葉」について遺憾の意を表したことを伝えた。

我々にはコスロシャヒ氏の発言が聞き覚えがあるように感じる。それは彼が以前にも重大な違反について「人は変われる、間違いは起きる」的態度をとったことがあるからだ。

2018年の TechCrunch Disrupt SFのインタビューでコスロシャヒ氏は、女性や人種的マイノリティーに対して無神経な発言をしたと報じられていたUberのCOOを務めるBarney Harford(バーニー・ハーフォード)氏を擁護した。コスロシャヒ氏はハーフォード氏を「素晴らしい人物」であり、ダイバーシティーとインクルージョンに関して「優れた人物の一人」だと評した。

「主要なニュース機関に無神経と報道された1つのコメントがその人を表しているとは思わない」と当時コスロシャヒ氏は言った。「それはフェアじゃない。私もこれまで無神経なことを言ってきたし、それを学習の機会にした。問題は、その人が変わろうとしているか、改善しようとしているか、だ。その人は間違ったことをしたことを理解し、行動を変えられるのか?そして私は10年来ハーフォード氏を知っており、100%彼の側に着く」。

この「人は間違える」というスタンスは危険な立ち位置に見えないかもしれない。実際人は間違いを犯し、寛容は美徳であるべきだ。しかし、数年来害悪と悪行が横行していた会社で「うっかり」と重大な違反のリスクを同列に論じるのは、コスロシャヒ氏のこれまでの取り組みを元に戻すことだ。

この直近の出来事に加え、Uberのドライバーの扱いに対する懸念や同社の自動運転システムが交通規則を無視して横断する歩行者を考慮に入れていなかったというNTSBの最新レポートは、果たしてカルチャーは良い方向に変わったのだろうかという疑問を投げ掛ける。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberが広告事業に参入、新たな収入源を模索

Uberは広告プラットフォームになる。より多くのフードデリバリー注文を取りたいレストランに、Uber Eatsアプリ内のスペースを売る。TechCrunchが見つけたUberの最近の求人情報リストでは、「カスタマーベースを成長させるために、Eatsアプリを利用する人が目新しい料理やレストランを見つけられるようにする新しい広告事業を構築するのを統率」するUber Eats Ads Leadのマネジャーを探している。

Uberの広報は、同社が広告事業に参入しようとしていることを認め、TechCrunchに対し「Eats内での関連広告を模索している」と話した。広告事業は、Eatsのマージンを改善するのに貢献するかもしれない。Eatsでは修正後の純利益でのUberの取り分は10.7%にすぎず、大半はレストランとドライバーにいく。

この新規求人は、Uberが苦境にいる中でのもので、同社は次につながる可能性を探すのに必死だ。Uberの株価は下降線をたどっていて、11月5日は28.02ドルで引けた。これは6月の最高値46.38ドルから40%下がっている。そして今日、Uberの上場後ロックアップ期間が終わり、初期投資家は保有するUber株を売却できるようになった。これは株価への新たな圧力となる。

TechCrunchは今年12月、他社に先駆けてSpecialsと呼ばれるEatsの広告のプロトタイプを見つけた。Specialsでは、レストランは割引を提供する代わりにアプリ内で特集してもらえる。これは、お腹を空かせたユーザーが特定のレストランに注文するのをUberが舵取りできることを示している。

Uberのシニアディレクター兼Eatsプロダクトの責任者であるStephen Chau(ステファン・チャウ)氏にフォローの連絡をとったところ、彼はUberが広告事業に意欲的なことをほのめかした。「レストランと連携をとる方法はたくさんある。もしマーケットプレイスにある全てのレストランを抱えているとしたら、そうしたレストランが成長できるよう、ツールを提供する。そうすることでかなり能率的なマーケットプレイスになる。彼らは広告費用をどこかで使うだろう」とチャウ氏は述べた。以来、我々は同社の広告事業の取り組みをチェックしていた。

予想どおりUber Eatsへの顧客取り込みにつながるかもしれない割引を行うレストランに、アプリでの露出を提供するという単なる報償ではなく、Uberはいま正式に広告を販売する。

「これはUberにとってまったく新しい業界で、トロントに拠点を置くEats Ads Leadはこの新しいプロダクトのビジョンを明確にし、どこから構築し始めるか責任を負う」。

