Facebook主催のアイトラッキングコンペで東京のクーガーが世界3位に入賞

Facebookが主催するアイトラッキングの認識精度を競う「OpenEDS(Open Eye Dataset)Challenge」は、世界各国からコンピュータビジョンの研究者が挑戦するコンペティションだ。大学などの研究機関も参加するこのコンペの結果が9月30日に発表された。コンペの2つの課題のうち、2D画像の眼球位置を推定する「Semantic Segmentation Challenge(セマンティックセグメンテーションチャレンジ)」では、東京・渋谷に拠点を置くクーガーのチームが提出したAIモデルが世界3位を獲得している。

VR/AR普及のカギ、視線追跡の「精度」と「軽さ」を競う

VR/ARが注目を集める中で、スマートグラスの装着時に視線や眼球の動きを追跡する「アイトラッキング」の需要は高まっている。深層学習の進歩によりアイトラッキング領域でも成功例は出てきている。ただしCPUの性能にはまだ限界があり、リアルタイムでの精度の高い計算には制限がある。

また安定した効率的な機械学習ソリューションを用意するためには、異なる条件下にある何千人ものユーザーから、大量で正確な学習データを取得する必要がある。しかしコスト面でも正確性の面でも、実際には収集できるトレーニングデータの量と品質には制約がある。

VRデバイス「Oculus Rift」や「Oculus Go」などの製品も持つFacebookが、OpenEDS Challengeを開催し、機械学習やコンピュータビジョンの研究者の参加を求めるのには、こうした背景がある。OpenEDS Challengeでは、2つの課題が提示された。

1つは、2D画像から眼の瞳孔や虹彩、強膜、そしてその他の部分の位置を正確に推定する「セマンティックセグメンテーション」。もう1つは、入手が困難な現実の視線データに代わり、現実的な眼の画像を合成して効率的なデータ学習が行えるようにする「Synthetic Eye Generation(シンセティックアイジェネレーション)」だ。

このうちセマンティックセグメンテーションの課題で、クーガーに所属するDevanathan Sabarinathan氏とDr. Priya Kansal氏によるAIモデルが3位にランクイン。さらにこのモデルの独自性が評価され、11月に韓国・ソウルで行われるコンピュータビジョンのカンファレンス「ICCV」ではこのモデルについての論文が採択され、発表が決定している。

既存手法を活用してコンペ条件をクリア、入賞も果たす

セマンティックセグメンテーションの技術は、VR/ARデバイスなどで視線追跡を行うときに、2D画像の正確な認識、つまり眼の重要な領域(強膜、瞳孔、虹彩)とそれ以外の領域をピクセル単位で区分するために必要なものだ。認識の精度の高さとリソース消費の少なさが求められるため、今回のFacebookのコンペでは「モデルの精度」「モデルサイズの軽量化」の視点で審査が行われた。

クーガーが発表したEyeNetモデルによる認識結果画像

今回クーガーが発表したモデル「EyeNet(アイネット)」は、7月に米国で開催された別のコンピュータビジョンに関するカンファレンス「CVPR」で同社が発表した、骨格認識のモデル「SkeletonNet(スケルトンネット)」をベースに開発された。OpenEDS Challengeでは、高精度を保ちながら、モデルサイズを2MB以下、モデルのパラメータ数(複雑さ)を40万以下に抑えるという条件をクリアしなければならない。結果、クーガーのモデルは提示されたベースラインをクリアしただけでなく、世界3位を獲得することができた。

ベースラインのモデルの数値:
mIoU: 0.89478
Model Complexity: 416,088.00000
Total Score: 0.76240

クーガーのモデルの数値:
mIoU: 0.95112 (6.3%の向上)
Model Complexity: 258,021.00000 (38%の向上)
Total score: 0.97556 (28%の向上)

このコンペティションで上位入賞を果たしたチームは認識精度を上げるうえで、主にデータの前処理での工夫に注力している。クーガーは、インプットデータのどの部分を重視するかを決定する「アテンション機構」の複数使用や、Microsoft Researchが2015年に考案した、高い画像認識能力を持つニューラルネットワークモデル「Residual Network」を組み合わせることなどによって、モデルの精度を向上しながら軽量化も果たしたという。

より自然なコミュニケーションのために人型AIアシスタントを開発

クーガーは2006年の創業。ホンダへのAI学習シミュレータ提供や、Amazonが主催するロボットコンテストAmazon Robotics Challenge(ARC)上位チームへの技術支援、NEDO次世代AIプロジェクトでのクラウドロボティクス開発統括などで知られる。ゲームAI、画像認識AI、ブロックチェーンの分野に強みがあり、現在は人型AIアシスタント「Connectome(コネクトーム)」の開発・提供に力を入れている。

クーガー代表取締役CEOの石井敦氏は「人型AI、バーチャルヒューマンエージェントには、ゲームAIによる生きているように感じるキャラクター性、視覚情報から状況を理解する画像認識能力、情報の信頼性を担保し、安全にデータを扱うブロックチェーン技術の3つすべてが必要」と話す。「当社は3つの分野それぞれで、世界トップクラスの技術を持っている。そのうちの画像認識領域での成果のひとつが、今回のOpenEDS Challengeでの3位入賞だ」(石井氏)

Connectomeは音声認識、映像認識、そして表情やしぐさから感情を認識する機能やジェスチャーを認識する機能を持つ。

コンピュータのモニターやデジタルサイネージで動く「モニターモード」やタブレット、スマホのようなモバイル機器で動く「ARモード」が開発されており、ショッピングセンターやコワーキングスペースなどの施設の案内や利用者とのコミュニケーション、イベント実況などで活用が進められている。

「Siri」や「Googleアシスタント」をはじめ、スマートスピーカーなど音声によるAIアシスタントはある程度、一般化してきたが、わざわざ人間のように振る舞うエージェントを用意するのはまだ、ハードルも高い部分もある。また、中には「機械やキャラクターでも用が足りるのに、必ずしも人型にすることはないのではないか」という論もある。石井氏に人間のようなインターフェースを持つ、バーチャルヒューマンエージェントを開発する意図を聞いてみた。

ロチェスター大学の研究では、バーチャルヒューマンとASD患者の10代の若者たちが会話するプロジェクトで、患者の60%が実際の人間より話しやすいと回答している。また、南カリフォルニア大学の調査では、音声のみでコミュニケーションを取るときと比較して、バーチャルヒューマンを使った場合、応答率は17%増加し、応答時間は19%増えたという結果もあり、人型が相手の方が利用者が出す情報量が増え、共感が生まれることが分かっている。人型AIの方がコミュニケーションがより自然になり、人間の信頼度も上がる。特にヘルスケア領域などでは、キャラクターよりも人のようなもの、より人に近いものと話したい人は多いと考えている」(石井氏)

石井氏は「目線の分析はもはや当然になっていて、より細かな分析へと焦点は移っている」として、バーチャルヒューマンエージェントへの画像認識技術の応用について、こう語った。「クーガーではコンピュータビジョンの分野で強みを持ちながら、バーチャルヒューマンを開発している。またバーチャルヒューマンエージェントのSDKを他社にも提供することで、ユースケースの拡大を図っている。ゆくゆくは今回発表したアイトラッキングの認識技術をSDKにも取り込むつもりだ」(石井氏)

Holorideが「車内VR」アトラクションを初公開

Audi(アウディ)をスピンアウトしたHoloride(ホロライド)は、Ford(フォード)およびUnversal Pictures(ユニバーサル・ピクチャーズ)との提携によって初めて製品を一般公開する。同社はバーチャルリアリティーに独自の工夫を加えた製品開発に特化している。自動車が走っている間に乗客が体験する車内VRだ。

車の中でVRというと矛盾や危険を感じるかもしれないが、Holorideのアプローチを知れば、十分理にかなっていることがわかる。TechCrunchは今年のCESで体験し、車の移動とバーチャル没入環境をマッチングさせた同社の技術が驚くほど魅力的な体験を実現していると感じた。

この会社はこれまでに水中アドベンチャーやマーベルのアベンジャーシリーズなどを手掛けてきたが、今回公開するのは「フランケンシュタインの花嫁」というアトラクションで、10月14日から11月9日までハリウッドのユニバーサルシティウォークで無料公開される。ニュースリリースによると、登場するバーチャルモンスターや障害物は、すべて2020年モデルのFord Explorer SUVの中で体験するアトラクションにマッピングされている。

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エンターテイメント技術のスタートアップ、Holorideは、フォードおよびユニバーサル・ピクチャーズと提携して 「Unviersal Monsters Presents Bride of Frankenstein Holoride」を開発した。この没入感の高いVR体験は、ハリウッドのユニバーサルシティウォークで無料公開される。

ストーリーはユニバーサルの悪霊映像専門のサブブランドであるUniversal Monsters(ユニバーサル・モンスターズ)が担当し、Holorideは車のスピードやステアリング情報などのドライビングデータを使って、プレイヤーの実際の移動とVRを同期させる。

フォードとの提携は、アウディがこのベンチャーをスピンアウトさせた理由のひとつでもある。当時フォードは、Holorideがどのメーカーの車の後部座席でも使わえることを願っていると語った。

今回の同社初の一般公開は、Holorideチームにとって将来の商品化やテクノロジーの展開計画を占う重要な試みだ。車内VRはニッチなユースケースに思えるが、そのニッチが、自宅用にヘッドセットを買いそうにない多くの潜在ユーザーにVRを使ってもらうきっかけになるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルは英国の視覚効果スタジオIKinemaを買収してAR/VRへの取り組みを加速

Apple(アップル)は、英国の特殊効果スタジオIKinemaを買収したと伝えられる。Appleは、ARを利用した特殊効果をモバイルデバイスに搭載したり、より広範囲に使えるAR/VRヘッドセット市場への参入を目指していると考えられている。そのための布石となるスタートアップ買収だ。

Appleは、今回の買収について、TechCrunchに対して型通りの回答を返した。「Appleは、折に触れて小さな会社を買収しています。ただしその目的や計画について、いちいち説明するようなことはしていません」ということだ。このニュースは、まずMacRumorsが噂を広めた後、Financial Timesによって最初に報道された。

IKenemaは、モーショントラッキング機能を利用して、デジタルキャラクターの身体の動きをライブアニメーション化した。また、そうした情報を蓄積して、デジタル世界でデジタルキャラクターに本物そっくりの動きをさせるモデルを作成した。これは、特にゲームや、仮想現実のタイトルのコンテキストで有効なもの。

それらのモデルは、やはりスタートアップのRunTimeの製品で注目を集め、Epic GamesのUnreal Engineといったゲームエンジンに組み込まれた。RunTimeは、例えばThe Voidが手掛けたディズニーリゾートのVR体験「Star Wars:Secrets of the Empire」(帝国の秘密)の中でも、アバターの動きの相互作用を生み出す原動力となっている。ほかにも、Capcom Linden Lab、Microsoft Studios、Nvidia、Respawn、Square Enixなどのスタジオが利用している。

RunTimeの技術は、Impulse GearsのPSVRゲーム、「Farpoint」でも利用されている

IKenemaの製品、Orionは、低コストの入力によるモーションキャプチャを可能にするもの。基本的には、頭と手の動きなど、限られた入力をモーションモデルと同期させるというハイブリッドな手法で、本物そっくりな動きを実現できる。この技術は、NASA、Tencentなどのチームによっても、視覚化のために使われていた。

Appleはこの会社の技術に何を期待しているのか?

この技術が確実に役立つと考えられる分野はいくつもあるが、中でももっとも分かりやすいのは、iOSのカメラに特殊なAR効果を組み込むものだろう。カメラが現実世界から収集する空間データと、デジタルARモデルを重ねて表示したりできる。これによって、たとえばARフィギュアのようなものに、現実の階段を上らせたり、椅子に座らせたりすることが、原理的には可能となる。このようなシナリオの場合、IKenemaでは、カメラから得られるコンピュータービジョンのセグメンテーションができないという問題が残る。つまり、テーブルの面と床、それらとソファのクッションを区別できないのだ。それでも、そうした現実空間とデジタルモデルが相互作用できるようになるのは、大きな進歩と言える。

他にはどんな用途が?

Appleにとって、もうちょっと現実的な用途として考えられるのは、この技術をVRやARのアバターの世界で利用することだろう。これまでIKenemaは、モーションキャプチャの分野で多くの業績を積み重ねてきた。それというのも、デジタルで表現された人間が、リアルタイムでデジタル環境とやり取りするためのモデルを設計するという明確な目的があったから。彼らのソリューションは、すでに仮想現実のデベロッパーに利用されてきた。それにより、VRゲーマーが、自分の体をVRの世界に送り込んだ状態を、最小の入力で視覚化できるようになった。

Facebook Horizonの脚のないアバター

通常の仮想現実のシステムでは、位置追跡機能がコントローラーとヘッドセットに内蔵されているため、ユーザーの手と頭の位置だけを認識できる。それに対してIKinemaのソリューション利用すれば、デベロッパーは、ゲーム内に入り込んだユーザーの体の他の部分にも、ずっと自然な動きをさせることが可能となる。これは、実はかなり困難な課題であり、多くのVRタイトルのアバターが、足、首、腕、肩を欠いたものとなっている理由はそこにある。そうした部分に動きがないと、全体の見栄えが著しく損なわれてしまうのだ。

Appleが、ARやVRのデバイスの開発を推し進めたり、GoogleやSamsung製デバイスとの差別化のポイントとして、iPhoneのカメラの強化を目指しているため、同社のコンピュータービジョンに対するニーズは、どんどん高度なものになっていく。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ベライゾンがディズニー支援のVRスタートアップ「Jaunt」の資産を取得

1億ドルの資金を調達した後、バーチャルリアリティーコンテンツのスタートアップであるJaunt(ジョーント)はここ数年不安定な状態を続けていた。どうやら冒険物語はついに終わるようだ。米通信大手のVerizon(ベライゾン)が同社のテクノロジーを買収したことを発表した。

FacebookによるOculusの買収に続き、JauntもVRブームの波に乗ったかたちだが、この数年没入型エンターテインメントのビジネス機会を探し、ソフトウェアからカメラのハードウェアまで手を広げてきたた同社は、過去1年、拡張現実や「ボリュメトリックビデオ」と言われる技術に焦点を当てたビジネスを追究する一方で、自社のVR資産の売却先を探していた。

「昨年、Spinview Globalが同社のVR技術を買う話が報じられたが何も起こらなかった」と広報担当者がTechCrunchに話した。Verizonが買ったJauntの技術資産には、VR技術だけでなく最新のARへの取り組みも含まれている。買収に伴う社員の移動はなさそうだが、軌道に乗るまで何人かのJaunt社員が協力することになるだろう。

同社の広報担当者は、買収後の会社の方針については言及しなかった。

Verizonはなぜこれらの資産を必要としているのか?Verizon Media(TechCrunchはその一部)はすでに、バーチャルリアリティーコンテンツスタジオのRYOTを傘下に持ち、360度コンテンツやAR/VRコンテンツ全般を扱っている。同社のVR部門であるEnvrmntは基本的に、モバイル環境でもっと効率よく動くARやVRアプリの開発に集中している。Jauntはかつて狭いバンド幅への対応が必要な放送事業に取り組んでいたのでそのための経験を持っているはずだ。

契約金額はまだわかっていないが、JauntはこれまでにGV、Disneyからから計1億ドルの投資を受けている。昨年10月、同社は「相当数の社員」を解雇し、年末にはオフィス家具をオークションに出した。

関連記事:Disney-backed Jaunt lays off ‘significant’ number of employees as it moves away from VR

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが描く「ポストウェブ」の未来、マルチプレイヤーVR空間「Horizon」を来年スタート

5年前、FacebookはVRの草分けであるOculusを20億ドルで買収した。今週、ニューラルインターフェースのパイオニアであるCTRL-Labsを5億ドルを上回る金額で買収し、大規模なマルチプレイヤーVR共有空間「Horizon」を来年はじめにスタートすると発表した。

OculusはFacebook Reality Labsという(やや不気味な名前の)組織となり、Facebookの初期エンジニア15人の一人で、デスクトップからモバイルへの広告モデルの移行を指揮したAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏が長を務めることになった。同氏が今までよりずっと興味深く、長期的な変化を担うプロジェクトの責任者なったことは想像に難くない。ワールドワイドウェブから、その先にある何かへの変化だ。

Facebookの数十億ドル規模の大きな賭けは、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の水晶玉の中に浮かぶビジョン。ウィリアム・ギブソンの言葉を借りるなら「サイバースペース」の新開地であり、かつてOculusの新入社員に配られていた映画「READY PLAYER ONE」(レディ・プレイヤー1)の世界で言う「オアシス」になることは間違いない。バーチャルリアリティー(仮想現実)は、我々の現実世界と仮想的な事物を組み合わせるミクストリアリティー(複合現実)とも言ってもいい。

私には皆さんの呆れている顔が目に浮かぶ。たしかに突飛な発想であることはわかっている。AR(拡張現実)やVRは、核融合やブラジルと同じく、いつかはやって来ると言われている時間が長すぎて、真面目に将来を考えるのが難しくなっている。「ニューロマンサー」が最初に出版されたのは1984年だった。Jaron Lanier(ジャロン・ラニアー)氏が最初の本格的VRヘッドセットとモーションキャプチャーウェアラブルであるEyePhoneとDataGloveをデモしたのは30年以上前のことだ。共有グローバルVR空間という発想が、ますますレトロフューチャーのように感じるのも無理はない。

しかしザッカーバーグ氏の示す変化への道は明白であり、ゲームを橋渡しに使うところは実践的だ。世界最初で最高の巨大マルチプレイヤーオンラインVRゲームを作る(Magic Leapのミクストリアリティーよりも没入的であり、従って説得力もある)。Facebookのパワーと規模と富を使ってゲーマーたちを集め、月間ユーザー数百万人の人気コミュニティーを作る。

そして、VRがゆっくりとウェブ自身に取って代わるという大きなビジョンへと推移する。ノートパソコンをヘッドセットで置き換え、スマートフォンをスマートメガネで、キーボードをニューラルインターフェースで置き換える。一度に変わるのではなく、少しずつ何年もかけて、Horizonのゲーム世界が交流やメッセージのためのプラットフォームになり、ゲームだけでなく仕事にも使われるようになる。そのときインターネットの住人たちはFacebookのウェブサイトを訪れたり、アプリを開くだけではなく、(たとえ仮想的にせよ)文字通りFacebookの塀に囲まれた庭園に住むようになる。

そんなビジョンはいよいよ薄気味悪いのでは?そのとおり。本当に実現するのか?まあ、多分そうはならない。しかし、それが大きな富をもたらし、したがって現在進行中のFacebookの数十億ドルの賭けが理にかなっている可能性がゼロより十分に大きいことは認めざるを得ない。

