Visaがアーティストやミュージシャンを対象としたNFTプログラムを開始

クレジットカード大手のVisa(ビザ)は、小規模事業者をデジタル経済に取り込むため、NFT(非代替性トークン)クリエイタープログラムを開始した。

Visaの暗号資産(暗号資産)部門責任者、Cuy Sheffield(クイ・シェフィールド)氏はTechCrunchに「過去1年間、NFTのエコシステムが急速に成長しているのを目の当たりにしました。NFTが新しい形のeコマースを表していると考えています」と語った。

小規模事業者の頭の中は、従来の「家族経営の実在店舗」から、デジタルに特化した企業を立ち上げ、NFTのような新しいツールを活用したいクリエイターや起業家による他の独立したビジネスへと進化していると、シェフィールド氏は述べた。

1年間の集中プログラムであるVisa Creator Programは、アーティスト、ミュージシャン、ファッションデザイナー、映画制作者などのクリエイターを集め、NFTを使ったビジネスを構築できるようにする。

シェフィールド氏は、初回のプログラムではクリエイターの数に上限はなく、すべてのメンバーがVisaの顧客やメンターの幅広いネットワークにアクセスできるようになる、と述べた。

「大規模な業者やブランドは、どうすれば参加できるかを毎日尋ねています」と同氏は語った。「我々にとってNFTが非常にエキサイティングなのは、人々がビジネスを構築し、オンラインで販売するための参入障壁を低くしてくれると考えているからです」。

従来の物理的な商品の販売方法は多くの物流をともなうため、中小企業や個人が競争し、規模を拡大するのは難しかった。「NFTは、クリエイティブな人、アーティスト、才能のある人が、デジタルな方法で完全に商品を生産することを可能にします」とシェフィールド氏は話す。

元メジャーリーガーで、現在はAkuのアーティストであるMicah Johnson(マイカ・ジョンソン)氏は、この初回プログラムの参加者の1人だ。Visaは2021年10月にパートナーシップを発表したが、その時はジョンソン氏がプログラムに参加していることは明かしていなかった。

ジョンソン氏のAku NFTは、同氏が甥から「黒人の宇宙飛行士ってあり?」という質問を聞いて作ったキャラクターをベースにしている。

同氏の10部構成のコレクションは、スパゲッティとミートボールに覆われたヘルメットから、シンプルでスマートな白いヘルメットまで、さまざまな要素を身につけた黒人男性の宇宙飛行士のポージングで構成されている。Aku NFTのウェブサイトによると、価格は1790〜3万7000ドル(約22万〜450万円)だ。

ジョンソン氏は「NFTがアーティストを可能にすることを身をもって体験しました」とTechCrunchに語った。「私はこのアイデアと使命感を持って、文字通り自宅のガレージで絵を描いていましたが、それを世界的な企業に成長させることができたのです。NFTがなければ、今の私の立場はないでしょう」。

Visaは暗号資産コミュニティと無縁ではなく、過去12カ月間、暗号資産の擁護者だった。2021年8月に人気のCryptoPunkのNFTを購入したことで話題になったが、シェフィールド氏はこの購入が同社の唯一のNFTにはならないだろうと述べた

NFTの収集以外にも、Visaは暗号資産チームを増強し、2021年12月には顧客やパートナーがこの分野への深入りを検討できるよう、暗号資産アドバイザリー業務を開始した。

「(NFTは)商取引を再構築し、新たな機会を創出することができる基本的な原始ツールだと考えています。しかし、どのように進化していくのかについては、まだ多くの疑問があります。どのブロックチェーンを使えばいいのか。どのようにして目立つのか。どのような方法で顧客にアプローチするのか。そして、クリエイターが我々から学ぶことができると思うのと同じくらい、我々は彼らから学びたいのです」とシェフィールド氏は話した。

同氏によると、Visaは今後、これらの暗号資産技術にどっぷりと浸かって商取引の未来を追いかけたいと考えている。「我々はNFTに非常に興奮しています。NFTが多くの異なるネットワークにまたがって存在すると考えているので、すべての(NFT)マーケットプレイスがVisaカードを受け入れることができるようにしたいのです」。

次のステップはどうなるか。Visaは、オンラインで何かを購入するのと同じくらいNFT購入を簡単にしたいと考えている、と同氏はいう。

「現在のNFT購入体験はかなりハードルが高く、取引所に行って暗号資産を買い、それを別のウォレットに移すという複数のステップが必要です。新しい消費者がこの分野に参入するのは非常に難しいのです」と同氏は指摘する。

このプログラム以外にも、クレジットカード会社は、消費者にとってNFTをより購入・アクセスしやすくするための方法を検討している。消費者がこの分野に参入しやすくするためにVisaが取り組んでいる「数々の取り組み」があるが、シェフィールド氏は今後同社がNFTに特化した製品やサービスを発売する時期については明かさなかった。

「小規模事業と商業は、世界中の町や近隣のコミュニティを構築する上で本当に重要な役割を担っています。地元の理容店やパン屋には、親しみやすい顔があります。そして今、私たちが目にしているのは、クリエイターが商業とNFTを利用して、共通の信念や理想を持つ人々が集う、志の高いコミュニティを世界中に築きつつあるということです」。

画像クレジット:hapabapa / Getty Images

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(文:Jacquelyn Melinek、翻訳:Nariko Mizoguchi

Netflix、PayPal、Adobe、Epic Games、任天堂もロシアでの事業停止

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアでの事業を停止するハイテク企業のリストが増え続けている。この動きに最近加わった企業には、Netflix(ネットフリックス)、PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)などの有名どころが含まれている。

Varietyが最初に報じたように、Netflixは米国時間3月6日、ロシアでのサービスを停止すると発表した。この措置は、同社が先週、ストリーミング配信会社にロシアの20のプロパガンダチャンネルホスティングを義務づけるロシアの新法に従わないと述べたことを受けたものだ。Netflixはまた、ロシアで制作を予定していた今後のすべてのプロジェクトを一時停止している。

Adobe(アドビ)も、ロシアにおける自社製品・サービスの新規販売をすべて停止すると発表した。同社は、自社の製品やサービスが「法律に反した戦争の支援に使用されない」ようにする責任があると信じている、と述べている。

PayPal(ペイパル)は、米国時間3月5日にロイターが最初に報じたように、ロシアでのサービスを停止すると発表した。ウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相はツイートで、PayPalのCEOであるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏がこの措置を確認している書簡を公開した。

