I/O 2013展望:1つのGoogle。ラリー・ページの下、統一と利便性を追及

GoogleのI/Oデベロッパーカンファレンスを明日に控え、巷ではGoogleが果たして何を発表するのかという噂があふれている。ひとつ重要なことは、今年は基調講演が1つだけだという点だ。長大な3時間セッション1つだけで、Googleは過去1年に起きた重要な出来事と今後の計画を話す。

久方ぶりにGoogleは、会社全体が注目された状態でカンファレンスを迎える。Larry PageがCEOに復帰してから3回目となるこのI/Oで、本当に重要なのは、Googleが単なる検索会社をはるかに超える存在になっていることだ。

昨年の焦点は未来にあり、Sergey BrinのGlassプロジェクトが話題をさらった。他にもNexus 7、Chromebox、等々興味深いニュースはあったが、みんなの注目と噂はGoogleがどんなワクワクする未来を作るかに向けられた。Pageは、昨年のI/Oを自身が今日明かした失声症のために欠席したが、明日の基調講演に登場するかどうかは現在Googleに問い合わ中だ。

今年は、すべてのカードがテーブル上にある。そして新しいGoogle ― Google Now、と言っていいかもしれない ― はデベロッパーに対して、Google製品上で開発に集中する方が、ライバルAppleよりも、賢明な選択であることを示そうとするだろう。Googleはあらゆる物、あらゆる人々に触れているからだ。ママからCEOまで、ギークから小学生まで、Googleは誰もが日々必要とするツールでわれわれを包み込んでいる。

今のGoogleを見る最良の方法は、会社を3つのカテゴリーに分けることだ。これまでには不可能なことだった。

利便性

Googleは検索会社としてスタートを切り、今でも最大の財産だ。情報を収集して表示する独自の方法を見つけだしたのも検索を通じてだった。同社がやってきたすべての物事がその恩恵に預かっていると言ってもよい。自分にはわからない何かを知りたい時、ウェブに行って 「ググ」らない人を見つけるのは難しい。Google+によって、その利便性はソーシャルにもなった。さらに、Gmail検索など、検索を実行する人固有の結果が得られるようになった。

検索の純粋な利便性は、都合よく同社が所有しているマップ製品にも引き継がれた。世界中の位置情報を集めることは、人々が頼りにできるツールを提供する上で答のごく一部にすぎなかった。マップが大改訂され今週発表されるかもしれないという噂もある。これまでにリークされた情報に基づくと、Googleはマップ体験をよりパーソナルでソーシャルにしたいようだ。

もう一つの重要な利便性を提供している生産性ツールの統合は、Googleはあらゆるニーズに答える何かを持っていると消費者に感じさせたい、というPageの気持の表れだ。Google Spreadsheetを探し回らなくても、Google Driveへ行って好きな文書を作ればいい。ここまで来るには長い時間がかかった。I/Oに先立ち同社は、全ユーザーの無料ストレージを増やしてさらに統合をはかることを発表した。共通の追加ストレージも購入できる。

ウェブを見るためにはブラウザーが必要、だろう。 Googleは消費者をChromeで包みこんだ。このブラウザーはデベロッパーがアプリを作るためのプラットフォームになりつつあり、これまで消費者がウェブサイトのタブ上で行っていたアクションを行わせるためのツールをデベロッパーに与えた。Chromeブラウザーは、Googleのノートとデスクトップのオペレーティングシステムになった。

Google Nowは、この利便性を一つの有用な体験にまとめた完璧な事例であり、あらゆるデバイスとOSでユーザーのパーソナルアシスタントになる道を探っている。

コミュニケーション

Gmailは常に改善され続けてきた。これはGoogleの収支会見でPageが言及したアプローチだが、同社が提供する他のコミュニケーション機能によって少々複雑化している。Gmailの中には、チャット、Voice、Google+の機能の一部などが散在している。手直しが必要だが、噂されているチャットの統一化は正しい一歩になるかもしれない。

最終的にはどのGoogle製品を使っている時でも、チャットを開始できるようになるだろう。これは、検索に続けてチャットできることを意味している。

Google Voiceは未だに単独製品として成功しているが、どこかの時点でGoogleのチャット戦略の中に取り込まれるべきだ。ユーザーにとって最適な体験は、どのツールを使うべきかを考えることなく、一つのアプリで誰かと音声通話もビデオもテキストメッセージもできることだ。Googleはまだそこに到っておらず、このままではいつか崩壊する恐れがある。

一方Google+は、Googleのあらゆる製品をソーシャルに統合する手段として、十分活用されている。Driveでドキュメントを共有する時には、サークルで共有できる。Google Placesでいいレストランを見つけたら、サークルで共有できる。「サークル」で連絡先を整理するというコンセプトは、Google+の主要目的であるが、ストリームと写真機能は未だに「あると嬉しい」レベルだ。いずれ「メール」もメッセージの一種として、Gmailからサークルに向けて送れるようになるかもしれない。この会社は競合の心配をしていないので、Google+をFacebookの競争相手と考えるのは誤りである。

モバイル

上に挙げた両カテゴリー共、Googleの最も重要な焦点であるモバイルに集約される。同社のAndroidによるオープン戦略は効を奏し、第1四半期に販売されたスマートフォンの71%が同OSを使用している。しかしモバイルの範疇に入るのは携帯電話だけではない。タブレットやノートPC、Glass、さらにはOUYAのようなゲーム端末もある。

I/Oでは、タブレットとスマートフォン製品群の小さな改訂が予想される。今は派手な機能を増やす時ではなく、オペレーティングシステム自体により集中すべきだ。Nexus 7はiPadの優れたライバルだが、Nexus 10は事実上離陸できなかった。主な理由はWiFiのみだったためであり、3G、4Gを加えて魅力を増すことが考えられる。

つまるところ、あらゆる利便性とコミュニケーションが威力を発揮するのは、その前に1日8時間座っているデバイスではない。デスクトップで始まった会話をタブレットで終え、翌朝再びスマートフォンで続けられればすばらしい。それは今でもGoogleの製品を使えば可能だが、消費者の目に明らかではない。Googleが統合だけでなく、同社製品群の紹介に焦点を当ててきたのはそのためだ。

今週のI/Oで予想されること

まずは、ビジュアルにしてみよう。

派手さよりも集中。3時間の基調講演では様々な製品が紹介されるだろうが、同じメッセージを何度も聞くことになるだろう。ユーザーにとって使いやすく、より楽しく、いつでもどこでも使えることがスローガンになる。

Goolgeはとにかく自社製品を使ってほしいのであり、どこでどう使うかは気にしていない。ビデオゲームシステムであれ冷蔵庫であれGlassであれ、Googleは誰のためにも何かを持っている。職場でも、車の中でも、寝室でもリビングにいてもハイキングに行った時でも。われわれはすでに包囲されているが、今度はGoogleが、なぜそれが良い事であり、今までより簡単に欲しいものを見つけられることを説明する番だ。

ゲームや音楽の話題も出るかもしれないが、それもGoogleが集中しているミッションと一致するものであり、気を散らすものではない。、

マウンテンビューの巨人は忙しい会社だが、そのあらゆる製品と取り組みが、Pageによってついに同じ方向へと動き始めた。

明日はライブブログで最新情報をお伝えする。

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(翻訳:Nob Takahashi)