国連が2021年に宇宙へ行く、民間企業をスポンサーにして

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United Nations Office for Outer Space Affairs(国際連合宇宙局, UNOOSA)は、50年代の後期からいろいろ姿を変えつつ*存続しているが、1962年には完全に公式の機構となり、当時新設されたDepartment of Political and Security Council Affairs(政治安全保障局)の傘下となった。そのときは同局が専門家グループとして支えるCommittee on the Peaceful Uses of Outer Space(国連宇宙空間平和利用委員会)というすばらしい名前の委員会の、初会合も行われた。〔*: もっとややこしい話がWikipediaにある。〕

でも、プラネタリウムを楽しんだことのある人にはお分かりのように、宇宙について語ることと、実際に宇宙に行くことは、二つのまったく異なる事柄だ、本当は。

しかし計画通りに事が進めば、私企業化された宇宙運送企業Sierra Nevada Corporation(SNC)との契約により、委員会は2021年についに、後者を実現する。SNC社は今、NASAとの長期にわたるさまざまな契約を数多く抱えているが、UNOOSAとのパートナーシップにより、宇宙計画のない国連加盟国を支援して、5年後には彼らが地球の頑固な束縛を逃れられるようにする。

国連加盟国は、その地球低軌道ミッションでやりたいことを届ける。乗員は2週間、準無重力環境で訓練を受ける。

UNOOSAのディレクターSimonetta Di Pippoは曰く:

UNOOSAの主な責任のひとつは、宇宙の平和利用における国際協力を推進することである。パートナーSNCとの協力でそのための方法の一つが、その責任を達成することを誇りに思う。それは準無重力における全ミッションを国連加盟国に捧げるが、とりわけ、単独の宇宙計画を支えるだけのインフラストラクチャや財政的支援を持たない多くの国に捧げられるものである。

選ばれた参加国は、荷重の大きさに応じて、ミッションの費用の一部をそのときの為替レートで国連に払わなければならない。SNCは、2021年のミッションではスポンサー役を申し出ている。

出典: Space

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

モバイルテクノロジーと社会起業で貧困をハッキングする

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[筆者: Thane Kreiner](サンタクララ大学Miller社会起業センターの事務局長)

シリコンバレーでは、“ハッカー”という言葉が、クリエイティブで独創的で、困難な課題を達成できる巧妙な方法を見つけることが上手な人を指す、褒め言葉へと進化してきた。“hack”という言葉が通常表現している一部のそのほかの意味ではなく、このような観点から、私は最近のTEDxの講演で、フランシス法王と国連を、貧困のハッカー(hackers of poverty)と呼んだ。

世界の貧困は、困難な課題と呼ぶにふさわしい。貧困救済に投じられているお金は、2013年を例に取ると、およそ1500億ドルと推計される。しかしそれにも関わらず、75億近い世界の人口のうち40億もの人たちが、一日平均4ドルに満たない生活費で暮らしている。まさしくそれは、困難な課題そのものである。

貧困は、次のような恐ろしい結果をもたらしている:

  • 10億人が安全な飲み水にアクセスできない。
  • 25億人が屋外で排便し、コレラやチフスなどの下痢性疾病や腸の寄生虫を拡散して、子どもを20秒に一人殺している。
  • 16億人が電気水道ガスなどのない生活をし、それ以外に10億人が不安定な公共光熱サービスに依存している。
  • 30億人が屋内で木を燃やして炊事をしているので、空気汚染により年間430万人の主に女性と子どもが死亡している。
  • 世界の金融システムから疎外されている人びとのうち、30億人の零細農民家族は、収量を上げるための細流灌漑や肥料、酪農収穫物等を保存するための冷蔵施設など、単純な生産資本にも投資できない。

貧困現象は主に三つの原因によって、日に日に悪化している:

  1. 2050年には世界の人口が今より20億人増えている。人口増加の大半はアフリカと東南アジアで生ずる。貧困率が下がったとしても、貧困者の絶対数は増加すると思われる。
  2. 今は、人類の歴史上最大の、人口の都市移動が起きている。すでに世界の人口の半分以上が、職を求めて都市で生活している。しかしこれら都市移民のあまりにも多くが技能と教育を欠くため、良い職を見つけることができない。彼らは都市の貧困層になり、故郷の田舎と違って、簡単に食べ物を手に入れることもできない。
  3. 今世紀末には地表の平均気温が摂氏4度上昇し、多くの科学者たちが壊滅的と呼ぶ限界を大きく超える。気候変動の最初で最大の被害者が、貧困層である。旱魃や熱波、海水温の上昇、水の酸性化などによって食糧不足が深刻化する。
今地球上には、毎日トイレを使える人よりも携帯電話を持っている人の方が圧倒的に多い。

これまでの貧困対策は、中央集権的でお役所的な開発事業や政府の補助が多く、効果を上げていない。だからこそ、“貧困をハッキングする”視点が重要である。貧困ハッカーのやり方は、各国政府等と、どう違うのか?

二つの貧困ハック: 分散システムと社会起業

これまででもっとも成功した分散システムは、モバイルテクノロジーだ。モバイルの契約ユーザーは世界に68億人いて、この惑星上ではモバイルフォンにアクセスする人びとの方が毎日トイレットにアクセスできる人より多い。貧困ハッカーは、この、ほぼ全面的に普及しているモバイルテクノロジーを利用する新しい投資やローン、クレジット等の方式により、貧困の経済を変えようとしている。すでに、南半球におけるモバイルマネーは、北半球の集権的な銀行のパラダイムを凌駕しつつある。

社会起業(social entrepreneurship)は、西欧的世界で確立した基本的なビジネスの原則と慣行を発展途上地域に適用して、成果を上げつつある。ただしそれはトップダウンの援助的アプローチではなく、社会起業は、貧しくて経済や社会の主流から疎外されている人びとのコミュニティの中で作られたソリューションを、育成し支援する。それにより、それらのソリューションのより広範な普及と、長期的永続性を担保しようとする。

社会起業によって作られた社会的エンタープライズ(組織、団体、人的ネットワーク)は、途上世界におけるエネルギーと食糧の提供方式に革命をもたらす、貧困ハッキングだ。また、それらのソリューションの資金確保や、配布、販売などの方式も刷新する。そしてそれにより、貧困層の人びとを経済活動の主役へと変えていく。

ところでフランシス法王と国際連合は、貧困をハッキングすることと何の関わりがあるのか? 法王が最近行った二度目の回勅Laudato Si’(汝をほめたたえよ)*と、国連が最近発表したSustainable Development Goals(SDGs)(持続可能な開発の目標)には、同じメッセージがこだましており、基本的に同じ結果を求めている: 今のシステムは壊れている。ハックすることが必要である。〔*: きまり文句として‘神をほめたたえよ’となるところを‘あなたを…’としたところが現法王らしいところ。〕

法王フランシスと国連のSDGsは、‘やり方を変える’ためのガイドラインだ。もっとクリエイティブで実効性のあるやり方に、変えること。そしてそれを実際にやるのは、われわれ全員だ。私たちは全員が貧困のハッカーになり、自分にできることをしていく。もはや、一刻の猶予もない、飾り言葉ではなく文字通り。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))