ロシアから撤退した決済企業はPayPalだけではない。Mastercardは米国時間3月5日、ロシアにおけるネットワークサービスを停止すると発表した。つまり、ロシアの銀行が発行したカードは、今後Mastercardのネットワークではサポートされなくなる。また、ロシア国外で発行されたすべてのカードは、ロシアの商店やATMで使用できなくなる。同社は、適切な時期に業務を復活させるとしている。

同様にVisaも同日、ロシアでの全業務を停止したと発表した。同社は、ロシア国内の顧客やパートナーと協力し、すべてのVisa取引を停止するとしている。ロシア国内で発行されたVisaカードでの取引はすべてロシア国外では機能しなくなり、ロシア国外の金融機関が発行したVisaカードはロシア国内で使えなくなる。

ゲーム会社もまた、テック業界の他の企業とともにロシア国内でのビジネスを終了する。Epic Games(エピックゲームズ)は米国時間3月5日、ゲームに関するロシアとの取引を停止すると発表した。しかし同社は「他のコミュニケーションツールがオンラインであるのと同じ理由で、アクセスをブロックしていない。自由な世界は、すべての対話をオープンにしておくべきだ」と述べた。

態度を明らかにしたゲーム会社はEpic Gamesだけではない。Activision Blizzard(アクティベーションブリザード)も同じ日にロシアの消費者へのゲーム販売を一時停止すると発表した。同社はまた、ロシアでのゲーム内購入の提供も停止する予定だ。

任天堂も、利用している決済サービスが「ルーブルでの決済処理を停止した」ため、ロシアのeショップを一時的にメンテナンスモードにし、同国でのデジタル販売を停止した。

Snapchat(スナップチャット)は先日、安全予防策としてウクライナで公開されているSnap Mapの「ヒートマップ」を無効化すると発表し、対応を拡大した。ヒートマップ機能は通常、人々が多数のSnapを共有した場所を目立たせる。この措置は、同社がその前にロシアで広告を一時停止していると発表したのに続くものだ。

また、TikTok(ティクトック)は米国時間3月6日、ロシアの新しい「フェイクニュース」法に対応して、ライブストリーミングと動画サービスの新コンテンツを停止すると発表した。この法律では、ロシア政府がウクライナ侵攻に関する偽情報と見なすものを公開した者は刑務所に入ることになる、と脅している。TikTokは、従業員とユーザーの安全を維持するために、同国での事業を停止することを決定した。

Samsung Electronics(サムスン電子)は「このところの地政学的な動きにより」ロシアへの全製品の出荷を停止すると発表した。出荷が停止された製品には、スマートフォン、半導体、家電製品などが含まれる。この動きは、デバイスメーカーのApple(アップル)やDell(デル)、チップメーカーのIntel(インテル)、ソフトウェア大手のMicrosoft(マイクロソフト)からの同様の発表に続くものだ。

GrubHub(グラブハブ)は、ロイターが最初に報じたように、ロシアのテック大手Yandex(ヤンデックス)との提携を終了すると発表した。複数年にわたるこの提携は、大学生に食事を配達するドライバーレスロボットに関するものだった。Grubhubは、欧州最大の食事宅配会社Just Eat Takeaway.com(ジャストイート・テイクアウェイ・ドットコム)の一部門だ。

ロシアに対抗する姿勢を示したこれらの最新の企業グループは、AppleやGoogleなどの仲間入りをしている。Appleは3月1日、ロシアでの製品販売を停止したことを認めた。また、App StoreからSputnikとRT Newsを削除し、同国でのApple Payサービスの一部を無効にしたGoogleはAppleに続き、自社のモバイルアプリストアからRT(ロシア・トゥデイ)とSputnikのアプリを削除した。Googleはロシアでの広告販売も一時停止した

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾン、VISAカード決済の継続にグローバルで合意

米Amazon(アマゾン)とVISA(ビザ)が、英国などでの決済手数料をめぐる対立を解決したとReutersが報じた。Amazonの広報担当者は「VISAとグローバルな合意に達し、すべての顧客がAmazonでの買い物でVISAのカード決済が継続利用できるようになった」とReutersに述べた。

Amazonは、クレジットカード取引にかかる手数料が高いことを不服として、1月19日から英国でのVISAの取り扱いを停止すると脅し圧力をかけていた。EUではカード発行会社の手数料に上限が設けられているため、欧州の他の地域には影響がなかったが、ブレグジット後の英国でMastercardとVISAの両カード発行会社が手数料をつり上げたのだ。英国の規制当局は最近、これらの値上げを調査すると発表した。

決済市場におけるVISAの優位性を考えると、Amazonがその脅しを実行に移すことはないと思われた。案の定、期限の少し前に、Amazonは結局VISAカードの受け入れを継続すると発表し「VISAと緊密に協力して可能な解決策を検討している」と述べていた。

Amazonは、他の地域ではVISAカードの使用を禁止したり、取り扱い停止の圧力をかけたりはしていなかったが、オーストラリアとシンガポールでVISAを使用する顧客には「サーチャージ」として追加の取引手数料を請求していた。この手数料は現在取り消されており、VISAとAmazonはこの問題をすべて解決したようだ。VISAの広報担当者は、声明で次のように述べている。「今回の合意には、今日(米国時間2月17日)からAmazonのすべてのサイト・ストアでVISAが継続利用できるようになることに加え、新製品や新技術への取り組みについて共同で取り組むコミットメントが含まれています」。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Matt Cardy / Getty Images

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

Visaが暗号資産アドバイザリー業務開始、金融機関の商品開発をサポート

世界最大のカード会社であるVisa(ビザ)は、暗号資産市場の獲得に向けてさらに力を入れている。同社は米国時間12月8日、Visa Consulting and Analytics(VCA)部門で、顧客やパートナー向けに暗号資産アドバイザリー業務を開始したことを発表した。

このニュースは、同社の暗号資産責任者であるCuy Sheffield(クイ・シェフィールド)氏が、11月のフィンテックカンファレンスで資産クラスが「クール」になったと宣言してから数カ月しか経っていない中でのものだ。決済大手のVisaは2021年8月にCryptoPunk NFTを買収して話題になったが、専門の暗号資産コンサルタント部門を設立する動きは、混み合っている分野で暗号資産市場のシェアを獲得しようとする試みがマーケティング上の演出にとどまらないことを示している。

Visaの暗号資産プラットフォームとの提携は過去18カ月で倍増した、とシェフィールド氏はTechCrunchのインタビューで述べた。また、消費者はVisaの暗号資産連動型カードプログラムを利用して約350万ドル(約4億円)を費やしており、7月の100万ドル(約1億1000万円)から増加していると同氏は話した。

Visaはまた、暗号資産に関する消費者の態度について実施した新しいグローバル調査の結果を発表した。それによると、6000人超の回答者のうち40%が、メーンバンクを暗号資産商品を提供する銀行に変更する可能性があることがわかった。

シェフィールド氏によると、Visaは暗号資産を自社のサービスに統合しようとしている「何百もの顧客やパートナー、従来の金融機関から、信じられないほど多くの問い合わせ」を受けているという。Visaのコンサルティング部門には約700人の従業員がいるが、そのうち何人が暗号資産業務に携わることになるのかは明らかにしていない。

「Visaは、暗号資産に関する深い専門知識を備えたグローバルな中立ブランドとして、これらの新技術の複雑さを解消し、銀行が中核商品に導入するのを支援するのに適した立場にあると考えています」とシェフィールド氏は話す。

そのために、Visaは12月7日に発表された6000万ドル(約68億円)のシリーズBに参加してブロックチェーンコンプライアンス企業であるTRM Analyticsに投資した。この資金調達には、American ExpressとCitiも参加した。Visaは、決済の新たな基盤となり、手数料に依存したビジネスモデルを脅かしている暗号資産の分野に参入しようと躍起になっている数多くのカード会社の1つにすぎない。

この点に関して、Mastercardは2021年10月にBakktをデジタル資産の管理人として暗号資産報酬プログラムを開始した。Visaも直接、暗号資産を管理しているわけではなく、この機能を提供するためにAnchorage Digitalと提携している。この会社はVisaが2019年に初めて投資した会社だ。シェフィールド氏によると、VisaはAnchorageの上に暗号資産APIプラットフォームを構築し、他の銀行がその管理サービスにアクセスできるようにしている。

同氏は、Visaの暗号資産連動デビットカードプログラムの他、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のようなユースケースの成長を見込んでいる。The Atlantic Councilによると、これまでにCBDCを開始した国はわずか7カ国だが、さらに87カ国が検討中だ。

Visaは、銀行がCBDC関連商品を開発するのを支援することで、この関心を利用したいと考えている、とシェフィールド氏は話す。

「私たちは、CBDCが消費者の体験のためにどのようなインフラを使用し、消費者がどのように関わり合うかについて、多くの時間をかけて研究してきました。多くの国がこのルートを歩むことになると考えていて、専門知識と中央銀行との連携を活かして、銀行が役割を検討し始めて準備するのを支援しています」とシェフィールドは述べた。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

中南米の女性にデジタル口座を提供するチャレンジャーバンクJefaが2.2億円調達

フィテックスタートアップのJefa(ヘファ)は、中南米とカリブ諸国に住む女性向けに特別にデザインされた商品を構築するため、200万ドル(約2億2000万円)のシード資金を調達した。同社は11万5000人の女性をウェイティングリストに呼び込むことに成功し、2020年のTechCrunchのStartup Battlefieldにも参加した

Jefaの投資家には、The Venture Collective、DST Global、Foundation Capital、Amador Holdings、The Fund、FINCA Ventures、Rarebreed VC、Siesta Ventures、Springbank Collective、Bridge Partners、Hustle Fund、Foundation Capital、Latitude、J20などが含まれる。また、Daniel Bilbao(ダニエル・ビルバオ)氏、JP Duque(J・P・デュケ)氏、Ricardo Shaefar(リカルド・シェーファー)氏、Jean-Paul Orillac(ジャン-ポール・オリラック)氏、Allan Arguello(アラン・アルゲロ)氏など、複数のビジネスエンジェル投資家もラウンドに参加した。

今回の創業ラウンドに加えて、JefaはVisa(ビザ)と契約を結んだ。複数年の戦略的パートナーシップだ。JefaはVisaのリソースや製品を活用して決済製品などを作ることができるようになる。

「Visaは女性を力づけることを信じています」と、Visa中南米・カリブ地域のフィンテック・パートナーシップ担当シニアディレクターのSonia Michaca(ソニア・ミチャカ)氏は声明で述べた。「金融とデジタルインクルージョンは経済を変革します。毎日の家計支出の大半を管理する女性は、この変革の中核を担うべき存在ですが、従来の銀行では女性はサービスを十分に受けられていません。中南米・カリブ地域の女性主導のプラットフォームであり、この地域の女性の金融ニーズに明確に応えているJefaと提携できることをうれしく思います」。

Jefaのチームは、銀行があまりにも長い間、女性を軽視してきたと考えている。そもそもチャレンジャーバンクでさえ、ほとんどが男性顧客向けに設計されている。女性がチャレンジャーバンクで口座を開設できないというわけではない。しかし、女性にとって不親切な要件もある。

Jefa創業者でCEOのEmma Smith(エマ・スミス)氏は、TechCrunch Disruptに参加した際、ラテンアメリカで現在銀行口座を持っていない人の多くが女性である理由をいくつか挙げた。例えば、最低残高要件は、統計的に男性よりも収入が少ない女性にとってハードルとなっている。

Jefaが事業を開始すると、モバイルアプリから無料で銀行口座を開設できるようになる。銀行の支店に行く必要はない。数日後には、Visaデビットカードが送られてくる。サービスには貯金機能や報酬プログラムも組み込まれる。

Jefaはまずメキシコで製品を展開し、次にコロンビアと中米に広げる予定だ。一元的な銀行サービスからの脱却を試みるチャレンジャーバンクはJefaが初めてではない。例えば、子ども向け銀行(GreenlightStep)、気候変動に焦点を当てた顧客向けの銀行(Aspiration)など、専門性を持つ銀行を作ろうとしているスタートアップがいくつかある。そして今、Jefaが女性に特化した銀行を作っている。

画像クレジット:Jefa

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

英Amazonで1月19日から英国発行Visaクレジットカードが使えなくなる

Amazon(アマゾン)がVisa(ビザ)との闘いをエスカレートさせている。2022年1月19日から、Amazonは英国で発行されたVisaクレジットカードの取り扱いを停止する。英Amazonの顧客にこの変更がメールで伝えられ、クレジットカード取引にともなってVisaが高額な手数料を課していることが理由であるとされている。Amazonの利用者は年末年始の買い物にはVisaクレジットカードを使うことができるが、その後はVisaデビットカード、またはMastercardやAMEXなど他のクレジットカードに切り替える必要がある。

Amazonの広報は発表の中で以下のように述べている。

カード利用にともなうコストは、お客様にベストプライスを提供しようと努力している企業にとって常に障壁です。こうしたコストは技術の進歩にともない減少してしかるべきですが、実際にはコストは下がらずむしろ上がっています。Visaの利用手数料が依然として高額であることから、残念ながら当社のAmazon.co.ukでは英国で発行されたVisaクレジットカードの利用を2022年1月19日に停止します。お客様は引き続きVisaデビットカードを含むすべてのデビットカード、およびVisa以外のクレジットカードを利用してAmazon.co.ukでショッピングをしていただけます。決済に関する状況が世界中で急速に変化する中、当社は今後もお客様のために革新を続け、世界中の当社ストアで速く、安く、包括的な支払い方法を追加し推進していきます。

一方Visaの広報は「Amazonが今後消費者の選択を狭めると脅しをかけていること」に失望していると述べ「消費者の選択が限られている場合に、勝者はいない」とした。Visaはさらに、カード会員が「2022年1月にAmazonが課す制限を受けることなく」ウェブサイトで英国発行のVisaクレジットカードを使い続けられるようにAmazonとの間で解決に取り組んでいると述べた。ちなみに、Amazonと他のクレジットカード企業との関係はもっと良好だ。英Amazonは現在、消費者向けクレジットカードでMastercardと、ビジネスカードではAMEXと提携している。

AmazonとVisaはお互いから有利な条件を引き出そうとして闘いを公開しているのかもしれない。Amazonはここ数カ月間、Visaに圧力をかけてきた。シンガポールのAmazonサイトでは9月15日からVisaクレジットカードでの購入に0.5%の追加料金を課し、その1カ月半後にはオーストラリアでもVisaでの購入に追加料金を課すようになった。どちらの場合もAmazonは、Visaクレジットカード以外の支払い方法を追加した顧客に対し、ギフトカード(30シンガポールドル / 約2500円、20オーストラリアドル / 約1600円)を提供した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Håkan Dahlström Photography / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Mariella Moon、翻訳:Kaori Koyama)

BASEがネットショップの売上金をVISA加盟店で直接支払いに使える「BASEカード」の発行受付を開始

BASEがネットショップの売上金をVISA加盟店で直接支払いに使える「BASEカード」の発行受付を開始

ネットショップ作成サービス「BASE」(ベイス)を運営するBASEは9月21日、BASE加盟店のキャッシュフロー早期化を目的に、ネットショップの売上をすぐに全国のVISA加盟店で利用できるバーチャルカード「BASEカード」の提供開始を発表した。同日より先行受付を開始しており、翌週以降に順次バーチャルカードの発行を開始する。

またBASEカードは、2022年上半期に、オフラインでも全国のVISAカード加盟店での決済に使用できるリアルカードの発行を予定。オンライン・オフライン問わずネットショップの売り上げを好きなタイミングで使用できる環境を目指す。

BASEは、加盟店に対して売上金の入金日を最短で翌営業日に短縮できる「お急ぎ振込」、資金調達サービス「YELL BANK」(エールバンク)を展開しており、個人やスモールチームが運営するネットショップの資金繰り早期化を推進してきた。今回のBASEカードでは、顕在化した資金ニーズの解消に加えて、ショップオーナーが資金の悩みに直面することなく円滑な経済活動を行えるように、さらに多くの潜在的な資金課題に対する予防を見据えサービスを提供する。BASEがネットショップの売上金をVISA加盟店で直接支払いに使える「BASEカード」の発行受付を開始

また、実際には売上のあるネットショップの半数以上がお急ぎ振込を利用していたり、1カ月に1度のペースでYELL BANKを活用して資金調達を実現しいるショップオーナーもいることから、資金繰りのニーズとそれに応じた対策は多様な選択肢が求められていると考えているという。

そこでBASEでは、BASE加盟店それぞれのショップ規模や、ニーズにあったキャッシュフローを幅広い選択肢からサポートできるように、既存のお急ぎ振込、YELL BANK、BASEカードに加えて、2022年中の提供を目標に「発送前の売上の買取」やそのほかにも新たな信用創造などによる資金調達サービスの開発に取り組んでいるという。

同社のお急ぎ振込とは、ネットショップからの売上金の振り込み申請に対し通常10営業日かかるところを、振り込み申請金額の1.5%の手数料で振り込みまでの期間を最短翌営業日まで短縮できる機能。

YELL BANKは、BASEのデータから、各ショップの将来の売上金額を予測して、YELL BANKがショップオーナーから将来の売掛債権を買い取るというもの。買い取った金額は、ショップオーナーに即時支払うため、ショップオーナーは、将来の売上を「今すぐ」利用できるという。

資金調達後は、ショップの商品が購入される度に、売上からYELL BANKに一定の支払率に応じた金額が支払われる。これによりショップオーナーは、支払いを気にすることなく商品制作に集中できるとしている。

またYELL BANKがショップから買い取った将来債権が万一発生しない場合には、そのリスクをYELL BANKが負担する。

Visaが送金や為替のAPIデベロッパーCurrencyCloudを約1060億円で買収

Visa(ビザ)が参加したラウンドで8000万ドル(約88億円)を調達してから1年半、送金や為替などのサービスを動かすAPIのデベロッパーであるロンドン拠点のCurrencycloud(カレンシークラウド)がさらに金融サービス大手に近づいている。Visaは現地時間7月22日、CurrencyCloudを9億6300万ドル(約1060億円)と評価する取引で同社を買収すると発表した

関連記事:国際送金APIのCurrencycloudがSBIやVisa、世銀グループなどから約87億円調達

この評価額は最後の資金調達からかなりの飛躍だ。情報筋によると、直近の資金調達でCurrencyCloudは約5億ドル(約550億円)と評価されていた。

(VisaはすでにCurrencyCloudに出資しているため、実際には出資分が引かれた額を支払う)

CurrencyCloudは、マルチ通貨ウォレット、為替サービス、口座管理などを動かすのに同社のAPIを使っている500ほどの顧客を180カ国に抱える。ここにはMonzo、Moneze、Starling、Revolut、Dwollaといった大手スタートアップも含まれる。既存の顧客はそのままに、Visaは金融機関やフィンテックなど自社の顧客に幅広いサービスを提供すべく、また顧客のために新たなサービスを構築するために、為替事業強化でCurrencyCloudのテクノロジーを活用する。

「CurrencyCloudは、小さなスタートアップから多国籍企業まで、すべての人により良い明日を届けるよう常に努力してきました。世界経済で金がどのように動くのか再考することは、Visaに加わる今、さらにエキサイティングなものになりました」とCurrencyCloudのCEO、Mike Laven(マイク・ラヴェン)氏は声明で述べた。「CurrencyCloudのフィンテック専門性とVisaのネットワークの組み合わせにより、国境を超えて金を動かしている企業にさらに大きな顧客バリューを届けることができます」。

送金や通貨振替は金融サービスで一大事業となることが見込まれ、そのチャンスは拡大している。eコマースが特に過去18カ月、かなり国境を越えていること、そしてサプライチェーンも同様であることが要因だ(世界の零細企業の43%が2020年に何かしら国際貿易のようなものを行ったとVisaは指摘している)。そして取引を促進するクラウドベースのモバイルサービスの台頭で、将来の展望において顧客はこれまでになくグローバル化している。

と同時に、送金と通貨振替はディスラプトの機が熟している分野だ。既存のサービスは往々にして高コストで非効率的だ。これらの要素すべてがCurrencyCloudのような会社のお膳立てをしている。同社は他の金融サービスがよりスムーズに行われるようサポートすべく、そうしたサービスに埋め込むことができる通貨振替の新しいツールを構築した。

イグジットは、既存の大手金融会社が次世代の金融サービスへと進むにあたってイノベートして新たなサービスにすぐに取り掛かるのが困難なため、テクノロジーに大きく賭けている小さくて俊敏なスタートアップを取り込むという古典的な例だ。VisaがCurrencyCloudのテックをうまく統合して活用し、CurrencyCloudのチームと協業できるかはすでにテストされたところだ。2社は今回の買収取引の前に戦略的パートナーだった。

「CurrencyCloudの買収は、Visaが世界の金の動きを促進するためのネットワーク戦略のネットワークで実行するもう1つの例です」とVisaのグローバル財務責任者Colleen Ostrowski(コリーン・オストロウスキ)氏は声明で述べた。「顧客や企業は国際送金したり、送金を受け取ったりするときに透明性、スピード、シンプルさをますます期待するようになっています。CurrencyCloudの買収で我々はクロスボーダーの支払いに関する悩みの種を減らして顧客やパートナーをサポートし、クライアントの顧客のためにすばらしいユーザーエクスペリエンスを開発することができます」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Visa送金CurrencyCloud買収

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

Visaが欧州の主要フィンテック企業、オープンバンキングプラットフォームのTinkを約2380億円で買収

Visa(ビザ)は米国時間6月24日、Tink(ティンク)を18億ユーロ(約2380億円)で買収する計画を発表した。TinkはオープンバンキングAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)に注力している、欧州の主要フィンテックスタートアップだ。

今回の動きは、Visaが別の人気オープンバンキングスタートアップPlaid(プレイド)の買収を諦めてから数カ月後のことだ。元々VisaはPlaidの買収に53億ドル(約5880億円)を使う予定だった。しかし規制の壁に阻まれて買収を白紙に戻した。

関連記事:反トラスト法に阻まれてVisaがPlaid買収中止、フィンテック関係者に落胆の声が広がる

Tinkは顧客が銀行口座をアプリやサービスからつなげることができるAPIを提供している。例えばユーザーは取引明細書へのアクセス、支払い、銀行情報の取り込み、データ定期更新をするのにTinkのAPIを活用できる。

EUのPayment Services Directive PSD2によりすべての銀行や金融機関は現在、オープンバンキングのインターフェースを提供しなければならないが、統一基準はない。Tinkは3400の銀行と金融機関を統合している。

アプリデベロッパーは、さまざまな金融機関で銀行口座とやり取りするのに同じAPIコールを使うことができる。ご想像の通り、これはオープンバンキング機能の導入プロセスを大幅に簡素化する。

300の銀行とフィンテックスタートアップがサードパーティーの銀行情報にアクセスするのにTinkのAPIを使っている。クライアントにはPayPal、BNP Paribas、American Express、Lydiaなどがいる。Tinkは欧州で計2億5000万もの銀行顧客をカバーしている。

スウェーデン・ストックホルム拠点のTinkのオペレーションは買収後もこれまで通り続くとみられる。VisaはTinkのブランドと経営陣を保持するつもりだ。

Crunchbaseデータによると、TinkはDawn Capital、Eurazeo、HMI Capital、Insight Partners、PayPal Ventures、Creades、Heartcore Capitalなどから3億ドル(約330億円)超を調達している。

「過去10年、Tinkを欧州でトップのオープンバンキングプラットフォームにすべく懸命に取り組んできました。Tinkのチーム全体が一丸となって構築したものをとても誇りに思っています」とTinkの共同創業者でCEOのDaniel Kjellén(ダニエル・ケレン)氏は声明で述べた。「我々はすばらしいものを構築し、と同時に上っ面をなでたにすぎません」。

「Visaに加わることで、我々はこれまでよりも迅速に動き、さらにリーチを伸ばすことができます。次のステージに向けてVisaは最適なパートナーであり、今回の買収がTinkの従業員、顧客、そして将来の金融サービスにもたらすものに非常に胸躍らせています」。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:VisaTink買収API

画像クレジット:Tink

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

Visaがデジタル化促進で銀行とフィンテックの協業を促すプログラムを拡大

銀行とフィンテックの関係は多面的だ。

あるときには彼らはパートナーだ。しかし別のときには片方が相手を買収したり投資したりする。

そして米国時間5月26日、決済大手のグローバル企業Visa(ビザ)による発表は、銀行とフィンテックの協業能力を促進することを目的としている。

具体的には、Visaは金融機関に「精査、そしてキュレートされた」テクノロジープロバイダーを迅速につなげるためのプログラム「Visa Fintech Partner Connect」を拡大したと発表した。

それが正確に何を意味するのか、筆者は同社のシニアバイスプレジデントでフィンテックグローバル責任者のTerry Angelos(テリー・アンゲロス)氏に話を聞いた。

「2020年のグローバルフィンテック投資は1050億ドル(約11兆4620億円)でした」とアンゲロス氏は話した。「ベンチャー、PE、M&Aの案件が2861件ありました。文字どおり1000億ドル(約10兆9160億円)超がフィンテックに向かっています。この額は米国の銀行のテクノロジー関係の予算の合計額を上回ります。その結果、フィンテックで起こっているイノベーションの多くがベンチャー資金によって賄われています。Visaはそのイノベーションを当社の顧客である銀行や処理業者、他のフィンテックに持ってこようとしています」。

このプログラムは2020年11月にまず欧州で始まり、現在は米国、アジア・太平洋、南米、CEMEA(中欧・中東・アフリカ)で展開されている。Visaは同社のクライアントの銀行や金融機関、そして他のフィンテックが「コストをかけずに、そしてバックエンドテクノロジーを自前で構築する複雑さをともなわずにデジタルファーストのエクスペリエンスを創り出す」ことをサポートできるフィンテックの発掘に取り組んできた。

それぞれの地域でローカルのチームがプログラムを運営し、口座開設、データ統合、分析・セキュリティ、顧客エンゲージメント、新規カード顧客サービス、オペレーションとコンプライアンスの部門のパートナーを調査し、管理する。

アンゲロス氏によると、これまでのところVisaはバックオフィス機能から新しいフロントエンドサービスに至るまで、さまざまなテクノロジーを提供するパートナー60社を特定した。Alloy、Jumio、Argyle、Fidel、FirstSource、TravelBank、Canopy、Hummingbird、Unit21などが含まれる。うち24社は米国企業だ。

「フィンテックが注力し、カバーしている多くが既存の銀行をディスラプトすることについてです。PayPalのようなフィンテックも含め、誰もが誰かをディスラプトしようとしています」とアンゲロス氏はTechCrunchに語った。「ベンチャーの数はもちろんかなり大きなものです。我々が認識しているのは、ベンチャーが支援している企業を当社の既存の顧客とペアリングする多大な機会があるということです。あなたが通常耳にする、我々vs彼らというアプローチとやや反対のものです」。

Visaの顧客はVisa Partnerウェブサイトを通じてプログラムパートナーと連絡を取り、実行費用の割引や値引き価格といった恩恵を受けることができる。

「Fintech Connectプログラムは興味深いフィンテック企業を特定してキュレートし、その後顧客がそうしたFintech Connectパートナーと関われるよう魅力的な商業提携をつくりだすのをサポートします」とアンゲロス氏は話した。

それで、Visaはそこから何を得るのか。

「当社の目標は、すべての顧客がより良いデジタルエクスペリエンスを消費者のために構築できるようにすることです。すべての銀行が顧客の役に立ち、デジタルエクスペリエンスを構築するための最新のツールを持っていればすばらしいと思います」と同氏は語った。

例えばパートナーの1社はバーチャルカードスタートアップのExtendだ。

「TripActions、Ramp、Divvyなど今日バーチャルカードを提供するフィンテック企業はあります。しかしVisaがしようとしているのは、『どうやって当社の銀行顧客に同じようなことをさせられるだろうか』と検討することです。ですので当社は誰もが利用できるよう、我々のエコシステムにイノベーションを持ち込んでいます」とアンゲロス氏は説明した。

これは例えば攻撃があっても動じない体制のための補完的なテクノロジーを持つTripActions、Ramp、Divvyといった企業もサポートする。

「純粋な受益者はうまくいけばそうしたレールに乗っているものにさらに支出しようとします。例えばB2B支出額は年間約120兆ドル(約1京3100兆円)です。うち20兆ドル(約2180兆円)にカードが使えると考えています。今日当社はそのうちの1兆ドルを扱っています。ですので、当社の顧客の銀行やフィンテックがB2B決済を可能にするこうした種のソリューションを構築できれば、残り19兆ドル(約2070兆円)をVisaはパートナーを通じて取りにいけます」。

はっきりさせておくと、Visaは時々スタートアップに投資もする。このイニシアチブはそうした取り組みとは異なるが、パートナーの数社はVisaから投資を受けている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Visa投資

画像クレジット:Kursad / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

アダルト動画配信のPornhubが2020年版透明性レポートを公開、違反動画検出の取り組みを詳述

アダルト動画配信のPornhubが2020年版透明性レポートを公開、違反動画検出の取り組みを詳述

Ethan Miller via Getty Images

2020年12月に、児童に対する性的虐待動画を公開し収益の一部を得ているとNew York Timesの記事で告発され、その後承認済みユーザーとコンテンツパートナー以外がアップロードした、ガイドラインに適合しない動画をすべて削除するという大胆な対応を行ったアダルト動画サイトPornhubが、初の透明性レポートを発表しました。この報告書では2020年にPornhubが受けた指摘と、実施してきたモデレーションの実績を明らかにしています。

報告書によると、Pornhubはガイドライン違反、たとえば未成年者が含まれるコンテンツから合意に基づかないコンテンツ、悪意ある表現、動物虐待、近親相姦、血液他の体液を含むもの、暴力的なもの、そして明らかに著作権を侵害しているコンテンツ65万3465件を特定し削除したとのこと。

また、2020年の1年間にサイトは政府、法執行機関、および民間団体から1081件の法的な要請を受けたと述べています。これには合意に基づかないコンテンツや児童労働搾取が含まれているとのこと。

NYTによる問題の告発を受け、Pornhubはアップロードされたコンテンツを公開する前にその違法性を検証するため導入した技術についても報告書には記されています。そのなかにはPornhub独自の映像認識技術であるSafeguardをはじめ、YouTubeが採用する児童性的虐待画像検出テクノロジーのCSAI Match、以前にアップロードされた侵害コンテンツと一致する可能性のあるコンテンツを検出するマイクロソフトのPhotoDNA、コンテンツ認識技術開発企業VobileのMediaWiseなどが列記されています。

さらに、機械的にコンテンツを検証するだけでなく、24時間体制のモデレーターによる人力でのレビューも併用してガイドライン違反のコンテンツ除去に取り組んでおり、利用規約やガイドラインに違反するコンテンツは公開されず、またアップロードしたアカウントの削除などの措置を必要に応じて実施するとのこと。

2月、Pornhubはコンテンツをアップロードするアカウントの身元確認にサードパーティの技術を採用していることも明らかにしていました。また問題が表面化して以降、提携していたVisaおよびMaster Cardは、Pornhubのみならず親会社MindGeekのサービス全体で有料コンテンツの決済処理を停止していましたが、Visaは2020年末頃にMindGeekの一部アダルトサイトで決済処理を再開したとのことです。とはいえPornhubに関してはまだ再開はしていない模様です。

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(Source:Pornhub、via:MotherboardEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:児童ポルノ対策Pornhub(企業・サービス)Visa(企業・サービス)Mastercard(企業・サービス)

Visaが米ドルステーブルコイン「USDC」で仮想通貨による決済を開始

決済カードネットワークのVisa(ビザ)は、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン基盤のステーブルコインであるUSDC(USD Coin、USDコイン)による決済を認める方針を発表した。Crypto.comは、自社のVisaブランドのカードでこの新機能をテストした最初の企業となった。

USDCはCircle(サークル)とCoinbase(コインベース)が共同で設立したステーブルコインで、Centre Consortiumが管理している。その名が示すように、USDCは米ドルに連動する仮想通貨だ。1 USDCは常に1米ドルの価値があるため、ステーブルコインと呼ばれる。

USDCの価値が安定していることを確認するために、USDCのパートナーは新しいトークンを発行するたびに、銀行口座に米ドルを保管する。その口座は監査され、その口座にある米ドルと同じ数のUSDCが流通していることが確認される。

では、お金のほとんどがデジタル化されている今日、なぜステーブルコインが存在するのか。他の暗号資産と同様に、ステーブルコインは価値の送受信や保管に関して柔軟性がある。銀行口座も必要なく、すべてが簡単にプログラム可能だ。また、レガシーシステムをサポートしたり、銀行と統合したり、他の金融機関に取引手数料を支払う必要もない。

USDCはもともとEthereumブロックチェーン上のトークンとしてスタートしたが、他にもAlgorand(アルゴランド)とStellar(ステラ)ブロックチェーンにもサポートされている。Visaは今のところ、USDCのEthereumバリアントにフォーカスすることを選択している。

関連記事:仮想通貨のAnchorageが連邦銀行の認可を受けデジタル資産銀行に、約85.3億円の資金調達

Visaは、すでに世界の160通貨に対応している。海外旅行をしていてもVisaカードをシームレスに利用できるのはそのためだ。トランザクションはカードの利用明細には自国通貨で記載されるが、加盟店への支払いはその国の通貨で行われる。

今回Anchorageとの提携により、Visaは初のデジタル通貨への対応を開始する。Anchorageは最近、連邦銀行の認可を受けデジタル資産銀行としての地位を確立した。Visaはおそらく、このプログラムのために信頼できるパートナーを探していたのだろう。Anchorageが規制当局から承認されたことで、このパートナーシップは理にかなうものとなった。

Crypto.comにとっては、これはUSDCを直接Visaに送れることを意味する。例えば、ウォレットにUSDCを保有しているCrypto.comの顧客がカード取引を行う場合、Crypto.comはUSDCトークンをまず米ドルに変換する必要はない。

Crypto.comはAnchorageにあるVisaのEthereumウォレットアドレスにUSDCを送って、取引を決済することができる。その後、加盟店はVisaから自国の通貨で支払いを受ける。Visaによると、Crypto.com以外にもパートナーを増やしていく予定だという。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:VisaUSDC仮想通貨

画像クレジット:Håkan Dahlström Photography / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

反トラスト法に阻まれてVisaがPlaid買収中止、フィンテック関係者に落胆の声が広がる

報じられているようにVisaはフィンテックスタートアップPlaidとの買収交渉を打ち切った。すでに両者の間では合意があったが、これも無効とされた。消費者向けクレジットカードの大手がフィンテックのAPIを構築しているスタートアップをグループに組み込む可能性はなくなった。

合併に関して当初両者の合意が発表されたとき、買収額は53億ドル(約5510億円)とされた。買収交渉が行われていることを我々が報じたのはちょうど1年前、2020年1月13日だった。しかし2020年11月、米司法省はこの合併に反対した。司法省は「この買収は、在来の貯蓄口座およびさらに進歩的なオンラインデビットカードサービスの分野で、現在生じつつあるライバルを排除することになる危険性がある。したがってこの合併はライバル企業ならびに消費者の利益に反する」と主張した。

当初、VISAは「政府の見解は誤っている」と主張し、争う姿勢を見せていた。

しかし2021年1月12日になって両社は買収合意が正式に解消されたことを確認した。プレスリリースの中でVisaは「最終的には買収を実行できたかもしれないが問題の複雑性を考慮し、(訴訟になれば)解決まで長時間を要することになるのは不適切だと考えた」と述べている。

要するにVisaは手間がかかりすぎる、と嫌ったわけだ。

これに対してPlaidはもっと強気で社内向けのメモに「昨年には、Plaidを利用したサービスに対する需要が前例のないレベルに高まった」と書いている。2020年に始まったフィンテックブームによって一般消費者が無料の株取引アプリや「ネオバンク」に殺到したことを考えれば、昨年のPlaidの成長は驚くべきことではない。結局、PlaidのプロダクトであるAPIは消費者とフィンテック企業を仲介する位置にあるため、両者がいっそう緊密なトランザクションを望むならAPIスタートアップには強い追い風となる。

【更新】Plaidに取材し、今後、独立企業としての計画と、2020年に具体的にどれほどのスピードで成長したかを尋ねた。PlaidはTechCrunchに対して「2020年にはクライアントが60%増加し、4000を超えた」と回答している。顧客ベースの純ドル保有率が中程度だと仮定した場合、Plaidは昨年数百パーセントの成長を遂げた可能性がある。

VisaのPlaid買収は単に1つの取引の中止であることには違いないが、資金力豊富な既存大企業への買収という有利なエグジット(現金化)を狙っていたフィンテック分野のスタートアップやユニコーン企業は失望を隠せない。つまり米司法省による反トラスト法を根拠とした主張で買収が不可能になったわけでないが、大企業はスタートアップの買収により慎重にならざるをない。金持ちの大企業への売却というエグジットを考えていたフィンテックスタートアップ関係者にとって都合のいい話ではない。

これにより、今後、フィンテックスタートアップの買収金額は下がることになると予想される。フィンテックに重点をおくベンチャーキャピタルの意欲を削ぎ、スタートアップの資金調達にも逆風となる可能性がある。フィンテック関係者は、VisaのPlaid買収における高額の企業評価額が、ベンチャーキャピタルによるスタートアップへの投資ラウンドでの評価額にも反映すると期待していた。つまり買収がなくなればその逆、ということになるわけだ。

【Japan編集部】日常用語ではタータンチェックのような格子をPlaidと呼ぶためトップ写真はその模様の布地になっている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:VisaPlaid買収反トラスト法

画像クレジット:Sarah Wardlaw / Unsplash

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米司法省が阻止しようとするVisaとPlaidの合併問題を理解するための「火山モデル」

米国時間11月5日、米司法省は切迫状態の続くVisa(ビザ)とPlaid(プレイド)の合併阻止する行動に出た(未訳記事)。

契約が発表されたのは2020年の始めであり、11月になってこの合併を断念させようとする政府の決定は、大きな苛立ちを両社にもたらした。両社はこの約1年間、取引をまとめ承認を得るために曖昧な状態で運用を続けてきたが、あらゆる困難を耐えてきたことがこれで無駄になるかもしれない。

しかし、この取引きで次に何が起きるにしても、政府自身によるこの訴訟は、それ自体が不朽の名作といえる。そこでは反トラストについて多くを語っていないが、2020年にはどんなことでも可能だ。

状況をマンガにしてみた。

画像クレジット:DOJ

テキスト部分に書いてあるのは、Plaidは火山でありそこから類推するにVisaは水面上のどこかでビジネスをしながらPlaidが噴火して現在Visaが運用している環境を変えてしまうことを恐れている。

概念フレームワークとしては、ガートナーの市場調査レポートである「magic quadrant(マジック・クアドラント)」よりずっと良くできているが、この「Magic Volcano(魔法の火山)」はあまりおもしろくない。Visa VenturesのファウンダーであるPeter Berg(ピーター・バーグ)氏がこの落書きについての説明(Twitter投稿)をまとめている。

初心者には噴火している火山に見えるだろう。B2B2Cワールドで長い時間過ごした人には、水面下の数多くの「目に見えない」重要インフラが見え、その結果水面より上にある(消費者の)可能性がいっそう明瞭に見えてくる

バーグ氏のアナロジーによれば、この火山はむしろ氷山だ。つまりVisaはタイタニックのような船ということになる。

これを「ビザタニックの悲劇」とまとめるのは簡単だが、どうやら政府はPlaidが確実に乗船できないようにしているようだ。

海洋のテーマにこだわると、もしこの火山 / 氷山取引が止められた時、Plaidは海賊旗を掲げてどこか別の船を探しにいくのだろうか?ひとつ、すぐ思い浮かぶところがある。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:VisaPlaid

画像クレジット:hapabapa / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

仮想通貨取引所Coinbaseが米国でデビットカード発行へ、Visaと提携

仮想通貨取引所のCoinbase(コインベース)はこの冬、米国でデビットカードの提供を始める。顧客はウェイトリストに登録でき、利用可能になり次第、Coinbase Cardを受け取れる。Coinbaseは同カードをすでに英国と欧州で展開している。

Coinbase CardはVisaを扱う決済端末、オンライン決済インターフェース、ATMで使えるVisaデビットカードだ。ユーザーはモバイルアプリで仮想通貨をいくら使うのかを管理できる。米国では、顧客はサインアップした後すぐにバーチャルのカードを取得し、2週間以内に実物のカードが届く。

店舗で仮想通貨を使うのにユーザーは仮想通貨を換金する必要はない。決済が発生したときにCoinbaseがユーザーに代わって処理する。だからこそ、今後の決済のために使う仮想通貨残高をユーザーがアプリ内で選べるようになっている。

Coinbase CardはUSDCを含め、Coinbaseで現在利用できる多くの仮想通貨に対応する見込みだ。Coinbaseは欧州の顧客向けに別のアプリをリリースしたが、米国ではメインのCoinbaseアプリからデビットカードを管理できるようになる。カードは顧客のCoinbase口座から直接カード代金を引き落とす。顧客は別のウォレットにトークンを移さなくてもいい。

米国では、Coinbase Cardユーザーはポイントも付与される。Stellar Lumensでは4%、Bitcoinでは1%のポイントがもらえると同社はいう。貯まったポイントで1度に1つのリワードが選べ、リワードは定期的に更新される。

欧州と異なり、米国では発行手数料を払う必要はない。しかしいくつかの手数料がある。Coinbaseは2.49%の通貨換金手数料を取る。しかし1つだけ例外がある。USDC残高を使用する際は、デビットカードでのUSDCによる支払いに手数料はない。

通貨換金手数料に加えて、海外決済手数料やATM利用制限もある。しかし一部の顧客は利便性を重視するかもしれない。実在店舗で買い物するとき、デビットカードはビットコインウォレットよりずっと使い勝手がいいのは事実だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Coinbase仮想通貨Visa

画像クレジット:Coinbase

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(翻訳:Mizoguchi

米司法省がVisaによる5540億円のPlaid買収を反トラストの疑いで捜査中

米司法省から反トラスト捜査の目を向けられているのは大型テック企業だけではない。

米国時間10月26日の午後遅く、米司法省はVisa(ビザ)によるベンチャー支援企業のPlaidに対する53億ドル(約5540億円)の買収提案を捜査中であることを明らかにした。Plaidはアプリケーションがユーザーの銀行口座と連携できるようにするサービスだ。

これは数多くの新たなフィンテックサービスを可能にするものであり、この買収契約が今後さまざまなスタートアップから生まれてくる新たな金融サービス市場にどのような影響を与えるか、司法省はこの1年をかけて調査していたようだ。

司法省がこの取引に注目していることがわかったのは、VisaのPlaid買収を手配したコンサルタント会社のBaidに対して、当局の民事調査請求(CID)に応じるよう求めたマサチューセッツ州地区連邦地方裁判所に提出された請願書からだった。

司法省は、Bainが文書について何らかの特権を持っていたと主張して提出を拒否し、結果的に司法省の捜査を引き伸ばしたと主張している。

「米国消費者は反トラスト局が迅速かつ徹底的に合併を捜査することを望んでいます」と司法省反トラスト局のMakan Delrahimk(マカン・デラヒム)局長は声明で語っている。「関連する第三者の種類とデータを収集することが、本局が一連の取引を分析する上で不可欠です。こうした要望を無視することで本局が関心を失い、捜査目標を他の案件に移すと期待している第三者があまりにも多い」。

司法省は2020年6月に初めて、Bainに対してVisaの価格戦略と他のデビットカードネットワークに対する競合に関連する書類の提出を求めた。当局はその情報を使ってVisaが計画する買収が金融サービス市場全体に与える影響を分析するつもりだった。Bainはその情報を部外秘であるとして書類作成を拒否した。

司法省が注目している大型フィンテック買収案件はVisaのPlaid買収提案だけではない、とThe Wall Street Journalは報じている。規制当局はMastercard(マスターカード)によるフィンテックスタートアップであるFinicityに対する10億ドル(約1040億円)の提案や、Intuit(インテュイット)のクレジットスコア情報スタートアップであるCredit Karma(クレジットカルマ)買収の70億ドル(約7310億円)の提案にも注目している。

「本局のBainに対する請願は、関連書類を確保し、我々が発行するCIDの期限と仕様を第三者に守らせる意志を明確にすることが目的です」とデラヒム氏はいう。「Bainをはじめとする第三者は、当局の民事調査に関わる要求に完全かつ迅速に従って、我々が職務を果たし、国民のために尽くすのに必要な書類とデータを提出するべきです」。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:米司法省VisaPlaid

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook