黒い画面不要、非エンジニアも使えるウェブ制作バージョン管理システム「universions」

チームでウェブサイトを制作する際にありがちなのが変更内容の衝突。予期せぬファイルの上書きや誤削除を防ぐために、ウェブ制作の現場では「GitHub」や「BitBucket」などのバージョン管理システムがエンジニア間で普及しているが、システムに詳しくないデザイナーやクリエイターにとっては利用のハードルが高かったりする。そこで、ウェブ制作現場におけるメンバー間のスキルの気にすることなく使えるようにしたのが「universions」だ。2014年1月からオープンβ版として提供されていたが、7月28日に正式版をリリースした。

従来のバージョン管理システムで必須だったデータの格納場所であるリポジトリの準備や、非エンジニアにとって取っ付きにくいターミナル(黒い画面)での操作を必要とせず、専用クライアントの直感的な操作でバージョン管理を行えるのが特徴。ファイルは自動的に履歴管理されるため、誤ってファイルを上書きしたり削除してしまった場合でも履歴から簡単に戻せるようになっている。PhotoshopやIllustratorなどのファイルをプレビューする機能もあるため、デザイナーに作ってもらった成果物を確認するたびに重たい専用ソフトを立ち上げる面倒さからも解放されそうだ。

ファイル管理以外にも、プロジェクトごとにチャットやタスク、Wikiといったコラボレーション機能をひと通り揃えているので、メンバー間でコミュニケーションを取るためにメールやSkype、Facebookメッセンジャーなど別のツールを使い分ける必要もなくなる。WindowsやMac、ウェブブラウザーからの利用に対応している。

正式版の公開にあわせて、最新のファイルをuniversionsが用意するテストサーバーに反映するプレビューサーバー機能を追加した。従来のウェブ制作では自前でテストサーバーを構築し、FTPなどで最新のファイルをアップロードする必要があったが、こうした手間が省けるようになるわけだ。プレビューサーバーでは静的なサイトが動く環境のほか、WordPressが動くプラットフォームなどが用意されている。

料金体系はプロジェクトの作成数によって異なり、3件まで作成可能なMicroプラン(月額300円)、10件まで作成可能なSmallプラン(同900円)、20件まで作成可能なMediumプラン(同1500円)、50件まで作成可能なLargeプラン(同2900円)がある。プロジェクトの容量はいずれも1GB。初回のみMicroプランが45日間無料で試せる。メンバーとしてプロジェクトに参加するだけであれば無料となっている。

universionsを運営するユニマルは、2013年5月に創業した鹿児島のスタートアップ。代表取締役の永田司氏は「東京と比べるとコネクションが形成しづらく不利な現状がある」というが、リモートワークを可能にするuniversionsを提供する上で「一番の顧客が自分たちでありたい」と話す。「ITサービスは世界をターゲットにすることが多く、僕らのサービスも例外ではない。日本の中で地方か東京かはあまり課題にならない。地方発のスタートアップとして成功することで、場所が課題ではないことを証明したい」。