GoogleのクラウドプラットホームはプリエンプティブルVMの料金を最大33%値下げ

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これまでGoogle, AmazonそしてMicrosoftの三社は、クラウドコンピューティングの値下げ競争に邁進してきたが、このところようやく、沈静化したようだ。しかし今日(米国時間8/9)は、Googleがまた新たな爆弾を投げ込み、同社のプリエンプティブル仮想マシン(preemptible virtual machines)の料金を最大で33%値下げした。

プリエンプティブルVMは、AWSのスポットインスタンスのGoogle版で(Microsoft Azureにはまだ相当タイプがない)、Googleに先買権のあるリソース、言い換えるとGoogleにとってそれが遊休リソースである間はユーザーに安く使わせてあげるよ、というVMだ。GoogleやAmazonは、このやり方でリソースの利用率を常時高めたいのだが、彼らのシステムサイドの需要が混み合ってくるとユーザーは、通常のプールのユーザーへと自動的に‘格上げ’され、料金も上がる。

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Amazonはこれらの遊休VMをオークション方式でユーザーに提供するが、Googleの方式では定価制だ。それでも、同社の通常のVM提供物に比べると最大で80%ぐらい安くなる。

Googleのプラットホーム上では、これらのVMは最大で24時間しか使えないから、どんなワークロードにも使えるわけではない(AWSではスポットの入札価格が上がるまで使える)。でも柔軟性のあるワークロードなら、このタイプのVMを使ってかなりの節約ができる。

GoogleのプロダクトマネージャーMichael Basilyanが、今日の発表声明で書いている: “顧客はプリエンプティブルVMを使って、データの分析やムービーのレンダリング、衛星画像の処理、遺伝子データの分析、金融市場の理解、メディアのコード変換、さまざまなビジネスやエンジニアリングタスクの完遂、などを行っている。プリエンプティブルVMの値下げによって、コンピューティングの機会がさらに広がり、科学やビジネスの分野における興味深い問題への挑戦が可能になる、と信じている”。

運が良ければ、Googleの今日の値下げに刺激されて、Amazonも値下げを行うかもしれない。

ところで、プリエンプティブルマシンに向かないワークロードを抱えている方は、Googleが新しく設けた“VM Rightsizing Recommendations”(VM適正サイズ推奨)を検討してみてはいかがだろうか。このツールはユーザーのVM利用状況を分析して、ニーズに合った最適のスケールアップやダウンを推奨する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft AzureがVMを値下げ、新たに高速大容量ストレージ併設のGSシリーズVMを提供開始

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Microsoftが今日(米国時間9/2)、同社のAzureクラウドコンピューティングサービスの二つのアップデートを発表した。ひとつはパフォーマンスが最適化されるGクラスのVMに新しいタイプを導入、もうひとつは計算力に重点を置くDクラスVMを値下げしたことだ。

GクラスVMはAzureクラウド上のもっともハイエンドのマシンで、したがって料金ももっとも高い。Windowsが動き、最高月額は7180ドルにもなる。今度からこのGクラスのマシンに、高仕様ストレージを伴うGSというタイプが新たに導入され、そのストレージの最大仕様は64TB、毎秒80000I/O、最大スループットが2000MB/sとなる。

これまでのGシリーズと新しいGSシリーズはともに、VMが帯域20Gbpsのネットワーキングをサポートする。そのスループットは、競合他社の倍、だそうだ。

担当マネージャCorey Sandersによると、この有料ストレージオプションを導入したのは、顧客の要望による。Gシリーズのユーザは、大きなデータベースを必要とすることが多いのだ。

“そういうワークロードが増えているから、ストレージのスループットの増大を求める声が頻繁に聞かれるようになった”、と彼は語る。彼によると、GSシリーズのVMはMySQLやMicrosoftのSQL Serverなどだけでなく、MongoDBのようなNoSQLデータベースも高いスループットで利用できる。

Sandersによると、Azureの顧客の一部はデータウェアハウスや、あるいはExchange、Dynamicsのようなエンタプライズアプリケーションを稼働するためにこれらのマシンに着目している。

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今回のアップデートでMicrosoftは、DシリーズVMの最大27%の値下げを行う。このVMはWebアプリケーションのフロントエンドや、メインのデータ処理/供給層で使われることが多い。Sandersが説明する値下げの動機は、このDシリーズをいわば、Azure利用の入り口と位置づけ、今後なお一層のユーザ増を図りたいためだ。値下げは、10月1日から有効となる。

さらに今後Azureから、メッセージングサービスService Busを利用できるようになり、より高いアップタイムと、より予測可能なパフォーマンスが約束され、VMの診断能力も提供される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MirantisがCoreOSのTectonicを統合、Kubernetes管理構造を最初から持つコンテナインフラストラクチャをOpenStack上で提供へ

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OpenStackの専門企業Mirantisと、Linuxコンテナを軸とする分散化/クラスタ化OSを提供するCoreOSが今日(米国時間8/6)、両者のパートナーシップにより、前者のOpenStackディストリビューションとCoreOSのコンテナプラットホームTectonicを統合する、と発表した。これにより事実上、OpenStackとGoogleのコンテナ管理/スケジューリングツールKubernetesが統合されることになり、またそのサポートと管理を伴うプラットホームを、企業ユーザは利用できることになる。

企業の自前のクラウドプラットホームとなるOpenStackとコンテナとの相性は、はっきり言ってまだ未実証だが、OpenStack Foundationは、両者は天国で結婚した仲だと主張している。そのような見方に立てば、企業が従来からのVMと、Kubernetesなどとともにコンテナの両方を使っていくときに、OpenStackクラウドを統合エンジンと位置づけることができる。

OpenStack Foundationの事務局長Jonathan Bryceは、今日の発表声明の中でこう言っている: “OpenStackは今、VMやコンテナ、ベアメタルなどさまざまな技術分野において、オープンソースのクラウドプラットホームとして急速に普及が進んでいる。コントリビューターのCoreOSやMirantis、Googleなどがコミュニティを支援することによって、OpenStackを主軸とするまとまりの良い、オープンソースのクラウドソリューションが企業に提供され始めている”。

CoreOSのTectonicはオンプレミスとパブリッククラウドのどちらでも利用できるが、7月の後半にプレビューでローンチした。それは、KubernetesとCoreOSとDockerを組み合わせたコンテナインフラストラクチャを、商用レベルのサポートを伴うプラットホームとして提供するプロダクトだ。

CoreOSのCEO Alex Polviはこう語る: “つまりTectonicとMirantisのOpenStackを使うと、商用のコンテナ&クラウドプラットホームに最初からKubernetesのコンテナ管理構造があるわけだから、いわば企業は、Googleクラスのインフラストラクチャをその日から簡単に自分のものにできるのだ。Mirantisにはオープンソースのソフトウェアに対する深い理解があり、OpenStackを軸とする同社のオープンソースエコシステムへの貢献度の大きさは、右に並ぶものがない。だから企業がOpenStack上でKubernetesのベネフィットを体験できるためには、Mirantisとのパートナーシップがいちばん自然なのだ”。

企業がOpenStackの本格的な採用を開始するまで、数年を要しているが、しかしRed Hatで同社のIaaS(+OpenStackの商用提供)を担当しているTim Yeatonによると、今ではパイロットから本番稼働に移行する企業が徐々に増えているそうだ。

この、企業によるOpenStackの本格採用の動きと、そしてコンテナへの関心は、たまたま時期的に一致しているので、両者の合体に企業が関心を示すのも、また当然だ。OpenStackが提供するものは、クラウドと呼ばれるネット上の収容構造(いわば大きな風呂敷)だから、そこに何を入れ、何と何を統合しても、問題ない。だからOpenStackのディストリビューションであるMirantisにとって、コンテナ導入のために、自分で車輪を再発明することをせず、CoreOSのTectonicのようなコンテナプラットホームを統合するのが、つねにベストのプロダクトを求める顧客のためでもあるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa