評価額1.1兆円超に急増した業務自動化のUIPathがシリーズEで約241億円を追加調達

2019年に、ガートナーがRobotic Process Automation(RPA)をエンタープライズソフトウェアで最も急成長しているカテゴリであるとレポートした(未訳記事)。こうした事情を考えれば、この分野の先頭を走るスタートアップであるUIPathが、米国時間7月13日に102億ドル(約1兆1000億円)という驚異的な評価額のもと、2億2500万ドル(約241億円)のシリーズE調達を発表したのは驚くに値しないことだろう。

ラウンドを主導したのはAlkeon Capitalで、そこにAccel、Coatue、Dragoneer、IVP、Madrona Venture Group、Sequoia Capital、Tencent、Tiger Global、Wellington、T. Rowe Price Associatesが参加した。Crunchbaseのデータによれば、今回の投資により調達総額は12億2500万ドル(約1313億円)に達した。

なおWellingtonのような機関投資家が参加していることは、しばしばある時点での株式公開を検討している可能性があることを示していることを指摘しておきたい。CFOのAshim Gupta(アシム・グプタ)氏は、共同創業者でCEOのDaniel Dines(ダニエル・ダインズ)氏が、この数カ月その構想と公開の条件を議論していることを隠そうとはしなかった。

「私たちは市場の状況を評価している最中です。候補がないとは申しませんが、この日が公開日だといえる日はまだ選んでおりません。私たちは、市場の準備が本当に整ったときに向けて、備えておくべきだという考えです。それが12〜18カ月後であったとしても不思議ではありません」と彼は語る。

投資家の関心を非常に引き付けている要因の1つは成長率だ。その勢いは企業が自動化する方法を模索する中で、たとえパンデミックの間でも上昇を続けているとグプタ氏はいう。実際、彼は過去24カか月で経常収益が1億ドル(約107億円)から4億ドル(約429億円)に増加したと語った。

RPAは、企業が手動の既存業務に一定レベルの自動化を追加し、既存のシステムを破棄することなく近代化をもたらす手助けをする。このアプローチは、デジタルトランスフォーメーションのもたらすある程度の利点を手にするために、既存のシステムを完全に置き換えてしまうことを望まない多くの企業にとって魅力的なやり方だ。今回のパンデミックによって、企業がより迅速に自動化する方法を模索するようになったため、この種のテクノロジーが最前線へと押し出されることとなった。

同社が70億ドル(約7500億円)の評価額で5億6800万ドル(約609億円)を調達してから(未訳記事)わずか6カ月後の2019年秋に、400人の従業員を解雇すると発表したときには周囲を驚かせた。だがグプタ氏は、そのレイオフはそれまで2年間急成長してきた会社の一種のリセットだという。

「2017年から2019年まで、私たちはさまざまな分野に投資してきました。そのことについて考えたのは2019年10月でした。自分たちの戦略に自信が持てるようになるになったため、一度立ち止まってみたのです。そして削減したい分野を再評価し、そのことが10月のレイオフの決定を後押ししたのです」。

関連記事:Gartner finds RPA is fastest growing market in enterprise software(未訳記事)

なぜ会社がそこまで多額の現金を必要としているのかと問われて、グプタ氏は成長する市場でできる限り多くの市場シェアを獲得するためには多くの支出をしており、そのためには多くの投資を必要としているのだと答えた。さらに、パンデミックによる経済的な不確実性に対するリスクヘッジとして、銀行にたくさんのお金を置いておくことは害にならないとも答えた。グプタ氏は、UIPathは製品ロードマップ上の穴をより早く埋めるために、今後数カ月以内の戦略的買収もあり得ると語った。

同社は2017年と2018年に経験したような成長を期待はしていないものの、今後も採用を続ける予定である。そして幹部チームは、組織のすべてのレベルで多様なチームを構築することに力を注いでいるとグプタ氏は語る。「私たちは最高の人材を求めていますが、最高の人材と最高のチームを持つということは、多様性もその一部でなければならないと確信しています」と彼は語った。

同社は、自動化ライブラリとソフトウェアのアウトソーシング企業として、2005年にルーマニアのブカレストで設立された。2015年にRPAへのピボットが始まり、それ以来飛躍的な成長を続けている。最終的には2億6500万ドル(約284億円)に膨らんだ(未訳記事)が、2018年9月に行われた2億2500万ドル(約241億円)のシリーズC(未訳記事)のころ、私たちは同スタートアップに話を聞いているが、そのときの顧客数は1800社だった。現在その数は7000社になり成長が続いている。

関連記事:UiPath nabs $568M at a $7B valuation to bring robotic process automation to the front office(未訳記事)

画像クレジット:simon2579 / Getty Images

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(翻訳:sako)

毎日のつまらない業務を自動化、RPAのUiPathが440億円超を調達

IT企業向けのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)プラットフォームを展開しているUiPathはシリーズDでベンチャーキャピタルから4億ドル超(約440億円)を調達中で、評価額は70億ドル超(約7750億円)になる見込みだ。Business Insiderの報道後、TechCrunchに対し認めた。

我々はUiPathにコメントを求めていた。

2005年創業のUiPathはこれまでに4億900万ドルを調達していて、つまりこのスタートアップにこれまで投資された資金の累計額、そして評価額を今回のラウンドは倍増させることになる。2億2500万ドルを調達したシリーズCは6カ月前に行われたばかりで、PitchBookによるとその時点での評価額は30億ドルだった。UiPathはプロ中のプロの投資家であるCapitalGとSequoia Capitalに支援されていて、この2社とシリーズCを共に主導したのはAccel、Credo Ventures Earlybird Venture Capitalなどだ。

今回のシリーズDは機関投資家が主導している。

UiPathは、事業を展開する中で毎日のつまらない業務を簡単にするのを目的とする自動化ソフトウェアのワークフローを作っている。RPAというのはおそらく間違った名称だろう。というのも、必ずしも我々が今日思い浮かべるようなロボットではないからだ。どちらかというと、買掛け金の勘定のような日々の作業でかなり繰り返し行われることをコンピューターでさばくようにする、より洗練されたマクロレコーダーか、ワークフロー自動化ツールに近い。

たとえば、プロセスは小切手をスキャンすることから始まり、そして支払人や金額をOCRを使って読み取り、Excelのスプレッドシートにその情報を追加し、これまでその作業を行なっていた人に確認のために電子メールを送る。それでも人はまだ役割を担っている。特に例外のものを処理する場合だが、過去のシステムに比べるとオートメーションと言ってもいいくらいのレベルだ。そうでなければ現代的なツールから何の益も得られない。

UiPathは2015年に民間資本の調達を始めた。以来、評価額と経常利益は急成長している。2018年3月にシリーズBで評価額を11億ドルにし、シリーズCでその数字を倍以上にし、さらには最近のラウンドでまた倍にしようとしている。これは膨張しつつある経常利益のおかげだ。

経常利益が2年足らずの間に100万ドルから1億ドルになった、とUiPathは話す。シリーズC時点で1800社のクライアントを抱え、1日あたり6社増えていた。UiPathの昨年の経常利益は1億8000万ドルで、順調にいけば2019年の経常利益は4億5000万ドルとなる、と情報筋は語っている。

イメージクレジット: Busakorn Pongparnit / Getty Images

 

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(翻訳:Mizoguchi)