もちろんこれは、Facebook唯一の将来へのビジョンではない。数ある賭けのひとつにすぎない。 ソーシャルメディア広告からメッセージと決済へとピボットすることも考えられる。現在の途方もなく成功しているビジネスを捨てて、経験も実験もされたことのないビジネスモデルに移行する道を探ろうとする彼らの意欲を称賛しないわけにはいかない。

賭けは成功するのか?Facebook HorizonやVRやニューラルインターフェースは、ウィリアム・ギブソンの言った「何十億人もが毎日体験している共感覚幻想」への玄関口なのだろうか? オッズが高いとは言えないが、現実世界のどれと比べてもチャンスはありそうに思える。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

OculusのCTO曰く「Gear VRではチャンスを逃した」

Oculus のConnectデベロッパーカンファレンスで、ベテラン幹部の一人が同社のベストセラー製品について思うところを語った。「われわれがQuestで未来にむけて進みつつある今、Gear VRについて少し追悼を捧げようと思う」とCTOのJohn Carmack氏が聴衆に向けて語った。

Carmack氏は、ソフトウェアは最新だがSamsungのスマートフォンは最新機種も今後の機種をこのヘッドセットをサポートしないので「最後の日は近い」と語った。

「われわれはチャンスを逃したと思っている」とCarmack氏は言う。「私は多大な努力を払ってきたし、われわれはこれをあらゆるモバイル製品の基盤として使ってきた」

Gear VRが最初に発売されたのは2014年で、Note 4向けのInnovator Editionを始め、サイズや回路を微調整したいくつかのバージョンを作ってきた。ユーザーはこのヘッドセットにSamsungのスマートフォンを差し込みOculusのソフトウェアを立ち上げて使用する。

Carmackによると、このヘッドセットシリーズは同社の圧倒的なベストセラーだったが、ユーザーの維持力は一番弱く、RiftやQuest、Goなどより劣っていた。ただし、体験を得るまでのハードルの高さやスマートホンとのバンドルで大量に配布されたとこを考えればさほど驚くには当たらない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookがConnect 6カンファレンスでOculus利用のVRレイヤーを予告

Facebookは仮想現実アプリのデベロッパー向けに6回目のOculus Connectカンファレンスを開催した。キーノートでは新しいハイエンド製品のプロトタイプが発表されると同時に、Facebook本体にOculusを利用した新しいVRレイヤーが準備されていることが明かされた。

OculusのMegan Fitzgerald(メーガン・フィッツジェラルド)氏はカンファレンスで「今年中に『Oculus on the Facebook』という新しいプラットフォームがスタートする。これはOculusのVR能力を生かしたまったく新しいFacebookの利用体験となる」と述べた。

近くFacebookへのログインで同時にOculusへもログインできるわけだ。つまりVRヘッドセットを通じてFacebookにアクセスし、Facebookへの投稿も含めたソーシャルネットワーク体験が可能になる。ユーザーはOculusを利用している友達だけでなく、他のVRヘッドセットを使っている友達ともVR体験を共有し、Oculus内からイベントを作成し友達を招待することもできるという。

Facebookサイズの巨大なVRコミュニティが作られるらしい。 つまりFacebookの機能が全面的にOculusエコシステム内からアクセス可能になる! OculusはとことんFacebook化されるのだろう。チャット、イベントその他さまざまな機能がOculusから利用できるようになるに違いない。

Destinationsと呼ばれる新機能ではゲーム体験をFacebookを通じて公開・共有できる。ブロードキャスト機能ではゲームタイトルそのものにリンクしており、簡単にアクセスが可能となる。つまりチャット内でボタンを押してゲームにアクセスし、ヘッドセットを使って友達とVRゲームができる。Oculusの普及にあたっていちばん重要なのはフリクションと呼ばれる目的を達成するまでの手間を最小限にすることだが、クリック1回でゲームが開始されるのもこの点を狙っているのだろう。

Facebookログインで同時にOculusデバイスにもログインする機能はいまのところオプションだが、FacebookではOculusからしか利用できない新機能を追加することに力を入れている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

FacebookがOculus Linkを発表、スタンドアロンのQuestでPCゲームを楽しめる

Oculus Connect 6のカンファレンスの壇上でFacebookのCEOを務めるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、11月のソフトウェアアップデートによってスタンドアロンのVR(仮想現実)ヘッドセットとPCコンテンツの境界線をさらに曖昧にすると発表した。

Oculus Linkは、ユーザーがOculus QuestをUSB-CでPCに接続し、モバイルチップセットを搭載したヘッドセットで現在よりも高品質なグラフィックスで電力消費の多いPCコンテンツを再生できるようにする。

システムの制限はまだわからない。最近のUSB-Cコードは使用できるようだが、電源のパススルーができるものが必要だ。Oculus QuestもOculus Rift Sも多くのシステムスペックを共有していることを考えると、FacebookがスタンドアロンのOculus Questにより、PC VRを置き去りにしようとしていることは明らかだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Facebookが神経信号検出型アームバンドを開発するスタートアップを買収

Facebookはニューヨークに本拠を置くスタートアップ、CTRL-labsを買収した。着用者の腕の動きと、神経を流れる電気信号をデジタル入力信号に変換するアームバンドを開発している会社だ。同社の広報担当者がTechCrunchに明かした。

Crunchbaseによると、CTRL-labsは、これまでに6700万ドルを調達している。同社に投資しているのは、GV、Lux Capital、AmazonのAlexa Fund、Spark Capital、Founders Fundなど。Facebookは、このスタートアップにいくらつぎ込んだのかを明らかにしなかったが、TechCrunchとして情報を探っているところだ。

アップデート:Bloomberg(ブルームバーグ)は、この取引の金額を5億ドル(約537億円)から10億ドル(約1073億円)の間と推定した。この件に近い情報筋からTechCrunchが得た情報も同じだった。

この買収はまだ完了していないが、CTRL-labsはFacebook Reality Labs(リアリティ・ラボ)に組み込まれることになる。CTRL-labsの共同創立者でCEOのThomas Reardon(トーマス・リアドン)氏は、マイクロソフトでInternet Explorer開発チームを立ち上げたことでも名高い、老練の技術者だが、リアドン氏自身もFacebookに移籍する。また、CTRL-labsの従業員も、同社に移籍するオプションを与えられているようだ。

Facebookは、頭の中で考えるだけでテキスト入力などが可能となる、非侵襲的な脳入力デバイスの開発について、これまでいろいろ語ってきた。これまでのところ、そのプロジェクトの進捗の大部分は、同社が資金を提供した大学における研究成果、という形をとっているものと思われる。今回の買収によって同社は、いつの日か実際に製品化できるような技術の開発に注力できるようになったものと思われる。

「デバイスやテクノロジーとやり取りできる、より自然で直感的な方法があることが分かっています。それを開発しようとしているのです」と、Facebook AR/VR担当副社長であるAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏は、今回の買収を発表した記事に書いている。「そのために、CTRL-labsを買収することにしました。彼らは、私たちのFacebook Reality Labsチームに加わります。そして、この種のテクノロジーを大規模に開発し、できるだけ早く、消費者向けの製品として実現できることを望んでいます」。

CTRL-labsの技術は、テキスト入力に特化したものではない。むしろ、筋肉の動き、特に手首から先の手の動きに注力している。同社の技術の進歩は、いろいろなタイプのセンサーを組み合わせて、装着者の手の位置を正確に特定するためのデベロッパーキットとして、最近結実したところだ。そのデバイスは手首に装着するもので、カメラや手袋を使って手の動きをトラッキングする機能の代替手段をデベロッパーに提供する。同社は以前、このキットの明確なユースケースの1つとして、ARやVR分野での入力機能を挙げていた。すでにCTRL-labsのキットを使用しているデベロッパーにとって、この買収が何を意味するのか、Facebookはまだ詳細を明らかにしていない。

今回の買収により、FacebookはNorth(元のThalmic Labs)のアームバンドに関する特許も取得したことになる。CTRL-labsは、今年の初め、すでに使われなくなったMyoアームバンドに関してNorthが持つ特許を、非公開の額で買い取っていた。

CTRL-labsの買収によって、さらに多くの知的財産や技術者がFacebookの傘下に入ることになる。この拡張現実の分野では、Microsoft(マイクロソフト)やApple(アップル)など、多くの競合他社も製品開発にしのぎを削っている。これまでOculusが、Facebookの仮想現実製品として開発してきたQuestやRift Sなど、多くの技術との間に重複が見られる。しかしCTRL-Labsの技術は、あまりかさばらず、ほとんど目立たず、より確実な入力デバイスを開発するのに役立つはずだ。

「Leap MotionやKinectなど、カメラを利用した技術に勝る根本的なメリットがいくつかあります。私たちは、脳から手に向かう信号を、直接体から検出しているからです」と、CTRL-labsの研究開発責任者、Adam Berenzweig(アダム・ベレンズウィック)氏は、昨年末のインタビューでTechCrunchに語っている。「(カメラを使った手法のような)閉塞や視野に関わる問題はありません。両手がどこにあっても構いません。手袋や宇宙服を着けていても大丈夫なのです」。

Facebookは、今週後半にOculus Connect 6デベロッパー会議を開催する。そこでは、同社のAR/VRに関する取り組みについて、最新情報が発表されるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

クラウドファンディングの常連Loogが3種類の教育用ギターをローンチ

およそ8年前にクラウドファンディングに初登場した教育用ギターのメーカーLoogが今週、Kickstarterに戻ってきた。実はこれで4度目だが、今回は学習の過程を加速することを目的とする3種の楽器をお目見えした。

その3種類は対象年齢層別になっていて、Loog Miniは3歳以上、Loog Proは8歳以上、そしてLoog Pro VIは12歳以上だ。最後のVIは文字通り6であり、同社の学習用ギターとしては初めての6弦だ。これまでは、3弦のみ。

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どれもスピーカーとアンプを内蔵しており、子どもの最初の楽器として余計なアクセサリーは必要ない。同社が提供しているアプリも使えるが、今ではそれは拡張現実(guitARとでも呼ぼうか)を利用しており、モバイルデバイスの前面カメラを使うとインストラクションをオーバーレイする。コード用のフラッシュカードやビデオ、それにゲームもある。

アプリにはソングブック(曲集)があり、ビートルズやテイラー・スウィフトなどいろんな人気アーティストをそろえている。子どもはカラオケ的にそれらの曲を遅くしたりミュートして録音ができる。

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Kickstarterの出資者価格は、定価150ドルのMiniが99ドルからだ。同社はクラウドファンディングの常連だが、今のところそのやり方はうまくいっている。Loogは音楽教育の世界で一定の評価と人気があり、Kickstarterのビデオにもあるように、二人の本物のロックスターが愛用したこともある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ソニックブームのない音速飛行へ、NASAの超音速機X-59の仮想コックピットのテストが完了

NASAは研究開発用の超音速航空機「X-59」で、最終的には静かな超音速飛行による商業航空の実現を目指している。同機はこのほど、パイロットに大空の完全に仮想的な視野視界を与えるシステムのテストに成功し、夢の実現に一歩近づいた。

そのシステムはeXternal Visibility System(頭字語の先頭にXを付けたがるNASAの好みに合わせるとXVS)と呼ばれ、前を向いたカメラとディスプレイの組み合わせにより、拡張現実で増強された視野視界をパイロットに提供する。その拡張現実、すなわちARが提供する情報は目的空港へ向かうためのガイダンスや、空域に他の航空機が入った場合の警告や警報、離着陸の際のさまざまな情報や重要な合図などだ。

コックピットに座ったパイロットの前には4Kのモニタがあり、センサーと4Kカメラが捉えた情報がそこへ出力される。機体の下部にもカメラが収納されており、着陸時などの低速飛行の際に出てきて重要な視野視界を提供する。

XVSは最初、テスト機Beechcraft King Air UC-12Bに搭載して検証され、搭乗したパイロットがディスプレイを見ながら他機の検出機能を確認した。テストには、このままでは衝突しそうな非常に難しい状況も含まれた。

そもそもなぜXVSのようなものが必要かというと、X-59は大音響のソニックブームのない静かな超音速飛行を目指しているので、機体のデザインに今の商用機と違って完全に近い流線型を採用したからだ。だから従来機のような上部の操縦室の出っ張りなどがない。操縦室は完全に仮想化されている。規制をクリアして超音速機が陸地の上や人口過密地帯の上空を商用機として飛ぶには、静音が絶対的な条件だ。

X-59には前面の窓はないが透明な天蓋はある。そしてテストパイロットによると、XVSがもし失敗しても天蓋からの視野視界と航空機のセンサーおよびアビオニクスシステムからの情報を利用して飛ぶことはできる。

現在建造中のX-59はLockheed Martin(ロッキード・マーティン)が作っていて、最初のフライトは2021年を予定している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ARマッピングの6D.aiがAndroidとヘッドセットをサポートへ

コンピュータービジョンの技術で世界をマッピングする6D.aiの拡張現実プラットホームがベータを終了し、サポートするデバイスを拡張した。

同社はサンフランシスコ発のスタートアップで、昨年10月にベータで立ち上がり、今ではサービスの料金体系も確定してデベロッパーがアプリを発表できるようになった。その6D移動の従量制の料金は、無料プランのほか、ユーザーが行うマップのダウンロード呼び出しの回数により20ドル〜50ドルのプランがある。呼び出し回数5万以上のアプリに関しては特注料金になる。

すでに同社の顧客には、Autodesk(オートデスク)やNexus Studios(ネクサス・スタジオ)、Accenture(アクセンチュア)などの著名企業がいる。

そしてこれまではiOSデバイスに限定されていたが、米国時間8月26日に同社はAndroidスマートフォンや軽量ヘッドセットのサポートの非公開ベータを発表した。

AndroidはiOSと違って不均一なプラットホームなので課題も多いが、しかし6Dはまず、ARCoreをサポートしているSamsung(サムスン)の最新のデバイスから展開を始める。そして次の段階としてSnapdragon 845以降のチップが動くARCoreデバイスをすべてサポートする。

同社はさらに、Qualcomm(クアルコム)とのパートナーシップを発表した。Qualcommは6Dの技術を使った製品を、ARのヘッドセットのメーカーのための参照設計として提供するようだ。ヘッドセットは6Dにとってメインの路線ではないが、今後の市場の成長に備えて今からパートナーシップを結んでおきたいらしい。そのため同社は、中国のヘッドセットメーカーNrealともパートナー契約を結んだ。

関連記事:6D.ai is building AR tech that crowdsources a 3D mesh of the world(6D.aiのAR技術はクラウドソーシングの3Dメッシュ情報を利用、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

xRテックのバルスが東京・銀座にバーチャルスナックをオープン

バルスは8月24日から、バーチャルタレントが「ママ」として接客する会員制スナック「バーチャルスナック」を東京・銀座にオープンする。

バルスCEOの林 範和氏

バルスは、VRやARなどのxRテックのサービスを開発・提供する2018年1月設立のスタートアップ。池袋の映画館や渋谷のライブハウスなどのバーチャルタレントの公開ラジオやライブを開催し人気を博している。例えば、9月21日の16時30分から東京・池袋のHUMAXシネマズで開催される「アメノセイ 1st LIVE -alone in the denshi-」は、1万9800円の特典付きプレミアムチケットがすでに売れ切れている。10月5日13時から東京・渋谷のVeats Shibuyaで開催される「富士葵 1st ソロライブ OVERTURE – 序曲 –」も、6800円のチケットが完売。なおバーチャルタレントは、同社所有のスタジオで高精度なカメラを利用したモーションキャプチャーによって動かしている。

バーチャルスナックは、東京・銀座にある「スナック十°」を隔週で借り切って営業。参加するには事前に同社のチケット販売サイト「SPWN」で税別4800円のチケットを購入する必要がある。このチケットは2ドリンク付きで、追加のドリンクは1杯1000円。ママへのドリンクは1杯2000円(特典付き)、ママへのリクエストは時価となる。チケットは20歳以上でないと購入できない。

風宮まつり

8月24日は、第1部が12時30分〜14時30分に開催され、風宮まつりがママを担当する。第2部は15時30分〜17時30分で、こちらのママは朝ノ瑠璃だ。その後、隔週土曜日の同じ時間帯に、さまざまなバーチャルタレントがママを務める。現在11月23日までスケジュールが決まっており、以降も続行していく計画だ。なお8月24日のチケットはすでに完売している。

朝ノ瑠璃

店内にはマイクとカメラが設置されており、もちろん双方向の映像と音声のやり取りが可能だ。店内ディスプレイにバーチャルタレントが映し出され、掛け合いを楽しめる。バーチャルタレントへのカラオケのリクエストなども可能。バーチャルタレントは、バルスが開発した「どこでもVTuber」と呼ばれるシステムを使って遠隔でママを務める。

実際に試してみたところ、違和感を覚えるのは最初の数分だけ。通信の遅延もほとんど気にならないので、自然なかたちで会話を楽しむことができた。バーチャルスナックは定員が10名程度と少人数で、バーチャルタレントと密度の濃いコミュニケーションを図れるため、ファンにとってはたまらないイベントになるだろう。

同社は、どこでもVTuberのシステムをバーチャルタレント向けだけでなく、法人向け接客ツールとしての販売も計画している。どこでもVTuberのシステムはノートパソコンとカメラ、マイクがあれば簡単に構築できるので、接客が必要な業務での採用が進めば、自宅はもちろん遠隔地で接客業務をこなすことができる。

ボイスチェンジャーも使えるので、性別や年齢も問わない。もちろん、メイクに時間をかける必要もない。バーチャルタレントは、エンターテインメントだけでなくビジネスの現場の働き方を変えるポテンシャルを秘めている。

どこでもVTuberのシステム。ノートPCとカメラ、マイクで構築できるので設置スペースをあまり取らない

インスタのARフィルタ開発キットをFacebookが公開

FaceApp(フェイスアップ)やSnapchat(スナップチャット)にばかり注目が集まるのは許せない。そうした思いからなのか、Facebook(フェイスブック)は米国時間の8月13日に、これまで限定ベータだったSpark ARを、すべてのデベロッパーに公開し、AR(拡張現実)フィルタを開発してInstagram(インスタグラム)上で共有できるようにすると発表した。

この動きについては、すでに今年はじめのF8の基調講演で発表していた。

Facebookにとって、スマホ用のAR機能自体はとりわけ新しいものではない。すでにマーク・ザッカーバーグ氏が2017年のF8キーノートの前半を費やして、独自のARカメラエフェクトを大々的に吹聴していた。それから2年半後、多くのデベロッパーにもそれを試してみる機会を与える準備が整ったということだろう。

Spark AR Studioで作って共有されたエフェクトをポップアップさせる方法は何とおりもある。Instagram上でエフェクトを共有しているユーザーをフォローしている場合、アプリのカメラセクションにあるユーザーのエフェクトトレイで、そのエフェクトがポップアップ表示される。またInstagramは、ユーザーが新しいフィルターを検索できるようにする新たなEffects Gallery(エフェクトギャラリー)も用意している。Instagramとしては、必ずしもエフェクトギャラリーを中心に据えようとしているわけではない。ユーザーが、Instagramカメラのエフェクトトレイの最後までスクロールすると、ようやく姿を現すので、そこでクリックして起動する。またユーザーは、インスタグラムストーリーに使われているエフェクトを見ることができるようにもなる。これこそが、他のユーザーに対する訴求力を発揮し、Spark ARにいざなう効果を持つものだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

残っていた最後のOculus共同創業者がFacebookを去る

Facebookは2014年のOculus買収に何十億ドルもつぎ込んだ。そしてOculusがFacebookに深く取り込まれるにつれ、Oculusの共同創業者たちは次々とFacebookを離れていった。そして8月12日、最後の1人として残っていたNate Mitchell(ネイト・ミッチェル)氏が社員向けに送った内部メモでFacebookを去ることを明らかにした。

このニュースはThe InformationのAlex Heath(アレックス・ヘルス)が最初に報じた。ミッチェル氏はその後すぐにTwitterで社を離れることを発表した。

我々はFacebookにコメントを求めている。

Redditでのノートでミッチェル氏は、会社を辞めて「しばらくは旅行したり家族と過ごしたり、また充電に時間を当てるつもりだ」と語っている。同氏はバーチャルリアリティのプロダクトマネジメント責任者を務めていた。

ミッチェル氏のFacebookでの役割は、VR組織における何回もの幹部入れ替えで過去数年で幾度か変わった。昨年は、OculusのCEOだったBrendan Iribe(ブレンダン・イリベ)氏がハイエンドプロダクトの将来についてチームと意見が食い違ったためにFacebookを去った。Oculusの中心的な創業者だったPalmer Luckey(パーマー・ラッキー)氏は反ヒラリー・クリントン政治グループに資金を援助していたという奇妙で複雑なスキャンダルを受け、2017年に辞めている。

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(翻訳:Mizoguchi)

ホログラフ技術で3D TVの実現に挑むLight Field Lab

3Dテレビは10年前のCESで大きく報道されたが、その後成功した消費者製品はない。でも、全員がギブアップしたわけではなくて、一部はアプローチを変えて再挑戦している。

2年前にステルスを脱したベイエリアのLight Field Labは、視聴者が特殊なグラス(眼鏡)をつける必要のない、奥行き感のある3Dをホログラフで実現しようとしている。それは画像に奥行きがあるだけではなくて、視聴者がディスプレイの回りを動くとそれによって物を見る視野角(パースペクティブ)も変わり、まるでデジタルのコンテンツが実際に空中に浮いてるような感覚を与える。

こういうライトフィールド(Light Field)技術は、これまた市場で難産を経験したきた。ライトフィールドを捕捉するカメラであるLytroはGoogleに捨て値で買われたし、これまでに数十億ドルを調達したMagic Leapは今だにその拡張現実技術の商用化に苦戦している。

Light Field Labは、彼らが達成したライトフィールドディスプレイの技術的進歩によって、消費者製品がやっと実現すると期待している。でも、いわゆる3Dテレビの時代から未解決のまま遺されている課題も山のようにある。

Light Field Labは目下、家庭用のライトフィールド体験にはフォーカスしていない。今彼らが力を入れているのは一種のモジュール的なプラットホームで、遊園地やテーマパークなどの娯楽施設がそれを全方向に大量に敷き詰めることによって巨大な3Dビデオの壁を作り、今までになかったような新しい3D体験を提供するというものだ。

壮大な計画だが、今の同社には資金が十分にある。というのもLight Field Labは米国時間8月12日、Bosch Venture CapitalとTaiwania CapitalからシリーズAで2800万ドル(約29億5000万円)を調達した。Khosla VenturesやSamsung Ventures、Verizon Ventures、Comcastなどもこの投資に参加している。さらに昨年同社は、Khosla VenturesとSherpa Capitalから700万ドル(約7億3700万円)を調達した。

同社はプレスリリースで「Light Field Labは当初、一定の位置にある大規模なエンターテインメント施設をねらうが、当社のホログラフ技術の今後のバージョンは最終的に、消費者製品の開発に向かうだろう」と表明している。

関連記事: Hands-on with the bizarrely fascinating Looking Glass volumetric display(Looking Glassの3Dディスプレイに触ってみた、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

VrealがVRゲームストリームプラットフォームを閉鎖

ライブストリーマーがプレイしていた世界をVRユーザーが探検できる、野心的なゲームストリーミングプラットフォームのVrealがベンチャーキャピタルから1500万ドル(約16億円)を調達した後に閉鎖し、スタッフをレイオフする。この情報は同社のウェブページ上に掲載された。

シアトルベースのVrealは、Axioma VenturesやUpfront Ventures、Intel Capitalなどの投資家から資金を調達していた。同社は2018年初旬にシリーズAで1170万ドル(約12億円)を調達している。

Vrealの技術は、ゲームストリーマーが自分のいるVR世界の3D環境を共有することを可能にし、ユーザーがアバターとなってストリーマーの周りを歩き回ったり、ライブストリーマーのプレイを聞きながら観察者として探検ができる。

2015年に設立されたこのスタートアップは、ライブストリーミング技術によりここ数年のVR業界でもっとも誇大広告された企業だった。昨年のはじめにシリーズAを終えた時点で、彼らのプラットフォームはまだアルファ版前の段階だった。なお、プラットフォームは数カ月後の6月にEarly Access on Steamにてローンチされた。

Vrealの空っぽのウェブサイトに掲載された「新たな現実への移行…」というブログ投稿には、「残念ながら、VR市場は我々が期待していたほどには急速に成長せず、一方で我々は確かに時代の先を行っていた。その結果、Vrealは業務を停止し、我々の素晴らしいメンバーは別の機会へと移行することになった」と記載されている。

シリーズAの発表後に私が指摘したように、Vrealのプラットフォームは「VRハードウェアを持っている視聴者向けにVRハードウェアによるストリーミングサービスを提供するという、非常にニッチなプロダクト」であった。VRハードウェアに関する同社の宗教的忠誠心は、コンテンツを楽しんだり制作するための唯一の方法であり、プラットフォームへのリーチの方法を制限しすぎたのだろう。2カ月前、同社は実験的なウェブブラウザをプラットフォームに追加してリーチを広げると発表したが、その動きは小さすぎ、そして遅すぎたようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルは新宿を含む世界の主要都市でARアートイベントを開催

Apple(アップル)は、長年にわたる2つの大きな取り組みを結合させて、新たな推進力を生み出そうとしている。1つは、AR(拡張現実)を誰にとっても親しみやすいものにすること。もう1つは、Apple Store(アップルストア)を、市民センターのように仕立てて、コミュニティの集いの場にすることだ。

今回のプロジェクトは、[AR]T Walkと名付けられた。世界中のさまざまな都市の中心地を歩き回り、現実の空間の中で、多くのアーティストのデジタルアート作品に命を吹き込もうというものだ。このツアーは、香港、ロンドン、ニューヨーク、パリ、サンフランシスコ、東京で8月中旬まで開催される。なお新宿では8月11日となる。

地理的に特定の場所でデジタルアートを展示すること自体は、新しい発想というわけではない。たとえばSnapchat(スナップチャット)は、2017年に、セントラルパークでJeff Koons(ジェフ・クーノス)との提携を発表した。ただしその際には、技術的な問題によってうまく機能しなかった。

ARウォーキングツアーに参加したい人は、Appleのサイトで参加を申し込むことができる。ただし、新宿はすでに満員だ。今回のツアーは、2時間の行程で、1.5マイル(約2.4km)を歩くようだ。作品を提供しているアーティストとしては、Nick Cave、Nathalie Djurberg、Hans Berg、Cao Fei、John Giorno、CarstenHöller、Pipilotti Ristの各氏がいる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

香りの次は味覚、「味が変わるVR」をVAQSOが開発

味が変わるVRを体験する声優の紅音氏

VR体験に香りを加えるデバイス「VAQSO VR」を開発するVAQSOは7月30日、VRコンテンツを制作するORENDAと共同で味覚VR体験を可能とする「フローズンの味が変わるVR」を開発したと発表。

VAQSO VRはVR映像と連動した最大5種類の匂いを感じることのできるデバイス。今回発表された味覚VR体験でもこのVAQSO VRを使用する。

VAQSOいわく、味覚は舌で感じる五味と鼻で感じる風味で構成されるが、味覚の90%を風味が占める。鼻をつまんでキャンディーを舐めると味がわからないのはそのためだ。

フローズンの味が変わるVRでは、五味で作られたベースであるフローズンに、VAQSO VRを使用し風味を加え、味を再構築する。デモを体験したところ、フローズン単体では一体何を口にしているのかわからない不思議な味だったが、VAQSO VRで香りを加えることで、いちご、レモン、メロン、ブルーハワイの味を堪能することができた。想像以上に匂いは強く、体験後もしばらくは匂いが鼻に残っていた。特にいちごは香りが強く、いちごの後にレモンに切り替えたものの、あまりレモンテイストを感じることはできなかった。

VAQSO VRはハイエンドのHMDからスマホ用のVRまで対応するが、当日行われたデモではHTCのVIVE Proが使用された。コントローラーのトリガーを引くと味が変わる仕組みとなっている。味が変わるごとにMR上でのフローズンの色も変わる、など、このORENDAとの連携により開発されたコンテンツのUXはとても工夫されており優れていると感じた。8月3日と4日にはカラオケ ファンタジー 新宿東口店にてこのフローズンの味が変わるVRの店頭体験イベントが実施される。

VAQSO VRは香りにカートリッジを取り付けHMDに装着することで使用する

試作開発がほぼ終了し今年の秋頃から量産が開始される予定のVAQSO VRの技術は、以前にも紹介した、日本航空によるxRを活用したバーチャルツアー体験「JAL xR Traveler」にも採用されている。

この技術の応用に関して、VAQSO CEOの川口健太郎氏は「宇宙関連機関に宇宙食として使われれば」と話した。「砂糖水さえ打ち上げれば、(VAQSO VRを使い)自分の飲みたい様々なフレーバーに変えることができる。宇宙空間で物資を輸送する際のコスト削減に役立つと考えている」(川口氏)

川口氏は、その他にも、アミューズメント施設のアトラクションとしてや飲料、食品メーカーのプロモーションでの利用を想定していると話した。VAQSO VRには15種類ほどの匂いのカートリッジが用意されており、「ゾンビの臭い」などもあるが、そんな味のフローズンは勘弁だ。

Valkyrie Industriesの触覚型VRスーツは企業の教育訓練用に向いている

Valkyrie Industries(ヴァルキリー・インダストリーズ)は、同社のVRスーツの最新ビルドを軽々しく「Iron Man v. 1.」(アイアンマンバージョン1)と呼んでいる。

そのプロトタイプには、あのスーパーヒーロー映画の前半の雰囲気はある。何本ものワイヤがむき出しで、3Dプリントで作った大きな不格好な部品が体のあちこちについている。完成バージョンでは、もっとウェットスーツっぽくなるのかな。現状は着用型の触覚デバイスで、、まるでスチームパンクのコスプレみたいだ。

このロンドンのスタートアップには、香港のスタートアップアクセラレータプログラムのBrincで会った。たしかに、VR用の触覚型ボディスーツと呼ぶには、ためらいがある。ゲームをより没入的な体験にするための着用型デバイスなら毎年たくさん見てきたが、しかしValkyrieはいろんな点で、対象市場がそれらとは違う。

VRといっても同社の場合はゲームではなく仕事用を意識している。こういう着用型デバイスがゲーム用ないし家庭用になるのは、今のコストでは無理だ。材料費だけでも1500ドルするそうだ。でも家庭ではなく企業、とくに大企業では、教育訓練を効率化するためにこういうものが欲しいだろう。とくに、危険な、あるいは複雑な作業用に。

このシステムは電気ショックで着用者の筋肉を刺激し、抵抗感や触感をシミュレートする。社員が3名でシード資金をもらったばかりの同社の製品は、まだごく初期段階で、着させてもらうことはできなかった。

でもValkyrieはこれまで、さまざまな著名企業や行政対象の企業にデモを見せてきた。彼らは教育訓練と遠隔操作の両面で、この製品に関心を示した。後者では、着用者が安全な距離から何かをコントロールしたり、操作したりできるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa