遺伝子検査のスタートアップ「Veritas Genetics」 で不正アクセスによるデータ漏洩が発生

DNA検査のスタートアップであるVeritas Geneticsは、データ漏洩によって一部の顧客情報が不正アクセスされたことを発表した。米国マサチューセッツ州ダンバース拠点の同社は、ユーザー向けポータルの情報が「最近」漏洩したと語ったが、「いつ」かは言わなかった。ポータルにはテスト結果や医療情報は置かれていなかったものの、具体的にどの情報が盗まれたかを会社は明らかにしておらず「影響を受けた顧客はわずかだった」とだけ伝えた。

同社は公式な声明を発行しておらず、ウェブサイトでもデータ漏洩があったことを記載していない。広報担当者のRodrigo Martinez(ロドリゴ・マルティネス)氏は、データの「盗難」を否定したが、それを裏付ける証拠は提示していない。声明にデータ漏洩の詳細は書かれていなかった。

Bloomberg(ブルームバーグ)が最初にこのニュースを報じた。Veritasの競合には、23andMe、Ancestry、MyHeritageなどがいる。個人のDNAを使ってヒトゲノムを分析・解釈することによって、ユーザーは将来自分が直面する、あるいはや子どもたちに引き継がれる健康リスクを知ることができると同社はうたっている。

盗まれたデータに個人の健康情報は含まれていなかったが、DNAやゲノムという繊細な情報を取り扱う会社がユーザーのデータを保護できなかったことで、いっそう懸念が再燃することは必至だ。

プライバシーは遺伝子検査における緊急な課題であり、警察当局が刑事事件の容疑者を特定するために、DNA収集会社や遺伝検査会社の協力を法的に要求していることから特に懸念されている。つい先日の報道によると、フロリダ州の警察署がDNA検査会社であるGEDmatchの全データベースを検索することを認めるという「画期的」な捜査令状が発行された。同データベースは昨年、連続殺人犯「ゴールデンステートキラー」の逮捕に警察が利用したことで知られている。

MIT Technology Reviewの調査によると、2600万人以上のの消費者が在宅遺伝子検査キットを使ったことがある

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

1000ドル以下で、あなたの全ゲノム配列をスマートフォンで見られる

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Veritas Geneticsは、2015年にヒトの全ゲノム配列を1000ドル以下で解析する会社の一つとなった。このたび同社はそれを一歩進め、ゲノムの解析結果をスマートフォンアプリに配信する。

これがどれほど進歩的かといえば、2001年に初めて人間の全ゲノム配列を決定した時には37億ドルを要したことを考えてほしい。2007年になって初の商用ゲノム解析が、はるかに少ない金額で利用できるようになったが、価格は35万ドルだった。

ヒトの全ゲノム配列を1000ドル以下で、というのは科学コミュニティーの間で一種のキャッチフレーズになっていた。殆どの消費者向けDNA会社は、遺伝子パネルを使って未だにDNA内の一部の配列しか提供していない。例えば、23andMeを使えば、遺伝子パネルから約60種類のテスト結果を得ることができる。

mygenome-03-main-picしかしVeritasによると、myGenomeは999ドルで、全配列データをスマートフォンに届けることができる。料金には、テスト結果に加えて、それが健康に与える影響を解折するためのカウンセリングも含まれている。

乳がんやパーキンソン病の遺伝性素因を持つ人は、結果を見て対策のための行動を起こすことが可能た。例えば、アンジェリーナ・ジョリーは、母親と同じ乳がん遺伝子BRCA-1を持っていることを知り、発症する前に両乳房を全摘した。

ハーバード大学の遺伝子の先駆者、George Churchがこの会社を共同設立し、昨年ハーバード医学校のパーソナル・ゲノム・プロジェクト(PGP)で、協力者5000人に初めて全ゲノム配列を提供した。

Churchは、この価格設定と利用しやすさが、ゲノム配列の新たな標準を作ると信じている。「今や全ゲノムはこれほど身近になり、あらゆる遺伝子検査に取って代わる…なぜなら、このすべてが遺伝子テストであり、さらにまだまだ多くのことに利用できるからだ」とChurchは言った。

これまでの進歩で儲けようとしている一部の会社にとっては問題となるかもしれない。過去に遺伝子業界は、健康状態に関する検査結果を提供したことで政府とトラブルになった。中でも最大だったのが23andMeで、業務を中断し、特定の健康状態に関する結果を提供するために、数年かけてFDAの認可を取得しなくてはならなかった。

Veritasは、検査をCLIA(臨床検査改善修正法案)認定施設で行い、ゲノム配列を決定する前に医師の指示を必要としているため、その点は問題ないだろうがそれでも、どんな問題が起きるかわからない。

人間の遺伝子を修正することは未だにできないが(少なくとも米国内で合法的には)が、行く末は想像できる。自分のDNAの解析結果を低価格で利用できるようになれば、世間からの要求が高まり、遺伝子工学医療を阻止している法律を変えるかもしれない。

これが映画『ガタカ』の暗黒的シナリオにつながると考える人もいるだろうが、この種の技術がもたらすものによって救われる命、改善される生活に私は期待している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook