良質な情報のひと口サイズの「知識ハック」をそろえるUptime

自らを「知識ハッキング」アプリと称するのUptimeは、2021年1月にiOSで公式にローンチし、そのあと1600万ドル(約16億8000万円)のシード資金を調達した。

「マイクロラーニング」のプラットフォームとして位置づけられるUptimeは、書籍や学習コースやドキュメンタリーなどから5分間の「知識ハック」を提供する。そのアイデアは、ユーザーが貴重な時間をあまり使わずに「信頼できる著者やインストラクター、クリエイターなどからアイデアや知見をすばやくつかみ取る」というものだ。コンテンツ作者はその見返りとして、新たな作品の購入者になるかもしれないオーディエンスにリーチできる新たな道を見つけることができる。作者はThe New York Timesのベストセラーで紹介されている人や、興味深い学習コースの提供者、アカデミー賞を獲得したドキュメンタリー映画の作者など、さまざまだ。

このアプリは、コンテンツアグリゲータであり、コンテンツ発見サービスであり、コンテンツの作者にとっては見込み客生成システムでもある。集中する時間が短いミレニアル世代やZ世代をターゲットにしていると、同社は述べている。

「個々の知識ハックはユニークなビジュアルストーリーであり、ユーザーにインスピレーションを与え、効果的で楽しく参加することができ、共有することができる形式で提供されます。そのことを専門家のチームも確認しています。ハックの終わりには、本を買ったり、ドキュメンタリーの全編を見たり、学習コースに登録したりするといったオプションが提供される」という。

画像クレジット:Uptime

シード資金の投資者はUptimeの創業者たち、連続起業家のJamie True(ジェイミー・トゥルー)氏とJack Bekhor(ジャック・ベコール)氏となる。彼らは以前、2018年に3億2500万ドル(約341億円)で買収されたLifeWoksを創業している。また、YouTubeとFacebookの元役員であるPatrick Walker(パトリック・ウォーカー)氏や、David Alliance(デビッド・アライアンス)卿、Tescoの元CEOであるTerry Leahy(テリー・レイフィー)卿、そしてFederal Street SPVなどが投資に参加している。

「世界のEdTech市場の規模はおよそ890億ドル(約9兆3400億円)と推定されています。多くの人がオンラインのコースに数百ドル(数万円)を投じてソフトスキルを磨いたり、ドキュメンタリーを視聴したりしています。それは教育コンテンツの作者にとって大きな商機ですが、消費者は過剰な情報に悩まされ、飽和したマーケットの中で良質なコンテンツがなかなか見つけることができず、途方に暮れています」とUptimeの創業者の1人、パトリック・ウォーカー氏は述べている。

「Uptimeで作りたかったのは、知識のワンストップショップのようなものです。ベストセラーのリストや、無数のデジタルコースやドキュメンタリーのビデオプラットフォームの中から最適なコンテンツを見つけるのは、今や個人にとって至難の業。Uptimeは、信頼できる専門家や組織やソースから厳選した最良のコンテンツを紹介することができます。ユーザーは興味あるトピックを選び、ひと口サイズの見やすいコンテンツから、必要な知識の要点にアクセスできるのです」。

Uptimeの創業者によると、同プラットフォームは勉強の意欲はあるが十分な時間やエネルギーといったリソースがない人向けのものだ。「Z世代やミレニアル世代の人たち、それに親たちにとって理想的なものです。勉強してキャリアアップをしたい人、建設的で元気が出るコンテンツを得たい人にも向いています」とウォーカー氏はいう。

人の仕事で稼ぐ、寄生虫的なアグリゲーターがまた1つ増えただけだという批判ももちろんあるだろう。しかし創業者たちは、このアプリはコンテンツの作者に新しいオーディエンスをもたらす「味見」サービスだ、と主張している。

「どの知識ハックも、最後に本を買ったり、コースを受講できたりするためのリンクがあります。そこから、新しいオーディエンスが得られるはずです。私たちが打診した著者やクリエイターはほぼ全員、作品がUptimeで紹介されることを喜んでいます。Lily Cole(リリー・コール)氏やOobah Butler(ウーババトラー)氏、Tara Swart(タラ・スワート)博士などが、私たちをサポートしてくれています。Uptimeはユーザーとコンテンツクリエイターの両方に利益をもたらすのです」とウォーカー氏はいう。

カテゴリー:EdTech
タグ:Uptime資金調達

画像クレジット:Uptime

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Hiroshi Iwatani)

YouTubeが、友人たちとビデオを共有できる実験的アプリUptimeをローンチ

YouTubeビデオの視聴をよりソーシャルな体験にする方法を探して、Googleの社内インキュベーターのArea 120が、ビデオを友人たちと一緒に見ることができるようにするアプリUptimeをローンチした。アプリは当初iOSデバイスに対してのみ提供される(14日10時の時点では日本のStoreでは提供されていない)、通常のYouTube体験とはとても異なる感覚を受けるものだ。

アプリは若々しく、活気のあるデザインを採用している、そしてTwitterのPeriscopeや、Facebook Liveのようなライブストリーミングサービスに触発された「リアクション」機能も備えている。

ビデオを見ている最中、あなたのプロフィールアイコンがビデオの周りを回遊し、そしてビデオにコメントしたり、笑い顔、驚き顔、目がハートマーク顔、怒り顔などの絵文字をポストしたりすることもできる、このリアクションはこのビデオを見る人全員に表示される(たとえ彼らが後からそのビデオを見たとしても)。またスクリーンをタップすることで画面上に「キラキラ」を表示することもできるが、これはリアルタイムで一緒に見ているひとにしか表示されない。

共同視聴体験を提供しようと、過去にもYouTubeSocialWeMeshLiveLeadAirTimeといったアプリがリリースされてきた。しかしUptimeが目指すのは、洗練されたデザインは言うまでもなく、友達がすぐに視聴に参加できなくても、経験を分かち合えるようにすることだ。

このアプリに最初に注目したのはThe Vergeである。そこでは縦型のビデオの方が楽しめると指摘されている。

YouTubeのビデオクリップを検索しUptime上で共有することで、そのビデオを他の人が見つけられるようになる。投稿すると同時に、友人たちに通知を行うためのチェックボックスもある。現時点では、このアプリであまり沢山の友人と繋がることはできない、またソーシャルネットワークからのインポート機能やアドレス帳との同期機能もなく、ただ友人たちを招待することができるだけだ。

また、はっきりさせておきたいが、このアプリはパブリックな共有を提供するものであり、プライベートなメッセージングを提供するものではない YouTube自身は、最近そのモバイルアプリケーションにアプリ内メッセージ機能を提供した。それを使えば、他のメッセージングアプリやSNSに切り替えることなく、友人たちとビデオとコメントを共有することができる。Uptimeはこうしたプライベート共有のためにはデザインされていない、その代わりビデオコンテンツそのものに対する、よりパブリックな共有性を追求しようとしている。

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アプリ内のコンテンツの多くは、アプリの作成者によって準備されている。こうした「スタッフの今日のお勧め」がアプリのフィードを占めている。お勧めには、猫動画から、テレビ番組のクリップ、面白い動画など、一緒に見て意味のある様々なものが取り上げられている。

しかしUptimeにまだ欠けているものは、ビデオをジャンルで選んだり、既にシェアされているものを検索したりして、コミュニティでシェアされているものをフィルターする機能だ。あとスクリーンの一番上の場所をタップすることで一番上にスクロールバックする機能もない。これはiOSの共通ジェスチャなので、少し戸惑う。これは意図的なデザインなのかもしれない、アプリはひたすら連続してスクロールして行き、フィード上の全てのエントリーを見せようとは意図していないからだ。

また、ライブストリーミングもサポートされていない。しかしそうした機能や他の機能は、開発者たちが様々な種類のコンテンツに向けて開発や実験を行う中で追加されて行くだろう。

Uptimeは現在「招待のみ」で運営されているが、招待コード “PIZZA” で利用することができる。
(日本版:上にも書いたが3月14日10時の時点ではまだ日本のApp Storeでは提供されていない)。

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(翻訳:Sako)