求人情報にはまた、この職に就く人は「広告のための事業やプロダクト、計画戦略をまとめるのに携わり、クリエイティブな実験や初期テストを繰り返し行う」と記されている。Eatsの広告に関してはグローバルな野心があり、リードはこのサービスを「世界中でカスタマイズしてスケール展開することになる」。

こうした取り組みはUberのマーケティングとは別のもので、Uberは乗客やドライバー、Eatsの顧客取り込みに毎年10億ドル(約1090億円)を費やしている。そして広告を買うだけでなく、今度は売ることになる。

Eatsでの広告のアイデアは、食事をオーダーするだけでなく食べたいものを選ぶ場所、という発想から来ている。何かを探すときはいつでも有料のサービスがある。Uberがメーンの配車アプリの中でのEats利用促進にフォーカスするとき、レストランがお金を払って提供する提案にオープンなユーザーをUberは取り込める。

Uberの広告が正確にどのようなものになるかは、詳細は持ち合わせていない。しかしホームページ上やブラウズセクション、あるいは特定の料理ジャンルやレストランを検索したときの結果に広告が表示されるというのは想像に難くない。注文を増やしたいレストランは、お腹を空かせていて何を食べようか迷っているユーザーの目にとまるように、あるいは同じジャンルのレストランの前に表示されるよう有料広告を出すことができる。

Amazonも、マーケットプレイスから広告プラットフォームへと同様に事業を拡大した。eMarketerの予想では、Amazonの米国広告事業は今年33%成長して98億5000万ドル(約1兆700億円)に達する。これは米国広告マーケットの7.6%を占め、Googleに次いで大きな検索広告プレイヤーとなる、としている。

Uberは広告で得たお金を活用することができる。今期、同社は10億ドル(約1090億円)の赤字を計上し、そのうちEatsぶんは3億1600万ドル(約340億円)だった。しかしEatsの売上高は前年同期比で64%伸びていて、人気が高まっていることを示している。これは、ユーザーの注意を十分に引きつけて広告でもうけることができるかもしれないということを意味する。

また、広告はUberにとって、レストラン向けのインテリジェントサービスに深く踏み込むための足がかりとなるかもしれない。Uberはレストランが価格を最適なものにしたり、スタッフを振り当てたり、メニューを改善したりするのをサポートするために、データをEatsに適用することもできる。

株価をなんとかするためのUberの最善策は、ドライバーやレストランと共有しなくてもいい新たな収入源を見つけることだ。かなりのコストからUberを救うために自動運転車両が登場するまでにはまだ数年はかかりそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Uberが金融商品・サービスに特化したUber Moneyチームを立ち上げ

Uberは新たなチームUber Moneyを立ち上げて金融サービス事業を開拓する。この新チームはドライバーをサポートするための金融商品の類を引き受ける、とUber Moneyの責任者であるPeter Hazlehurst(ピーター・ヘーズルハースト)氏が米国時間10月28日にブログに投稿した。

ドライバーアプリ内で、ドライバーは自分の稼ぎや支出を簡単に追跡できるだけでなく、お金の管理や送金もできるUber Walletに間もなくアクセスできるようになる。Walletは数週間以内にドライバーアプリで展開される見込みで、その後UberとUber Eatsのアプリでも展開される。

要するにUber Moneyは、Uberのクレジットカード、デビットカード、ドライバー向けのウォレット、Uber Pay、Uber Cash、そしてUberが今後展開するかもしれないその他の金融商品を一元管理する。今年、Uber Moneyチームは米国のドライバー向けに、Uberデビットアカウントとデビットカードをドライバーアプリに統合する計画だ。将来的には、米国外のドライバーも利用できるようにする、としている。加えて、Uberはガソリン代でキャッシュバックも行う。キャッシュバック率は3%からで、一番高くてUber Proドライバー向けの6%となる。

支払いに関してUberはドライバーと長い間争ってきた。過去数年間は、訴訟や抗議が展開され、カリフォルニアではUberがドライバーをどのように分類するかに関する労働者のための法律制定があった。金融ツールはドライバーにとって役立つものになるかもしれないが、独立請負業者としてではなく従業員として扱われることを望んでいる多くのドライバーにとって根本的な問題を解決するものではない。

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)