話題のヘッドレス通販の触媒を目指すY/Cが支援するVue Storefront

「ヘッドレスコマース」は最近よく使われる言葉だ。実は私自身、すでにヘッドレスコマースについて記事を書いているVue StorefrontのCEOであるPatrick Friday(パトリック・フライデー)氏は、このコンセプトを使ってコマースエコシステム全体の中での自社の位置づけを明確にしようとししている。

「Vue Storefrontは、ヘッドレスコマースに頭となるフロントエンドを提供します」とフライデー氏は説明する。

つまり通常のヘッドレスコマース企業は消費者から「頭」が見えない部分、つまりバックエンドのインフラ構築に注力する。これに対してVueは消費者が実際に接するフロントエンドを高度なウェブアプリとして提供する。同社は自らを「ヘッドレスコマースのための稲妻のように高速なフロントエンドプラットフォーム」だと表現している。

フライデー氏とCTOのFilip Rakowski(フィリップ・ラコウスキー)氏は、eコマース企業のDivanteで働いていたときにオープンソースプロジェクトとしてVue Storefrontテクノロジーを構築し、2020年に新しいスタートアップとしてスピンアウトしたという。同社はシリコンバレーのアクセラレーターのパイオニア、Y Combinatorの最新のクラスに参加しており、SMOK Ventures、Movens VCがリードしたラウンドでシード資金150万ドル(約1億6000万円)を調達している。

「我々が会社を立ち上げたのも、資金を調達したのも、エージェントを説得したのも新型コロナウイルスによるパンデミックの最中でした」とフライデー氏は述べている。2020年12月初旬のある朝に投資家との契約にサインし、その夜さっそくYCombinatorの面接に臨んだこという。

フライデー氏をはじめとするチームは、オープンソースのテクノロジーをコアとしてビジネスを立ち上げたとき単に新しいウェブアプリを構築する以上のことができることに気づいた。つまりVueを利用すればMagentoやShopifyなどのeコマースプラットフォームをContentstackやContentfulなどのヘッドレス・バックエンド・システムに接続し、さらにPayPal、Stripeなどの支払サービスを含むサードパーティのシステムとの統合することが可能だった。

画像クレジット:Vue Storefront

フライデー氏によれば、ユーザーから「Vue Storefrontは接着剤のような存在だ。ヘッドレスアプリは複雑で使うのが難しかったが、Vueが接着剤となって多様なサービスを統合してくれた」と感謝されたという。

Vueのプラットフォームを使用して解説されているオンライン店舗は世界中で300以上となる。フライデー氏によれば、パンデミックとロックダウンにともなうeコマースの急拡大により、企業が「4、5年前のフレームワークやテクノロジー使ったプラットフォームがすでにレガシーになっている」と気づいたため、Vueの採用が加速したという。一方、ラコウスキー氏はこう説明する。

レガシーシステムを新しいプラットフォームに更新しようとすとき、Vue Storefrontが乗り換えを容易にすると考えて我々のところに相談に来るユーザーが多数います。Vueのテクノロジーを使えばバックエンドと独立にユーザーと対話するフロントエンドのコードを書くことができるのでプラットフォームのアップデートが極めて容易、迅速になります。

投資家から資金を調達した直後だったため、Vue Storefrontのチームは前回のYCデモデーには参加していない。ただし次回のデモデーには参加するという。なおVue自身は米国時間4月20日にオンラインでVue Storefront Summitを開催する予定だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Vue StorefronteコマースヘッドレスコマースY Combinator資金調達

画像クレジット:Vue Storefront

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(文:Anthony Ha、翻訳:滑川海彦@Facebook