ユニティとアールティが「UnityとROSで学ぶ移動ロボット入門 UI作成編」を開発、10月より無料公開予定

ユニティとアールティが「UnityとROSで学ぶ移動ロボット入門 UI作成編」を開発、10月より無料公開予定リアルタイム3Dプラットフォーム「Unity」を展開するユニティ・テクノロジーズ・ジャパン、ロボット分野の技術開発と高度人材育成を行うアールティは9月9日、ロボット入門者向け教材「UnityとROSで学ぶ移動ロボット入門 UI作成編」を開発したと発表した。「Unity」上でROS(ロボット・オペレーティングシステム)対応ロボットの操作性を高めることを目的としたもの。ユニティの産業向けサイトUnity for Industryにおいて、2021年10月上旬に無料公開する予定。

この教材では、UnityからROS対応ロボットへの指令の出し方や、ロボットに搭載された各種センサーの値やロボットの状態の可視化の方法などが学べ、ロボット操作用のUI開発の足がかりになる。入門用としてわかりやすい解説を行うために、アールティが培ってきたエンジニア教育教材や研修のノウハウなどが活かされているとのことだ。学習後は、Unity Asset Storeなどで公開されているアセットを使って、オリジナルのUI制作にも活用できるという。

教材中のシミュレーションでは、アールティが開発し製造・販売しているRaspberry Pi搭載の左右独立二輪方式小型移動プラットフォームロボット「Raspberry Pi Mouse」のデータが使われている。将来は、この実機の操作が行える教材も公開される予定。

Unityは、ゲームなどのリアルタイム3Dコンテンツの開発運用に広く使われているが、製造業やロボット産業でも活用されている。ロボット開発のためのシミュレーションでは、リアルな周辺環境やロボットの動きが求められるが、Unityは、そうしたリアリティある環境が特徴となっている。

同社は、これまでにもUnity Robotics Hubを通じて、ROSとUnityを接続するための各種のパッケージやサンプルをオープンソースソフトウェアとして提供することで、ロボット開発の効率化に取り組んできたという。

今回この教材を通して、「ハードウェアになじみの薄かったソフトウェアエンジニアにはハードウェアを身近に感じてもらえることを、ハードウェアエンジニアにはUnityによる可視化やUIの広がりを体験し、より使いやすいインターフェイスをロボットに装備できるようになることを期待しています」とユニティ・テクノロジーズ・ジャパンは話している。

UnityとROSで学ぶ移動ロボット入門 UI作成編は、一般公開に先立ち、2021年9月16日に東京都墨田区で開催されるROS開発者会議「ROSCon JP 2021」のアールティ出展ブースにおいて、開発画面の一部が公開される予定(チケット販売は終了)。

Unityがゲーム開発者のためのクラウドコンテンツ配信サービスを開始

人気のリアルタイム3Dエンジンを開発しているUnity(ユニティ)が、米国時間9月10日、クラウドコンテンツデリバリー(Cloud Content Delivery)サービスを正式に開始した。エンジンとは独立したこの新しいサービスは、コンテンツ配信ネットワークとサービスとしてのバックエンドプラットフォームを組み合わせ、開発者のゲーム配布ならびにアップデートを支援する。ここでの目標は、Unityを利用する開発者(および他のゲームエンジンを利用する開発者)に、適切なコンテンツを適切なタイミングでゲームプレーヤーに提供するのに役立つ、ライブゲームサービスオプションを提供することだ。

Unityのプロダクト責任者であるFelix Thé(フェリックス・テ)氏が述べたように、ほとんどのゲーム開発者は現在標準的なCDN(Content Delivery Network)プロバイダーを使用している。だがそのことが意味しているのは、インストールとアップデートをよりダイナミックに自由に構成できるようにするには、自分たちでラストワンマイル(配信の末端部分)を作り込まなければならないということだ。または、ほとんどのゲーマーの証言を得られるように、開発者はゲームを大きなバイナリとして出荷することを選択することもある。その場合は、更新のたびにユーザーがその巨大なファイルを繰り返しダウンロードする必要がある。

「これは、新しいゲームコンテンツの適用が多少遅れてしまう可能性があることを意味します。なぜなら、必要なアップデートを実行することをユーザーに頼っているからです」とテ氏はいう。

新しいクラウドデリバリサービスはプラットフォームを問わず利用できるものの、チームは当面モバイルを中心に力を注ぐ。「私たちは、開始時に特定のセグメントに集中することを好んでいます。その後、どのように拡大していくかを決定していくことができます。現在、モバイルスペースには多くのニーズがあるのです 、他のものよりもずっと」とテ氏はいう。クラウドコンテンツデリバリーサービスの内容について説明するなら、例えば、開発者はどのバイナリをどのデバイスに送信するかを指定することができる。

標準的なCDNを使うことも1つの方法だが、テ氏がいうところの、ラストワンマイルデリバリーの部分で生じる開発者の苦労を、Unityは解決できると信じている。

「CDNを使うなら、コンテンツを手に入れることができるだけです。以上」とテ氏は語った。「しかし、もしそうだとしたら、ゲーム開発者としてビルドをテストしたい場合に、QAの準備は整っているでしょうか?これはまだQAの最中のものでしょうか?クラウドコンテンツデリバリーからダウンロードされるように割り当てたいビルドは異なっているかもしれませんよね。または米国向けにリリースする前に、カナダ向けに新しいダウンロード可能なコンテンツをソフトローンチしたいなど、どれも私たちのシステムを使えば実現できます。ビデオゲームを念頭に置いて作られたものなのです」。

チームは価格設定をシンプルに保つことにした。すべての開発者に必要なのは、下り料金と、ごくわずかなストレージ利用料金だ。地域ごとの価格設定もない。送信料は最初の50GBは無料で、次の50TBまでは1GBごとに0.08ドル(約8.5円)がUnityから課金される。なお50TBを超えた場合は0.06ドル(約6.4円)、500TBを超えた場合は0.03ドル(約3.2円)となる。

「私たちは、人びとがこれを見たときに『要するにどういう意味だろう?』と、心配しないようにしたいのです。そのためには料金計算ツールが必要です。実際にいくらコストがかかるのかをシミュレートする必要があります。しかし、開発者が素晴らしいコンテンツの作成に集中する必要があるという事実から、目をそらすことはしません」とテ氏は説明した。

このデリバリーサービスが、利用エンジンに依存しないことは強調しておく価値がある。もちろんUnityは、Unityエンジンを使って書かれたゲームのためにそれを使って欲しいと思っているが、それは必須条件ではない。これは同社の全体的な哲学の一部だとテ氏は主張する。

「私たちの使命は常に、開発を普遍的なものにして、何を選んだのかに関わらず、人びとが成功できるようにすることです」と彼はいう。「そして、ゲームの操作に関して言えば、通常ゲームエンジンの決定は、ゲームの操作が形として現れるずっと前に行われています。開発者の成功が、私たちが焦点を当てたいものの中心なのです」。

関連記事:ゲームエンジンのUnityはIPOを控えて業績好調

カテゴリー:ゲーム / eSports

タグ:Unity

画像クレジット:Unity / Getty Images

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(翻訳:sako)

SequoiaがビデオゲームエンジンUnityのIPOで大きなリターンの可能性

米大手VCのSequoia Capital(セコイア・キャピタル)とそのパートナーらがラスボスを倒せるなら、ビッグボーナスが待っている。

大方の予想どおり、3DゲームエンジンのUnity(ユニティ)は8月24日、フォームS-1をSEC(米証券取引委員会)に提出した(SECサイト)。今後数週間での公開を目指し、ロードショーの準備中だ。

Unityの株主情報が公開された今、IPOの大きな勝者が1社明らかになった。それはSequoiaだ。申請書類によると、Sequoiaの現在の保有割合は約24.1%。Unityの直近のバリュエーションは2019年半ば時点で約60億ドル(約6400億円)だった(未訳記事)。数週間経てば市場での価値がわかる。しかし、Sequoiaにとって数十億ドル(数千億円)のほぼ4分の1を保有していることは大きなリターンになる。

もう1つの主要なVC投資家はSilver Lake(シルバーレイク)。2017年に最大4億ドル(約430億ドル)を投資したようで(PR Newswire記事)、現在18.2%を保有している。創業者および経営幹部の中では、Unityの創業者で現在取締役を務めるDavid Helgason(デビッド・ヘルガソン)氏が4.4%を、Unityの現在のCEOであるJohn Riccitiello(ジョン・リッチティエッロ)氏が3.4%を保有している。申請書類によれば株主は合計782人だ。

Sequoiaの持ち分について興味深い点は、2009年に遡る10年以上前のシリーズAでUnityに最初に投資して以来、長期間でUnityがどれだけ成長したのかということだ。下表で、Sequioaのさまざまなファンドからの長年にわたる投資を確認してほしい。

Sequoiaがビデオゲームプラットフォームの分野に手を付けたのは確かに早かったが、何年にもわたってカギとなったのは、成長投資の一環としての追加投資と、おそらく初期の投資家、従業員、創業者からの普通株の買い集めだ。最初の12号ファンドからの出資割合は合計10.28%だが、グロースファンドからは合計で13.82%だ。

最後に、シリーズAから現在までのUnityの株価上昇のグラフを以下に示す。

リークされたS-1申請書類のコピーに基づきTechCrunchが8月20日に報じたPalantirの数字(未訳記事)とは異なり、Unityの業績は過去10年間で比較的上向きだ。2011年のシリーズBと2016年のシリーズCの間には調達額にかなりの開きがあり、価格は指数関数的な成長カーブを描いている。今度は、公開市場の反応を見てみよう。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

ゲームエンジンのUnityはIPOを控えて業績好調

Unity(ユニティ)は2004年にコペンハーゲンのアパートの一室で創業した(未訳記事)。新規株式公開(IPO)を間近に控える同社の数字はかなり強力だ。

最大のライバルであるEpic Games(エピックゲームズ)はアプリケーション(ゲームを含む)販売に関わる手数料を巡ってAppleと大掛かりな公開対決を繰り広げている最中だが、Unityは困難と戦いながら損失を縮小し、ゲーム開発市場の半分以上の支配を維持している。

2020年の前半6カ月に、同社は3億5130万ドル(約373億円)の売上で5420万ドル(約58億円)の損失を出した。これは2019年の売上5億4180万ドル(約575億円)、損失1億6320万ドル(約173億円)、2018年の売上3億8080万ドル(約404億円)、損失1億3160万ドル(約140億円)と比べて損失の削減に成功している。

売上の増加と損失の縮小は、投資家にとって投資先企業が黒字化に向けて進む上で期待できる。この会社の成長を示すもう1つの兆候が年間10万ドル(約1060万円)以上の売上に貢献する顧客の数だ。今年前半、Unityにはそういう顧客が716人いて、プラットフォームの健全さを表している。

UnityはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で1文字のティッカーシンボル 「U」で取引される。NYSEに残っていた1文字シンボルはごくわずかだ。ちなみにPandora(パンドラ)はPの文字を2018年にLiberty Mediaに買収された(未訳記事)際に放棄している。

関連記事:How Unity built the world’s most popular game engine(未訳記事)

Epic Gamesと異なり、Unityは長年主要プラットフォームやゲーム会社の協力を得て、自社のエンジンをできる限り多くのデベロッパーやゲーマーに見せる努力を続けてきた。実際、Apple App StoreとGoogle Play Storeにあるモバイルゲームトップ1000の53%、モバイル、パソコンおよび専用機用ゲームの50%以上がUnityを用いて作られていると同社は推定している。

同社が挙げるトップタイトルには任天堂の「マリオカート ツアー」「スーパーマリオ ラン」「どうぶつの森 ポケットキャンプ」、Niantic(ナイアンティック)の「ポケモンGO」があり、Activision(アクティビジョン)の最新作「Call of Duty: Mobile」もUniyゲームだ。

Unityの課題は、Epicのレンダリングエンジン Unrealほど強力ではないことだが、それも同社がゲーム以外の業界に進出する妨げになっていない。他分野への進出は同社が成功するために継続が必要な取り組みの1つだ。

Unityはすでにハリウッドとのつながりを持っていて、ディズニーの「ライオンキング」リメークで使われたジャングル環境の再構築に使われた。ちなみに 「The Mandalorian(マンダロリアン)」の大部分はEpicのUnrealエンジンを使って作られた。

もちろん、Unityの数字は同社の事業規模が最大のライバルと比べて現在やや小さいことも明らかにしている。2019年、VentureBeatによるとEpicは売上42億ドル(約4460億円)、利益7億3000万ドル(約775億円)だった。そしてノースカロライナ州拠点のゲーム開発会社の時価総額は173億ドル(約1兆8363億円)だ(VentureBeat記事)。

それでもゲーム市場は、2つの会社が生き残るために十分大きいと思われる。「歴史的にゲーム開発ツールビジネスでは大型の企業統合が行われてきたが、この10年はデベロッパーの数が大きく増えているため、業界が2つの主要プレーヤーを支えられる可能性は高い」と、Ampre AnalysisのゲームアナリストであるPiers Harding-Rolls(ピアース・ハーディング・ロールシ)氏が Financial Times(フィナンシャル・タイムズ紙)に語った。

Unityプラットフォームのベンチャー投資家はこの瞬間が来るのを長らく待っていた。会社の将来についても確信しているに違いない。

社の直近の投資ラウンドにおける会社評価額は60億ドル(約6370億円)で、株式の二次販売で5億2500万ドル(約557億円)を調達した。

関連記事:Unity, now valued at $6B, raising up to $525M(未訳記事)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook